著者
沢村 信一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.231-237, 2011
参考文献数
18

現代の抹茶は,微細に粉砕され,滑らかな食感である。このように微細になったのは,茶の栽培技術や粉砕道具の発達を考慮すると近世になってからと考えられる。粉砕の面から抹茶を4期に分けて再現し,その粒度を測定し味の評価を行った。薬研で粉砕した2種類の抹茶は,粒度が粗く,ざらつきを感じた。味は,強い苦味を感じた。2種類の茶臼で粉砕した抹茶は,微細に粉砕され,滑らかな食感であった。味は,まろやかでうま味を感じた。
著者
濟渡 久美 三浦 春菜 石川 伸一
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
2017 (Released:2017-08-31)

【目的】【目的】食品中の成分や調理により添加された調味料の濃度分布等は,風味や食感に影響を与える。しかし,食品中の成分や調味料等の濃度分布を可視化した研究は少ない。本研究では,ハイパースペクトルカメラとデジタルカメラを用いて,揚げ物における油や煮物における煮汁に関し,時間経過や保存温度の違いによる浸透程度の観察を行うことを目的とした。【方法】〈揚げ物〉実験試料として鶏ササミ,エビなど用い,脂溶性色素スダンⅣで染色した油で天ぷらを揚げた。揚げた試料は,冷蔵,常温,ホットショーケースで保存し,一定時間後に試料の中 心を包丁でカットし,断面をデジタルカメラで観察した。 〈煮物〉実験試料としてダイコン,コンニャクなどを用い,水溶性色素青色 1 号で着色した煮汁で煮物を作製した。沸騰してから 15分煮込んだ後,試料の中心を包丁でカット後,断面をデジタル カメラおよびハイパースペクトルカメラで観察した。また各試料を鍋ごと冷蔵,常温で保存後,試料の中心を包丁でカットし,断面をデジタルカメラおよびハイパースペクトルカメラで観察した。 【結果・考察】〈揚げ物〉すべての実験試料において油の浸透は衣までであった。揚げてから時間が経っても油は内部まで浸透しな かった。保存温度の違いは油の浸透に大きな影響を与えなかった。 〈煮物〉ハイパースペクトルカメラでの観察の結果,常温保存の 試料の方が冷蔵保存の試料より煮汁が浸透した。 食品中の成分の空間的配置や存在状態などを明らかにすること,テクスチャーや風味との関連性を交えて検討することにより,おいしさの物理的解明につながることが考えられる。
著者
三田 有紀子 近藤 沙歩 米澤 真季 大島 千穂 續 順子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
2015 (Released:2015-08-24)

【目的】味覚には様々な因子が影響することが知られており、女性では性周期もその一因とされている。一方、味覚に影響を与える大きな要因として運動も挙げられるが、女性に欠かせない性周期の下で運動が味覚に影響するかどうかは報告が少ない。そこで本研究では、女性を対象とした性周期に伴う味覚感受性の変化と運動との関連性を明らかにすることを目的として、運動経験や運動習慣に着目し、これらが各月経周期で味覚感受性にどのような影響を与えるか検討した。【方法】実験内容に承諾を得られた被験者を過去現在においてともに運動習慣がない者(対照群10名)、過去に運動習慣があり、現在運動習慣がない者(経験群11名)、過去現在両方において運動習慣がある者(習慣群10名)に分けて検討した。被験者には、生活習慣・食習慣・口腔状態、月経、運動習慣に関するアンケート調査と食物摂取頻度調査、身体計測、唾液試験、味覚試験を行った。唾液試験、味覚試験は基礎体温を基に月経期・卵胞期・排卵期・黄体期に分けたそれぞれの時期に実施し、味覚試験は全口腔法および濾紙ディスク法の2種類とした。【結果・考察】運動習慣別に比較したところ、習慣群の味覚感受性は他の群と比べて卵胞期における塩味、酸味で鈍化し、同様の傾向が月経期、卵胞期の甘味、旨味でもみられ、黄体期の苦味では鋭敏になった。一方、月経周期別に各群で比較した結果、習慣群の酸味感受性が排卵期と比べて卵胞期で鈍化したが、対照群、経験群には月経周期による影響がみられなかった。以上の結果から、運動習慣を持つ者は運動による味覚感受性の変化が恒常的にあらわれる可能性があり、女性では月経周期によってその傾向が異なることが示唆された。
著者
峰村 貴央 宮田 美里 三舟 隆之 西念 幸江
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<b>【目的】 </b>奈良時代を含む5世紀の古墳時代以降は、甑を利用した「蒸す炊飯」が行われていた。しかし、文献史料の一つである「正倉院文書」に残る「食法」には、奈良時代の写経生に「粳米」を支給していたという記述がある。「粳米」は原則「蒸す炊飯」には適さないため疑問が残る点が多い。そこで、本研究では、様々な文献史料から炊飯方法とその料理を類推し、奈良時代の炊飯方法の検討と食事の復元を試みた。<br /><b>【方法】 </b>『延喜式』内膳司年料によると古代の洗米方法は、「磨二御飯一暴布袋一口〈長一丈〉、暴布巾卅六條」とあり、本研究では米をさらしで包み振り洗いをし、水切りをした。甑の代用として、直径26cmのアルミニウムの寸胴鍋にざるを裏返して入れ、その上にシリコーンゴムの蒸し板をフックで固定した加熱器具を作成した。その加熱器具に蒸留水を入れて沸騰後、さらしで包んだ米を蒸し板に置き、40分間強火で加熱した。また、蒸し加熱開始後10分、20分、30分に振り水をした。振り水の量は、3回の合計が米の重量の1.5倍量とした。炊飯には、寸胴鍋に蓋をした場合としない場合を用い、炊き上がり倍率、色、硬さ、炊き上がり状態の観察を行った。また、同じ『延喜式』に「洗盤十二口〈四口磨二御飯一料〉という記述があったため、飯を蒸留水で洗い同様に測定した。<br /><b>【結果】 </b>炊き上がり倍率は、「蓋あり、振り水あり」が1.8倍、「蓋なし、振り水あり」が1.2倍、「蓋あり、振り水なし」が1.3倍、「蓋なし、振り水なし」が1.2倍であった。「蓋あり、振り水あり」の試料の値が高かった。硬さは、有意差は認められないが、「蓋あり、振り水あり」が他の試料よりは軟らかい傾向にあった。飯を水洗いすると、重量がやや増加する傾向があった。
著者
毛 偉傑 李 暁龍 福岡 美香 酒井 昇
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
2015 (Released:2015-08-24)

【目的】タンパク質の熱変性に伴ってエビ肉は物理的および化学的変化を起こすことが良く知られている。変性の指標として肉の筋原繊維タンパク質のCa2+-ATPase活性の変化がすでに多く報告されている。しかし食品工学の手法で求めたタンパク質の変性率と化学変化の関連がまだ解明されていない。そこで本研究ではエビ肉の加熱におけるタンパク質の変性率とCa2+-ATPase活性および溶解性の変化の相関関係について検討を行った。【方法】車エビ(Marsupenaeus japonicus)を試料として示差走査熱量分析(DSC)でタンパク質熱変性パラメーターを測定し、伝熱ならびに速度解析により、加熱途上の1尾内のタンパク質の変性分布を計算した。また加熱処理を施したエビのCa2+-ATPase活性および溶解性の変化を測定し、タンパク質変性率との相関を調べた。【結果】DSCダイナミック法で車エビタンパク質のミオシンおよびアクチンの変性速度パラメーター(活性化エネルギー、頻度因子)を決定し、エビ1尾内の加熱(51℃および85℃)に伴う変性分布を計算したところ、両加熱条件においてタンパク質の変性分布が不均一に形成されることが示された。51℃の恒温水槽で加熱した場合、加熱時間の延長と共にミオシンの変性は緩やかに進行するが、アクチンは変性しなかった。85℃で加熱すると、ミオシンは160秒で、アクチンは495秒で完全に変性した。Ca2+ -ATPase活性が両方の温度で加熱時間の増加に伴って減少し、タンパク質の変性率に関連することが見出された。タンパク質の各種溶媒に対する溶解度も平均タンパク質変性度と強く相関することが見出された。
著者
池田 博子 園田 純子 沢村 信一
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
2012 (Released:2012-09-24)

【目的】抹茶は用いる道具によって液の動きが左右され起泡に影響するといわれる.道具としての茶筅に続き,今回は茶碗の形状について検討した.抹茶茶碗は形や土の種類,釉薬の有無,文様等の違いにより種類も豊富である。茶碗が起泡性に影響する因子としては茶筅の振りやすさ,すなわち形と内側の感触が大きいと考えられる.そこで,抹茶茶碗の形と材質を変えてそれらが起泡に及ぼす影響について検討した.【方法】使用した抹茶茶碗は胴の形態から井戸形,碗形,筒形とし,各々について釉薬の有無,焼成温度(1226℃,1253℃),土の種類(西条土,さつま白土)を変えた15種類とした.起泡試験は抹茶茶碗に抹茶1gと80℃の温湯50mlを加え,400回/分の速度で30秒間起泡し,起泡終了60秒後に泡沫容積および膨張率を測定した。起泡試験は各5回行った.【結果】抹茶の起泡に大きく影響するのは釉薬の有無と茶碗の形であった.釉薬の有無については,釉薬有の茶碗を用いたものは釉薬無の茶碗に比べて泡沫容積および泡膜液容積は多く,西条土,さつま白土ともに井戸形・碗形・筒形茶碗いずれについても,釉薬の有無間に(P<0.01)で有意差が認められた.また,茶碗の形によっても起泡は異なり,井戸形茶碗と碗形茶碗は筒形茶碗に比べて泡沫容積はかなり多く,井戸形茶碗と筒形茶碗,碗形茶碗と筒形茶碗ではそれぞれ(P<0.01)で有意差が認められた.茶碗の形により液の深さや振幅の長さが異なり,その違いが起泡に影響しているものと考えられる.また,井戸形茶碗と碗形茶碗では,釉薬有の場合井戸形茶碗の方が泡沫容積は多い傾向がみられた.焼成温度や土の種類については,特に影響はみられなかった.
著者
千代田 路子 藤村 亮太郎 田辺 聖子 右田 京子 山形 徳光 重松 康彦
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.1059-1059, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】日本では少子高齢化が進み、核家族化、女性の社会進出、単身生活者の増大に伴い、調理の簡便化や省力化の傾向が見られ、カット野菜に対する消費者のニーズが高まってきている。カット野菜は微生物制御を目的に次亜塩素酸ナトリウム溶液による浸漬処理が広く行われており、微生物的な安全面や生理的・化学的変化について多くの報告がなされているが、栄養成分についての研究はあまり進んでいない。そこでカット野菜として需要が高いレタスについて、次亜塩素酸ナトリウムによる洗浄殺菌処理と水道水による洗浄処理がカットレタスの栄養成分に与える影響を明らかにすることを目的に本実験を行った。【方法】レタスの外葉及び芯を除去した後、包丁にて4cm四方にカットしたレタスを試料とし、次亜塩素酸ナトリウム溶液(200ppm)浸漬による洗浄殺菌処理と水道水による洗浄処理(1分間、20分間)を行った。その後、調製したカットレタスの各栄養成分[ビタミンC及びミネラル類(カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄)]について定量分析を行った。実験期間は栄養素の季節変動を考慮し、季節ごとに年4回(2007年秋~2008年夏)と設定した。【結果】調製したカットレタスの栄養成分データについて比較した結果、いずれの栄養成分においても各調製試料間に有意な差は確認されなかった。以上の結果より、洗浄方法の違いによってカットレタスのビタミンC及びミネラル類(カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄)に有意な損失はないことが示唆された。また、季節ごとの栄養素の変動について一定の規則性は確認されなかった。
著者
伊藤 直子 山崎 貴子 岩森 大 堀田 康雄 村山 篤子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.106-106, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 食肉を軟化させるためには、熱帯植物であるパイナップルやパパイヤ、キウイフルーツなどを利用することが知られている。これらの植物の持つプロテアーゼは比較的熱安定性が高く、調理中に食肉のタンパク質に作用するため、食肉が軟らかくなる。しかし、これらの食材は独特の香りがあり、メニューが限定される。一方、プロテアーゼ活性が高いものの中にはキノコがある。キノコは食肉とも相性の良い食材であり、食物繊維などが豊富で旨味成分も多く含まれ、健康志向の高い食品である。そこで、まず我々は、様々なキノコを用いてプロテアーゼの検索を行い、さらに高いプロテアーゼ活性を有するキノコのプロテアーゼの特徴について基礎的な検討を行った。 【方法】 キノコは市販のエノキタケ、ヒラタケ、エリンギ、シイタケ、ナメコ、ブナシメジ、マイタケを用いた。キノコの重量の2倍量の水を加え、ホモジェネート後、ろ過して得られた抽出液を試料とした。この抽出液のカゼイン分解活性及び牛肉抽出液分解活性を調べた。これらの中より分解活性の高かったものを選び、最適温度、最適pH、熱安定性などを検討した。さらにプロテアーゼの性質を調べるため、部分精製を試みた。 【結果および考察】 35℃でプロテアーゼ活性を測定すると、最も活性が高かったのは、ヒラタケであった。しかしながら、50-60℃ではマイタケのほうが活性が高くなった。さらに、熱安定性をみると、最も安定であったものはマイタケであり、ヒラタケのプロテアーゼ活性が70℃1時間の保温で失活するのに対し、マイタケは70℃8時間でも活性が残存していた。また、最適pHは6-7であった。このことより、マイタケは肉軟化のために有効な食材であると推察された。
著者
石川 恵美 佐藤 幸子 大久保 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】飯に水や湯をかけて食べる方法は、奈良・平安迄遡る。その後、煎茶をかけて食べる「茶漬け」が出現した。それは比較的あたらしく江戸時代に普及したものである。現在は漬茶け専門店もあり、茶のかわりにだし汁をかけても「茶漬け」としている。飯に汁をかける食法がどのように発展、展開していたのかを探ることが本報告の目的である。【方法】文献調査:通史資料として『古事類苑』、近世資料として『守貞謾稿』、料理本等現在状況調査には市場統計出版物などを対象とした。【結果】平安時代には飯に水や湯をかけて食べる記録がみられる。その後、飯に汁をかける食法は武士層などの酒宴の後に用いられている。江戸末期の『守貞謾稿』には庶民の日常食に言及し、京阪は朝食、江戸は夕食に茶漬けとしている。煎茶の普及がそれまでの水や湯をかけていたものから茶漬けに発展した。水と茶の品質にもこだわっていた話が料亭での茶漬けとして伝わっている。一方、江戸の料理書『名飯部類』には86品中45品が出汁や煎茶をかける物として記載されている。近代に入り、永谷園が1941年に刻み海苔に抹茶や塩を加えた「海苔茶」を発売、1952年に「お茶漬け海苔」と商品名にお茶漬を取り上げ、お茶漬がより日常的なものに発展した。懐石料理においては最後に飯に湯桶にお焦げを入れた湯が添えられ、食法が決められている。現在は外食店にだし汁を飯にかけて供する店名にお茶漬けを採用している現象が出現している。飯に汁をかける食法の総称として「お茶漬け」という言語が使用されるに至っていると言ってよい。
著者
西念 幸江 小澤 啓子 生方 恵梨子 峯木 真知子 野口 玉雄
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.2048-2048, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】無毒化されたトラフグの肝臓(フグ肝)について,食料資源としての可能性および価値を検討してきた.ゆでたフグ肝を用いた官能検査では,その色,匂い,脂っぽさの点から,高い評価は得られなかった.そこで,料理を調製して,官能評価および組織観察より食味特性を調べた. 【方法】フグ肝は,佐賀県唐津市呼子にある(株)萬坊で室内水槽(100t)により,養殖されているトラフグ2年魚から腑分けされたものを試料とした(2009年1月).このフグ肝は食品衛生検査指針・理化学編中のフグ毒検査法に準じて,フグ毒を抽出し,マウス毒性試験を行い,毒性がすべて認められなかったことを確認した.その後,-50℃で冷凍保存し、使用時に流水で解凍し,血抜後,酒水,長葱および生姜の中に浸漬した(5℃、3時間)後、6種の調理法による料理を調製した(刺身、味噌汁、蒸し物、西京焼き、照り焼き、天ぷら). フグ肝の調理による重量変化を求めた。フグ肝の下処理については,円卓法による官能評価で検討した.各料理は,5段階評点識別試験と嗜好試験(1-5点)を行った.調理されたフグ肝の試料は卓上型電子顕微鏡(TM-1000,(株)日立ハイテクノロジーズ)で観察した. 【結果】重量減少率は、味噌汁および蒸し物で大きかった。フグ肝料理の分析型官能評価では, 匂いの強さが平均2.5点でやや弱く,香りのよさは平均3.8点でややよく、油っぽさについては,2.5-4.0点の範囲であった。嗜好型官能評価では,いずれの料理も,「料理としての好ましさ」の評点が3.5以上で高かった.組織観察では、調理法による脂肪の違いが観察された。
著者
奥本 牧子 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.1083-1083, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】 煮物の味は冷めるときに染み込む、と一般にいわれているが、それを確かめるために実験を行なった。前報では、3種の食品を1% NaCl溶液中で加熱し、温度降下速度をかえて、一定温度で保温し、食品中の食塩の濃度を測定した。その結果、温度が高いほど食品中のNaCl濃度は高く、冷めるときに味が染み込むということは確認出来なかった。そこで、さらに温度降下条件を急速にし、煮汁の温度が冷めるときに味が染み込むかどうか確かめることを目的とした。さらにソレー効果との関係を考察した。 【方法】 試料として前報同様ジャガイモ、ダイコン、コンニャクを用い、一辺2cmの立方体に成型し1% NaCl溶液中で一定条件で加熱した後、とりだして、予め、0,30,50,80,95℃に設定した1% NaCl溶液に移し、5,10,30分後に取り出し、前報同様に内層(表面より3mm内側)と外層(表面より3mmまで)に分けて、イオンメーターでClイオンを測定し、NaCl濃度を算出した。 【結果】 いずれの場合においても高温に保った方がNaCl濃度は高い傾向にあった。今回の実験でも冷めるときに味が染み込むことは確認出来なかった。ソレー効果は温度が定常状態の場合に液体中のNaCl濃度が移動するという現象で、濃度によって温度は異なるが、ある特定の温度(海水程度では12℃)を境にしてNaClは高温側から低温側、あるいは低温側から高温側に移動するという現象で、煮物の味の染み込みを説明するには無理があるのではないかと考えられる。
著者
冨田 圭子 今井 恵 山本 恵利加 安岡 美総 竹田 真弥
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】生活習慣病の増加に伴い、糖尿病網膜症等を起因とするロービジョン者が増加している。ロービジョン者の視認性向上には、明度差のある白黒配色が最も相応しいとされている。しかし、食事のおいしさには彩りが重要な要素となることから、彩りにも配慮した色彩提案が必要であると考えられる。そこで、給食用トレイを用い、視認性・視覚的おいしさ両面に配慮した色彩検討をおこなうこととした。本研究ではカラーチャートを用いた視認性の検討に加え、無彩色を含む18色の給食用トレイにおける視覚的おいしさを調査し、総合評価を行うこととした。<br />【方法】平成24年8月~平成27年6月にかけて女子大学生(21.5±0.67 歳、n=約30/色)を対象にアンケート調査をおこなった。調査内容は属性、不定愁訴、トレイの色の視認性調査2種に加え、トレイの色の印象調査からなる。トレイの色の印象調査はLCD画面上に色変換した18色のトレイの料理画像を1枚ずつ被験者に見せ、トレイの色ごとに36形容詞対を用いた5段階SD法によりおこなった。尚、食器は白色の縁取りのないものを用い、料理は先行研究で彩りが良いと評価された和食とした。いずれの調査もロービジョンシュミレーションメガネ装着群(以下ロービジョン者)と非装着群(以下健常者)の2種の条件下でおこない、ロービジョン者は聞き取り、健常者は自記式調査とした。尚、トレイの縮尺率は60%、部屋の環境は、照度:496.2±12.03 lx・温度:24.1±1.36℃・湿度:48.4±10.69 %であった。<br />【結果】視認性の調査では、ロービジョン者と健常者ともに黒、グレー3.5(灰)、ブライトトーン(青・緑・赤・橙・桃)、ディープトーン(黄)、ダークトーン(黄)が高評価であった。一方、視覚的おいしさの検討では、ビビットトーン(黄)、ペールトーン(黄)、ブライトトーン(黄・山吹・橙)の順に評価が高いと示された。<br />【考察】白色食器を用いた場合、健常者・ロービジョン者共に視認性および視覚的おいしさの高い給食用トレイの色は、ブライトトーンの橙であることが示唆された。
著者
岸田 恵津
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
2013 (Released:2013-08-23)

【目的】野菜を蒸すと甘く感じる傾向がある。本研究では,キャベツの蒸し加熱による甘味の変動について,糖含量測定と官能評価等により検討を行った。<BR> 【方法】キャベツは兵庫県産のものを市場で購入して試料とした。蒸し加熱は通常の100度蒸し(10分,20分)に加え,低温スチーミング鍋を用いた70度(20分,30分),電子レンジ加熱(30秒,60秒)により行った。糖含量はF-キットを用いてグルコース,果糖,ショ糖を定量した。官能評価は女子大学生22人をパネルとし,各蒸し加熱における最適加熱時間の試料に対して,甘味,硬さ,シャキシャキ感,総合評価等について評点法で行った。 <BR> 【結果】生キャベツの糖含量は,グルコース1.9g/100g,果糖2.0g,ショ糖0.2gであった。加熱方法別に糖含量を比較すると,いずれの加熱方法でも各糖含量は,生との間に有意差は認められなかった。官能評価では,硬さ,シャキシャキ感は生,70度,電子レンジ,100度の順に評点が高値であった。甘味の評点は逆の順で,100度が最も甘いと評価され,生に対して100度蒸しのみに有意差が認められた。好みと総合評価は,いずれの試料でもほぼ同程度であり,試料間に有意差はなかった。官能評価の項目間の相関を調べると,硬さと甘味の評点間に負の相関を示した。 <BR>100度蒸しが最も甘いと評価されたが,糖含量はいずれの加熱方法でも変化せず甘味と対応しないこと,甘味の感じ方には感覚的な硬さなどのテクスチャーの違いが関係していることが示唆された。
著者
渡部 佳美 奥田 弘枝 岡本 洋子 上村 芳枝 木村 留美 杉山 寿美 原田 良子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】各地には地域の気候、風土、産業、文化、歴史等に培われ、伝承された行事食が残されている。しかし食生活の変化に伴い、食文化が変容している現状がある。そこで、行事食の認知状況や摂食状況等を明らかにするため、日本調理科学会特別研究として平成21~23年度に実施した「調理文化の地域性と調理科学-行事食・儀礼食-」の調査から得られた行事食「土用の丑」「重陽」「月見」の結果を報告する。【方法】当学会特別研究の全国統一様式の調査用紙を用いて調査を行った。広島県に在住する大学・短期大学の学生およびその家族等を対象とし広島県の地域間および世代間の比較を行うため、地域を安芸地域(西部)と備後地域(東部)とした。年代を10~20代の学生と30代以上の一般に大別し、西部の学生143名、一般166名、東部の学生87名、一般129名、計525名とした。解析にはエクセル統計2003を用いた。【結果】調査対象者のうち「月見」「土用」は90%以上の者が行事を認知していたが、「重陽」は西部で約20%、東部では約10%と低かった。また、行事および喫食の経験についても「重陽」は他の行事に比べ低く、「月見」は「月見だんご」の喫食経験が高く、東部に比べ西部の方がより高い割合であった。また、「月見だんご」は「買う」と答えた割合が高く、「小芋」は「家庭で作る」割合が高かった。「土用」は、「鰻のかば焼き」を「毎年食べる」と答えた割合が学生約50%、一般約60%と高い割合であった。喫食経験はすべての行事で一般の方が学生に比べ高い割合であったが、いずれの行事食も「家庭で作る」が、現在の方が以前に比べ減少していた。
著者
森井 沙衣子 上田 眞理子 坂本 薫
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
2014 (Released:2014-10-02)

【目的】第1報の結果より,浸漬温度が異なる米の吸水率を検討する際には,流出固形物量を加味した吸水率の検討が必要であると考えられた。そこで浸漬温度の異なる精白米の吸水曲線を明らかにする目的で,浸漬温度を変化させたときの流出固形物量を加味した吸水率を経時的に測定・算出した。 【方法】第1報と同様の試料を用い,浸漬温度は5℃,10℃,20℃,30℃,40℃,50℃とし,それぞれ5,10,20,30,40,50,60,80,120,240分間,各設定温度の水に浸漬させた。浸漬後,小型遠心分離機を用いて3,000rpmで5分間遠心脱水を行い,米と溶出固形物を含む浸漬水をそれぞれ回収し,米の吸水量から単純吸水率を求めた。また浸漬水は定温乾燥機で恒量になるまで乾燥させ,乾燥した溶出固形物重量を吸水率に加味した補正吸水率を算出した。 【結果】単純吸水率を算出した結果,短時間浸漬においては浸漬温度依存的に吸水率が増加する傾向がみられた。しかし,長時間浸漬を行った場合では,低温浸漬は温水浸漬と比較して吸水量が多くなったことから,初速吸水率は温水浸漬米が低温浸漬米の吸水率よりも高値となり,長時間浸漬では,浸漬温度が低いほど米の吸水率が大きくなることが示唆された。しかし,温水浸漬では溶出固形物が浸漬液中に多く溶出されたため,乾燥溶出固形物重量を測定し,吸水率を乗じて補正吸水率を算出し,溶出固形物の影響を考察したが,補正吸水率は単純吸水率と同じ結果が得られた。これらの結果から低温長時間浸漬米は吸水率が高くなることが明らかになった。
著者
荒田 玲子 渡辺 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【はじめに】節分に巻きずしを食べる習慣の起源・発祥には諸説がある。江戸時代から明治の初めに大阪の商人達が、商売繁盛、無病息災を願って行われたものが、その後大阪鮓組合や大阪海苔問屋協同組合の販売促進の宣伝により大阪を中心に広がり、1989年広島のセブンイレブンが最初に「恵方巻き」として販売し全国に広がったとされる。【目的】本学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食・儀礼食」において調査した行事のうち、認知度、喫食経験ともに高値であった節分の行事食の中から、巻きずし(のり巻き)に注目し、47都道府県におけるその喫食変化を調べることにより、県や地域の違いを掘り起こすことを本研究の目的とした。【方法】特別研究のデータを各都道府県単位で、その調査単位に10年以上居住する対象者のみを抽出し、「節分認知」「節分経験」「喫食経験」「巻きずしの喫食状況」「巻きずしの調理状況や食べ方(以前)」「巻きずしの調理状況や食べ方(現在)」「変化した時期」の項目について集計し、その喫食変化について検討した。【結果】節分に丸かぶり寿司あるいは、恵方巻きと呼ばれる太巻きずしを食べる習慣は、他の地域に比べ、大阪府を中心に近畿圏に多くみられた。「福巻寿司発祥の地の碑」がある栃木県においても、大阪より少ないが、他の関東圏より「毎年食べる」が多く、「途中から」と答えたものは少なかった。「外で食べる」が以前も現在も少なく、「買う」か「家庭で作る」が多かった。これは、巻きずしの食習慣の発祥に由来すると思われる。
著者
橋爪 伸子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.1034-1034, 2009 (Released:2009-08-28)

【緒言】地域固有の歴史を背景とする食文化史の研究は、現代の地域活性化事業に有用な情報を提供し、ひいては地域アイデンティティ確立の一端を担うことができると考える。本報では、熊本城築城400年記念事業で監修を担当した、近世熊本の食史料の再現三事例を検証し、食文化史研究の現代への活用について、可能性、課題などを考えてみたい。【方法】再現の典拠とした主な史料は、熊本藩士による飲食物製法記録「料理方秘」(都立中央図書館加賀文庫蔵)、「歳時記」(熊本県立大学文学部蔵)、同藩における献立記録「御入国御拝任御祝」(熊本市歴史文書資料室蔵)である。これらの解読および翻字に加え、それぞれの活用の目的に応じて食素材や調理法などの具体的な調査研究を行った。【結果】1飲食物製法記録をもとに、所収の料理を再現できる料理書『熊本藩士のレシピ帖』を刊行した。県内主要書店、熊本城売店にて販売され、県内外から需要を受けている。また県内料理店、宿泊施設などでは、同書を参考にした再現料理が、肥後熊本の古料理等と称され活用されている。2献立記録をもとに、万延元年(1860)熊本藩主初入国の御祝御能で供された本膳料理二汁七菜を、レプリカによって再現した。それは同事業で復元した本丸御殿内大御台所に常設展示されている。食記録の模型化により、近世の食を視覚でより具体的に印象づけることが可能となるが、一方で有形化に際し根拠の不足という問題も生じた。3上記史料や2で模型化した一部の料理再現を中心とした「本丸御膳」が、2の展示される大御台所で、同市の郷土料理店により提供されている。再現料理の食体験として、季節ごとに献立を変えながら継続される予定である。
著者
中島 美樹 丸山 弘明 跡部 昌彦
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】レモンジュースの香味特性は、原料果実の産地、収穫時期や搾汁方法、殺菌方法などの違いで変化し、現在、市場にも様々な香味特性を有する商品が存在する。本研究では、これら市販レモンジュースが、どういった香味特性を有するのか評価し、さらに、これらの香味特性が製菓調理後の香味特性と、どう関係するのか解析した。平成23年度大会では、第1報として、レモンジュースの配合量を合わせて試作した、ゼリー、ベイクドチーズケーキでの結果を報告した。今回は、添加するレモンジュースの酸度が同一になるように、添加量を調整して試作し、同様に香味特性を評価、解析した結果を報告する。【方法】市販レモンジュース(22品)、青果レモンを搾ったもの(2タイプ)について、官能評価による香味評価を行なった(第1報)。その結果で特徴的であった市販レモンジュース(7~8品)を用いて、焼き菓子(ベイクドチーズケーキ、マドレーヌ)を試作し、官能評価による香味評価を行なった。官能評価は両極7段階尺度法で評価した。 【結果】<ベイクドチーズケーキ>レモンの添加量を統一した第1報では、レモンジュースの香り特性は、チーズケーキの評価では区別されなかった。しかし、酸度によって添加量を調整した今回は、レモンの香り特性の一つである「レモンの果皮の香り」と「レモンの果肉の香り」が、チーズケーキの評価で区別された。また、「レモンの果皮の風味」「レモンの青っぽい風味」の強いレモンジュースは、チーズケーキの「チーズの風味」を弱く感じさせることが確認できた。<マドレーヌ>「後引く感じ」の強いレモンジュースは、マドレーヌの「バターの風味」「卵の風味」を弱く感じさせることが確認できた。
著者
山田 直史 太田 晴子 岡本 紗季 小橋 華子 榊原 紗稀 秋山 史圭 植田 絵莉奈 郷田 真佑 正 千尋 妹尾 莉沙 中村 宜督
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
2013 (Released:2013-08-23)

【目的】食品に含まれる抗酸化活性が注目される中、食品の相互作用による抗酸化活性の変化について研究を進めてきた。本研究では、キュウリによるトマトの抗酸化活性の低下作用を、抗酸化活性、ビタミンC含有量およびポリフェノール含有量の測定から解明を試みた。また、サラダの盛りつけを意識して接触状態での影響についても検討を行った。【方法】キュウリホモジネート、トマトホモジネートを1:1で懸濁し、抗酸化活性をDPPHラジカル捕捉活性法で、ビタミンC含有量をヒドラジン法で、ポリフェノール含有量をフォーリンチオカルト法で測定した。また、輪切りにしたキュウリをトマトの断面に接触させたのちに、トマトの抗酸化活性を測定した。【結果】キュウリホモジネート、トマトホモジネートを1:1で懸濁させることで、抗酸化活性およびポリフェノール含有量が、総和から期待される値よりも小さくなった。一方で、総ビタミンC含有量はキュウリとトマトの総和から期待される値とほぼ等しくなったが、酸化型ビタミンCの割合が大幅に増加していた。この結果から、キュウリに含まれるアスコルビン酸オキシダーゼがトマトの抗酸化活性の低下に大きく関与すると考えられた。また、トマトとキュウリを5分間の接触によって、トマトの抗酸化活性はわずかながら低下した。これらの結果から、キュウリにってトマトのアスコルビン酸の酸化が敏速に起こることが示唆された。
著者
吉村 葉子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.424-428, 2004
参考文献数
15