著者
太田 隆英
出版者
金沢医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

Rhoファミリータンパク質の制御分子であるRhoGDIβ(Rho GDP-dissociation inhibitor β)は癌の悪性進展に関わることが知られているが、その役割は依然として不明である。本研究では、免疫蛍光染色法やGFP 標識RhoGDIβを用いてRhoGDIβの細胞内局在を明らかにするとともに、RNAiによりRhoGDIβをノックダウンした時の影響を詳細に観察し、RhoGDIβがcentrosomeの機能の制御や細胞極性の制御を通じて癌悪性伸展に関与することを示した。
著者
芳野 赳夫
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.899-903, 1961-01

1.目的 オーロラが出現したとき,その部分の高層大気中に局部的に電子密度の高い領域があると考えられている.その高電離気体から輻射される電波の性質を知ることはオーロラの発光機構を説明する一つの手ががりとなるので,或る角度に向け固定されたパラボラアンテナと3000MCの受信機によりノイズレベルを連続記録し,他部門のデータと比較研究する.2.結果 今回は記録装置に打点式を使用したこと,基地内部のノイズレベルが予想外に高かったため,必ずしも満足なデータを得られなかったが,オーロラおよび擾乱を受けた高層大気から輻射される3000MC帯の電波の存在が大略実証され,その地磁気,オーロラ強度,E_s電離層の突抜周波数の急変との相互相関もかなり良く,その詳細なる解析を続行中である.
著者
松尾 敏郎 西山 俊宏 松原 大典 木村 磐根
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.98, no.169, pp.15-22, 1998-07-09

オーロラヒスは準静電的ホイスラーモード波で, 低エネルギー電子ビームによるincoherent Cerenkov radiationによって発生すると考えられているが、この発生機構では地上でオーロラヒスが観測されているのにも拘らずヒスの波面法線角はレゾナンスコーン近い角度で下方伝搬するため電離圏を突抜け地上に到達するのは難しい。本研究ではオーロラ出現時の極域磁気圏の電子密度分析をISIS-I衛星のトップサイドサウンーダで観測された空間的な電子密度分布を考慮した電子密度モデルを導入する事により, 準静電的ホイスラーモードで伝搬するオーロラヒスが地上で観測されうる事を明らかにし, 特にオーロラが観測地点の赤道側に出現した時でも地上で観測される事を明らかにした。
著者
守嶋 圭 小野 高幸 林 幹治
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.205-230, 1993-11

1990年第31次南極地域観測隊により昭和基地において観測された多波長フォトメータデータより, 844.6nm (OI)光, 並びに670.5nm (N_21PG)光強度を用いて推定された降下電子のエネルギーパラメータの関係を, タイプAオーロラ, パルセーティングオーロラ, ブレイクアップ時のオーロラについて調べた。解析の結果, オーロラのタイプ別に, エネルギーパラメータは異なる関係を示すことがわかった。特にディスクリートオーロラでは, 降下電子の全エネルギーフラックス(E_<tot>)は平均エネルギー(E_<av>)の二乗に比例する関係(E_<tot>=K′・E^2_<av>)が多く見られた。この関係はディスクリートオーロラを励起する降下電子が沿磁力線電位差で加速されるという理論的予測と一致する。実際の観測例の中には上記の比例関係が見られないディスクリートオーロラも存在するが, その原因として, (1)通過するオーロラがフォトメータの視野範囲を十分覆っていない場合, 及び(2)磁気圏側の電子密度, 温度が時間的に変動している場合があることが示された。
著者
萬 伸介 森岡 正臣 田端 輝彦 森岡 正臣 田端 輝彦 西城 祐子 山尾 健一 小畑 達哉
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

林鶴一の算術・数学関係の教科書の蔵書のデータベース化の結果は冊子「資料『林文庫邦書目録原稿』(修正版)」としてまとめた。この冊子とそのリストにある蔵書(1065点)は宮城教育大学附属図書館で管理されることになった。公開に向けて作業中である。教材開発については、附属学校教諭と協力し複数の試案を作ることができている。授業実践も一回であるが実施することができた。
著者
塩川 和夫 小川 忠彦 西野 正徳 大塚 雄一 湯元 清文 斉藤 昭則
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

・平成13年7月に全天カメラ1式をアレシボ観測点(プエルトリコ)に持ち込み、アレシボにある大型レーダーと全天カメラによるTIDの同時観測を約2週間行った。この観測から、真夜中の赤道付近の電離層からやってくる1000kmスケールの大規模波動構造、200kmスケールの中規模伝搬性電離圏擾乱のそれぞれにっいて、レーダー・カメラ同時観測に成功した。・平成13年10月に、日本の磁気共役点にあたるオーストラリアのダーウィンに、上記のカメラを設置し、定常観測を開始した。同年10-11月にかけて、赤道域で発生したプラズマバブルが、日本の鹿児島県佐多観測点とダーウィンで同時に観測された。詳細な解析から、この構造が日本とオーストラリアでちょうど鏡像の関係になっていることが見出され、赤道プラズマバブルの構造が、南北の磁力管をつないだ非常に大規模な構造であることがわかってきた。・信楽・陸別で大気光イメージに観測された中規模伝搬性電離圏擾乱(MSTID)を統計的に解析し、その伝搬特性の季節変化、緯度変化を初めて明らかにした。さらに、DMSP衛星との同時観測例を詳しく調べることにより、MSTIDの波状構造に伴って電離層中に分極電場が生じていることを世界で初めて示した。・平成14年8月9日に鹿児島県佐多岬とオーストラリアのダーウィンで、MSTIDの大気光イメージング観測に初めて成功した。その結果、MSTIDが磁気赤道をはさんで南北半球でちょうど対称の形をしており、南北半球で1対1に対応することがわかった。この事実は、MSTIDが電離層の分極電場の構造を持っており、その電場が磁力線を通じて南北に投影されていること、を示している。さらに平成15年5月21日から6月7日に第3回FRONTキャンペーン観測を行い、オーストラリア中央部のRenner Springs(滋賀県信楽町の磁気共役点)に新たに1台の大気光全天カメラを設置したほか、国内外計7カ所で全天カメラによる伝搬性電離圏擾乱の総合観測を行った。この観測から、中規模伝搬性電離圏擾乱が、非常に良い南北共役性をもち、南半球と北半球で対称な構造を保ちつつ伝搬していることがわかった。
著者
戸苅 進
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学教育学部附属中高等学校紀要 (ISSN:03874761)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.44-47, 1970-03-25

第一報の実験群自体の中学段階での基礎資料を整える目的と,それと対比するための対照群としてのその前年および前々年の生徒について学年成績の変遷をまとめてみた。さらに,それらの間に見られるかもしれない何らかの傾向,ないしは早期の段階での信頼度の高い予見と,それに基づく軌道修正的な進路指導のための有力な仮説は発見できないものかとの,ねらいから,いくつかの角度からそれらの資料の分析を試みた。
著者
大空 鷹介 矢野 修一
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.87-92, 2008-11-25
被引用文献数
5

半数倍数性の性決定様式を持つナミハダニ雌成虫は未受精では雄しか産めないため,未受精雌の受精を早めるような適応が見られるかもしれない.母子交配が可能なナミハダニでは,この適応が息子の形質にまで影響している可能性がある.そこで,母親の受精の有無が息子の形質に与える影響について,1)母親を早く受精させるため,未受精雌の長男は(受精雌の長男より)早く成長するか,2)未受精雌の息子と受精雌の息子で雌を獲得する能力に差異があるか,3)未受精雌の息子と受精雌の息子で分散性に差があるか,の3つの仮説を検証した.その結果,母親の受精の有無という産卵前の母性効果も,母親が同居したかどうかという産卵後の母性効果も,認められなかった.一方,未受精雌の息子の方が受精雌の息子よりも先に雌をガードすることが多かった.また,分散性も未受精雌の息子の方が高かった.これは,受精雌の息子に比べて未受精雌の息子の周囲にはより低い雌比が予測されるため,未受精雌の息子が雌の探索やガードにより多くのコストを割いている結果だと考えられる.
著者
田中 義人 TRIVEDI N. VERSHININ E. HIDAYAT B. YEBOAHーAMANK ディ LYNN K. FRASER B.J. 野崎 憲朗 立原 裕司 坂 翁介 高橋 忠利 北村 保夫 瀬戸 正弘 塩川 和夫 湯元 清文 HYDAYAT B YEBOAH-AMONKWAH D ANISIMOV S. YEBOAHーAMANK ディー. 宗像 一起 桜井 亨 藤井 善次郎
出版者
山口大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

太陽風によつて運ばれる太陽プラズマのエネルギーは、地球の磁気圏の境界領域から極域に侵入しオーロラや地磁気擾乱をおこし、さらに磁気圏内部から赤道域まで流入し様々な現象を引きおこしている。磁力線で結ばれた日・豪の共役点を含む磁気軽度210度に沿った、高緯度から赤道域にわたる広域地上多点で、電磁場変動,極低周波のプラズマ波動やオーロラの光学同時観測を行い、関与する電磁波エネルギーや粒子エネルギーのグローバルな輸送・流入機構を調査した。また、流入した太陽風エネルギーが集積し、且つ、電離層高度にジエット電流が流れている赤道域の南太平洋域で電磁環境変動の総合観測を行った。さらに、赤道域の経度の離れた南アメリカのペル-とブラジルの多点観測網において電磁気変動の同時観測を行い、磁気圏全体の太陽風エネルギーの流入ルートやエネルギー変換過程を明らかする手がかりを得た。1、太陽風変動に呼応したグローバルな地球磁気圏の応答を明らかにするために、特に、空間変化と時間変動が分離できる210度磁気子午線沿いの広域多点観測を、アメリカ、インドネシア、オーストラリア、台湾、日本、パプア・ニューギニア、フィリピン、ロシア等の28研究機関との共同研究として実施した。210度地磁気データ、LF磁気圏伝搬波データ、光学観測のデータの解析研究を行つた。(1)、惑星間空間衝撃波や太陽風中の不連続変動によって引き起こされ、地上の低緯度で観測されるSc/Si地磁気変動の振幅が季節変化しており、特に、夏半球で冬半球のおよそ2倍になっていることが見いだされた。このことは、極冠域に侵入した変動電場により誘起されたグローバルなDP型の電離層電流の低緯度への侵入の寄与を示唆している。(2)、SC/Siにより励起されたほとんどのPc3-4地磁気脈動は磁力線共鳴振動であるが、SC/Siの振幅が極端に大きいときには、プラズマ圏のグローバルな空洞振動モードも励起されている。(3) SCにより励起されたPc3-4の振幅の減少率はL<1、5の低緯度の領域で急激に増加する。また、赤道側に行くほど卓越周期が長くなっていることが観測的に明らかにされた。この結果は、低緯度電離層における理論的な薄い電離層モデルの限界とマス・ロ-デング効果を表している。(4) L=1,6の母子里観測所で光学・地磁気観測から、Dstが-100nT程度の磁気嵐の主相の時に、時々、目には見難い低緯度オーロラが地磁気H,D成分の湾型変化と大振幅Pi脈動の発生と同時に出現することが明らかになった。(5)美瑛LFデッカ局(85、725kHz)の磁気共役点のオーストラリア・バーズビルでのLFで磁気圏伝搬波の観測データ、NOAA-6衛星での高エネルギー電子のデータ、低緯度の地上観測VLF/ELF電磁放射のデータの解析から、磁気擾乱の伴う磁気圏深部への高エネルギー粒子の流入の様子が明らかにされた。2、磁気赤道帯は赤道エレクトロジェットで知られる様に、電離層電気伝導度がまわりの緯度より高く、地磁気脈動や電離層電流の赤道異常が現れる等の興味ある地域である。しかし、地磁気に関する研究は低感度の記録データもとにするしかなかったため、現象の理解はあまり進んでいない。そのため、磁気赤道帯で高時間精度、高感度フラックスゲート磁力計による磁場観測を試みた。(1)、ブラジル内陸部の6点の密な観測網で比較的長期(半年)にデータを取得した。また、ペル-の磁気赤道をまたぐ4点に観測点を設置し赤道ジェット電流の観測を開始した。さらに新しい試みとして、南部太平洋ヤップ島で、地磁気と電離層FMCWレーダーとの同時観測を実施し成功した。(2)、高時間精度、高感度磁場観測により、赤道域での地磁気脈動の振幅がおよそ0、1-1、0nTの範囲にあることが分かってきた。(3)、高感度のデータから、日出に伴う電離層電子密度上昇による地磁気脈動の振幅変調や、電気伝導度の赤道異常が引き起こす地磁気脈動の位相遅れなどの新しい結果が得られた。高時間精度のデータからはSSCやPi2脈動のグローバルな構造、衛星データとの比較からPi2脈動の開始と関係した磁気圏粒子環境の変化(オーロラブレークアップ、サブストームオンセット)などの興味ある研究が始められた。(4)、赤道域での多点観測や電離層レーダーとの共同観測から、赤道ジェット電流の空間構造や赤道反電流と電離層電場との関係など興味ある研究が始められた。
著者
小野 芳 柳 雅之 工藤 善 手代木 純 輿水 肇
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.74-79, 2006-08-31
被引用文献数
7 9

本研究では,屋上緑化の熱環境への負荷低減効果を定量的に算定するための基礎データとして,屋上緑化の蒸発散量の測定を行った。使用した土壌は黒土とパーライト系の人工軽量土,土壌厚は7cm,14cm,21cmの3種類であり,各土壌厚につき裸地と3種の植物の計4試験区を設け,夏・秋・冬・春の4シーズンの蒸発散量を小型ライシメータの重量減少によって測定した。その結果,黒土区で人工軽量土区より植物生育が悪いものが多く,蒸発散量が抑えられ,黒土区のペチュニアの8月の蒸発散量は裸地より少なかった。各土壌厚の中で8月の蒸発散量が最大だったものは,人工軽量土区のローズマリー(Rosmarinus officinalis L.)が7.2kg/m^2/day,人工軽量土区のバーベナ(Verbena.×hybrids)が12kg/m^2/day,黒土区のオオムラサキツツジ(Rhododendron pulchrum Sweet cv. Oomurasaki)が14kg/m^2/dayであった。
著者
藤井 聖 中尾 嘉宏 中村 豊 藤川 和利 砂原 秀樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.118, pp.103-108, 2003-11-26
被引用文献数
4

高機能なエッジルータでは、トラフィックをフローと呼ばれる単位で集約し、そのサマリ情報を出力する機能が提供されている。提供されたサマリ情報を蓄積し、分析することにより、トラフィックに関する様々な情報を得ることが可能であり、ネットワーク運用への貢献が期待されている。我々の研究グループでは、そうした情報を利用することで、ワームやDoS攻撃、P2Pなど、様々な特徴を持ったトラフィックを検出可能なシステムを提案し、運用している。本稿では、提案システムの概要および構成について述べる。また、8月に奈良先端科学技術大学院大学において、本システムによりW32/MSBlaster、W32/Welchiワームの検出が行われた事例について報告する。High-performance edge routers have a function to observe packets as flows and to export summary information of the flows. By storing and analyzing the summary information, we can get various kinds of traffic information, which is expected to contribute to the network management. We proposed a system, which can detect specified traffics, such as worm activities, DoS attacks, and P2P traffics by using the information, and we also have been managing our system. In this paper, we describe a structure of our system. In addition, we also discuss how our system was applied to detect W32/MSBlaster and W32/Welch worms in August, 2003 in our campus.
著者
山田 悠 鈴木 英之進 横井 英人 高林 克日己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.30, pp.141-146, 2003-03-13

本論では,時系列属性を含むデータから決定木を学習する新しい方式を提案する.時系列属性は,値と時刻のペアについてのシーケンスとして表される時系列データを値にとる属性であり,種々の実応用問題に頻出するために重要であると考えられる.われわれが提案する時系列決定木は,内部ノードに時系列データを持ち,時系列データに関する距離に基づいて例集合を分割する.最初に動的時間伸縮法に基づく基準例分割テストを定義し,次にこれを用いた決定木学習法を示す.実験の結果,提案手法は他の手法に比較して理解しやすく正確な決定木を学習でき,ることが分かった.さらに医療問題への適用の結果,時系列決定僕は知識発見に有望であることが分かった.This paper proposes a novel approach for learning a decision tree from a data set with time-series attributes. A time^series attribute takes, as its value, a sequence of values each of which is associated with a time atamp, and can be considered as important since it fruquantly in real-world applications. Our time-series tree has a time sequence in its internal node, and splits examples based on similarities between a pair of time sequences. We first define our standard example split test based on dynamic time warping, then propose a decision tree induction procedure for the split test. Experimental results confirm that our induction method, unlike other methods, constructs comprehensive and accurate trees. Moreover, a medical application shows that our time-series tree is promising in knowledge discovery.
著者
竹久 妃奈子
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

申請者は、世界で初めて塩害水田において選抜された耐塩性系統6-99Lの耐性に浸透圧ストレス耐性機構が関与していること、その原因遺伝子が1遺伝子であり、第6染色体に座上している可能性を示した。さらに申請者は、その遺伝子が、塩害水田におけるイネの草丈や千粒重、整粒歩合を高く維持する能力を有することを示唆した。本研究の結果、この1原因遺伝子を調節することによって、野外の塩害水田におけるイネ育種が可能となる可能性を示した。
著者
奥 俊夫 千葉 武勝 土岐 昭男 小林 尚
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.206-210, 1976-10-25
被引用文献数
1

東北地方における1971年初夏のアワヨトウの多発が,外部からの成虫群の侵入に起因することはすでに推測されているが,飛来期について再検討の余地があった。奥山・富岡の飼育実験値に基く蛹化期からの逆算,風向風速の観測値による南西風が優勢な日の検出,天気図による広域の気流条件の検討及び東北地方における成虫誘殺結果から判断して,中国大陸の河南省方面に起源する成虫群が低気圧の移動に伴う連続風によって6月4日夜に東北地方に飛来した可能性が大きいと考えられた。また,奥羽山脈の東側への侵入絡路についても若干の考察を行った。
著者
中山 恒義 兼下 英司
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2010

本研究はオフセンター内包イオン間の長距離相互作用が誘起するカゴ状クラスレートのTHz振動数領域での特異な物性について研究するものである.内包ゲストイオンの対称性が破れた系は、ガラス的な熱伝導を示し、熱電変換指数ZTが1を越えることが実験的に示され特に最近注目されるようになった.また極低温での熱電物質クラスレートに関するTHZ振動数領域での実験結果は結晶のものとは全く違う比熱や熱伝導性を示す.これらが構造ガラスと同じ振る舞いを示すことが重要である.本年度は10K領域で観測されるプラトー熱伝導についてオフセンターにゲストイオンを含む一般的系に対して成立する理論式を立て興味ある結果を得た.それらを要約すると、1.プラトーは対称性が破れたゲストイオンの回転モードと籠ネットワークがつくる音響フォノンとの結合状態を反映したものである.2.これによりフォノン分散関係が平坦化することで熱伝導が強く制限されることが明らかになった.3.フォノン分散関係を計算することでこれを明らかにし、音響フォノンンと回転モードとの結合定数がそのランダム性を反映しブロードになることが分かった.4.これがガラスで普遍的に観測されるボソンピークの起源であることが分かった.これらの結果から、効率の良い熱電変換物質の設計指針を与えることができることになった.ガラスで普遍的に観測されるボソン・ピークの起源に関する研究は純粋にアカデミックなものであったが、高効率の熱電変換物質の設計に役立つことが分かったのは大きな成果である.
著者
倉田 博之 清水 和幸 清水 和幸
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

生体分子ネットワーク中に埋め込まれている生物学的基本回路の構造と機能の関係(設計原理)を体系化して,合成生物学の基盤となるデータベースを構築した。それを基にして,基本回路の複合化システムである大腸菌中央代謝経路(解糖系+TCA回路+ペントースリン酸回路)の設計原理を解析して,それを合理的に設計するための遺伝子組換え戦略を提案した。物質生産の基盤である中央代謝経路を再設計することによって,エタノール発酵系や乳酸発酵系の生産性を向上させて,環境エネルギー問題に貢献する。
著者
長坂 成行
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.32, pp.59-74, 2004-03

島津家本『太平記』は、江戸前期の『参考太平記』で異本校合の対象となった写本で、また巻一を中心とした特異な詞章が注目され『太平記抜書』の類も作成された。が以後、長く所在不明でその全貌は明らかでなかった。薩摩の『島津家文書』は東京大学史料編纂所に一括して収められており、その中に当該写本が存在することを、近時確認した。小稿は島津家本『太平記』の本文の特徴について巻ごとに調査したものである。その結果、巻一は他本のどれとも同定できない独自の本文を持つが、巻二以降は古態本の中の神宮徴古館本と同じ系統であることが明らかになった。本稿は巻二十までの報告である。後半の調査の結果も今回の結論と矛盾しない。