著者
柴田 寛 行場 次朗
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.39-39, 2007

本研究では二者間で行われる協同動作の適切さを評定しているときの事象関連電位を調べた。二枚一組の写真が刺激として使用され、一枚目の写真では一方の人間が物体を手渡し、二枚目の写真ではもう一方がその物体を受け取った。実験参加者は、写真の組み合わせが適切か不適切かの判断を受け取り動作に対して行った。二つの時間枠において不適切な動作の観察が適切な動作の観察よりも大きな陰性電位を生じさせた。第一の陰性電位(300-500 ms)は頭頂付近で最大であったが、第二の陰性電位(700-900 ms)は前頭付近で最大であった。N400は意味的プライミング、N700は心的イメージを反映して引き起こされる傾向が知られている。そのため、第一の陰性電位は手渡し動作の観察が適切な受け取り動作をプライミングさせた処理を反映したのかもしれない。第二の陰性電位は不適切な受け取り動作を心的に修正させた処理を反映したのかもしれない。
著者
久保田 貴之 平野 由紀子 漁田 俊子 漁田 武雄
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

本研究は,対連合学習における項目対とビデオ文脈の意味的関連性が記憶成績に与える影響の方向性を調べた。先行研究では,項目対とビデオ文脈の関連性が記憶成績に与える影響の方向性が明らかにされていなかった。そこで,本研究は,項目対とビデオの関連がある条件(関連あり条件),項目対とビデオの関連がない条件(関連なし条件)に,グレー背景を用いる統制条件(グレー文脈条件)を加えた。実験の結果,関連あり条件およびグレー文脈条件の平均再生率が,関連なし条件に比べて有意に高かった。また,関連あり条件とグレー条件の平均再生率に有意な差は見られなかった。これらの結果は,(a)項目対とビデオ文脈間の関連性によって記憶成績が引き上げられること,(b)1回提示では,引き上げられた成績が,統制条件を上回らないことを示唆している。
著者
安藤 花恵 三浦 佳世
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.130, 2007

本研究では、質問紙調査により、演劇経験1年目、2年目、3・4年目、5年以上の俳優がどのような態度で演劇に取り組んでいるのかを検討した。目指す俳優像、脚本を読む際の態度、演技プランを立てる際の態度、演技中の態度について、それぞれ16~18の項目の評定をおこなった。その結果、経験1年目、2年目の俳優は、演技中になりきろうとしたり、役になりきることができる俳優を目指すなど、「なりきる」ということへの志向が強いことが明らかになった。経験2~4年目の俳優には、自分のセリフに線を引いたり、脚本を読む際にまず自分のセリフを探したり、自分の出るシーンを重点的に読むなど、自己中心的な傾向が見られた。経験が5年以上になると、そのようななりきることへの志向や自己中心的な傾向は消え、存在感のある俳優や華のある俳優を目指すなど、感性的に優れた俳優を目指すようになることが示された。
著者
布井 雅人 吉川 左紀子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.30, 2013

我々の選好判断は,対象と共に呈示される他者の影響を受けている。中でも,他者の視線方向や表情は,視線が向けられた対象の評価を表すシグナルとして,観察者自身の選好判断に用いられている (Bayliss et al., 2007)。このような他者の影響は,複数の研究で検討されているが,それらでは,1人の他者からの影響のみに焦点が当てられてきた。そこで本研究では,他者が複数存在する場面において,その人数が選好判断に及ぼす影響について検討した。実験では,画面上に4人の顔写真を呈示し,その中でターゲットに視線を向ける人数 (0, 1, 2, 4人) とその表情 (喜び・嫌悪)を操作した。その結果,4人全員または1人が喜び表情で視線を向けたターゲットの好意度が上昇し,4人全員また1人が嫌悪表情で視線を向けたターゲットの好意度が低下した。これらの結果は,複数の他者が存在する場面においては,視線・表情に加え,他者の人数が選好判断に影響することを示すものである。
著者
上田 卓司 高橋 優
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.128, 2017 (Released:2017-10-16)

現代社会においては,種々のコンピュータ・ネットワークサービスを利用するためのIDやパスワードが多く必要とされ,またそれらの適切な管理運用も求められている.管理運用についての規範は多いが,それらは人間の記憶をはじめとした認知特性とはかけ離れている.本研究ではパスワード様のランダム文字列を複数生成・記憶する課題を通じ,パスワードの生成運用方略を検討することを目的とした.実験において参加者は,実験結果開示用のものを含む架空のサイト/サービス用パスワードを8つ生成し,それらランダム文字列の性質について評定することが求められた.開始前の段階では記憶課題が含まれることは参加者に告げられていなかった.実験の結果,半数以上の参加者において使い回し等,適切とされるパスワード管理運用規範からの解離が認められた.これらの結果について認知特性及び情報セキュリティの観点から論じられた.
著者
森田 尚人 福田 由紀
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.149, 2009

鉄道利用環境の迷惑行為の低減に向けて、事業者は様々な対策を実施している。しかし、その対策は迷惑行為と遭遇しない場合でも実施されており、この影響について検討する研究は少ない。そこで本研究では、まず予備的な検討として、各迷惑事例を詳細な特性から把握する。通学に鉄道を利用する大学生39名に対し、別の調査で収集した迷惑行為27事例について「迷惑評価」に加え、「わざとやっている(故意性)」、「我慢できる」、「利用環境が悪くなる」といった側面からクラスター分析による分類を行った。その結果、3分類の採用が妥当と考え、それぞれ、乗車時マナー違反、自己中心的マナー違反、社会規範的マナー違反と命名した。この分類について、「鉄道係員への抑止要望」の評価から1要因の分散分析により比較したところ、主効果が有意であった(F(2,76)=235.3 p<.00)。多重比較の結果、社会規範的マナー違反(M=4.31,SD=1.07)は乗車時マナー違反(M=3.06,SD=1.02)よりも有意に高く、 自己中心的マナー違反(M=5.62,SD=0.81)は他の群よりも有意に高かった。すべての群間に有意な差がみられた。本研究で示された結果をもとに、今後の鉄道利用環境における具体的なマナー向上対策について検討していきたい。
著者
宮澤 史穂 井出野 尚 小嶋 祥三
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.103, 2008 (Released:2008-11-10)

絶対音感とは外的な基準なしにその音の高さを同定することができる能力である。絶対音感保持者と非保持者の違いが見られる現象の1として、音高の記憶方略の違いが挙げられる。音高を記憶する際に、非保持者は物理的な音の高さで保持するのに対し、絶対音感保持者は音名で保持する傾向があるということが知られている(Zattore,2001)。行動的な研究以外にも、PETやfMRIを用いた研究では、絶対音感保持者は左半球に特有な脳活動が見られることが示唆されているが、その数は多くなく、統一された見解は得られていない。また、近赤外線分光法(NIRS)は、非侵襲的なニューロイメージングの手法であり、騒音もないことから、聴覚実験に適していると考えられる。そこで、本研究では課題の難易度(音高の保持を必要とするかどうか)を操作し、2種類の音の弁別課題を行った。また、課題遂行中の脳活動をNIRSによって計測し、絶対音感保持者と非保持者の違いを検討した
著者
皆川 直凡
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第5回大会
巻号頁・発行日
pp.200, 2007 (Released:2007-10-01)

日本固有の短詩型である俳句は,五七五の定型を原則とする。俳句を実験室において記憶し,それを検索しようとする場合,上五,中七,下五の順に検索すると考えられる。また,上五のあとに切れがある俳句と中七のあとに切れがある俳句とでは,検索のされ方が異なると考えられる。本研究では,プライミング・パラダイムを用いて,この仮説を検証した。実験参加者(大学院生)に俳句を解説文と共に提示し,理解させた後,プライミング・パラダイムによる実験を行った。各試行では,俳句の上五,中七,下五のうち二つを継時提示し,同じ俳句のものか否かを判断させた。その結果,上五のあとに切れのある俳句を用いた条件では,中七と下五のペアに対する反応が上五と他の句のペアよりも速く,中七のあとに切れのある俳句を用いた条件では,上五と中七のペアに対する反応が下五と他の句のペアよりも速いという,差異が認められた。
著者
守谷 順 丹野 義彦
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.95, 2008 (Released:2008-11-10)

高不安者は注意の処理資源が多いというEysenckらのAttentional Control Theoryについて、大学生の高・低社会不安者を対象に知覚的負荷課題を用いて検証した。知覚的負荷が高まれば、注意資源容量が限界となり課題無関連刺激が処理されないと考えられ、低社会不安者は高負荷条件では課題無関連刺激を処理しなかったが、高社会不安者は高負荷条件でも処理した。この結果からでは、高社会不安者の注意制御困難性、または顕著性への敏感さにより、課題無関連刺激へ注意を向けていた可能性が考えられる。そこで、前者に対し注意の捕捉を利用してターゲットへと注意を向けさせ、後者に対しては課題無関連刺激をマスキングし顕著性を低下させた。その結果、どちらの実験でも低社会不安者が課題無関連刺激を処理しない知覚的負荷条件において、高社会不安者は処理していることが明らかとなった。以上より、本実験の結果は高社会不安者の注意資源容量の多さを反映していると考えられる。
著者
杉本 匡史 楠見 孝
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.55-64, 2011-08-31 (Released:2011-09-07)
参考文献数
17

ヒトは空間について書かれた文章を読んで空間表象を構築することができる.そしてそれを用いて方向判断や経路選択などの空間関係を推論することができる.その際に,サーベイパースペクティブとルートパースペクティブという二つのパースペクティブが用いられる(AはBの北にある.Bを左に曲がるとAが見える).40名の大学生がどちらかのパースペクティブで書かれた空間記述を読んで,そのあとに各パースペクティブでの推論問題に回答した.二つの実験で参加者の心的回転スキル,パースペクティブ判断スキル,実空間での探索行動における有能感が測定された.結果として,学習時とテスト時のパースペクティブによって推論問題の回答時間が異なった.また心的回転スキルとサーベイパースペクティブでの推論問題の成績との間に有意な相関がみられた.パースペクティブ判断課題とルートパースペクティブでの推論問題の成績との間にも正の相関がみられたものの,有意にはならなかった.実験の結果,サーベイパースペクティブは空間視覚化能力に支えられているといえる.
著者
長 大介
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-10, 2018

<p>テスト効果とは学習項目をテストすることが学習項目を繰り返し学習することよりも長期的な保持をもたらす現象である.この現象は学習時の処理文脈を再現しながら初期テストに取り組むことによって生じると考えられている.本研究では学習項目と妨害項目の音韻的,形態的類似性を操作することによって,初期テストにおいて学習時の処理文脈を再現することがテスト効果に及ぼす影響を検討した.はじめに実験参加者は学習項目を学習し,続いて学習項目の再学習もしくは初期テストに取り組んだ.最後に直後,もしくは1週間後に最終テストを行った.その結果,妨害項目と類似した学習項目にテスト効果が生じた.さらに処理文脈の再現の指標として測定した妨害項目の記憶成績にも学習項目と同様に類似性の影響が認められた.これらの結果はエピソード文脈説を支持するものであり,初期テストにおいて学習時の処理文脈を再現することがテスト効果の生起にとって重要な役割を果たしていることを示唆している.</p>
著者
水野 りか 松井 孝雄
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.33-40, 2010-08-30 (Released:2010-12-08)
参考文献数
23
被引用文献数
1

先行研究で,2刺激を比較的短いISIやSOAで呈示する実験では,ブロック内配置を用いるとISIやSOAが短いほど刺激呈示の時間的不測性が高いという偏りが生じること,それが種々の反応測度に影響することが示された.本研究は,活性化拡散理論と矛盾した結果が得られたプライミング実験の結果もこの影響のために生じたものであったことを検証することを目的とした.SOAを実験1ではブロック内配置,実験2ではブロック間配置し,各々の実験で時間的不測性を反映する単純反応時間を測定した後,語彙判断時間を測定した.その結果,ブロック内配置ではSOAが短いほど単純反応時間が長く時間的不測性が高いことが示されるとともにプライミング効果のSOAに伴う変化が活性化拡散理論と矛盾していたが,ブロック間配置では単純反応時間がSOA間で等しく時間的不測性に偏りがないことが示されるとともにプライミング効果の変化が活性化拡散理論に一致していた.最後に,時間的不測性を考慮する必要性が論じられた.
著者
寺澤 孝文 岩本 真弓
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.4, 2008 (Released:2008-11-10)

単発的なテストのみで学力を推定する従来のテスト技術と異なり、学習内容の一つ一つに関して何度もなされる学習イベントの生起タイミング、学習とテストのインターバルなど、膨大なイベントの生起を学習内容ごとに詳細に規定できるスケジューリング技術(マイクロステップ技術)が確立され、それを用い、成績の時系列変化を個人差が明確に描き出させる精度で測定できるようになった(寺澤・太田・吉田,2007)。さらに、個人の成績変化を、個別にフィードバックすることも可能になった。この技術を導入したe-learningシステムを利用し、完全に自宅にひきこもった子どもの学習支援を半年以上にわたり実施した結果、極端に学習意欲が低かった子どもが、驚異的なペースで自ら進んで学習を行うように変容した。自分の学習の成果を客観的なデータとしてフィードバックする学習支援が、学習意欲を確実に向上させることが明らかになった。
著者
菊地 史倫 佐藤 拓 阿部 恒之 仁平 義明
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.103, 2007

本研究では自分が引き起こした不都合な状態を処理するために出来事の起こりやすさ(生起確率)を操作してウソをつくときの2つのウソの目的(信じられること、赦されること)の関係性について検討した。183人の大学生は知人が約束の時間に遅れ、遅刻理由を話すというシナリオを読んだ。参加者は遅刻理由を本当だと思うか、待たされたことをその遅刻理由で赦せるかなどを判断した。その結果、A.出来事の生起確率を高く操作したウソは、信じられやすいがそのウソが信じられた後で赦されにくい。B.出来事の生起確率を低く操作したウソは、信じられにくいがそのウソが信じられた後で赦されやすいとウソをつかれる人が考えていた。これらの結果から出来事の生起確率を操作してウソをつくときには、2つのウソの目的が両立しないことが示唆された。また感情とウソの目的の関係性を検討したところ、感情によって行動の調整が行われている可能性が示唆された。
著者
野畑 友恵 越智 啓太
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.23-32, 2005-08-31 (Released:2010-10-13)
参考文献数
31
被引用文献数
3 2

本研究は,記憶における感情の質と覚醒度の影響について検討することを目的として行われた.実験1では,被験者は,写真スライドを見て,それぞれのスライドについて感情の質,覚醒度,そしてスライドの説明しやすさについて評定した.スライドは,感情の質と覚醒度の感情次元において幅広いものが使用された.スライド提示直後と1カ月後に,被験者には偶発記憶テストが与えられ,覚えているスライドについて報告させた.その結果,直後,遅延のどちらの記憶テストにおいても,快感情を生じさせるスライドでは,低覚醒スライドが高覚醒スライドよりも多く再生され,不快感情を生じさせるスライドでは,高覚醒スライドが低覚醒スライドよりも多く再生されることが示された.実験2では,刺激や手続きを改善し,再度この現象について検討した.その結果,実験1と同様な結果が得られた.よって,記憶における覚醒度の効果は,感情の質によって異なることが考えられた.
著者
山口 由衣 王 晋民 椎名 健
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.45-54, 2004
被引用文献数
1 1

本研究では,図形の心理物理的特徴と意味的特徴の対応関係を検討した.まず,4つの心理物理的特徴(曲線性,複雑性,規則性,開閉性)を組み合わせて,32個の図形を作成した.次に図形の印象をSD法により評価し,因子分析を適用して図形の意味的特徴を抽出した.心理物理的特徴と意味的特徴との間には密接な関係が認められた.曲線性と柔和性,規則性と安定性,および複雑性と活動性.意味的特徴に対する心理物理的特徴の関連の強度は「曲線性>複雑性>規則性・開閉性」と考えることができる.また,心理物理的特徴が同条件の図形どうしは印象が類似しやすく,特に複雑,不規則な図形において印象の共通性が強く現れた.本研究の結果は,異なる図形セットで大山・宮埜(1999)の見いだした形態の心理的属性(曲線性,規則性,複雑性)を支持した.
著者
唐牛 祐輔 楠見 孝
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.115, 2007

本研究は,潜在的ジェンダーステレオタイプが対人印象判断に及ぼす影響を検討した.実験参加者(男女各32名)は,呈示される刺激(依存関連プライム/ニュートラルプライム)の位置同定課題を行った後,無関連な課題として架空のターゲット人物(女性/男性)の印象評定を行った.あわせてImplicit Association Testを実施し,"女性-依存"というジェンダーステレオタイプ的知識連合の強度を測定した.その結果,男女とも"女性-依存"という潜在的ジェンダーステレオタイプを持っていることが確認され,それに一致する形で,依存関連プライムに接触すると,ターゲット人物が女性の場合に,依存性をより高く評定するという傾向が見られた.さらに,"女性-依存"というジェンダーステレオタイプ的知識連合強度が強いほど,依存関連プライム接触時に女性ターゲット人物の依存性をより高く評定するという正の相関関係が見られた.