著者
設樂 弘之 島村 綾 田中 亮治 有満 和人 峯木 真知子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.32, 2016 (Released:2016-08-28)
被引用文献数
1

【目的】食品、特に生鮮食品と呼ばれる領域の食品に関しては、その鮮度と風味には密接に関係がある。野菜や魚など鮮度が良いとおいしいといわれている一方、肉などのようにすこし貯蔵したほうがおいしくなるといわれている。その原因についても多くが研究されている。卵は長期保存がきくことが知られている一方で、生みたてがおいしいといわれているが、その科学的根拠となる研究例は少ない。そこで保存した卵と生みたてのもので風味に違いを明らかにすることを目的とした。 【方法】タカハシ養鶏場 深谷農場6号舎で養育されたハイライン種マリア(日齢292日)が産卵した卵を5℃で16日保存した。同じ鶏舎のもの(日齢305日)で3日保管した卵と比較した。基礎項目として卵重、HU、卵黄の色、卵白のpHおよびタンパク質量、卵黄のpH、水分、脂質量、およびタンパク質量を測定した。風味の違いを知るために、卵かけご飯、茹で卵、だし巻卵、カスタードプリンを作成し、風味試験に供した。パネルは、東京家政大学栄養学科管理栄養士専攻4年生と大学院生の計25名で行った。 【結果】たまごかけご飯、および、だし巻き卵に関して、新鮮卵のほうが好ましいという傾向にあったが、有意な差はなかった。プリンについては有意に新鮮卵を使ったほうが好ましいという結果になった(p<.05)。2つのプリンには硬さに違いがあり、新鮮卵のプリンのほうが軟らかく口どけが良いことから好まれたと思われる。新鮮卵と保存卵のプリンでは固さに差は、タンパク質量、pHに差があったことが、影響した可能性がある。これらの結果から、野菜や魚と比較すると、卵は保管中の変化が少なく、おいしさにもあまり差はないことがわかった。
著者
伊木 亜子 菊地 和美 田中 ゆかり 土屋 律子 木下 教子 坂本 恵 佐藤 恵 菅原 久美子 畑井 朝子 藤本 真奈美 宮崎 早花 村上 知子 山口 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本調理科学会特別研究(平成24~25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」)の資料とすることを目的として,昭和30~40年頃までに北海道に定着した家庭・郷土料理に関する書誌情報の調査および聞き書き調査を実施した。これらの調査から得られたおやつ・間食について,主材料や調理操作を分析し地域性を検討したので報告する。<br />【方法】調査は,北海道を道央・道南・道北・道東の4地域に区分し,平成25年4月~26年12月に実施した。<br />【結果】北海道全域で特産のじゃがいもを使った「いも団子」「いも餅」が多く,調理法や食べ方も多様である。また各地にデンプン工場があったため,「でんぷん焼き」や煮豆を加えた「でんぷん団子」もみられる。かぼちゃも各地でつくられ,「かぼちゃ団子」など利用が多い。穀類の利用も各地にみられるが,道南には特に古くから伝わる伝統の菓子が多く,米粉を利用した「こうれん」や「べこ餅」がある。その他では,雑穀のそば・キビなども,まんじゅうや餅に利用されている。全般的に,いもやかぼちゃ・豆類などの農産物,穀類の利用が多く,調理法は,煮る・蒸す・焼くなどが多い。<br />また北海道らしく,干した鱈・鮭(トバ)・かすべ・鰊・数の子など海産物が道北海岸やその他内陸においてもおやつになっている。自家栽培の果物ばかりでなく自生していた桑・野イチゴ・こくわ,胆振地方特産のハスカップも生や加工して利用している。牛乳を用いたおやつは,酪農が盛んな帯広を中心とする道東で,自家製の「牛乳豆腐」や「ヨーグルト」などあるが他での利用は少なく,酪農品を早くからとりいれた札幌で若干みられる。以上より,北海道のおやつ・間食は,各地の産物をうまく利用した地域性があることを確認した。
著者
駒場,千佳子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, 2000-05-20

豚レバーの下処理の方法及び調理による鉄分量の損失及び食味への影響を、屠殺後の時間経過を含めて検討した。1)レバーを水・牛乳にさらすことによって鉄分の減少が見られた。また、茹でこぼしの水分を介した処理方法では、約45%の鉄分の溶出が見られた。2)乾式加熱の焼き物調理では加熱による鉄分の損失はほとんどみられず、湿式加熱の煮物調理では鉄分の溶出が多く見られた。3)屠殺後1日目と3日目のレバーでは、さらし方法に関わらず鉄分の流出に有意差は見られなかった。4)焼き物調理の食味の官能検査では、屠殺後1日目では総合評価の差は見られなかった。屠殺後3日目では牛乳さらしが有意に良い評価を得た。5)煮物調理の食味の官能検査では、下処理は食味に影響を与えなかった。
著者
渡邊 幾子 植田 和美
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.175-175, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】ういろうの歴史は古く鎌倉時代に中国から伝わったとされる。名古屋、山口、京都をはじめ全国各地でういろうは作られており、主原料やその配合割合により特性があると考えられる。徳島でも全国的な知名度は低いが小豆あん、米粉、砂糖を主原料とした阿波ういろう(以下、阿波)が寛政年間に作られ始め、現在も親しまれている。アンケート調査から、ういろうの有名な地域としてあげられた名古屋、山口の市販ういろう(以下、名古屋、山口)と阿波を比較検討し、その地域特性を明らかにすることを目的とした。【方法】2008年度にアンケート調査を実施し、その結果から名古屋と山口の各5種ずつを用いて、破断強度、水分含量、糖度、色彩を測定し、阿波10種と比較検討した。【結果】アンケート結果から、ういろうが有名と思う地域は名古屋が72.7%と最も高く、徳島24.2%、京都3.5%、山口2.5%と続いた。これはアンケート対象者が徳島県在住者であることが影響し、徳島が2位となったと考えられた。ういろうの品質表示から主原料は、阿波が米粉、名古屋は米粉と澱粉、山口は小麦粉、澱粉およびわらび粉を使用している傾向がみられた。これらの破断強度を測定した結果、破断応力では阿波が9.311×104N/m2と最もかたく、名古屋5.135×104N/m2と山口5.667×104N/m2は近似していた。水分含量では阿波が34.65%と最も少なく、名古屋44.34%、山口44.47%となった。いずれも阿波と名古屋、阿波と山口で有意に差(p<0.01)がみられた。この3地域の比較から、阿波は水分含量が少なく、かたいという特性がみられた。
著者
園田 純子 図師 なつき 服部 美幸 松村 紗希 渡部 美里
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

<br><br>【目的】近年、食文化の継承の重要性が広く認識されるようになっているが、少子・高齢化により核家族化が進み、郷土料理を伝えていくことは困難になっている。そこで県立大学である本学の地域貢献のひとつとして、山口県の郷土料理レシピ作成をめざし、その基礎資料を得ることを目的に、若い世代を対象とした山口県の郷土料理に関する知識及び意識の実態調査を行った。<br>【方法】H27年10~11月に本学3学科(国際文化学科・文化創造学科・栄養学科)に在籍する3・4年生316名を対象として、山口県の郷土料理を含む料理32品についての認知度、食経験の有無、郷土料理に対する意識等を調査した(有効回答率71.8%)。また、11~12月に山口県内9市10校の中学生1094名を対象として、山口県の代表的な郷土料理8品について認知度、食経験等の調査を実施した(有効回答率72.0%)。<br>【結果】本学学生の調査では、瓦そば、ふぐ料理、外郎の認知度はいずれも97%以上と非常に高く、食経験も80%以上であった。一方、つしま、ほうかむりについてはどちらも1~2%と低かった。なお、認知度、食経験ともに、3学科間では食を学ぶ栄養学科の学生が他学科よりも高く、出身地別では、県内出身の学生が高かった。特に、けんちょう、ちしゃなます、いとこ煮にその違いが顕著に表れていた。郷土料理の関心については、レシピがあれば作りたいという回答が多く、郷土料理を伝えていくためにも、誰にでもわかりやすいレシピを作成、配布することが有効であることが示唆された。県内中学生の調査では、瓦そば、ふぐ料理、鯨料理、けんちょうの4品の認知度は90%前後、岩国ずしは約60%であった。また、郷土料理について約60%の生徒が学校給食から情報を入手していることがわかった。
著者
我那覇 ゆりか 田原 美和 森山 克子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.166, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】沖縄は四方を海に囲まれた島嶼県であり、亜熱帯の気候風土のなかで育まれた地域の食材を用いた日常食、行事食は日本本土とは異なるものも多い。今回は、沖縄本島中南部の3地域に焦点をあてて聞き書き調査を行い、「芋」を用いた料理を中心に次世代に伝え継ぎたい家庭料理を検討した。【方法】本調査は、日本調理科学会特別研究に基づき行った。調査地域は、沖縄県中部の読谷村宇座、沖縄市登川、沖縄県南部の那覇市与儀、以上の3地域とした。読谷村2名(83、85歳)、沖縄市3名(70歳~74歳)、那覇市3名(71~78歳)を対象とし、昭和30年から40年頃までに定着した家庭料理および伝承したい家庭料理について、その料理名、食材、調理・加工法などを聞き書きした。【結果】沖縄は第二次大戦後しばらくはンム(甘藷)を主食としていた。当時は、シンメー鍋(大きな鍋)で大量に水煮・蒸煮し、スクガラス(アイゴの稚魚)の塩漬けや味噌汁、豆腐汁などの少ないおかずとたくさんのンムを食べた。また、ンムを季節の野菜と一緒に味噌汁に入れたり、ンムクジ(澱粉)にして保存性を高め、ンムクジを用いた料理を作り日常的に食した。ターンム(田芋)は高級食材であり行事や御祝いの際に食べた。沖縄市では、ヤマンム(山芋)がよく採れたため、塩茹でにしたり、スーチカー(塩漬け豚肉)と炒めて食べた。今回、聞き書き調査を行った読谷村宇座、沖縄市登川、那覇市与儀で共通に伝承したい芋料理はンムクジブットゥルー、田芋でんがく、ドゥルワカシー等であった。
著者
嶽本 あゆみ 前原 弘法 渡邉 敏晃 伊東 繁
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.50-50, 2008 (Released:2008-08-29)

音速を超える速度で伝播する圧力の波である衝撃波は、きわめて高い圧力を瞬間的に負荷することができる。水中衝撃波の場合は秒速およそ1300メートル、圧力は数百メガパスカルから数ギガパスカルに及ぶ。伝播速度が速いために、対象物に圧力が負荷されるのは、一瞬である。 また、衝撃波は伝播する媒体物質の密度境界面においてスポーリング破壊を引き起こす。媒体物質に入射した衝撃波は、密度差面で音速を保ったまま衝撃波として通過する透過波と、音速以下の速度となり反射する膨張波とに分かれる。衝撃波がこのように透過波と膨張波とに分かれる際に、密度差面では負圧力が生じ、引っ張り力によってスポーリング破壊と呼ばれる高速破壊現象を引き起こす。植物においては細胞質と細胞壁との密度境界面や、細胞組織に含有される気泡の膨張が原因で細胞壁の一部がスポーリング破壊を受けると考えられる。 衝撃波を野菜や果物などの食品に負荷することで、スポーリング破壊が細胞や組織に作用し、軟化作用を引き起こす。また衝撃波の圧力負荷時間がきわめて短時間なため、熱変成を生じず食品は非加熱の状態で軟化する。本発表では、衝撃波の強さと軟化効果について報告する。
著者
高坂 晶子 菅原 悦子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.100-100, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 味噌汁は加熱によって匂いが劣化するが、焼き味噌は風味が向上するため、焼きおにぎりなどさまざまな調理で利用されている。そこで本研究では、味噌は高温加熱により低温とは異なる新しい特有香気成分が生成し、風味の向上に寄与すると考え、その組成の変化を明らかにすることを目的とした。さらに、味噌を焼くことによる官能評価への影響も検討した。【方法】 味噌を150℃・200℃で加熱し、三点比較法によって官能評価を行い、官能的に識別できるか検討した。次に、焼き味噌のヘッドスペース(Headspace)に存在する香気成分を固相マイクロ抽出(Solid Phase Micro Extraction)法で抽出し、GC、GC-OおよびGC-MS分析によりその組成を明らかにした。【結果】 官能評価では、150℃と200℃で加熱した味噌を1%の危険率で有意に判別できた。また、正解者のうち78%が150℃で焼いた味噌が好ましいと評価した。GC、GC-MS分析の結果、200℃で10分加熱した味噌では未加熱味噌と比較して増加したピークは22種、減少したピークは10種であった。GC-O分析では同じ試料で51種のにおいが感知された。このうち、未加熱味噌と比較すると増加または新しく生成した香気は34種あり、減少した香気は23種であった。今後は特に新しく生成または増加した香気成分の特定を試みる予定である。
著者
チャン レニー
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.29, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】サンマのエイコサぺンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)(それぞれ心臓病予防、脳機能改善に効果がある)は加熱調理により減少するとの報告があるが、その減少メカニズムに関する詳しい研究は行われていない。本研究の目的は、3つの調理方法(フライ・グリル・フライパン調理)において、調理後のサンマのEPAとDHAの保持率を測定し、その減少メカニズムを明らかにすることである。【方法】サンマを3つの調理方法を用いて、中心温度が75、85、95°Cになるまで加熱した。サンマの温度は、中心等の6か所(可視化のための分布計測時は最大23か所)を熱電対により測定した。化学分析では、調理前後のサンマのEPA・DHA成分と脂質酸化の程度(カルボニル・TBA値)を測定した。【結果】フライ、グリル、フライパン調理時のEPA保持率はそれぞれ 43、77、91%であり、DHAではそれぞれ48, 75, 99% であった。各調理方法において、中心温度の違いによる保持率の有意差はなかった。フライ調理時は、サンマの表層部の温度は調理開始後すぐに約200°C(EPA・DHAの分解温度)に達し、表層部にEPA・DHAが最も多く存在することから、主な減少メカニズムは加熱分解であると考えられる。一方、グリル調理時は、EPA・DHAが多く含まれる脂が多く飛散しており、脂の飛散が保持率低下の主な要因であることがわかった。フライパン調理時は、保持率が最も高かった。脂の飛散が少なく内部温度はフライ調理時ほど高くないことが、その要因と考えられる。調理方法の違いによる、脂質酸化の測定結果に有意差はなかった。EPA・DHA保持率は、フライ>グリル>フライパン調理の順であり、減少メカニズムはそれぞれ脂の飛散と加熱分解(両方少量)、脂の飛散、加熱分解と考えられる。
著者
土岐 信子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】フードファディズムとは、食物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に信じること、または評価する異常な食行動である。つまり食べ物や栄養が本来持っている働きよりもそれ以上に健康効果を期待する食行動であると考えられる。今回、女子学生における新たなフードファディズム尺度の作成を試みた。【方法】2013年度前期、短期大学部の女子学生106名を対象とし、質問紙による自己記入方式で調査を行った。分析にはWindows版SPSS統計パッケージを使用した。【結果】因子分析の結果、解釈可能な9因子31項目が抽出された。第1因子は、着色料、食品添加物、遺伝子組み換え食品に関する項目などであり、食品の安全性因子とした。第2因子は、サプリメント、健康食品、トクホに関する項目などであり、健康食品因子とした。第3因子は、食べ物の健康効果に関する項目などであり、健康への効果因子とした。第4因子は、ダイエット番組、ダイエット食品に関する項目などであり、ダイエット因子とした。第5因子は、食べ物のカロリー、一日の摂取カロリーに関する項目などであり、食品のカロリー因子とした。第6因子は、健康番組、食情報に関する項目などであり、健康情報因子とした。第7因子は、インスタント食品、レトルト食品、ファーストフードに関する項目などであり、ジャンクフード因子とした。第8因子は、トクホに関する項目などであり、トクホ因子とした。第9因子は、食事に関する項目などであり、正しい食生活因子とした。今回、典型的なフードファディズムと思われる項目が抽出された。そして、ダイエットやカロリーなど、女子学生の関心が高いと思われる項目も多く抽出された。
著者
冨永 美穂子 石見 百江 久木野 睦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】長崎県には県内外に認知されているちゃんぽん,皿うどんをはじめ,五島うどん,島原そうめん,対州そば(対馬),甘藷を原料とする麺を使用した料理「ろくべえ(六兵衛)」(島原半島,対馬)など多様な麺・麺料理が存在する.本研究においては,これら麺・麺料理を地域の食文化として次世代に伝え継ぐことを目的に,文献,聞き書き調査,製造体験等から得られた情報を中心に麺の製造方法を含めて,麺・麺料理利用における地域特性,類似性・相違性,家庭料理としての利用状況などを把握することとした. 【方法】長崎県における麺・麺料理に関して郷土料理,郷土史に関する文献等を参考に特徴的な麺・麺料理の由来,製造方法等に関する情報を収集した.平成25,26年度にかけて長崎市,対馬市,壱岐市,雲仙市,新上五島町において現地居住歴35年以上の方20名(居住歴平均:70年)を対象に家庭料理に関する聞き書き調査を行い,昭和30~40年代当時の麺の利用に関する内容をピックアップした. 【結果】五島うどん,島原そうめんはいずれも手延べ麺であり,麺の太さが異なるのみでその製造法は同じであるが,伝承ルートは異なると考えられている.手延べ麺を釜(鍋)の中で湯炊きすることが両地域で共通して地獄炊きと呼ばれている.甘藷を原料にした麺は対馬,島原半島で共通してろくべえと呼ばれるが,麺の原料となる甘藷の加工方法が異なっている.聞き書き調査において,代表的な郷土の鍋料理の締めにそうめんが食されることが壱岐(ひきとおし),対馬(いりやき)で共通していたが,壱岐地域では県外製造のそうめんが使用されていた.昭和40年代前後,麺料理はハレの食事・行事食の中で利用されていたと考えられ,日常食としてはほとんど話題に上らなかった.
著者
西山 厚
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

正倉院の内部は3つの部屋に分かれており、北倉には聖武天皇遺愛の品々、中倉にはさまざまな献納品と造東大寺司関連のもの、そして南倉には東大寺の宝物が納められている。そのいずれにも飲食に用いる器物が含まれており、あるいは楽器などの宝物に飲食の場面が描かれているものもある。人のための飲食器ばかりではなく、仏のための飲食器もみられる。中倉には厖大な古文書(正倉院文書)が伝わっており、それは写経所の帳簿であるのだが、紙背は反古となった公文書で、役人のための食糧についての記述も少なくない。正倉院宝物からみえてくる古代人の飲食の世界を、美しい画像を用いて紹介したい。
著者
河野 篤子 桐村 ます美 坂本 裕子 湯川 夏子 米田 泰子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.88, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】平成21年、22年度日本調理科学会特別研究において行事食・通過儀礼の全国調査をおこなった。昨年の行事食と同様に、京都府出身の学生世代(10~20代)と親世代(40~50代)における通過儀礼と儀礼食の認知状況、経験等の差を明らかにすることを目的とした。 【方法】日本調理科学会特別研究の全国統一様式の質問用紙を使用し、近畿の大学・短期大学に在学する学生、その家族ならびに地域住民にアンケート調査をおこなった。そのうち、10年以上京都に在住している学生世代191名、親世代115名を対象とし、通過儀礼の認知・経験および儀礼食の喫食経験の世代間比較をおこなった。 【結果】通過儀礼の認知度を世代間で比較すると、お七夜、百日祝い、初誕生、厄払いは学生世代で低かった。次に認知に対し、経験している者の割合を比較すると、七五三、誕生日は両世代で9割以上であり、それ以外は葬儀、法事を除き、学生世代で低かった。儀礼食は、餅類の喫食は両世代ともに低かったが、赤飯、小豆飯等は世代間で差はみられたものの、両世代ともに喫食されていた。法事の料理は、両世代で精進料理より精進料理以外を喫食する機会が多いことがうかがえた。七五三、誕生日は両世代ともに9割が千歳あめ、ケーキを喫食していた。人生の初期から成年にかけての儀礼の多くは、学生自身が体験していても記憶していない、未体験である、または親戚との関わりの減少が考えられたが、葬儀、法事は現在も親族の重要な通過儀礼であり、赤飯、小豆飯等は主要な儀礼食であることが確認できた。
著者
綾部 園子 平方 千裕 武田 明日香 藤間 美咲
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】米の需要拡大を目指して、米を用いた各種パンの製法が検討されている。微細な米粉を用いる方法と米を穀粒のまま用いる方法に大別されるが、家庭では精白米粒を用いる方法が受け入れやすく、その中で、米をペーストにする製法(米ペーストパン)と炊飯米を用いる製法(ご飯パン)が実践しやすい方法であろう。そこで、2法によりパンを調製して、物性および嗜好性を検討し、特徴とその要因について検討した。<BR>【方法】通常のパン(食パン)の配合に対し、小麦粉の30%を米ペースト、炊飯米または米粉(米粉パン)に置換して自動ホームベーカリー(SD-BH103、Panasonic)を用いてパンを調製した。製品の比容積、水分量、物性(TPU-2、山電)、色、全糖(フェノール硫酸法)と還元糖(ソモギ・ネルソン法)を測定し、官能評価(評点法)を行った。<BR>【結果】パンの比容積と高さは食パン>米ペーストパン>ご飯パン>米粉パンの順、水分はご飯パン>米粉パン=米ペーストパン=食パンの順となり、米を置換したパンは、色が白く、水分が多く、比容積の小さいパンであった。物性測定の結果、硬さはいずれのパンでも差がなく、凝集性はご飯パンと米ペーストパンで小さかった。官能評価の結果、ご飯パンは甘く、しっとり感ともちもとした弾力があり、総合的に好まれた。甘味の違いを明らかにするために、パンの糖量を測定したところ、全糖量はご飯パンが有意に多かったが、還元糖量には有意の差がなかった。ご飯パンでは炊飯中に生成したグルコースがイースト発酵時に優先的に利用され、結果的にスクロースの残存量が多なり、甘いパンとなったことが示唆された。
著者
荒田 玲子 渡辺 敦子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.42, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】日本調理科学会・平成24~25年度特別研究における聞き書き調査の中で、茨城県石岡市とその周辺地域における昭和20~30年代の食生活の様子、その地域で作られた食材、当時の物流の中で入手可能な食材による料理に注目して、石岡地域の食生活の特徴【目的】平成24~25年度日本調理科学会特別研究における聞き書き調査の中で、茨城県石岡市とその周辺地域における昭和20~30年代の食生活の様子、その地域で作られた食材、当時の物流の中で入手可能な食材による料理に注目して、石岡地域の食生活の特徴を知ることを目的とする。【方法】旧石岡市と八郷地区の食生活改善普及員を対象とし、複数回の直接面談法により調査を行う。調査の前に予め、「当時の食生活の様子」、「次世代に伝えたい家庭料理と地域を代表する行事食・日常食」、「地域の行事食とその料理にまつわる思い出や蘊蓄」についてのアンケートを自由記述形式にて行い、回答内容に従って面談する方法をとった。調査者は、石岡市内に35年以上居住する、59~75歳の女性(食生活改善普及員石岡地区役員)9名とした。【結果】特徴的食材・料理としては、貝地の高菜栽培と高菜漬、地域の店で現在も入手できる海藻用羹を使用した「海藻羊羹」、正月などハレの日に作られる「矢羽の羊羹」、「ばらっぱもち」、「たがねもち」などの餅類があげられた。栃木や茨城県西部の郷土食「すみつかれ」と同名の「酢みつかれ」は、鮭頭は入らないが、大豆や石岡産の落花生が入り、大根は鬼おろしでおろして作られる酢の物であった。正月の「昆布巻き」は、霞ヶ浦に近いこともあり、鮒やワカサギなどの淡水魚を昆布で巻いて作られていた。山間の八郷地区と平野の広がる石岡地区、近くに河川や霞ヶ浦を臨み、山や川や大地の恵みを利用した食生活が営まれていたことがわかった。。
著者
松本 美鈴
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】明治期に日本に紹介されたハンバーグステーキ(以下ハンバーグとする)は、幼児から高齢者まで幅広く好まれる料理である。挽肉にいもや海藻などさまざま食品を添加した多様なハンバーグが作られている。近年は、イソフラボンをはじめとする機能性を期待した大豆加工食品を加えたハンバーグも一般的である。しかし、これら大豆加工食品がハンバーグの品質に及ぼす影響を調べた研究は多くない。そこで、本研究では、おから、豆腐、高野豆腐を添加したハンバーグの品質を機器測定および官能評価により検討した。【方法】基本ハンバーグ配合割合は、挽肉100、鶏卵10、加熱玉ねぎ24、食塩1、白胡椒0.1とした。大豆加工食品添加量は、おからは肉重量に対して25、50、100%、裏ごし豆腐は50、100、200%、水戻しみじん切り高野豆腐は25、50、80%とした。なお、挽肉には、鶏胸肉と合挽肉(牛:豚=2:3)を用いた。ハンバーグ調製方法は、挽肉に食塩を加えて粘りが出るまで混ぜ、残りの材料を加え、均質になるように混ぜ合わせた後、ハンバーグ種25gを厚さ16㎜の円柱状に成形し、230℃のオーブンで8分焼成した。5分放冷後、測定に供した。加熱重量変化、色(色差計)、多汁性(テクスチュロメーターによる圧縮試験)、かたさ応力および凝集性(クリープメーター)を測定し、順位法による官能評価を行った。【結果】おから添加により、いずれのハンバーグも色が薄くなり、多汁性の値が減少し、官能評価ではジューシー感が失われた。豆腐添加により、ハンバーグのかたさ応力が減少し、官能評価でもやわらかくなることが認められた。高野豆腐添加により、ハンバーグがかたくなることが機器測定および官能評価より分かった。
著者
金子 真由美 後藤 雅広 岩田 聖美 三尋木 健史 長谷川 峯夫
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.118-118, 2005 (Released:2005-09-13)

【目的】フライ料理は人気のある献立である。しかし、最近では廃油処理のわずらわしさや環境への配慮から、とくに単身世帯、少数世帯において敬遠されがちな調理方法といえる。本研究では、マヨネーズを使って、揚げ調理の代替となる簡便な調理方法を探究することを目的とした。【方法】殻を取り除き筋切りしたエビ(中)の表面に、小麦粉、一般的な卵黄型マヨネーズ、パン粉(乾燥)を順につけ、オーブンで焼成した。外観と官能評価により適切な加熱条件を調べた。対照として、一般的な家庭での調理方法に従い、エビに小麦粉、卵、パン粉をつけ、揚げ調理したものを調製した。それぞれについて酸分解法による脂質の定量、SD法を用いた官能評価を行った。【結果】マヨネーズの添加量は、エビ1尾につき3gとし、240℃のオーブンで10分間焼成したとき、最も好ましくフライの食味が得られた。脂質の定量結果から、マヨネーズをつけて焼成したものは、揚げ調理した対照に比べ脂質が少なくなる傾向が示された。官能評価から、マヨネーズをつけて焼成したものよりも、揚げ調理をした対照の方がサクサク感があると評価されたが、ジューシー感、かたさ、好ましさでは有意な差はなかった。以上の結果から、マヨネーズを用いたフライの調理方法は、揚げ調理の簡便な代替方法になりうることが示された。
著者
山下 満智子 松原 秀樹 正田 一貴 宮藤 章 石木 達也 市川 恵 廣田 一弘 高倉 美香 山本 一恵 大槻 馨 北村 芳久 鵜飼 智代 村上 恵 真部 真里子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.152-152, 2010 (Released:2010-08-27)

【目的】 加熱調理機器(IHクッキングヒーター[IH]・ガスコンロ[ガス])による調理特性の相異を究明する目的で、煮物調理に着目し、鍋の昇温特性について検討した。 【方法】 IH・ガス兼用ステンレス鍋に、鍋肌測定用として鍋胴部の鍋肌(鍋底より25、40、55mm)にシート熱電対、水温測定用として鍋中央部(鍋底より6mm)にシース熱電対を設置した。煮物を想定した火力として、IHは電圧203-204Vにて1.45kw(強火弱)および1.0kw(中火強)とし、ガスは沸騰までの時間がIHと同じになるように、ガス圧を1.5kpa(強火弱)と0.55kpa(中火強)に調圧した。水道水800ccを入れ、IHならびにガスを用いて加熱し、鍋肌温度と水温とを連続的に計測した。また、鍋底より25、40、55mmの高さにて、鍋肌より外側に1-20mmの周辺温度を熱電対により測定した。水温が100℃到達10分後の鍋の状態を赤外線サーモグラフィ装置で撮影した。なお、この時、放射率の低い金属光沢面の計測精度を高めるため、鍋内面に放射率0.94の黒塗装を施した。 【結果】 IHとガスの沸騰開始10分後の鍋肌温度は、強火弱で94℃(IH)、128℃(ガス)、中火強で94℃(IH)、107℃(ガス)となった。鍋周辺の温度は、IH では鍋肌温度より低く鍋肌から放熱し、ガスでは鍋肌温度より高く鍋肌からも加熱していることが確認できた。サーモグラフィ画像からも、IHでは鍋肌温度が上昇せず、加熱中鍋肌が水温を超えないことが確認できた。これらの相異が煮物調理のおいしさに及ぼす影響は今後の検討課題である。
著者
福田 ひとみ 香野 美佳 奥野 そのみ 勝川 路子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】食後血糖値の管理は糖尿病を始め生活習慣病の予防,治療に重要である。こんぶには旨味成分だけでなく,種々の機能成分を含む。先にラットに粉末こんぶを摂取させたところ,血糖上昇の抑制と糖・脂質代謝の改善が認められた。そこで,こんぶ粉末をケーキに用いて,人でも同様の効果がみられるかを調べるために,食べやすく,満足感のあるこんぶケーキを目指し試作した。そして,物性の測定と官能評価を行った。【方法】大学生(女性182人)に海藻類についてのアンケートを実施した。こんぶ粉末を使用したパウンドケーキを作り,加えないもの(対照)と物性を比較し,官能評価(26人,評点法)を行った。【結果】アンケートより,こんぶを毎日食べている人は1.8%と大変少なく,わかめの半分であった。週1回以上食べる人は44%であった。こんぶは,だし35%,昆布おにぎり22%,とろろ昆布18%,などに使われていたが,わかめと比べると料理の種類が少なかった。パウンドケーキは粉末こんぶの量を生地材料5〜10%と変化させて試作した。10%では塩味が強く,5%の方が評価は高かった。添加量5%のケーキでは,膨化率はこんぶの方がやや低く,水分量は多かった。密度に有意な差は無かった。評点法による官能評価では,色,きめ,甘さについてはいずれも高い評価であったが,対照の評価より低かった。しっとり感と歯触りはむしろこんぶの方が高く,総合的には同じ評価であり,対照ケーキと同程度のケーキを作ることができた。さらに,パウンドケーキを食べたときの血糖値の変化を測定(健常者5人)したところ,こんぶ添加ケーキで上昇が緩やかで,血糖上昇を抑制した。
著者
藤原 智美 竹下 温子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.129, 2013 (Released:2013-08-23)

【目的】食品廃棄物である茶殻は旨味成分が茶葉の約80%も流出しており、飲料としての価値はないが、5大栄養素は変化しておらず、カテキン類も60%近くが残存しており、まだまだ多方面で利用可能である。全国の食品廃棄物リサイクルの用途は肥料・飼料化が75%を占めており、茶殻の肥料化は、新たな商品価値を生み出すと考えられた。また高抗酸化能やグルタミン酸が豊富な事で知られる「茶樹きのこ」はお茶の樹に生息するきのこであり、茶殻を利用した菌床開発により茶樹きのこのような付加価値の高いきのこを栽培できるのではないかと考え、菌床開発および収穫後の成分分析を行う事を目的とした。【方法】菌床はおがくずと米糠が1瓶あたり10:9になるように配合し、含水率を80%に調整したものを基本培地として、茶殻を米糠の10、30、60%置換した培地の計4培地を用意した。1瓶あたり15gの菌を接種後、菌糸蔓延→菌かき→子実体形成の工程を踏み、ヒラタケを栽培した。採取後、HPLC法にて遊離アミノ酸、グアニル酸、DPPH法により抗酸化能の測定を行った。【結果】米糠を30%茶殻に置換することで、他の培地より子実体の形成・成長が早く栽培が容易になることが明らかとなったが、60%置換すると菌糸がうまく蔓延できないことが判った。成分分析の結果、遊離アミノ酸は茶殻を添加することで、アラニン、アルギニン、セリン、チロシン、ロイシン、グルタミン酸が有意に増加し、減少する遊離アミノ酸は見られなかったのに対し、核酸関連物質のグアニル酸は有意に低下してしまうことが判った。今回得られた成分値の変化が味に違いをもたらすのか、官能評価によって今後検討していく。