著者
豊田 啓孝 渡辺 哲史 五百旗頭 健吾 古賀 隆治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.300, pp.33-38, 2010-11-12
被引用文献数
8

送受信器が平行ケーブルで接続された3導体系の伝送線路が,システムグラウンドからある一定の距離を隔てて設置されている場合を対象として,モード等価回路を構築した.実電圧・電流の直交モード分解に基づき導出された直交モードの変換行列は,モード電圧間,モード電流間のみのモード変換を表現する.電流配分率の異なる線路を接続した場合では,線路の接続位置にモード変換電圧源やモード変換電流源を挿入することに相当する.モデル評価では,誘電体を含まない導体のみからなる簡単な系を対象とした.提案法では,ノーマルモード等価回路,コモンモード等価回路を別々に構築し,モード変換電圧源やモード変換電流源に両者を結び付けることで回路シミュレータを用いて解くことができる.解析対象を結合伝送線路と考えて回路シミュレーションで解いた場合とは非常によく一致した.さらに,フルウェーブ計算で得られたモード電流のスペクトルとも概ねよく一致した.フルウェーブ計算ではTEMモードが前提ではないため,TEMモードからのずれが計算結果に影響することを確認した.
著者
佐藤 健一 北山 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.94-103, 2002-02-01
被引用文献数
13

超大容量のWDM伝送技術の導入が進み,伝送容量の拡大が急速に進んでいる.また,光信号を電気信号に変換することなく光のままでルーチング(クロスコネクト)等の処理を行うフォトニックネットワークの研究開発が各国で進められている.本稿では,IPオーバオプティカルパス,フォトニックMPLS,更には光ブロック転送技術であるフォトニックバーストスイッチングやフォトニックパケットルーチング等の最先端のフォトニックバックボーンネットワーク技術を解説する.
著者
村上 準 下澤 楯夫 馬場 欣哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.96, no.113, pp.25-32, 1996-06-20
被引用文献数
6

Stochastic Resonance (SR)とは、通常は検出できない雑音に埋れた弱い周期信号を、非線形な素子を用いることで、むしろ雑音の助けを借りて検出する現象である。神経学の分野でもF.Moss等によって、ザリガニの水流感覚器に小さな周期信号とともに閾値に近い大きい雑音を人工的に加えて、SRの起こることが報告されている。実際の感覚神経が小さな周期信号を検出するとき、外部にこのように大きな雑音が共存するとは限らない。今回私達は、コオロギの気流感覚器では感覚神経細胞内部に雑音源を持ち、内部雑音のみで外部の周期信号とSRを起こして、検出感度を高めていることを、Hodgkin-Huxley方程式を用いたシミュレーションとともに示す。
著者
遠藤 守 安田 孝美 横井 茂樹 林 良嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.635, pp.37-42, 2002-01-31
参考文献数
8
被引用文献数
1

コンピュータ上に構築した3次元の仮想都市空間内に仮想人間を導入するための仕組みを提案し,都市空間を構成する物体を効果的に管理する手法を開発した.本稿では仮想人間の動作を付与する仕組みを提案し,インデックスに基づくデータベースを用いてすべての情報を管理する具体的な仕組みについて述べる.提案手法を実現するにあたりインターネットを通して操作可能なインターフェースからなるシステムを構築した.これによりコンテンツ作成者や利用者は容易に都市空間を構築・体験することが可能となる.また構築したシステムの応用として空間内のキャラクタを主人公としたドラマ化手法を開発し,コンテンツを製作したのでここに報告する.
著者
樋口 知之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.12, pp.989-994, 2005-12-01
被引用文献数
74

非線形・非ガウス型時系列データを記述する広範囲の時系列モデルが, 状態空間モデルの一般化版である一般状態空間モデルで表現できる.カオス時系列, 隠れマルコフモデルもこのモデルの特殊ケースに当たる.一般状態空間モデルにおける高次元の状態ベクトルの推定手法として10年ほど前に提案され, 実装の容易さから様々な応用分野へ急速に普及しつつあるのが粒子フィルタである.この計算手法は, どのような非線形・非ガウスモデルも取り扱うことができるという点で原理的に万能であるばかりか, アルゴリズムの著しい簡単さから具体的応用問題に即適用可能である.本稿では一般状態空間モデルと粒子フィルタの概説及び遺伝的アルゴリズムとの類似性の解説のみを行い, 各方面での多様な応用成果については割愛する.
著者
名部 正彦 馬場 健一 村田 正幸 宮原 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-1, 通信1-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.pp.428-437, 1997-06-25
参考文献数
12
被引用文献数
107

インターネット・インフラの高品質化を目指すためには, インターネット・トラヒックの特性を考慮した容量設計が重要であるにもかかわらず, 十分に明らかにされていなかったのが現状である. 本論文では, インターネット・アクセスネットワークにおけるWWWトラヒックの分析とモデル化を行い, アクセスネットワークの遅延特性について検討している. まず複数の組織のサーバの利用記録を分析し, モデルの作成に必要となるWWWのトラヒック特性を明らかにしている. 次いで分析結果に基づき, アクセスネットワークをM/G/1/PS (プロセッサシェアリング) システムでモデル化しネットワーク設計に必要な遅延時間特性について検討している.
著者
宗 哲 朝倉 安彦 橋本 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.510, pp.91-95, 2000-12-08
参考文献数
12
被引用文献数
5

我々はすでに, エポキシ樹脂に酸化チタン32phrおよび炭素粒子1phrを含有した損失材料を用い, 50〜110GHz帯において, ミリ波用電波吸収体を実現している.本研究では, この材料を用い, さらに5GHz帯において複素比誘電率を測定し, 電波吸収体を実現することを試みた.この結果, 5GHz帯においてもその複素比誘電率は, ほぼ無反射曲線上にあることを確認するとともに, その結果から設計・製作した電波吸収体は, 暑さ3.82mmにおいて, 最大吸収量40〜45dB程度, およびTE・TM両偏波に対し, 0°〜35°程度の入射角度範囲において, 20dB以上の吸収量を示すことが確認できた.
著者
庄境 誠 中村 哲 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.2636-2644, 1997-10-25
被引用文献数
14 3

本論文では, 乗法性ひずみの補正に有効とされているケプストラム平均正規化法(CMN)について考察する. 従来のCMNは単一のケプストラム平均(CM)により正規化を行うため, 実環境に存在する多くの乗法性ひずみ要因を補正するには十分ではない. この問題を解決するため, 話者ごとにかつ音声/非音声で別々に求めたCMを入力ケプストラムから減じる, 新しい方法E-CMNを提案する. この方法は, さまざまな乗法性ひずみを一括して補正し, 入力スペクトルを正規化することが可能である. 更に, 加法性雑音と乗法性ひずみのある実環境に対応するため, E-CMNとHMM合成法を組み合わせた, 新しいモデル適応化手法E-CMN/PMCを提案する. 本方法は, 加法性雑音モデルに対する音声モデルの周波数帯域ごとのゲイン, すなわち, 乗法性ひずみをE-CMNにより音声のCMとして一意に推定できるため, 音声モデルと雑音モデルを繰返し計算なしに加算できるという意味で簡便な方法である. 最後に, E-CMN/PMCの自動車環境内での性能を評価する.
著者
上村 香菜子 舩曵 信生 中西 透 ファラグ ターメル
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.261, pp.57-62, 2007-10-11
参考文献数
14
被引用文献数
5

本研究グループでは,無線による広域でのインターネットアクセスを実現する,スケーラブルな無線メッシュネットワークWIMNET(Wireless Internet-access Mesh NETwork)の研究を進めている.WIMNETは,互いに無線通信を行う複数のアクセスポイント(AP)で構成され,その1つ以上がインターネットアクセス用ゲートウェイ(GW-AP:GateWay Access Point)となる.各ホストは近傍のAPにアクセス後,AP間のマルチホップ通信によるGW-AP経由でインターネットに接続する.そのため,WIMNETでは,GW-AP付近の通信リンクでの伝送遅延,および,各APからGW-APまでの伝搬遅延の増大が性能低下の要因となっている.本論文では,その改善のために,最大通信遅延の最小化を目的としたAP間経路木生成問題の定式化とアルゴリズムの提案を行う.WIMNETシミュレータを用いたシミュレーションにより,その有効性を示す.
著者
山添 大丈 内海 章 米澤 朋子 安部 伸治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.998-1006, 2011-06-01
被引用文献数
5

従来の視線推定手法のもつ制約を緩和した単眼カメラによる視線推定手法を提案する.これまでに多くの視線推定手法が提案されているが,キャリブレーションが必要,計測範囲が狭いなどの問題があり,その応用範囲はHCIにおける視線計測や視線を用いたインタフェースなどに限られてきた.提案手法では,虹彩と白目のアピアランスをもった三次元眼球モデルを用い,バンドル調整法のように複数フレームにおける観測画像とモデル投影画像の間の投影誤差が最小とすることにより,眼球モデルパラメータを推定する.従来の視線推定手法とは異なり,ユーザが決まった参照点を注視するといった特殊なキャリブレーション動作が必要ない.そのためユーザに視線推定を意識させることなく,自動的にキャリブレーション処理が完了できる.視線推定においても同様に,投影誤差を最小化することにより,視線方向を推定する.実験により,解像度QVGA(320×240)の画像で,約6度の推定精度が得られることを確認した.
著者
生田 剛一 合澤 直喜 高松 冴有 猪又 憲治 鹿毛 裕史 鷲見 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.8, pp.31-35, 2010-04-15

広域侵入監視センサーとして漏洩同軸ケーブルを用いた侵入者検知アルゴリズムを検討した。このセンサーは監視エリアの周囲に設置した漏洩同軸ケーブルを用いて,ターゲットの移動に伴う変動電界を捉え侵入検知を行うものである。また,侵入者の有無のみならず侵入位置を測定することも可能である。しかし,電界変動により侵入者を検知するため、電界変動の強度変化のみでは、雨風などの現象によっても、侵入者と誤検知する類似パターンが出現する。このため、実用的な性能を得るためには、より詳細な特徴量を用い識別を行う必要がある。本研究では、人特有の電界変動パターン特徴に加え、誤検知の主要因である雨風により起こる電界変動パターンの特徴を捉えて識別を行うことにより高い検知率を達成することができた。本発表では、この識別アルゴリズムを紹介するとともに、実機によって得られた実際の計測結果データを用いて行ったアルゴリズム性能評価の結果を示す。
著者
キャンベル ニック プラック アラン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.96, no.39, pp.45-52, 1996-05-16
被引用文献数
65

本報告では、話者性や発話様式の特徴を失わずに任意の音声を合成するための方法として、予め録音された音声データベース中の音素単位の音声波形を、何らの信号処理も行なわずに接続し、連続音声として出力する方法について述べる。本方式は特徴抽出過程、最適重み決定過程、単位選択過程および波形読み出し過程からなり、言語および話者に依存しない。本方式では音声波形自身は生成せず、所望の合成音声の性質に最も近い音素単位の音声波形を、与えられた音声データベース中から取り出すためのインデックスを作成し、音声出力時にはインデックスに従って音声データベースに直接アクセスし、音声波形を取り出す。最適な音素波形の系列を得るために、前処理として、与えられた音声データについて音素記号と音響的および韻律的な特徴の一覧表を作ると共に、それぞれの特徴に対する最適の重み係数を求めておく必要がある。
著者
椋木 雅之 森田 裕士 馬場 雅志 浅田 尚紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.234, pp.43-48, 2006-09-05
参考文献数
13
被引用文献数
3

本研究では,シーン構成グラフを用いてドラマ映像の構造を表現する手法を提案する.シーン構成グラフでは,ショット,シーン,シークエンス,シチュエーションという概念を用いる.連続した映像区間をショット,意味的に一致するショットの集合をシーンと呼ぶ.同一シーン内におけるショットは同じ状況下で同じ対象群を撮影しており,この状況をシチュエーションと呼ぶ.さらに,ストーリー的に一致するシーンの集合をシークエンスと呼ぶ.このドラマ映像の構成を利用することで,映像を構造化することが可能と考え,これらの概念に基づく階層を画像特徴,音声特徴を利用することで抽出し,シーン構成グラフを作成することで,映像の構造を表現する.本稿では,シーン構成グラフを半自動生成する手法について述べるとともに,生成されたシーン構成グラフについて検討する.
著者
柴田 勝征
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.432, pp.55-59, 2008-01-17
被引用文献数
1

1980年代頃から、日本の青少年たちの間に、さまざまな異常な現象が報告されるようになった。先行研究事例を振り返ってみると、「分数ができない大学生」という形で学力低下問題が問題とされ、次に「オレ様化する子供たち」と言われる、目の前の事実を認めない中・高生の大量出現、ニート・引きこもり・パラサイト・「自分探し」などの深刻化、そして最近では「希望格差社会」「下流志向」など、「格差社会」との関連が強く意識されるようになってきた。発表者(柴田)は、福岡大学理学部での10年間の数学教育体験から、これらの現象に通底している根本原因が、「因果律が認知機能から欠損している」ことだという結論を得た。先行研究で報告された事例の本当の原因を再解釈し、社会的な理解と解決策を提案する。
著者
片瀬 和子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFS, オフィスシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.70, pp.13-19, 1999-05-21

昨今、絵画、写真、書籍等のコンテンツのデジタル化が本格展開されつつある。コンテンツのデジタル化の動向、デジタルコンテンツの利用をサポートする新たなビジネスの台頭について論じるとともに、デジタルコンテンツの利用拡大に向けた課題を検討する。
著者
松野 勝弘 李 七雨 辻 三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.1591-1600, 1994-08-25
被引用文献数
66

本論文では,物理モデルであるポテンシャルネットとKL展開を組み合わせた顔表情認識の手法について述べる.ポテンシャルネットは,ノードが2次元グリッド状に相互にばねで連結された構造をもつ.画像からの力によって各ノードが顔器官の特徴に移動するためネットは変形し,変形したネットの形状には顔の特徴が反映されている.ポテンシャルネットにより求めた高次元の特徴ベクトル空間から,認識に有効なより低次元の特徴ベクトル空間を構成するために,照合パターンの特徴ベクトルの集合をKL展開して正規直交基底を求める.次に,求めた正規直交基底で表現される低次元のカテゴリー空間を構成し,この空間で入力パターンと照合パターンの距離を求め,最小距離判別法により認識を行う.本手法を未知の人物に対する識別能力,照明条件変動に対する耐久性,位置ずれに対する安定性の観点から評価し,その有効性を示した.
著者
小山 聡 馬場 雪乃 大向 一輝 堂腰 裕明 鹿島 久嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SC, サービスコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.182, pp.1-6, 2014-08-13

多くの国々においてオープンデータめ取組みが進んでおり,様々な統計データが行政等によって公開されている.しかしこれらのデータは画像やPDFの形式で与えられるものが少なくなく,分析やサービスの開発などでの再利用を妨げている.そこで,クラウドソーシングを用いて,画像として与えられたレガシーな統計データを機械可読な表形式に変換する枠組みを提案する.その際,作業者に表だけを作成させるのではなく,画像をスプレッドシート上でグラフとして視覚的に再現させるタスク設計を行った.このタスク設計により,データの誤りに気付き易くなる効果に加えて,再現されたグラフオブジェクトのプロパティとして項目名や系列といったデータの構造を容易に取り出し,作業結果の統合や品質管理に利用することが可能となる.国土交通省が公開している観光白書を対象に評価実験を行い,提案手法の有効性を検証した.
著者
山本 眞司 田中 一平 千田 昌弘 舘野 之男 飯沼 武 松本 徹 松本 満臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.250-260, 1993-02-25
被引用文献数
59

肺癌早期発見のための専用CTを開発することを提唱し,その基本構想を明らかにした.次いで,このシステムに必須の診断支援用画像表示方式として,下記2方式を並列に用いることを検討し,良好な結果を得た.(1)40スライスからなる3次元情報を,病巣陰影の情報を損なうことなく2次元に投影表示する手段として,MIP(Maximum Intensity Projection)法を応用した.但し単なるMIP法では妨害臓器情報による弊害が大きいため,あらかじめこれらの不要情報をしきい値法にて除去する方式を開発した.(2)各スライス断面ごとに病巣陰影候補を自動認識し,陰影候補の見つかったCT断面のみをCRT表示することにより,表示断面を大幅に削減する方式を開発した.病巣陰影の自動認識には,我々が新たに開発したQuoit(輪投げ)フィルタを用いた.
著者
黒住 隆行 柏野 邦夫 村瀬 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1817-1825, 2001-08-01
参考文献数
18
被引用文献数
10

既知の音や映像(目的信号)が長時間の音や映像(蓄積信号)のどの時点にあるか探索する問題(時系列探索)において,高速かつ高精度に探索する手法を提案する.時系列探索における問題点は,音や映像の特徴にビデオのダビングや各種圧縮方式などによるひずみが発生することである.そのようなひずみが激しく起こると,探索精度が低下する.本論文では,そのようなひずみを吸収するための手法として,確率ディザボーティングを提案する.これは,ひずみの確率分布を学習により求め,その確率分布をヒストグラム上に表現するものである.ビデオのダビングや圧縮が起こった映像を探索する実験では,いずれのひずみにおいても探索精度の改善が見られた.例えば,ダビングを4回行った1時間の蓄積信号から5秒の目的信号を探索する場合では,従来法より探索精度が4.5%改善し,本手法の有効性が確認された.本手法により,様々なひずみに対して頑健なマルチメディア探索が可能になると考えられる.
著者
山口 俊光 渡辺 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.408, pp.121-124, 2006-11-29
被引用文献数
1

In this paper, we propose a new method of assisting Kana-Kanji conversion for people with visual impairment. There are many homophone words in Japanese, shosai yomi is one of effective methods of assisting. However, it is difficult to decide with shosai yomi when semantic of word and semantic of kanji character are different. Our method, "Jisho setsume yomi", provides the sematic information of the word and usage. We developed program for evaluation and distributed it to people with visual impairment. We obtained generally positive respose from the evaluators.