著者
橋爪 伸子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.1034-1034, 2009 (Released:2009-08-28)

【緒言】地域固有の歴史を背景とする食文化史の研究は、現代の地域活性化事業に有用な情報を提供し、ひいては地域アイデンティティ確立の一端を担うことができると考える。本報では、熊本城築城400年記念事業で監修を担当した、近世熊本の食史料の再現三事例を検証し、食文化史研究の現代への活用について、可能性、課題などを考えてみたい。【方法】再現の典拠とした主な史料は、熊本藩士による飲食物製法記録「料理方秘」(都立中央図書館加賀文庫蔵)、「歳時記」(熊本県立大学文学部蔵)、同藩における献立記録「御入国御拝任御祝」(熊本市歴史文書資料室蔵)である。これらの解読および翻字に加え、それぞれの活用の目的に応じて食素材や調理法などの具体的な調査研究を行った。【結果】1飲食物製法記録をもとに、所収の料理を再現できる料理書『熊本藩士のレシピ帖』を刊行した。県内主要書店、熊本城売店にて販売され、県内外から需要を受けている。また県内料理店、宿泊施設などでは、同書を参考にした再現料理が、肥後熊本の古料理等と称され活用されている。2献立記録をもとに、万延元年(1860)熊本藩主初入国の御祝御能で供された本膳料理二汁七菜を、レプリカによって再現した。それは同事業で復元した本丸御殿内大御台所に常設展示されている。食記録の模型化により、近世の食を視覚でより具体的に印象づけることが可能となるが、一方で有形化に際し根拠の不足という問題も生じた。3上記史料や2で模型化した一部の料理再現を中心とした「本丸御膳」が、2の展示される大御台所で、同市の郷土料理店により提供されている。再現料理の食体験として、季節ごとに献立を変えながら継続される予定である。
著者
中島 美樹 丸山 弘明 跡部 昌彦
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】レモンジュースの香味特性は、原料果実の産地、収穫時期や搾汁方法、殺菌方法などの違いで変化し、現在、市場にも様々な香味特性を有する商品が存在する。本研究では、これら市販レモンジュースが、どういった香味特性を有するのか評価し、さらに、これらの香味特性が製菓調理後の香味特性と、どう関係するのか解析した。平成23年度大会では、第1報として、レモンジュースの配合量を合わせて試作した、ゼリー、ベイクドチーズケーキでの結果を報告した。今回は、添加するレモンジュースの酸度が同一になるように、添加量を調整して試作し、同様に香味特性を評価、解析した結果を報告する。【方法】市販レモンジュース(22品)、青果レモンを搾ったもの(2タイプ)について、官能評価による香味評価を行なった(第1報)。その結果で特徴的であった市販レモンジュース(7~8品)を用いて、焼き菓子(ベイクドチーズケーキ、マドレーヌ)を試作し、官能評価による香味評価を行なった。官能評価は両極7段階尺度法で評価した。 【結果】<ベイクドチーズケーキ>レモンの添加量を統一した第1報では、レモンジュースの香り特性は、チーズケーキの評価では区別されなかった。しかし、酸度によって添加量を調整した今回は、レモンの香り特性の一つである「レモンの果皮の香り」と「レモンの果肉の香り」が、チーズケーキの評価で区別された。また、「レモンの果皮の風味」「レモンの青っぽい風味」の強いレモンジュースは、チーズケーキの「チーズの風味」を弱く感じさせることが確認できた。<マドレーヌ>「後引く感じ」の強いレモンジュースは、マドレーヌの「バターの風味」「卵の風味」を弱く感じさせることが確認できた。
著者
山田 直史 太田 晴子 岡本 紗季 小橋 華子 榊原 紗稀 秋山 史圭 植田 絵莉奈 郷田 真佑 正 千尋 妹尾 莉沙 中村 宜督
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.147, 2013 (Released:2013-08-23)

【目的】食品に含まれる抗酸化活性が注目される中、食品の相互作用による抗酸化活性の変化について研究を進めてきた。本研究では、キュウリによるトマトの抗酸化活性の低下作用を、抗酸化活性、ビタミンC含有量およびポリフェノール含有量の測定から解明を試みた。また、サラダの盛りつけを意識して接触状態での影響についても検討を行った。【方法】キュウリホモジネート、トマトホモジネートを1:1で懸濁し、抗酸化活性をDPPHラジカル捕捉活性法で、ビタミンC含有量をヒドラジン法で、ポリフェノール含有量をフォーリンチオカルト法で測定した。また、輪切りにしたキュウリをトマトの断面に接触させたのちに、トマトの抗酸化活性を測定した。【結果】キュウリホモジネート、トマトホモジネートを1:1で懸濁させることで、抗酸化活性およびポリフェノール含有量が、総和から期待される値よりも小さくなった。一方で、総ビタミンC含有量はキュウリとトマトの総和から期待される値とほぼ等しくなったが、酸化型ビタミンCの割合が大幅に増加していた。この結果から、キュウリに含まれるアスコルビン酸オキシダーゼがトマトの抗酸化活性の低下に大きく関与すると考えられた。また、トマトとキュウリを5分間の接触によって、トマトの抗酸化活性はわずかながら低下した。これらの結果から、キュウリにってトマトのアスコルビン酸の酸化が敏速に起こることが示唆された。
著者
吉村 葉子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.424-428, 2004
参考文献数
15
著者
山崎 歌織 外西 壽鶴子 加藤 和子 河村 フジ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-36, 2000-02-20
参考文献数
20
被引用文献数
3

材料の種類と水煮時間が異なる煮こごりの品質に付いて調べた結果は次のようであった。1.煮汁をゲル化させた場合,最も硬いゲルを形成する水煮時間は,ぶりやまだらが鶏手羽先よりも短かった。ゲルの硬さは,鶏手羽先が最も高く次いでぶりであり,まだらはかろうじてゲル化する程度であった。2.鶏手羽先のゲルは長時間水煮において安定した硬さを保持するが,ぶり,まだらのゲルは水煮30分以降徐々に軟らかくなった。3.煮汁の透明度は水煮時間の経過と共に低くなり,煮汁中のタンパク質は,ぶり,鶏手羽先では増加した。4.煮汁中のタンパク質には,ゲル形成を促進させるゼラチンの他に阻害するものが含まれている。5.長時間水煮により煮汁中のゼラチン分子は低分子化してゲルは軟らかくなった。
著者
英 晴香 長尾 慶子 久松 裕子 粟津原 理恵 遠藤 伸之 原田 和樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】抗酸化能の高い中国料理の調製を目指し、今回は"紅焼白菜"をとりあげ、具材の魚介類ならびに野菜・キノコの種類を変えて抗酸化能をそれぞれ検討し、食材の組み合わせにより抗酸化能を高める調理法を見出し提案する。【方法】白菜の煮込み料理である"紅焼白菜"の魚介類として、タラ、サケ、ボイル済みカニ、および加工品のカニカマボコとチクワをとりあげ、抗酸化能をそれぞれ測定し、抗酸化能の高い魚介類を選定した。野菜類においても、白菜、キャベツの原種であるケールおよびキノコ三種(エノキタケ、ブナシメジ、シイタケ)をとりあげ同様に抗酸化能を比較した。これらの結果をもとに、抗酸化能の高い食材に置き換えて作成した"紅焼白菜"をモデル料理とし、一般的な材料で作成した基本料理と比較した。各料理を凍結乾燥後、粉砕し、水および70v/v%エタノールで抽出し、測定に用いた。AAPHによりペルオキシラジカルを発生させ、化学発光(ケミルミネッセンス)法で活性酸素ペルオキシラジカルの捕捉活性を測定し、IC50値および抗酸化量値として求め、基本料理とモデル料理を比較した。【結果】カニの抗酸化能が他の魚介類に比べて有意に(p <0.05)高い結果となった。野菜では白菜に比べてケールの抗酸化能が特に高くなった。キノコの抗酸化能はエノキダケ>シイタケ>ブナシメジの順となった。結果をもとに魚介類はカニを用い、白菜の一部をケールに代替し、キノコはエノキダケに、さらに薬味のコネギとショウガを加えて調製したモデル料理の"紅焼白菜"では、基本料理に比べて抗酸化能が向上したことから、食材の組み合わせの工夫により嗜好性と健康面に配慮した大菜料理を提案できると判断した。
著者
山本 寿 粟飯原 菜美 伊庭 なつき 西嶋 三香子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.127, 2006 (Released:2006-09-07)

加水温度,ヤマイモ粉の配合割合,ヒエ粉/タピオカ粉の重量比,茹で時間を変動させて,ヒエ粉,タピオカ粉,ヤマイモ粉の混合麺(ヒエ混合麺)を調製し,その応力‐ひずみ特性を小麦麺と比較した.加水温度が70℃のときに全ての応力‐ひずみ特性値が最大になった.ヤマイモ粉の割合の増加に伴って,ヒエ混合麺の初期弾性率は線形に増大し,破断応力は線形に減少した.タピオカ粉に対するヒエ粉の割合が増えると,初期弾性率はやや低下し,破断応力や破断エネルギーは大きく線形に減少した.加水温度70℃,ヤマイモ粉の配合割合20%,ヒエ粉/タピオカ粉の重量比 5/5,茹で時間10minという条件で調製されたヒエ混合麺の全応力‐ひずみ特性値は小麦麺との間に有意差を示さなかった.このヒエ混合麺と小麦麺を試料として7段階評点法による官能評価を行った.粘弾性,なめらかさ,食味では有意差は認められなかったが,色と外観においては小麦麺が,かたさではヒエ混合麺がそれぞれ有意に高く評価された.
著者
谷澤 容子 松本 美鈴 宇都宮 由佳 福永 淑子 石井 克枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

○谷澤容子1)松本美鈴2),宇都宮由佳2),福永淑子,3),石井克枝4)1)甲子園大,2)大妻女子大,3)川村学園女子大,4)千葉大【目的】、タンパク質を多く含む食品の調理に注目し、日本、タイ、台湾、フランス、イタリアなど各地域における食生活の国際比較を行うことにより、それぞれの食の伝統がどのように日常食に反映されているか浮き彫りにし、各地域の食生活の方向性を読み取ることを試みようとしている。本発表では、イタリアとフランスの特徴を把握することを目的とした。【方法】イタリアの調査は、2011年11月~2012年4月にイタリアに居住する19歳以上の男女35名を対象者とし、イタリア語による調査用紙にて留め置き自記式調査法により調査を実施した。内容は、対象者の属性、連続した平日2日間の食事の記録(料理名、食品名、調理方法、調達方法、食事場所など)とした。フランスは、2002年11月~2003年2月に実施した調査を参照した。アンケートの集計と解析には、統計用ソフトSPSSを用い、単純集計、クロス集計およびχ2検定などを行った。【結果】イタリアの食事の調査数は、朝食67件、昼食70件、夕食68件であり、フランスは、朝食210件、昼食214件、夕食214件であった。タンパク質を多く含む食品の出現数は両国とも朝食は夕食、昼食に比べ少なく、朝食の殆どが乳類で、昼食は、肉類、乳類、魚介類、卵類の順であった。夕食については、イタリアは昼食と同順であったが、フランスは乳類が最も多く、肉類、卵類、魚介類となった。(本研究は、2011年度~2013年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団からの助成を受けている。)
著者
森山 三千江
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.19, 2017 (Released:2017-08-31)

目的:クローン病は近年、その患者数が急増している炎症性腸疾患である。その原因は遺伝的要因、環境要因などのうち生活習慣、中でも日本の食生活の欧米化が大きく影響を与えると言われているが、現時点では原因不明の難病とされている。発症年齢は10歳代後半から20歳代に多く、男女別では2:1で男性に多い。クローン病の治療法として栄養療法から最終手段としては手術であるが、この病気は食事に対する免疫反応という説が有力であるため、特に重要なのは栄養療法だと考えられている。クローン病患者が食事療法や絶食時に精神的に辛い思いをすることが多いため、患者の食生活が精神面にどのように影響するのかを関係性を追跡し、より精神的が良好に過ごせる方法を模索することを目的とした。方法:クローン病患者28名を対象とし、手術歴に加えて質問項目として現在の症状、身体的要素、家庭生活及び社会生活の要素、精神的背景、家族及び交友関係、などの36項目について5段階評価で回答を得た。結果及び考察:回答者は男性17名、女性11名で14歳から54歳であった。食事制限として脂質の少ないもの、肉、ファストフード、食物繊維など消化の悪いものを避ける、外食をしないなどの回答が得られた。また辛いと感じることで腹痛、吐き気、下血や入退院の繰り返し、学校で何も食べられない、職場での理解が得られないことなどが挙げられた。さらに、鬱やパニック障害などで通院している者もおり、病気に対する不安を訴えるものが半数以上であった。こうした患者に対して家族や職場など周囲の理解が大きな支えが重要であり、さらには若年層の発症を抑えるような食生活を探求していくことも大きな課題と考えられる。
著者
山本 由喜子 冨森 温子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.293-298, 1998-11-20
参考文献数
13
被引用文献数
1

常圧(約100℃)で, 30, 60, 180分間, または高圧(115または120℃)で10または30分間加熱して鶏骨スープストックを調整し, 成分含量, 透明度, 粘度を比較し, 官能検査を行った。また市販固形スープの素の成分含量とも比較した。その結果, 常圧での加熱時間が長いほど, また常圧よりは高圧のほうが, 総固形物, タンパク質, ヒドロキシプロリン(Hypro)溶出量が増加した。しかし, 5'-アデニル酸, 5'-イノシン酸は, 高圧加熱でやや低値を示した。また旨味成分であるグルタミン酸を含めてほとんどの遊離アミノ酸は, 常圧加熱よりも高圧加熱で増加傾向が見られたが, 120℃では115℃以上に増加しなかった。コラーゲンの溶出は, 加熱時間が長く, また加熱温度が上昇すると著しく, またコラーゲン含量とスープストックの粘度は正の相関を示した。高圧調理では, 成分の溶出量が多いにもかかわらず透明度が高かった。市販固形スープの素は総固形物量が多く, また5'-イノシン酸とグルタミン酸が非常に多くて他のアミノ酸類の少ないものもあり, 調理したスープストックとの呈味性の違いが示唆された。官能検査の結果, 100℃で180分加熱は鶏骨臭が弱く旨味が強い, 120℃で30分加熱は鶏骨臭が強い, 100℃で60分加熱は野菜の香りが強く旨味が弱い, という特徴が認められた。しかし総合的なおいしさは, 3つのスープストックの間に有意差がみられなかった。以上の結果, 鶏骨スープストックを高圧加熱で調理することにより調理時間を短縮させ, 成分の溶出を促進する効果を認めたが, 呈味性を強めたり嗜好性を高める効果は認めなかった。
著者
設樂 弘之 島村 綾 田中 亮治 有満 和人 峯木 真知子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.32, 2016 (Released:2016-08-28)
被引用文献数
1

【目的】食品、特に生鮮食品と呼ばれる領域の食品に関しては、その鮮度と風味には密接に関係がある。野菜や魚など鮮度が良いとおいしいといわれている一方、肉などのようにすこし貯蔵したほうがおいしくなるといわれている。その原因についても多くが研究されている。卵は長期保存がきくことが知られている一方で、生みたてがおいしいといわれているが、その科学的根拠となる研究例は少ない。そこで保存した卵と生みたてのもので風味に違いを明らかにすることを目的とした。 【方法】タカハシ養鶏場 深谷農場6号舎で養育されたハイライン種マリア(日齢292日)が産卵した卵を5℃で16日保存した。同じ鶏舎のもの(日齢305日)で3日保管した卵と比較した。基礎項目として卵重、HU、卵黄の色、卵白のpHおよびタンパク質量、卵黄のpH、水分、脂質量、およびタンパク質量を測定した。風味の違いを知るために、卵かけご飯、茹で卵、だし巻卵、カスタードプリンを作成し、風味試験に供した。パネルは、東京家政大学栄養学科管理栄養士専攻4年生と大学院生の計25名で行った。 【結果】たまごかけご飯、および、だし巻き卵に関して、新鮮卵のほうが好ましいという傾向にあったが、有意な差はなかった。プリンについては有意に新鮮卵を使ったほうが好ましいという結果になった(p<.05)。2つのプリンには硬さに違いがあり、新鮮卵のプリンのほうが軟らかく口どけが良いことから好まれたと思われる。新鮮卵と保存卵のプリンでは固さに差は、タンパク質量、pHに差があったことが、影響した可能性がある。これらの結果から、野菜や魚と比較すると、卵は保管中の変化が少なく、おいしさにもあまり差はないことがわかった。
著者
伊木 亜子 菊地 和美 田中 ゆかり 土屋 律子 木下 教子 坂本 恵 佐藤 恵 菅原 久美子 畑井 朝子 藤本 真奈美 宮崎 早花 村上 知子 山口 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本調理科学会特別研究(平成24~25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」)の資料とすることを目的として,昭和30~40年頃までに北海道に定着した家庭・郷土料理に関する書誌情報の調査および聞き書き調査を実施した。これらの調査から得られたおやつ・間食について,主材料や調理操作を分析し地域性を検討したので報告する。<br />【方法】調査は,北海道を道央・道南・道北・道東の4地域に区分し,平成25年4月~26年12月に実施した。<br />【結果】北海道全域で特産のじゃがいもを使った「いも団子」「いも餅」が多く,調理法や食べ方も多様である。また各地にデンプン工場があったため,「でんぷん焼き」や煮豆を加えた「でんぷん団子」もみられる。かぼちゃも各地でつくられ,「かぼちゃ団子」など利用が多い。穀類の利用も各地にみられるが,道南には特に古くから伝わる伝統の菓子が多く,米粉を利用した「こうれん」や「べこ餅」がある。その他では,雑穀のそば・キビなども,まんじゅうや餅に利用されている。全般的に,いもやかぼちゃ・豆類などの農産物,穀類の利用が多く,調理法は,煮る・蒸す・焼くなどが多い。<br />また北海道らしく,干した鱈・鮭(トバ)・かすべ・鰊・数の子など海産物が道北海岸やその他内陸においてもおやつになっている。自家栽培の果物ばかりでなく自生していた桑・野イチゴ・こくわ,胆振地方特産のハスカップも生や加工して利用している。牛乳を用いたおやつは,酪農が盛んな帯広を中心とする道東で,自家製の「牛乳豆腐」や「ヨーグルト」などあるが他での利用は少なく,酪農品を早くからとりいれた札幌で若干みられる。以上より,北海道のおやつ・間食は,各地の産物をうまく利用した地域性があることを確認した。
著者
駒場,千佳子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, 2000-05-20

豚レバーの下処理の方法及び調理による鉄分量の損失及び食味への影響を、屠殺後の時間経過を含めて検討した。1)レバーを水・牛乳にさらすことによって鉄分の減少が見られた。また、茹でこぼしの水分を介した処理方法では、約45%の鉄分の溶出が見られた。2)乾式加熱の焼き物調理では加熱による鉄分の損失はほとんどみられず、湿式加熱の煮物調理では鉄分の溶出が多く見られた。3)屠殺後1日目と3日目のレバーでは、さらし方法に関わらず鉄分の流出に有意差は見られなかった。4)焼き物調理の食味の官能検査では、屠殺後1日目では総合評価の差は見られなかった。屠殺後3日目では牛乳さらしが有意に良い評価を得た。5)煮物調理の食味の官能検査では、下処理は食味に影響を与えなかった。
著者
渡邊 幾子 植田 和美
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.175-175, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】ういろうの歴史は古く鎌倉時代に中国から伝わったとされる。名古屋、山口、京都をはじめ全国各地でういろうは作られており、主原料やその配合割合により特性があると考えられる。徳島でも全国的な知名度は低いが小豆あん、米粉、砂糖を主原料とした阿波ういろう(以下、阿波)が寛政年間に作られ始め、現在も親しまれている。アンケート調査から、ういろうの有名な地域としてあげられた名古屋、山口の市販ういろう(以下、名古屋、山口)と阿波を比較検討し、その地域特性を明らかにすることを目的とした。【方法】2008年度にアンケート調査を実施し、その結果から名古屋と山口の各5種ずつを用いて、破断強度、水分含量、糖度、色彩を測定し、阿波10種と比較検討した。【結果】アンケート結果から、ういろうが有名と思う地域は名古屋が72.7%と最も高く、徳島24.2%、京都3.5%、山口2.5%と続いた。これはアンケート対象者が徳島県在住者であることが影響し、徳島が2位となったと考えられた。ういろうの品質表示から主原料は、阿波が米粉、名古屋は米粉と澱粉、山口は小麦粉、澱粉およびわらび粉を使用している傾向がみられた。これらの破断強度を測定した結果、破断応力では阿波が9.311×104N/m2と最もかたく、名古屋5.135×104N/m2と山口5.667×104N/m2は近似していた。水分含量では阿波が34.65%と最も少なく、名古屋44.34%、山口44.47%となった。いずれも阿波と名古屋、阿波と山口で有意に差(p<0.01)がみられた。この3地域の比較から、阿波は水分含量が少なく、かたいという特性がみられた。
著者
園田 純子 図師 なつき 服部 美幸 松村 紗希 渡部 美里
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

<br><br>【目的】近年、食文化の継承の重要性が広く認識されるようになっているが、少子・高齢化により核家族化が進み、郷土料理を伝えていくことは困難になっている。そこで県立大学である本学の地域貢献のひとつとして、山口県の郷土料理レシピ作成をめざし、その基礎資料を得ることを目的に、若い世代を対象とした山口県の郷土料理に関する知識及び意識の実態調査を行った。<br>【方法】H27年10~11月に本学3学科(国際文化学科・文化創造学科・栄養学科)に在籍する3・4年生316名を対象として、山口県の郷土料理を含む料理32品についての認知度、食経験の有無、郷土料理に対する意識等を調査した(有効回答率71.8%)。また、11~12月に山口県内9市10校の中学生1094名を対象として、山口県の代表的な郷土料理8品について認知度、食経験等の調査を実施した(有効回答率72.0%)。<br>【結果】本学学生の調査では、瓦そば、ふぐ料理、外郎の認知度はいずれも97%以上と非常に高く、食経験も80%以上であった。一方、つしま、ほうかむりについてはどちらも1~2%と低かった。なお、認知度、食経験ともに、3学科間では食を学ぶ栄養学科の学生が他学科よりも高く、出身地別では、県内出身の学生が高かった。特に、けんちょう、ちしゃなます、いとこ煮にその違いが顕著に表れていた。郷土料理の関心については、レシピがあれば作りたいという回答が多く、郷土料理を伝えていくためにも、誰にでもわかりやすいレシピを作成、配布することが有効であることが示唆された。県内中学生の調査では、瓦そば、ふぐ料理、鯨料理、けんちょうの4品の認知度は90%前後、岩国ずしは約60%であった。また、郷土料理について約60%の生徒が学校給食から情報を入手していることがわかった。
著者
嶽本 あゆみ 前原 弘法 渡邉 敏晃 伊東 繁
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.50-50, 2008 (Released:2008-08-29)

音速を超える速度で伝播する圧力の波である衝撃波は、きわめて高い圧力を瞬間的に負荷することができる。水中衝撃波の場合は秒速およそ1300メートル、圧力は数百メガパスカルから数ギガパスカルに及ぶ。伝播速度が速いために、対象物に圧力が負荷されるのは、一瞬である。 また、衝撃波は伝播する媒体物質の密度境界面においてスポーリング破壊を引き起こす。媒体物質に入射した衝撃波は、密度差面で音速を保ったまま衝撃波として通過する透過波と、音速以下の速度となり反射する膨張波とに分かれる。衝撃波がこのように透過波と膨張波とに分かれる際に、密度差面では負圧力が生じ、引っ張り力によってスポーリング破壊と呼ばれる高速破壊現象を引き起こす。植物においては細胞質と細胞壁との密度境界面や、細胞組織に含有される気泡の膨張が原因で細胞壁の一部がスポーリング破壊を受けると考えられる。 衝撃波を野菜や果物などの食品に負荷することで、スポーリング破壊が細胞や組織に作用し、軟化作用を引き起こす。また衝撃波の圧力負荷時間がきわめて短時間なため、熱変成を生じず食品は非加熱の状態で軟化する。本発表では、衝撃波の強さと軟化効果について報告する。
著者
高坂 晶子 菅原 悦子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.100-100, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 味噌汁は加熱によって匂いが劣化するが、焼き味噌は風味が向上するため、焼きおにぎりなどさまざまな調理で利用されている。そこで本研究では、味噌は高温加熱により低温とは異なる新しい特有香気成分が生成し、風味の向上に寄与すると考え、その組成の変化を明らかにすることを目的とした。さらに、味噌を焼くことによる官能評価への影響も検討した。【方法】 味噌を150℃・200℃で加熱し、三点比較法によって官能評価を行い、官能的に識別できるか検討した。次に、焼き味噌のヘッドスペース(Headspace)に存在する香気成分を固相マイクロ抽出(Solid Phase Micro Extraction)法で抽出し、GC、GC-OおよびGC-MS分析によりその組成を明らかにした。【結果】 官能評価では、150℃と200℃で加熱した味噌を1%の危険率で有意に判別できた。また、正解者のうち78%が150℃で焼いた味噌が好ましいと評価した。GC、GC-MS分析の結果、200℃で10分加熱した味噌では未加熱味噌と比較して増加したピークは22種、減少したピークは10種であった。GC-O分析では同じ試料で51種のにおいが感知された。このうち、未加熱味噌と比較すると増加または新しく生成した香気は34種あり、減少した香気は23種であった。今後は特に新しく生成または増加した香気成分の特定を試みる予定である。
著者
チャン レニー
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.29, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】サンマのエイコサぺンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)(それぞれ心臓病予防、脳機能改善に効果がある)は加熱調理により減少するとの報告があるが、その減少メカニズムに関する詳しい研究は行われていない。本研究の目的は、3つの調理方法(フライ・グリル・フライパン調理)において、調理後のサンマのEPAとDHAの保持率を測定し、その減少メカニズムを明らかにすることである。【方法】サンマを3つの調理方法を用いて、中心温度が75、85、95°Cになるまで加熱した。サンマの温度は、中心等の6か所(可視化のための分布計測時は最大23か所)を熱電対により測定した。化学分析では、調理前後のサンマのEPA・DHA成分と脂質酸化の程度(カルボニル・TBA値)を測定した。【結果】フライ、グリル、フライパン調理時のEPA保持率はそれぞれ 43、77、91%であり、DHAではそれぞれ48, 75, 99% であった。各調理方法において、中心温度の違いによる保持率の有意差はなかった。フライ調理時は、サンマの表層部の温度は調理開始後すぐに約200°C(EPA・DHAの分解温度)に達し、表層部にEPA・DHAが最も多く存在することから、主な減少メカニズムは加熱分解であると考えられる。一方、グリル調理時は、EPA・DHAが多く含まれる脂が多く飛散しており、脂の飛散が保持率低下の主な要因であることがわかった。フライパン調理時は、保持率が最も高かった。脂の飛散が少なく内部温度はフライ調理時ほど高くないことが、その要因と考えられる。調理方法の違いによる、脂質酸化の測定結果に有意差はなかった。EPA・DHA保持率は、フライ>グリル>フライパン調理の順であり、減少メカニズムはそれぞれ脂の飛散と加熱分解(両方少量)、脂の飛散、加熱分解と考えられる。
著者
土岐 信子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】フードファディズムとは、食物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に信じること、または評価する異常な食行動である。つまり食べ物や栄養が本来持っている働きよりもそれ以上に健康効果を期待する食行動であると考えられる。今回、女子学生における新たなフードファディズム尺度の作成を試みた。【方法】2013年度前期、短期大学部の女子学生106名を対象とし、質問紙による自己記入方式で調査を行った。分析にはWindows版SPSS統計パッケージを使用した。【結果】因子分析の結果、解釈可能な9因子31項目が抽出された。第1因子は、着色料、食品添加物、遺伝子組み換え食品に関する項目などであり、食品の安全性因子とした。第2因子は、サプリメント、健康食品、トクホに関する項目などであり、健康食品因子とした。第3因子は、食べ物の健康効果に関する項目などであり、健康への効果因子とした。第4因子は、ダイエット番組、ダイエット食品に関する項目などであり、ダイエット因子とした。第5因子は、食べ物のカロリー、一日の摂取カロリーに関する項目などであり、食品のカロリー因子とした。第6因子は、健康番組、食情報に関する項目などであり、健康情報因子とした。第7因子は、インスタント食品、レトルト食品、ファーストフードに関する項目などであり、ジャンクフード因子とした。第8因子は、トクホに関する項目などであり、トクホ因子とした。第9因子は、食事に関する項目などであり、正しい食生活因子とした。今回、典型的なフードファディズムと思われる項目が抽出された。そして、ダイエットやカロリーなど、女子学生の関心が高いと思われる項目も多く抽出された。
著者
冨永 美穂子 石見 百江 久木野 睦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】長崎県には県内外に認知されているちゃんぽん,皿うどんをはじめ,五島うどん,島原そうめん,対州そば(対馬),甘藷を原料とする麺を使用した料理「ろくべえ(六兵衛)」(島原半島,対馬)など多様な麺・麺料理が存在する.本研究においては,これら麺・麺料理を地域の食文化として次世代に伝え継ぐことを目的に,文献,聞き書き調査,製造体験等から得られた情報を中心に麺の製造方法を含めて,麺・麺料理利用における地域特性,類似性・相違性,家庭料理としての利用状況などを把握することとした. 【方法】長崎県における麺・麺料理に関して郷土料理,郷土史に関する文献等を参考に特徴的な麺・麺料理の由来,製造方法等に関する情報を収集した.平成25,26年度にかけて長崎市,対馬市,壱岐市,雲仙市,新上五島町において現地居住歴35年以上の方20名(居住歴平均:70年)を対象に家庭料理に関する聞き書き調査を行い,昭和30~40年代当時の麺の利用に関する内容をピックアップした. 【結果】五島うどん,島原そうめんはいずれも手延べ麺であり,麺の太さが異なるのみでその製造法は同じであるが,伝承ルートは異なると考えられている.手延べ麺を釜(鍋)の中で湯炊きすることが両地域で共通して地獄炊きと呼ばれている.甘藷を原料にした麺は対馬,島原半島で共通してろくべえと呼ばれるが,麺の原料となる甘藷の加工方法が異なっている.聞き書き調査において,代表的な郷土の鍋料理の締めにそうめんが食されることが壱岐(ひきとおし),対馬(いりやき)で共通していたが,壱岐地域では県外製造のそうめんが使用されていた.昭和40年代前後,麺料理はハレの食事・行事食の中で利用されていたと考えられ,日常食としてはほとんど話題に上らなかった.