著者
大野 智子 鎌田 好美 佐々木 玲
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.45, 2013 (Released:2013-08-23)
被引用文献数
1

【目的】これまでに、ゼラチン、寒天、米粉をゲル化剤に用いて、秋田県の郷土料理のひとつである「豆腐カステラ」の高齢者用ソフト食の開発を試みてきた。本研究では、高齢者施設等で利用されている3種のゲル化剤を使用し、物性および食味を比較検討することを目的とした。【方法】材料は、絹ごし豆腐、上白糖、鶏卵とし、ゲル化剤には介護食用寒天、ゼラチン寒天、ソフティア2を用いて3試料を調製した。物性の測定は、消費者庁が定める特別用途食品「えん下困難者用食品許可基準」の試験方法に準拠した。試料を直径40mm、高さ20mmの容器に15mm充填し、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な万能試験機(5544 社製:INSTRON)を用いて、直径20mm、高さ40mmの樹脂製のプランジャーにより、圧縮応力10mm/sec、クリアランス5mmで2回圧縮測定した。得られた記録曲線から硬さ、付着性、凝集性を算出した。さらに、20代女子学生をパネルとし、評点法を用いて食味に関する官能評価を行った。評価項目は、外観、色、硬さ、べたつき、飲み込みやすさ、口中でのばらつき、口中での残留感、おいしさ、総合的評価の9項目とした。【結果】物性測定の結果、硬さ、付着性、凝集性のいずれも介護食用寒天とソフティア2を使用した試料がえん下困難者用食品許可基準Ⅱに該当した。ゼラチン寒天を使用した試料は他の試料に比べて有意に硬く、基準に該当しない結果となった。官能評価では、外観、硬さ、べたつき、飲み込みやすさ、口中での残留感、おいしさの6項目に関して有意差が認められ、ソフティア2、介護食用寒天、ゼラチン寒天の順によいと評価された。
著者
大城 まみ 森山 克子 我那覇 ゆりか 名嘉 裕子 田原 美和
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の一環として,1960~1970(昭和35~45)年頃までには,定着していた家庭料理の中でも,本報では,沖縄県の行事食・日常食のおやつについて紹介する。<br />【方法】1.行事食・日常食として食べられているおやつについて,平成24~26年度の聞き書き調査報告書,その後の補足調査,文献等を基に整理する。2.聞き書き調査は,沖縄県の北部(本部町崎本部),中部(読谷村宇座・沖縄市登川),南部(那覇市与儀),宮古(宮古島市伊良部町),八重山(石垣市登野城)の5地域で行った。<br />【結果】この時期に定着していたおやつの中で,次世代に伝え継ぎたい沖縄のおやつは,行事食として,ムーチーは,旧暦12月8日に月桃(サンニン)の葉に包んで蒸した餅を食べた。子どもの健康・成長を祈願し,また鬼餅ともいうように悪鬼悪霊退散を祈る厄払いとする習わしがある。フチャギは,旧暦の八月十五夜に供え物として,細長い楕円形の餅の表面に,茹でた小豆をまぶした餅を食べた。宮古では黒小豆を使用する事が特徴である。行事食・日常食ともに食されていたのはサーターアンダギー(砂糖天ぷら)で結納などの祝いごとに欠かせない品であり,現在は日常食のおやつとしても食べられている。チンビンは旧暦の5月4日に子どもの健康祈願などで食べられた。日常食では,だしに小麦粉と卵とニラ等を混ぜ,クレープ状に焼いたヒラヤーチー,細かく切った豚肉と味噌を炒め,砂糖等で調味して作ったあぶら味噌を薄焼きの皮で巻いたポーポーがある。
著者
山崎 桃子 石川 匡子 塚本 研一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】おいしさを損なわない減塩にはうま味や風味の付与が有効だと言われているが、魚醤はその両方を有しており、減塩による味の物足りなさを補うことが期待できる。そこで本研究では、魚醤を利用した新規減塩調味料の可能性について検討した。<br />【方法】食塩水(0.234、0.584、1.0%)にグルタミン酸(以下Glu)[0.015%(検知閾値相当)、0.03%(認知閾値相当)、0.08%(認知閾値以上)]、アラニン(以下Ala)[0.0825%(検知閾値相当)、0.1%(認知閾値相当)、0.3%(認知閾値以上)]をそれぞれ添加した水溶液を調製し、二点比較法にて塩味強度の官能評価を行った。また、塩分濃度1.0%に希釈した市販魚醤にAlaを添加し、塩味強度を評価した。この際、食品に用いた際の減塩効果を検討するため、イノシン酸(以下IMP)を添加したお吸い物として呈示した。<br />【結果】食塩水にGlu、Alaをそれぞれ添加した結果、いずれのアミノ酸も認知閾値以上の添加で塩味増強が確認できた。Gluを添加した食塩水にAlaを加え、アミノ酸の相乗効果による塩味増強を評価した結果、Alaを認知閾値以上添加した際に塩味増強が表れ、GluとAlaの混合比が2:1の際に最も効果が高かった。魚醤にIMPを添加したお吸い物を作製し評価した結果、GluとAlaの比が1:8の際、塩味増強が高かった。この際、うま味と甘味の強度が同程度となり、魚醤希釈液よりも香りや苦味が抑えられ、より味強度が増した。また、魚醤希釈液の塩分濃度をさらに低下させてもAlaにより味の物足りなさを補うことができ、減塩効果が期待できることが分かった。以上より、魚醤を用いた減塩調味料の開発が可能であることが示唆された。
著者
柘植 光代 時友 裕紀子 阿部 芳子 松本 美鈴 坂口 奈央
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】山梨県で食べられてきたおやつ/間食を主材料(小麦粉、米粉、もち米、とうもろこし粉、いも類、その他)で分類し、地域による特徴をまとめた。<br />【方法】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ家庭料理」のガイドラインに沿い、山梨県の生活環境と家庭料理について平成25~27年に聞き書き調査を行った。峡北(北杜市)、峡中(甲斐市)、峡西(南アルプス市)、峡東(山梨市)、峡南(南部町)、東部(上野原市)、富士五湖・富士山麓(山中湖村)を調査対象地とした。<br />【結果】間食の名称にはナカイレ、オチャ、オヤツ、オコジュウ、ヨウジャなどがあり、地域により違いがみられた。<br /> 主材料が小麦粉のおやつには薄焼き、ねじり菓子や酒まんじゅう、米粉のおやつには砕米を利用した薄焼きや、上新粉を利用したまんじゅう、かしわもち、草もちなどがあった。もち米を蒸して搗き、きな粉と黒蜜をかけた「あべ川もち」は盆の時期に食べられ、節分の豆とひなあられを使う「おしゃかこごり」は灌仏会で用いられるなど、もち米を使ったおやつは行事食の場合が多い傾向にあった。とうもろこし粉を用いた料理は北杜市や上野原市でもみられたが、特に山中湖村ではとうもろこし粉の料理が昔から常食されており、もろこし団子やもろこしまんじゅうがおやつとしても食べられていた。<br /> さつまいもやじゃがいもを用いたおやつも多く、「いものこ」(南部町)はさつまいもを輪切りにし、ゆで、中心部に開けた穴にわらを通して乾燥させた保存食品である。食べる際に水で戻して砂糖で煮る方法は特徴的な調理方法と考えられる。じゃがいもの小いもを揚げたり煮たりするおやつも各地でみられた。桃のシロップ煮やしょうが糖など、生産地特有のおやつもあった。
著者
後藤 月江 三木 章江 川端 紗也花 高橋 啓子 坂井 真奈美 松下 純子 長尾 久美子 近藤 美樹 金丸 芳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】伝統的な郷土料理は、生活に喜びを与え、家族や地域社会の絆を深めてきた。しかし近年、輸入食品の増加、食の外部化、核家族化により、郷土の料理を家庭で作る機会が減り、伝統的な地域の食文化が親から子へ伝承されにくい傾向にある。本研究では聞き取り調査により徳島県の日常または伝統的な行事で作られていた「おやつ」について報告する。<br />【方法】徳島県を県中央部、県西部、県南山間部、県南沿岸部、吉野川北岸の5地区に分け、聞き取り調査を実施した。今回は徳島県の家庭料理における各地域の「おやつ」について検討を行った。<br />【結果】全地域で食べられているのは「おへぎ・あられ」と「ういろ」、「干し芋」、「柏餅」であった。「おへぎ・あられ」は餅を搗いたときにおへぎ・あられ用に色粉やヨモギ、キビ粉などと砂糖を入れて作り、よく乾燥させて保存し食べられている。「ういろ」は米粉と餡を合わせて練り蒸して作る。4月3日の桃の節句(旧暦)の遊山箱には欠かせないおやつであった。「干し芋」は茹でて干したものと生の輪切りを干したものがあり、そのまま食べたり、小豆と一緒に煮た「いとこ煮」にして食べる。サルトリイバラの葉で挟んだ「柏餅」は、米粉の生地で餡を包んだ白い柏餅と餡を生地に練り込んだ柏餅がある。また、吉野川北岸や県中央部では小麦粉の生地で餡を包み、サルトリイバラの葉の上に乗せて蒸した団子が柏餅として食べられていて、その餡にはそら豆を用いていることが特徴的であった。また県南山間部では、「はんごろし」と呼ばれるおはぎ(蒸したもち米の粒が半分潰れるくらい搗くことに由来する)が親しまれており、餡はササゲのこし餡である。
著者
辻 美智子 堀 光代 西脇 泰子 木村 孝子 長屋 郁子 坂野 信子 長野 宏子 山澤 和子 山根 沙季 横山 真智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】岐阜県に伝承されている家庭料理の中で、おやつとして食べられている料理の特徴についてまとめることを目的とした。<br />【方法】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」のガイドラインに沿い、岐阜県の家庭料理について平成24年~27年に聞き書き調査を行った。調査対象地域を岐阜、西濃、中濃、東濃、飛騨の5圏域に分類した。対象者は調査地で30年以上居住し、家庭の食事作りに携わった43名である。聞き書き調査の結果からおやつに関する料理を抽出し、圏域別に特徴をまとめた。<br />【結果】岐阜圏域の「みょうがぼち」は、空豆餡を小麦粉生地で包み、茗荷の葉を巻き、蒸して作られ、初夏の食材を活かし田植えの合間に食されていた。西濃圏域の今尾地区の「竹寒天」は、竹神輿の材料である竹の中に寒天液を流し込んで作られ、左義長に出されていた。中濃圏域では初午の「まゆだんご」や端午の節句や田植え休みの「ぶんだこ餅」など、米や米粉に砂糖や小豆を加えたおやつを作り、ハレの日に食されていた。中濃・東濃圏域では、新米の収穫時期に「五平餅」が作られ、来客時にも供されていた。東濃圏域の「からすみ」は、米粉に好みの味(黒砂糖、抹茶、胡桃、紫蘇など)を加えて蒸したものであり、桃の節句には欠かせないものであった。また、秋には特産の利平栗を用いた「栗きんとん」や「栗蒸し羊羹」も親しまれていた。飛騨圏域の「甘々棒」はきな粉を主原料とした飴菓子であり、かつて寒冷地の農業普及に大豆の栽培が奨励され、大豆を美味しく食べる工夫がされていた。内陸県である岐阜県のおやつは、田畑や山などで収穫される季節の食材を活かし、小麦粉・米・米粉に砂糖、小豆などを用い、折々の喜びを食にも込めていた。
著者
山口 智子 高橋 いく
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】米は主食として日本人の食生活の中心となる食材であるが、食生活の変化により米の消費量は減少している。その一方、ご飯をよりおいしく食べたいという消費者も増えており、量より質を求める傾向がみられる。近年、昔ながらのかまどで炊いたご飯に注目が集まっており、蒸しかまどが新たに開発されている。そこで本研究では、卓上型蒸しかまどで炊飯した米飯の特性について明らかにすることを目的とした。<br>【方法】平成25年度魚沼産コシヒカリを家庭用ハンディ精米機で精米して用いた。洗米後、米重量の1.2、1.3、1.4倍となるように加水し、30分間浸漬した後、ミニ蒸しかまど 1.5合炊き(小田製陶所)で炊飯した。炊飯時の温度変化を測定するとともに、米飯の水分含有率およびテンシプレッサー TTP-50BXⅡ(タケトモ電機)による物性の測定、官能評価を行った。比較対照として、加水量1.4倍で調製後、電気炊飯器にて炊飯した米飯を用いた。<br>【結果】蒸しかまどと炊飯器では炊飯時の温度上昇に大きな違いがみられ、蒸しかまどでの炊飯は約3分後から15分後にかけて徐々に温度が上昇するのに対し、炊飯器では2段階の温度上昇期がみられた。蒸しかまどで炊いた米飯の水分含有率は56.8%~60.6%、炊飯器で炊いた米飯は59.2%であった。蒸しかまどの米飯の物性を比較した場合、硬さ、こしともに加水量の多い方が値が低かった。付着性は加水量が多い方が値が高く、蒸しかまど1.2に対して1.3と1.4に有意差がみられた。粘りには有意差はみられなかった。炊飯器と蒸しかまど1.4を比べると、炊飯器の方が柔らかく、こしがあり、付着性が低いことがわかった。官能評価においては蒸しかまど1.4に比べて炊飯器で炊いた米飯が有意に好まれた。
著者
中澤 弥子 吉岡 由美 高崎 禎子 小木曽 加奈 小川 晶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】長野県の家庭料理の特徴を探ることを目的として、おやつについて分析した。本発表では、長野県各地で大切に作り継がれている多様なおやつについて報告する。<br />【方法】平成25~28年にかけて全県的な現地調査を実施した。調査方法は、主に聞き取り法で行い、可能な場合は、食材や料理、加工品の実物を撮影し、試食を行った。<br />【結果】長野県では、農作業など共同で行う仕事の合間や日常、お茶の時間を設けて(「お茶にする」という。「まあ、お茶でも一杯・・・」から始まる)、主に日本茶におやつ(お茶請けと呼ぶことが多い)を多種類準備して、みんなで楽しく共食・休息する習慣が現在も残っている。「からっ茶を出す」(お茶請けを出さない)と恥ずかしいという文化があり、季節の漬物や煮物、煮豆、粉もの、果物のお茶請けがつきものである。お茶は注ぎ足し、注ぎ足し、何杯もお客に召し上がっていただく。<br /> お茶請けとして地域の産物が生かされていた。漬物では、お葉漬には全県に分布する野沢菜漬をはじめ、地域の漬け菜も用いられており、その他、こしょう漬(信濃町)、すんき(木曽地方)など、他ではみられない加工法の漬物がある。以前に比べ作る量は減ったと話す人が多かったが、各種漬物が発達していた。粉ものでは、おやき(焼き餅)をはじめ、うすやき、にらせんべい、はりこしなど、煮豆では、ひたし豆、くらかけ豆、黒豆、紫花豆の煮豆、おなっとうなど、煮物ではかぼちゃのいとこ煮、大根引き、いなごの佃煮など、果物では、あんずのシロップ漬、かりんの砂糖漬、柚餅子、雲龍巻(柿巻)など、様々に工夫された季節を感じるお茶請けが、家族や近隣の人々、人寄せ(集まり)利用され、人々の交流を担っていた。
著者
神田 知子 安藤 真美 五島 淑子 櫻井 菜穂子 花井 玲子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.390-400, 2004
参考文献数
20
被引用文献数
2

山口県の豆類といも類を用いた料理に関するアンケート調査および聞き取り調査を行い,山間部(阿東町)と海岸部(山陽町)における地域性を検討したところ,以下の知見が得られた. 1)阿東町は豆類やいも類の自家栽培が多く,平均6.4種類の作物を栽培していた. またきな粉,豆腐,こんにゃくなどの食品を手づくりしている世帯も多かった. 一方,山陽町では,平均2.8種類の作物が栽培されていた. 2)阿東町では,自家栽培の多い食材を用いた料理が多く,工夫して食されていることが明らかとなった. 一方,山陽町では出現した料理の種類が多く,とくにじゃがいもと木綿豆腐の料理が多かった. 3)行事に関連する料理は阿東町の方が多く,葬式の料理を地域で作るという風習も残されていた. 4)豆類を用いた郷土料理である「けんちょう」と「いとこ煮」について検討した結果,材料や作り方に両地域で違いが見られた. 本研究を行うにあたり,アンケート調査にご協力いただきました阿東町消費者連絡協議会と山陽消費者の会の皆様に深謝いたします. なお本研究は日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」の一環として行った. また平成13年度日本調理科学会大会において発表した.
著者
冨岡 佳奈絵 大友 佳織 阿部 真弓 鈴木 惇
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.143, 2012 (Released:2012-09-24)

サツマイモは、加熱処理中にデンプンの糖化が進み、加熱方法の違いが味覚に影響を強く与える。サツマイモの糊化デンプンの性状が甘味と関連するかをみるために、異なる加熱方法で調理したサツマイモを組織化学的方法により調べた。 サツマイモを茹で、蒸し、オーブン(140℃と200℃)および電子レンジで加熱した。加熱した試料を急速に凍結して、コールドミクロトームで薄切した。切片を過ヨウ素酸・シッフ液およびヨウ素液で染めた。標本を常光と偏光装置により観察した。 加熱により膨潤した糊化デンプンは、デンプン貯蔵細胞全体を満たした。茹で、蒸しおよびオーブンにおける貯蔵細胞内の糊化デンプンは、ヨウ素染色により黒褐色から赤色に染まり、電子レンジでは、糊化デンプンは青く染まった。赤色に染まった糊化デンプンに青く染まったデンプンが顆粒状に点在していた。青く染まったデンプンが貯蔵細胞間の一部に存在した。赤色に染まったデンプン貯蔵細胞は、200℃のオーブンで多く、140℃のオーブン、茹での順に少なく、蒸しでは茹でと同程度であった。糖度と甘味の程度は、200℃のオーブンで強く、140℃のオーブン、茹での順に弱く、蒸しでは茹でと同程度であった。電子レンジでは甘さがなかった。糖度と甘味の程度は、赤色に染まったデンプン貯蔵細胞と貯蔵細胞間の青く染まったデンプンの多寡と関連した。複屈折性を示す結晶が点在したが、結晶の多さと甘味の程度には関連性はなかった。加熱処理の違いによるサツマイモの甘さの程度は、糊化したデンプンのヨウ素染色における染色性の違いと関連した。
著者
中澤 弥子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】学校給食および食育について課題を知り実践例を得るため、長野県の栄養教諭および学校栄養職員を対象としてアンケート調査を行った。<br />【方法】平成28年11月に実施された栄養教諭および学校栄養職員を対象とする研修会の折、資料と共にアンケート調査用紙を配布し、研修会中に主旨を説明し234名の参加者に協力を依頼して、留め置き法で調査を行った。アンケート用紙の配布は、資料と共に研修会欠席者にも行った(全配布数304)。<br />【結果】アンケート回収数は212、調査対象の属性は男性4%、女性87%、無回答8%、年代は20代17%、30代19%、40代30%、50代26%、60代以上6%、無回答2%だった。回答者の勤務先の調理方式は、自校方式63%、センター方式32%、親子式4%、無回答0.5%で、栄養教諭が42%を占めた。米飯給食の回数は週平均3.6±0.8回、汁の回数は4.7±9.3回、米飯給食時の汁の回数は3.6±11.6回だった。米飯給食時の汁の実施回数が少ない学校では、汁がないときはおかずが煮物の場合が多く、食缶や食器に影響されるとのコメントが記されていた。学校給食の献立作成の際に意識していることを10の選択肢から5項目まで選んでもらった結果を、多い順に5つ示すと、栄養バランス94%、旬の食材の利用82%、食文化(郷土料理・行事食)67%、地産地消63%、コスト(材料の価格)46%だった。郷土料理の実施回数は年平均10.6±16.2回(最高203回/年)、行事食の実施回数は年平均11.3±6.4回(最高66回/年)で、郷土料理および行事食には、地域の食文化を考慮した数多くの回答があがった。栄養教諭を中心とする長野県の学校給食関係者の多くが、日本や地域の食文化の継承のための児童・生徒への食育を重視し実践している様子が示唆された。
著者
宇都宮 由佳 谷澤 容子 松本 美鈴 福永 淑子 石井 克枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】本研究は,タンパク質を多く含む食品の調理に注目して,日本,台湾,タイ,フランス,イタリアの食生活の国際比較をし,それぞれの食の伝統がどのように日常食に反映されているか解明することを試みるものである.本発表では,タンパク質を多く含む食品の日常食における利用状況を麺類との組み合わせについて国際比較をする.<br>【方法】調査は,2011年5~12月に関東地域の136名,2011年11~12月に台北居住の163名,2011年5月~2013年3月にタイ王国ラジャパートチェンマイ大学生100名,2002年11月~2003年2月および2014年1~2月にフランスストラスブール居住の107名+34名,2011年11月~2012年4月に北イタリア居住の35名を対象に,自記式法により実施した.内容は,属性,連続した平日2日間の食事の記録とした.解析には,統計用ソフトSPSSを用い,クロス集計,カイ二乗検定などを行った.<br>【結果】麺類と組み合わせたタンパク質を多く含む食品の料理の出現率は,日本9.2%,台湾15.0%,タイ27.9%,フランス+イタリア(欧州)14.3%であり,タイが最も高かった.麺類は,各地域共通して肉類との組み合わせ比率が高い.次いで日本では魚介類,台湾・タイでは卵類との組み合わせが見られた.欧州は,乳製品「加熱無」との組み合わせ高く,他の地域比べ有意に高かった.日本,タイでは,ちゃんぽん,ラーメン,クエティオ(米麺)など汁物として,台湾は和え麺,牛肉麺など汁無麺で茹でる調理法で摂取されていた.(本研究は2011~2013年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団からの助成を受けている)
著者
冨永 美穂子 冨永 眞美 湯浅 正洋
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<b>【目的】</b>近年,分子調理と呼ばれる物理や化学の原理や実験機器・機具類を使用して新たな食感,外観の料理を開発する試みが欧米諸国を中心に広まってきている.亜酸化窒素や二酸化炭素を使用し,食材を泡状にすることは「エスプーマ」と呼ばれ,スペイン語で泡を意味する.このエスプーマは料理業界においては日本国内でも取り上げられ,一般的になりつつあるが,泡の特性,持続性や食感などに関するデータはほとんど見当たらない.そこで本研究では,料理で使用されることが多い牛乳,豆乳およびそれらの発酵乳をエスプーマに調製し,注入ガスの違いが泡の物性や持続性に及ぼす影響について明らかにすることとした.<br /><b>【方法】</b>試料は成分無調整牛乳,豆乳およびそれらのみを原料とする生乳100%ヨーグルト(発酵乳),発酵豆乳食品(発酵豆乳)を使用した.専用ボトルに各試料200 gを入れ,亜酸化窒素(N<sub>2</sub>O)あるいはソーダカートリッジ(CO<sub>2</sub>)を注入し,ボトルを上下に10回振り,4℃で3時間保冷後,ノズルを取り付け,絞り出したものをエスプーマとした.各試料エスプーマの安定性(経時的な体積変化),気泡性(オーバーラン),最大荷重(クリープメータ)を測定した.実体顕微鏡により各試料の気泡の様子を観察し,写真撮影後,気泡数および気泡面積をImage Jを使用して数値化し,各試料エスプーマの経時的変化を比較した.<br /><b>【結果】</b>牛乳エスプーマの安定性は低く,CO<sub>2,</sub>N<sub>2</sub>Oともに調製後5分で体積が液体と同等となった.一方,豆乳エスプーマの場合は注入ガスの影響がみられ,CO<sub>2</sub>の方がN<sub>2</sub>Oよりも体積変化が緩やかで安定性は高かった.牛乳,豆乳ともに発酵品をエスプーマにした方が安定性は高かった.オーバーランはすべての試料でCO<sub>2</sub>エスプーマの方がN<sub>2</sub>Oよりも高かった.エスプーマの最大荷重に注入ガスによる差はほとんどなかったが,牛乳,豆乳いずれも発酵品の方が高値を示した.発酵乳エスプーマにおいて,N<sub>2</sub>Oの方がCO<sub>2</sub>よりも気泡数の減少,気泡面積の拡大が遅く形状を維持できることが示唆された.
著者
真部 真里子 陳 倪熏 陳 姿秀
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.96, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】これまで、鰹だしのうま味以外の呈味物質に塩味増強効果があり、鰹だしのにおいとうま味には、塩味が弱くてもおいしく感じさせるおいしさ向上効果があることを明らかにしてきた。しかし、鰹だしは万人に好まれるわけではなく、中国では、魚臭く感じられ好まれないことが報告されている。そこで、本研究では、中国料理を食文化の基盤としつつ日本食も浸透している台湾において官能評価を実施し、鰹だしによる減塩効果が日本人にのみ有効なのかを検討した。【方法】台南市にある嘉南藥科大學保健栄養学科に所属する学生男女82名(男22名,女59名)を被験者とした。うま味強度を0.12%にそろえたMSG溶液、2%鰹だし、0.88%昆布-1.76%鰹節混合だしの3種類の試料について、塩分濃度を0.62、0.70、0.80、0.90、1.00%に調整したものを比較試料とし、それぞれ標準試料(0.80%NaCl溶液)と組にして提供して、被験者に、各組、より塩味が強いもの、塩味が好ましいものを回答してもらった。また、対照として、比較試料にもNaCl溶液を用いた条件でも同様に検査した。結果はプロビット分析と二項検定にて解析した。【結果】対照では、0.80%NaCl溶液に対する塩味等価濃度が0.81%となり、このパネルは塩味強度を適切判別できることが確認された。また、比較試料にMSG溶液を用いた場合は、塩味増強効果は認められなかった。しかし、鰹だしには顕著な塩味増強効果が認められ、混合だしもそれに準じる結果が得られた。すなわち、台湾人においても鰹だしは塩味増強効果を示すことが明らかになった。また、鰹だしと混合だしには、低塩味領域でおいしさ向上効果も認められた。この被験者は、全員が鰹節を知っており78%に摂食経験があった。このことが、本官能評価で鰹だしの減塩効果が認められた一因と考えられた。
著者
堀江,秀樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, 2006-12-20

我が国では,ホウレンソウ葉中のシュウ酸がホウレンソウを食べる時のえぐ味に関係すると広く解釈されている。本報では,シュウ酸塩溶液を味わった後に残る不快な感覚をシュウ酸味と定義した。ホウレンソウの茹で汁は強いシュウ酸味を示したが,ホウレンソウ葉に水を加えて調製した抽出液では,シュウ酸濃度は茹で汁より高いにもかかわらず,シュウ酸味はごく弱かった。さらに,ホウレンソウの生葉を食してもシュウ酸味はほとんど感じられなかった。これらの現象は唾液由来のカルシウムイオンとホウレンソウ葉由来のシュウ酸イオンの間で,シュウ酸カルシウムの微細な結晶が生成され,これが口腔内を物理的に刺激するのがシュウ酸味である考えれば解釈可能であった。モデル系において,シュウ酸イオンとカルシウムイオンを混合すれば,シュウ酸カルシウムによる白濁が生じた。ホウレンソウ葉中にはクエン酸イオンも含まれ,クエン酸イオンの濃度が十分に高い場合には,シュウ酸カルシウム結晶生成に伴う濁りを抑制したが,クエン酸イオン濃度が低い場合には濁りが生じた。シュウ酸味には,シュウ酸カルシウムの生成を抑制する成分の寄与が大きいものと推定された。ホウレンソウの水抽出物は固相抽出法によって,水溶出画分とエタノール溶出画分に分離できた。シュウ酸イオンとシュウ酸味は水溶出画分に回収され,苦味はエタノール溶出画分に回収された。ホウレンソウの苦味については,シュウ酸とは異なる成分によるものと考えられる。
著者
大石 紗佑里 若見 俊介 加藤 史朋 青山 忍 濱千代 善規
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.41, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】マヨネーズを肉(冷しゃぶ)の下ごしらえに使用することで、食感及び食味を改善する効果があることはすでに報告した。今回は、調理によって硬くパサつきやすい鶏ムネ肉を、マヨネーズでもみ込んだ場合の食感(やわらかさ)及び食味改良効果を明らかにすることを目的とし、検証を行った。 【方法】鶏ムネ肉にマヨネーズを加えてもみ込み、一定時間放置した後、家庭用オーブンで焼成した。対照品は、マヨネーズの代わりに、マヨネーズに含まれるのと同じ量の食塩を加えた。評価は「硬さ」、「ジューシー感」、「しっとり感」、「おいしさ」の四項目に関する官能試験(一対比較試験)で行った。更に「硬さ」については、機器測定も行った。 【結果】官能試験において、試験品は対照品と比べ、やわらかい、ジューシー、しっとり、おいしいという結果が得られた(有意差あり)。また、機器測定における結果もこれを裏付けるものとなった。以上より、鶏ムネ肉にマヨネーズを加えてもみ込むことで、鶏ムネ肉の食感及び食味が改良されることが明らかとなった。
著者
田村 安里 木下 純 庄司 龍市
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.73, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】がん治療における副作用や、妊娠時のつわりなどで、食物のにおいに対して吐き気やむかつきを感じて極端に食欲が落ちてしまう場合がある。吐き気やむかつきの元となる食物は色々あるが、肉や魚もあげられる。肉や魚は良質なタンパク質に富む食材であり、病気治療中や妊娠時には積極的に摂ってもらいたい食材である。そこで、マヨネーズを用いた調理工夫を行って、吐き気やむかつきの元となるにおいを抑えておいしく食べられることを目的とし検討した。【方法】肉は、鶏むね肉を選択し、調理工夫として「鶏むね肉のカレーマヨ焼き」を調理した。作り方は、①鶏むね肉はひと口大のそぎ切りにし、混ぜ合わせたカレー粉、マヨネーズを加えて漬け込む。②フライパンに油をひいて熱し両面焼き、火が通ったら①の残りのソースを入れ、からめて焼く。魚はカジキマグロを選択し、調理工夫として「カジキマグロのマヨネーズ焼き」を調理した。作り方は、①カジキマグロは3cm幅に切り、軽く塩・こしょうをする。②パセリはみじん切りにし、パン粉、マヨネーズとともに混ぜ合わせる。③①の表面に②を塗り、オーブントースターで焼く。上記のメニューに対して各々マヨネーズ抜きを作り対照品として比較を行った。評価は、パネラーによる官能評価、およびSPME-GC-MSを用いたにおい成分分析を行った。【結果】パネラーによる官能評価により、調理工夫がにおいに対して効果的であることが分かった。マヨネーズを用いた調理を行うことで、マヨネーズを用いない調理に比べてhexanalなどのにおい成分が有意に抑えられていることが分かった。
著者
森下 美香 梅谷 靖子 伊與田 哲也
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本の漬物市場の構成をみると,キムチは浅漬に次いで2番目に市場規模が大きく,日本人にとって食機会の多い漬物の1つとなっている。漬物商品を開発する際は,適切な官能評価を実施するために,評価用語を社内での共通言語とする必要があるが,これまでキムチにおいては評価用語の統一がなされていなかった。そこで,香りや味を表現するワードを整理し,評価用語を体系化することを目的に,白菜キムチのフレーバーホイールの作成を試みた。<br />【方法】全国で販売されている白菜を主体とした市販キムチ18サンプルについて官能評価を実施し,キムチから感じる香りおよび味を表現するワードを収集した。官能評価には,日常的に分析型官能評価を行う専門パネルと,非専門パネルの計34名を用いた。収集したワードを,香り,味および口あたりに分け,同じものを指しているワードや,類似の表現を集約し,白菜キムチのフレーバーホイールを作成した。日常的に分析型官能評価を行う専門パネル8名を用いて,作成したフレーバーホイールが適切か確認試験を実施した。<br />【結果】市販キムチ18サンプルから抽出されたワードは,合計2,667ワードであった。最終的に,香り:30ワード,味・口あたり:16ワードからなる白菜キムチのフレーバーホイールを作成した。作成したフレーバーホイールは,油っぽい,粉っぽい,炭酸の刺激といった,口あたりを表現するワードが多いという特徴が見られた。香りでは,唐辛子,魚介,にんにく,生姜など,ヤンニョムに使用される素材由来の香りの他,発酵・腐敗に関連するワードが多く抽出された。今後は,香りの標準見本の設定を検討するとともに,ワードのさらなる集約を試みる。
著者
山口 享子 桑田 寛子 石井 香代子 木村 安美 高橋 知佐子 治部 祐里 渕上 倫子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.165, 2013 (Released:2013-08-23)

【目的】日本各地で伝承されてきた年中行事や通過儀礼のハレの日の食事が、親から子へ伝承されない傾向にある。そこで、それらの認知状況、調理状況や食べ方、これらが変化した時期などについて調査を行い、全国レベルで比較検討し、地域性(広島県と全国の違い)を明らかにすることが本研究の目的である。【調査】平成21年12月~平成22年8月に行った日本調理科学会の行事食・儀礼食調査において、47都道府県24,858名の学生及び一般(保護者を含む)からの回答を得た。その中から、広島県に10年以上住んでいる人及び住んだことがある人858名(学生及び一般)を抽出し、お節料理について全国調査結果と比較した。【結果】年中行事を代表する正月に供される食べ物11種類の「一般」の喫食頻度(毎年食べる率)は以下の順番になった。広島県:魚料理>かまぼこ>煮しめ>黒豆>なます>肉料理>数の子>田作り>昆布巻き>だて巻き卵>きんとん。全国:かまぼこ>煮しめ>黒豆>魚料理>肉料理>数の子>なます>だて巻き卵>田作り>昆布巻き>きんとん。お節料理の喫食頻度で一番多かったのは、広島県の一般の魚料理(93.2%)で、全国の一般(81.3%)よりも多く食べていた。広島県の学生の魚料理の喫食頻度は全国とほぼ同じで、約73%の者が毎年食べると答えている。一般の最も少なかったのは広島県も全国もきんとんであった。学生が最も多く食べている物は、広島県、全国ともかまぼこであり、最も少なかったものは昆布巻きであった。家庭で作る頻度が50%以上と多いものは、煮しめ>なます>肉料理であった。