著者
佐々木 哲丸
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.113-126, 1954-07-28

我国に於て,小児期に恐れられている疾患の中代表的な者として,乳児脚気と赤痢,疫痢がある。乳児脚気は小児衛生の進歩に依り,昭和の初期頃から其重症な者は殆ど見る事が無い様になつた。之は小児に対して非常に幸な事である。所が赤痢,疫痢の流行状況を見ると,今なお多数の患者並びに死亡者を出している現況であり,甚だ遺憾に堪えない。昨年度も10万余の罹患者が有り,死亡者も1万以上を算している。小児は成人に比し赤痢,疫痢に罹患し易く,而も小児では屡々重篤な症状を発し,其予後は著しく不良であり,年々多数の小児が其生命を失い,死亡者の大部分を占めている現況である。伊東教授に依り疫痢が発表されてから今日迄約50年の歳月が流れ,其間多くの研究者に依り検索が行われて来たにも拘らず,其本態は今日尚充分には明らかで無く,諸家各々其所見に基いて異なる意見を発表されている。然し近年に於ては,疫痢は赤痢菌簇の腸管内感染を基調として小児に現われる特殊な症候群であると一般に認められている。此本態論とは別に多くの臨床家に依て治療法が考究され,多数の臨床経験よりして次第に有効な方法が実証されている。〓に余等の教室にて実施しつゝある治療方法及び其根拠とする所の事項を少しく述べ度いと思う。
著者
高松 良幸
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、戦前の美術品の売立目録のうち100冊について、所収の作品の写真・テキストをデジタルデータとして記録し、その各種データを所蔵履歴、活用履歴などさまざまな角度から検索可能なデータベース化を試みた。また入札会の実況を伝える書籍、新聞雑誌記事等の関連資料の検討を行なうことで、戦前のコレクターの美術作品の保存、活用に対する姿勢、美術観や美術作品の移動に関する戦前の社会的意識等を検証した。
著者
宮崎 真悟 櫻井 幸一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.3329-3336, 1999-08-15
被引用文献数
6

談合による落札価格操作を防止し かつ応札者のプライバシを保護する電子オークション方式を提案する. 本方式では落札額以外のすべての応札価格が一切露呈しない. また公開掲示板に記載された情報を用いて すべての応札者は落札者決定の正当性を検証することができる. 離散対数問題の困難性と一方向性ハッシュ関数の安全性および公開掲示版を仮定することで方式を構築することができる.We propose an electronic auction scheme satisfying that (i) a group of colluded bidders cannot control the contract price freely, and (ii) the privacy of each bidder can be protected. In our scheme, all prices of bidders except the winner are never revealed to anyone. Furthermore, all bidders can verify the validity of process for determining a winner via a public bulletin board. The assumptions required to our scheme are only that the discrete logarithm problem is hard and there exists a secure one-way hash function and a pullic bulletin board.
著者
永田 雅輝 木下 統 辰巳 保夫
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

イチゴは収益性が高く営農上有利な作物であるが、果実が痛みやすいために省力化・機械化の開発が大幅に遅れている。特に、収穫以降のハンドリング作業(収穫、選果、出荷)は強度な労働負担であることから、早急な機械化の開発が望まれている。本研究は、特に選別機の開発研究を主として遂行するものであるが、イチゴ果実は痛みやすいので、品質保持を安定化・強化するために予冷を組み込んだ選果システムを提案するための基礎研究に研究に取り組んだものである。その結果、次の成果を得た。1.イチゴ選別機の研究(1)選別機構の開発 選別機構としてベルト式を開発した。本機構は直線的な搬送により選別速度の制御が容易で連続選別が可能となるように、イチゴが円形パンに載せられてベルト上を移動する間に、CCDカメラで画像入力して、コンピュータで階級と等級に選別するものである。区分けはエア-シリンダにより、イチゴをA.B.Cの3等級に区分するものである。(2)形状判別ソフトウェアの開発 コンピュータ画像処理によって階級と等級を判別するために、イチゴ果実の縦横比、輪郭線等を用いた形状特長抽出の演算手法を提案し、ニューラルネットワークによる判別プログラムを開発した。本プログラムによる判別性能は83〜95%が得られた。2.予冷による品質管理の研究イチゴの品質保持として果実硬度を増加するために、予冷とCO_2ガス処理の試験を行い、予冷温度は1℃が5℃より、CO_2処理では高CO_2貯蔵が、果実の硬化及び品質保持には有効であることを明らかにした。そのため、予冷とCO_2を併用した処理法は選別での損傷が少なくなり、出荷後の品質劣化も減少させ得ると言え、機械選果には有利と判断された。
著者
津山 薫 山本 洋祐 中里 浩一 中嶋 寛之
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.249-258, 2005-06-01
被引用文献数
3 2

The purpose of this study was to examine the effects of dynamic neck muscle training using a cervical extension machine (CEM) on isometric cervical extension strength (ICES) and a cross-sectional area of neck extensor muscles. Subjects were 18 male college judo athletes divided into a control group (n=10) and training group (n=8), respectively. In the training group, dynamic neck muscle training was performed for a 6 week training period, followed by a 10 week training period. There was a detraining period of 12 weeks between the first training period and the second. The ICES was measured at eight angles using a CEM, and the neck muscle cross-sectional area was determined using magnetic resonance imaging. The ICES and cross-sectional area of neck extensor muscles in the training group showed significant increases after the second training period. In particular, the increase in the cross-sectional area was greater in the deepest layer of the neck extensor muscles (rotator, multifidus and semispinaris cervicis muscles) than in the superficial layer (trapezius muscle). In the control group, no significant changes in ICES or cross-sectional area were observed. In conclusion, it was shown that dynamic neck muscle training using a CEM was effective in developing both ICES and the cross-sectional area of neck extensor muscles, especially in the deepest layer.
著者
鹿取 みゆき
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.197-206, 2009-08
被引用文献数
1

日本ではワインを取り扱う仕事は多様化しており、多くの人がワインを対象に比較的専門性の高い仕事に従事している。基本的には仕事の名称も技能も公的に認定されておらず、その仕事に従事する者自身が、自分が思うままに名乗っているにすぎない。とはいえ、いずれの仕事においても、目的は違うが、ワインを味わい、その特徴を表現したり、質を評価したりする機会は多い。ワインテイスティングの必要性は非常に高いる。本稿では、はじめに、欧米のワイン消費国に比べると、非常に特殊な日本のワイン業界の実態に触れ、そのあとテイスティングの実態、テイスティングにおける匂いと味の関係についての事例を紹介する。また、ワインと料理のマリアージュの事例もいくつか示していきたい。
著者
林部 敬吉 辻 敬一郎 中谷 広正 阿部 圭一 東山 篤規
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

研究成果は次の通りである。1.バーチャル・リアリティ空間における視覚特性について人工的に出現させたバーチャル・リアリティ空問の視覚特性が自然空間とどの程度類似しているかを、双曲空間特性、ホロプター特性、大きさ恒常性、奥行距離特性についてそれぞれ測定した。その結果、両眼視差、パースペクティブ、テクスチャ、陰影を奥行手がかりとした条件では、視覚特性で比較する限り、自然空間は限定的にしか再現されず、また個人差も大きいことが明らかにされた。2.バーチャル・リアリティ技術を応用した対象の3次元可視化についてVR技術を用い3次元可視化したときの視覚特性を考慮した次の3通りのシステム、すなわち人間の脳の3次元可視化システム、室内デザイン支援システム、初等プログラミング教育支援システムを開発した。人間の脳の3次元可視化システムでは、人間の脳の全体と部分が立体的に知覚できるようにし、同時に、脳の構造と機能とが理解できるように工夫された。室内デザイン支援システムでは、VR空間内に置かれた様々な対象(イス、机、棚など)をデータグローブを使用して仮想的に移動し配置(デザイン)させることができ、もし対象とデータグローブとが接触すれば、接触判定を行い、同時に接触したことをユーザーに視覚的、聴覚的信号で知らせて使用者の利便性を高めた。初等プログラミング教育支援システムでは、小学生や中学生等に対してバーチャル・リアリティの技術を利用することでプログラムするとはどういうことかを理解させ、同時にプログラムの結果を、ミニカーやミニロボットをプログラムに従って動かして確認することができるようにした。
著者
西村 一彦
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

農業用ため池の多面的価値を計測することを目的として、5択一式の調査票を設計し、西日本の16,000人に対してネットアンケートを実施した。データは離散選択モデルを基礎とする混合ロジットで分析を行い、ため池属性の限界価値を測定した。
著者
吉永 創 山田 二久次 関根 義彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.105-117, 1998-02-28
被引用文献数
4

親潮の異常南下に注目して日本の気温, 降水量の変動特性について調べた。親潮異常南下年の日本の気温では冬季に東北以南の本州, 四国, 九州で負の偏差, 北海道では逆に正の偏差が見られた。降水量では北陸を中心とする日本海側で正の偏差が見られた。5月から6月にかけては関東から東北南部の太平洋側で負の偏差, 降水量では九州中部〜四国南部〜紀伊半島を境にして北で増大し南で減少する傾向が示された。親潮南限緯度と気温, 降水量とのラグ相関解析により冬季は本州, 四国, 九州の気温と3〜5か月後の親潮南限緯度の間で最も高い正の相関, 北陸の降水量と4〜5か月後の親潮南限緯度の間で有意な負の相関が得られた。5月から6月については気温に対して同時あるいは1か月の前の親潮南限緯度の間で関東から東北南部の太平洋側でのみ有意な正の相関が得られた。さらに500 hPa高度偏差のEOF解析の第1, 2モードのスコアと日本の気温・降水量との相関解析により, 冬季に日本上空から北太平洋中央部にかけて500 hPa高度場が負偏差になると本州, 四国, 九州で気温が低下する傾向が示された。また気温ほど顕著ではないが1月の北陸の降水量で有意な正の相関が得られた。これらより親潮異常南下年の冬季の本州, 四国, 九州の気温の低下及び北陸での降水量の増加はグローバルな大気大循環の変動の影響による可能性が高く, 5月, 6月は関東から東北南部の太平洋側でのみ親潮の異常南下に伴う低海面水温の影響を受けて気温が低下している可能性が示唆された。
著者
板野 直樹
出版者
信州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

骨髄や腫瘍におけるストローマはニッチとして造血幹細胞の支持や動員に働く"場"を提供しているとされる。そこで、本研究では、Hasヒアルロン酸合成酵素の遺伝子改変マウスを駆使して、ストローマの形成するヒアルロン酸細胞外マトリックスが、ケモカインと連携して造血幹細胞の動員に働く分子機序について検討し、以下の結果を得た。1) ヒアルロン酸産生腫瘍における造血幹細胞の動員増加ヒアルロン酸合成酵素2(Has2)のコンディショナルトランスジェニックマウス(Has2 cTg)の解析から、乳がんにおけるヒアルロン酸の増加が、造血幹細胞と考えられるKSL(c-Kit^+Sca-1^+Lin^-)の乳がん組織への動員を増加することを明らかにした。2) ストローマヒアルロン酸の欠損による造血幹細胞動員の抑制Has2のコンディショナルノックアウトマウス(Has2 cKO)からヒアルロン酸欠損線維芽細胞を樹立して、乳がん細胞との共移植実験を施行し、ストローマヒアルロン酸の欠損により、KSL細胞のポピュレーションが移植がんにおいて有意に減少することを明らかにした。3) ヒアルロン酸欠損によるケモカイン産生の抑制線維芽細胞におけるヒアルロン酸合成の欠損がケモカイン産生に与える影響を抗体アレイにより検討し、ピアルロン酸合成の欠損により線維芽細胞のCXCL12産生が減少することを明らかにした。以上の結果は、間質ヒアルロン酸がケモカインの産生を増加して、腫瘍内への造血幹細胞の動員にニッチとして働くことを示唆している。
著者
松島 憲一
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.64-74, 2001-03-01

1998年8月26日〜9月9日に日本財団が派遣した調査団に参団し, 西アフリカの農業・国際協力の現状について調査を行った.この調査の際, コートジボアールの農業・食料事情を知り, 今後の農業技術協力推進および地域農業研究の参考とするため国内3市場において農産物に関する調査を行った.3地域の市場において確認された農作物は49種にのぼり, 果菜類15種, 果実類10種, 茎葉菜類7種, 根菜類5種, イモ類5種, 穀類・豆類5種, 油料・調味料作物4種が確認できた.これらは分類学上26科に属する植物からなり, そのうち7種がナス科, 6種がマメ科, ウリ科, 4種がイネ科, 3種がユリ科に属した.各種内の変異も大きく, トウガラシなど果菜類では様々な品種が見られた.また, 同国の食料供給は危機的な状況に至ってはいないものの, 農村部では親に対する栄養教育が行き届いていないために, デンプン食物偏重が原因と思われる栄養失調児がみられた.今回調査した各市場でみられた多様な農産物の存在はこれら栄養的問題を解決する鍵となると考えられる.
著者
古屋 成人 土屋 健一 高木 正見
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本原産のイタドリが欧米諸国で大繁殖し、その被害拡大が深刻化している。そこで我が国のイタドリ群落に生息している植食性昆虫や植物病原菌類を利用した伝統的生物的防除法の開発を展開した。これまでに得られた研究成果に基づき、イタドリマダラキジラミの野外放飼実験が英国で開始された。しかしながら期待された防除効果は得られておらず、斑点病菌の撒布計画が立案されている。本研究では、斑点病についての生態学的知見を得る目的で、本病の発生状況、病原菌の接種条件の検討と分子追跡の手法の開発並びに発病に密接に関与した内生菌の探索などを行い、本病原菌を英国に導入させるための基盤を確立した
著者
志知 竜一 飯田 汲事 山内 常生
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.1241-1249, 1970-11

A remarkable strain step was recorded by the strainmeter at the Inuyama Crustral Movement Observatory which is located at a distance of about 48km from the epicenter of the Gifu earthquake of September 9, 1989, with the magnitude of 6.6. At the same time a rapid increase of discharged water in the observational gallery was also observed. These phenomena were also observed at the time of the off Nemuro (Hokkaido) earthquake of August 12, 1969, with the magnitude of 7.8. In the case of the off Nemuro earthquake the epicentral distance was about 1200 km. These strain steps and the abnormal increase of discharged water at the time of earthquakes were taken into consideration for the analysis of the crustal deformation accompanied by earthquakes and principal strains obtained from the calculations are listed in Tables 1 and 2, respectively.