著者
清水 寛之 金城 光
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.13-21, 2015

本研究の目的は,日常記憶質問紙(the Everyday Memory Questionnaire, EMQ)を用いて,成人期における日常記憶の自己評価に関する発達的変化を明らかにすることである.299名の一般成人(1925歳の若齢者99名,3855歳の中年者97名,6375歳の高齢者103名)が本調査に参加し,日常生活における記憶活動の忘却や記憶失敗に関する28項目についての発生頻度を"最近6カ月で1回もない"から"日に1回以上"までの9件法で評定した.先行研究(清水・高橋・齊藤,2006, 2007など)によるEMQの因子構造に基づいて全項目を五つの下位項目群に分類したうえで項目群ごとに各年齢群の評定値を比較したところ,その発達的変化は(a)若齢者=中年者=高齢者,(b)若齢者>中年者>高齢者,(c)若齢者=中年者>高齢者,(d)若齢者>中年者=高齢者,(e)若齢者>高齢者,の五つのパターンに分かれた.日常記憶の自己評価は成人期に自己の記憶能力に対して悲観的な見方から楽観的な見方へと段階的に移行していくことが示唆された.
著者
日隈 美代子 漁田 武雄
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-11, 2015
被引用文献数
1

三つの実験によって,主観的新旧反応率によるキャリブレーション曲線と,名義的新旧反応率によるキャリブレーション曲線と比較することにより,意味情報と感覚情報が再認の正確さと確信度評定の関係に与える影響を調べた.これらの実験において,学生(<i>n</i>=273)は単語の意図学習を行い,その後,再認テストと自身の再認判断に対する確信度を評定した.意味情報のキャリブレーション曲線に対する影響を調べるため,新旧の項目の紛らわしさを変化させた.実験1(視覚)と2(聴覚)は,学習と再認の提示を,同一の感覚モダリティで行った.実験3は,聴覚提示による学習と,視覚提示による再認テストを行った.名義的反応率の分析は,先行研究の結果と同様に,意味的な紛らわしさが影響し,新項目は傾きが小さい,もしくは右下がりのキャリブレーション曲線を示した.対照的に,意味情報か感覚情報のどちらかが再認判断に使用可能であれば,主観的反応率の分析では正のキャリブレーション曲線になった.本研究の結果は,再認判断での主観的反応率での分析の重要性を示している.
著者
藤澤 隆史 高見 和彰 Norman D. COOK
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.25-34, 2004-05-31 (Released:2010-10-28)
参考文献数
32

感情的発話のピッチ曲線に見られる“音楽性”,特に和音性の定量的評価のために,2つの新たな手法を開発した.1つ目はピッチ曲線の中で用いられた主要なピッチを抽出するための手法で,ピッチ曲線を時系列にかかわらずピッチ軸上へと射影し,1次元の散布データに変換する.その後,正規分布の合成モデル(cluster)を用いて,評価にかかわる主要なピッチ群を特定した.2つ目は得られた主要ピッチ群から,和音性を定量化するための手法で,音楽知覚の2つの定量化モデル(不協和度,緊張度とモダリティ)を用いて,発話のピッチに含まれる和音性の定量化を行った.次にこれら2つの手法の評価を行うために感情的発話に関する実験を行った.まず感情的な発話を収集し,次に得られた発話データのピッチ成分のみの情報で新たな被験者に評価させた.上記の手法で,全ての発話文について各指標を算出し,感情状態の評定値との関連性を検討した結果,ポジティブな感情状態であると評価された発話群は,ネガティブな発話群に比較して,長調的な成分が含まれること,またネガティブな発話群には,短調的な成分,不協和的な成分が相対的に多く含まれていることが明らかになった.
著者
望月 登志子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第9回大会
巻号頁・発行日
pp.99, 2011 (Released:2011-10-02)

「かわいい」という印象を与える平面図形の知覚特性を,現代の20歳前半の女性対象にして,その大きさと色彩の側面から検討した.実験の結果,大きさについては実用性に適したサイズより約30%小さいものが,色彩についてはピンクが最も高い評価を得る.
著者
望月 登志子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.126-126, 2010

Ebbinghausの円対比錯視現象(一般に,中央の円:主円の大きさは,外側にそれより小さい円群:条件円が配置されると過大視され,条件円が大きいときには過小視が生じる)を通じて,視覚による大きさ判断に及ぼす触覚情報の影響を調べた.つまり,主円の大きさ判断に生じる錯視量は,見ながら同時に触る円の大きさによって,一定の偏向性を示すか否かが検討された.実験の結果,条件円の大きさ変化に伴い,主円の大きさ錯視現象は過大視から過小視へと移行し,その点では視覚のみによるときと変わらない.しかし,触覚情報が付加されると,錯視量は量的に補正されることが示された.
著者
望月 登志子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.99-99, 2011

「かわいい」という印象を与える平面図形の知覚特性を,現代の20歳前半の女性対象にして,その大きさと色彩の側面から検討した.実験の結果,大きさについては実用性に適したサイズより約30%小さいものが,色彩についてはピンクが最も高い評価を得る.
著者
山下 雅子 前田 樹海 北島 泰子 辻 由紀
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.35, 2014 (Released:2014-10-05)

入院患者の死期予見経験を持つ看護職の存在については、逸話として耳にすることはあってもその実証的研究はほぼ皆無である。本調査では、それが実体のない風聞なのかそれともそのような予見経験を自覚する看護職は実在するのかを実証的に調べることにより、一般にはあまり知られていない、看護職内での直感的推論の例を示すデータを提示することを目的とした。結果として調査対象者(277名)の約3割が、生命徴候変化の無い死期予見経験がある、またはそのようなことができる看護職を知っていると報告していることから、患者の死期予見は全くの風聞ではなく、少なくともその経験を自称する看護職は稀な存在ではないと考えられた。
著者
伊藤 友一 池田 賢司 小林 正法 服部 陽介 川口 潤
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.31, 2014 (Released:2014-10-05)

日常の学習場面では,学習直後の小テストや数カ月後な期末テストなど,時間的 距離の異なる目標が設定され得る。時間的距離の認識の違いは認知処理様式に影響することが示されているが,記憶への影響については検討されていない。そこで,本研究では時間的距離と記憶の関係について検討するために2つの実験を行った。 まず,参加者はテスト時期を1分後 (直後群),または3カ月後 (学期末群) と教示された。その後,実験1の参加者のみ,テストに向けた学習場面をイメージした。続いて,9リスト分の単語を学習した。最後に,両群に対してremember/know判断を伴う再認テストを行った。結果として,直後群に比べ,学期末群で虚再認・ 正再認時のremember反応率が統計的に有意に高いことが示された。これは,時間的距離の遠いテストを想定した場合に,より意味的関連性に基づく符号化処理が行われていたことを示唆している。
著者
野村 理朗 近藤 洋史 柏野 牧夫
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.40-40, 2007

衝動性の特徴は、即時的な報酬をもとめ中長期的なリスクを犯してしまうことと、行動の制御が不十分であることの二つに大別される。本研究では、後者のメカニズムに焦点をあて、Go/Nogo課題において衝動性の指標となる反応遂行エラー(commission error)、課題遂行時の脳活動、さらにはセロトニン2A受容体遺伝子多型性を指標とし、行動の制御プロセスにかかわる機能的連関について検証した。実験の結果、同遺伝子多型のサブタイプであるAA接合型をもつ被験者の誤答数が他タイプのものと比較して多いこと、さらにはfMRIにより、同タイプにおける前頭前野腹外側部の過活性化が確認された。その一方で、脳内報酬系の回路に存在する視床下部、線条体などの諸領域におけるタイプ間の差異は見出されず、以上のことから衝動的行動は、報酬への感受性、すなわち脳内報酬系の機能不全に起因するものではなく、抑制系統の問題によって生じうるという可能性が示唆された。
著者
大藤 弘典
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.129, 2014 (Released:2014-10-05)

本研究では空間ワーキングメモリ能力と認知距離の歪みの関係について調べた。実験では、コルシーブロックテストを用いて実験参加者の空間ワーキングメモリ能力が測定された。次いで、彼らは記憶した地図を頼りに、対になった地点間の距離を推定した。2地点の間の通過点数は、0から2であった。推定距離は、空間ワーキングメモリ能力に関係なく、通過点数に応じて増加した。本結果は、先行研究において、視覚ワーキングメモリ能力が高い実験参加者の推定距離では通過点の効果が示されず、視覚ワーキングメモリの能力が低い実験参加者の推定距離では効果が示されたこととは対象的であった。これらの結果は、視覚ワーキングメモリは空間ワーキングメモリと比較して、視覚的に憶えた距離の認知により強く関わるという観点から考察された。
著者
田中 未央 厳島 行雄 高島 翠
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.177-177, 2007

過去の出来事を想起する際に嘘をつくと,オリジナルの出来事に関する記憶が抑制されることが示されている(Christianson & Bylin, 1999)。先行研究では,語り手は嘘をつく際に2つの方略を併用していることが示されており,田中(2005)では,語り手が使用する嘘の方略を統制した実験を行い,嘘をつく際に「知らないふり」をすることによってオリジナル記憶のリハーサルが妨害されると,後の記憶が抑制される可能性を示した。目撃証言に関する先行研究では,想起の対象によって記憶の正確さが異なることを示している(Yuille & Cutshal, 1986)ことから,嘘の対象が異なる場合にも後の記憶の正確さに違いがみられると考えられる。よって,本研究では嘘の対象を統制した実験を行い,嘘の対象が異なる場合の記憶を比較する。
著者
島田 英昭
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.103-112, 2005
被引用文献数
2 1

本研究の目的は,複数桁数の大小判断過程を検討することであった.被験者は,2桁同士,3桁同士,4桁同士の数の大小を判断することを求められた.実験1と2では,上位から2,3,4桁目の適合性を操作した.最上位桁のみで判断が可能な数の組に対して分析した結果,有意な適合性効果は2桁目のみにみられ,3,4桁目にはみられなかった.実験3では,最上位桁が等しいダミー試行を除き,さらに最上位桁のみで判断が可能であることを被験者に教示した.その結果,2桁目の適合性効果量が減少した.以上の結果から,最上位桁が異なる桁の大きさが同じ複数桁数の大小判断では2桁目までが並列処理され,2桁目の処理には2桁目が判断に必要であるかどうかについてあらかじめ認知することが重要な役割を果たすことが示された.
著者
松川 順子 荒田 瑶子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第5回大会
巻号頁・発行日
pp.169, 2007 (Released:2007-10-01)

本研究では,彩色された対象物線画を用いて色の適切さが対象物の再認に及ぼす効果を検討した。実験1では,彩色線画の色の適切さ判断を求め,彩色線画の色の適切さとその色の変化が対象物(線画)再認に及ぼす効果を検討した。実験2では,彩色線画の符号化時間による対象物(単語)再認への効果を検討した。その結果,1.適切な色の判断時間が短い,2.学習からテストにかけて色が変化すると,正再認率が低下したり反応時間が長くなる,3.テスト刺激が不適切な色をしていると正再認率が低下したり反応時間が長くなる,4.不適切な色線画での符号化時間が短いと対象物再認成績が低下するという結果が見いだされた。これらの結果は,対象物の同定や符号化に色の適切さが促進効果を持ち,再認段階においても同様の同定過程が再認の反応時間に影響を与えている可能性を示唆している。
著者
大薗 博記 吉川 左紀子 渡部 幹
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.157-166, 2006-03-31 (Released:2010-10-13)
参考文献数
29

進化論的枠組みで顔の再認記憶について検討したこれまでの研究は,人は協力者として呈示された顔より非協力者として呈示された顔をより再認しやすいことを明らかにした(Mealey,Daood,& Krage,1996; Oda,1997).しかし,顔を憶えているだけではなく,その人物の協力性までも記憶されているかは明らかにされてこなかった.本研究では,まず60人の実験参加者に,未知顔の写真を1回限りの囚人のジレンマ・ゲームにおける (偽の) 選択 (協力/非協力) とともに呈示した.そして1週間後,元の写真に新奇写真を混ぜてランダムに呈示し,その顔を1週間前に見たか否かと,その人物と取引したいか否かを尋ねた.その結果,顔の再認課題では,先行研究とは一貫せず,協力者と非協力者の写真は同じ程度に再認された.一方,協力者に対して非協力者に対してよりも,より「取引したい」と答える傾向があった.興味深いことに,この傾向は憶えられていた顔に対してだけでなく,憶えられていなかった顔に対しても見られた.この結果は,潜在的記憶が協力者と非協力者を見分けるのに寄与していることを示唆している.
著者
中村 航洋 川畑 秀明
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.45, 2014 (Released:2014-10-05)

近年の神経美学的研究は,絵画の美的印象評価には眼窩前頭皮質内側部の脳機能が密接に関連していること明らかにしてきた。本研究では,経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いて,眼窩前頭皮質の神経活動を一時的に変容させることによって,抽象絵画の美的印象評価における脳の因果的役割について検討した。眼窩前頭皮質に陰極刺激を行い,一時的に脳神経活動を抑制すると(陰極刺激群),絵画に対する美しさの印象は低減する一方で,絵画の醜さの印象は変化しないことが明らかになった。さらに,電気刺激を行わない統制群においては,絵画の美しさは醜さよりも早く判定されるという美的判断の優位性が認められたが,陰極刺激群においては,脳電気刺激後にこの優位性が認められなくなった。本研究の結果から,眼窩前頭皮質の脳神経活動が美的印象評価の神経生理学的基盤であり,自動的な美の認識を可能にしていることが示唆される。
著者
小幡 哲史 中村 敏枝 河瀬 諭 片平 建史 安田 晶子 谷口 智子 正田 悠
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第5回大会
巻号頁・発行日
pp.27, 2007 (Released:2007-10-01)

演奏者は複数人で演奏を行う際,演奏音やそれ以外の感性情報を用いて,演奏を合わせていると考えられる。本研究では特に演奏者が使用する呼吸情報に注目した。演奏者はお互いのタイミングを合わせることや,楽曲の構造上,演奏者が息継ぎをするためなどに,呼吸情報を使用していると考えられるが,このような点について定量的に分析した研究例は数少ない。そこで本研究では2人のバイオリン奏者による演奏実験を,対面条件と非対面条件で実施し,演奏音と演奏者の呼吸情報の使用について定量的に分析した。その結果,対面条件においてのみ2人の演奏者が呼吸情報を使用する箇所や,対面,非対面に関わらず2人の演奏者が呼吸情報を使用する箇所が見られた。このことから,演奏者は演奏を行う際に呼吸情報を使用してお互いのタイミングを合わせていることや,楽曲の構造上,演奏者自身のために呼吸情報を使用していることが示唆された。
著者
寺井 仁 三輪 和久 田嶋 あゆみ
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.37-49, 2014-08-31 (Released:2014-10-07)
参考文献数
27

本研究では,マジックのトリックを解決する課題を対象に,(a)予期しない現象の原因同定に加齢が及ぼす影響,および(b)高齢者同士の協同が原因同定に与える効果について実験的な検討を行った.実験の結果,高齢者の原因同定のパフォーマンスは若齢者に比して低下することが示され,トリックが存在する箇所および存在しない箇所の弁別が困難であることが示された.一方,すでに得られた情報を起点として原因を探るという問題解決方略は高齢者においても保持されていることが示された.また,高齢者が協同して助け合うことにより,原因同定のパフォーマンスの向上が認められ,そのプロセスにおいて,得られた情報を起点とした原因の推測がより改善され,トリックが存在する箇所への疑いがより強められることが明らかとなった.しかしながら,トリックが存在しない箇所に対する疑義の棄却に関しては協同による助け合いの効果は認められなかった.
著者
山本 晃輔 野村 幸正
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.127-135, 2010-02-28 (Released:2010-11-25)
参考文献数
24
被引用文献数
3 1

本研究の目的は,におい手がかりの命名,感情喚起度,および快-不快度が自伝的記憶の想起にどのように影響を及ぼすのかを検証することであった.実験では,118名の参加者に30種類のにおい刺激について,熟知度,感情喚起度,快-不快度の評定と命名を求め,さらに,それらを手がかりとして自伝的記憶の想起が可能であるかどうかを報告させた.記憶が想起された場合には,それについて鮮明度,感情喚起度,快-不快度を評定させた.実験の結果,正しく命名されたにおいは,そうではないにおいよりも熟知度が高く,かつ情動的であった.加えて,感情一致効果がみられた.また,正しく命名されたにおい手がかりによって想起された自伝的記憶は,命名されなかったにおい手がかりによって想起されたそれよりも鮮明でありかつ情動的であった.これらの結果はにおい手がかりによる自伝的記憶の想起において,命名と感情が重要な役割を果たしていることを示唆している.
著者
永井 聖剛 山田 陽平
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
巻号頁・発行日
pp.27, 2013 (Released:2013-11-05)

創造性には,広範かつ新しい枠組みから物事を捉え新規かつ独創的なアイデアを産み出す「拡散的思考」,制約や状況に基づきアイデアを産出する「収束的思考」の2成分が存在する。創造性を促進する要因として“気分状態”は主要な研究対象であるが,本研究では,認知情報処理は身体の状態や動作に影響を受けるとする“身体性認知(Embodied Cognition)”の枠組みに基づき,「腕を大きく回す動きが(小さく回す動きよりも)広範で拡散的な思考を導き,拡散的思考が促進されるか否か」を検討した。「実在しないコメの名前」を考えるという創造性課題を課し,事前に「○○ヒカリ」という典型的回答を5例提示した。実験の結果,腕回し動作の大小は回答総数には影響を与えなかったが,大きく回す群では小さな群よりも典型例に縛られない非典型的なアイデアの回答比率が高く,拡散的思考が促進されることが明らかとなった。