著者
森脇 由隆
出版者
特定非営利活動法人 日本バイオインフォマティクス学会
雑誌
JSBi Bioinformatics Review (ISSN:24357022)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.47-60, 2022 (Released:2022-11-01)
参考文献数
61
被引用文献数
1

タンパク質を構成するアミノ酸配列からその安定な立体構造を予測することは、生命科学の研究において非常に重要な意味を持っている。このために多くの実験研究者は60年以上に渡って1つ1つのタンパク質の構造を決定し、計算科学者は30年以上もの間、立体構造予測の技術を進化させてきた。2020年11月30日にDeepMind社が発表したAlphaFold2は、わずかな時間でアミノ酸配列からその立体構造を極めて高い精度で予測できることを示し、さらにはこれが2021年7月16日(日本時間)に無償で一般に使用可能となったことで、生命科学全般の研究に大きな影響を与えた。本稿ではAlphaFold2に至るまでの歴史的経緯、その予測手法、AlphaFold2が与えた影響と将来の展望について紹介する。
著者
伊藤(高山) 睦代
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.124, 2022 (Released:2022-05-12)
参考文献数
20

【要旨】2020 年5 月に日本では 14 年ぶりとなる狂犬病の輸入症例が発生した。患者はフィリピンで犬に咬まれてから8 ヵ月後に発症し、治療の甲斐なく約1 ヵ月後に亡くなった。狂犬病は狂犬病ウイルスにより引き起こされる致死的な神経感染症であり、世界では年間推定 59,000 人が亡くなっている。日本は 1957 年の清浄化後国内での発生はないが、これまでも 1970 年と 2006 年に計3 件の輸入症例が報告されている。狂犬病は一度発症すると有効な治療法はないが、長い潜伏期を利用して咬傷後すぐにワクチン接種を行うことにより、ほぼ100%発症を予防できる。渡航者への啓蒙活動と医療関係者への注意喚起が重要である。

153 0 0 0 OA きしゃでんしゃ

出版者
トッパン
巻号頁・発行日
1953

けーぶるかー・でんききかんしゃ・湘南電車等の天然色写真図版13図を収める。 (日本図書館協会)
著者
平田 圭 増田 利隆 松本 義信 長尾 光城 長尾 憲樹 松枝 秀二 守田 哲朗
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.341-345, 2000

運動を行う時間帯の違いが脂肪燃焼に与える影響について明らかにすることを目的として検討を行った.1.静脈血および指頭血の血中遊離脂肪酸(FFA)濃度の関係について被験者は, 健康な一般成人女性20名(平均年齢21.7±0.9歳)とした.早朝空腹時, 座位安静状態において静脈血, 指頭血の順に採血を行い, 血中FFA濃度を測定した.全被験者の静脈血FFAおよび指頭血FFAの間に有意な正の相関(r=0.813,p<0.001)が認められ, 血中FFA濃度の定量が指頭から採取した血液で可能であることが明らかとなった.2.空腹時および朝食・昼食摂取2時間後の運動中の呼吸商(RQ)および血液性状の変化被験者は, 健康な一般成人女性5名とした.運動は自転車エルゴメータを用い, 60%VO_<2max>の運動強度で30分間行った.運動実施時刻は, 空腹時9 : 00a.m.(空腹時運動群), 朝食摂取2時間後(朝食後運動群), および昼食摂取2時間後(昼食後運動群)の3回とした.運動中の酸素摂取量(V0_2), 呼吸商(RQ)を測定した.採血は安静時(0分), 運動開始20分後, 25分後, 30分後の計4回行い, 血糖値, 乳酸値, 血中FFA濃度を測定した.空腹時運動群のRQは運動開始20分値, 25分値がそれぞれo.83±0.13,0.84±0.12であり3詳聞で最も低値を示した.しかし, 運動開始30分後では昼食後運動群が空腹時運動群と同じ値となった.空腹時運動群の血中FFA濃度は運動中に増加傾向を示した.昼食後運動群の血中FFA濃度は安静時(0分)において朝食後運動群より低値であったが, 運動開始後増加し, 30分後には朝食後運動群より高値となった.以上の結果から, 空腹時, 朝食摂取2時間後, 昼食摂取2時間後の3条件において30分間運動を実施する場合, 昼食摂取2時間後における運動開始30分後に空腹時と同様に脂肪燃焼が亢進することが明らかとなった.
著者
山本 かほり 野入 直美
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

愛知朝鮮中高級学校での参与観察および学生,卒業生,教員,保護者へのインタビュー調査,行事への参加などを通じて,朝鮮学校での日常およびその意味を考察してきた。さらに朝鮮民主主義人民共和国への修学旅行」にも同行調査を行い,朝鮮学校の生徒たちにとっての祖国の意味を考察した。朝鮮学校が当事者にとってもつ意味は,朝鮮人としての肯定的アイデンティティを形成し,日本においても朝鮮人として生きていくことの自己肯定感の育成,そして,朝鮮半島を「祖国」として考えつつ,日本において何ができるかを考える遠隔地ナショナリズムが育成されていることを考察した。
著者
Liying Dong Shasha Hu Jianjun Gao
出版者
International Research and Cooperation Association for Bio & Socio-Sciences Advancement
雑誌
Drug Discoveries & Therapeutics (ISSN:18817831)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.58-60, 2020-02-29 (Released:2020-03-08)
参考文献数
19
被引用文献数
939

The SARS-CoV-2 virus emerged in December 2019 and then spread rapidly worldwide, particularly to China, Japan, and South Korea. Scientists are endeavoring to find antivirals specific to the virus. Several drugs such as chloroquine, arbidol, remdesivir, and favipiravir are currently undergoing clinical studies to test their efficacy and safety in the treatment of coronavirus disease 2019 (COVID-19) in China; some promising results have been achieved thus far. This article summarizes agents with potential efficacy against SARS-CoV-2.
著者
大木 清弘
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.10, pp.509-522, 2016-10-25 (Released:2017-02-25)
参考文献数
18

本稿は経営学分野の学術論文における「筋が悪い」リサーチクエスチョンを説明したものである。まず、学術的ではないビジネスレポート的リサーチクエスチョンを取り上げる。次に、学術的だが筋の悪いリサーチクエスチョンとして、(1)「無知」によるリサーチクエスチョン、(2)「無謀」なリサーチクエスチョン、(3)「無理矢理」なリサーチクエスチョンをとりあげる。その上で、「筋が悪い」リサーチクエスチョンに陥らないために考慮すべきことを議論する。
著者
和田 一範
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.100-120, 2018-10-01 (Released:2020-01-01)
参考文献数
13

防災の基本は,自助・共助・公助である。自助・共助・公助を語るにあたっては,自助・共助と,公助との連携を考えることが重要である。 自助・共助は,災害に際して,単に避難をするだけではない。また,これを支援する公助も,単に公的な支援の拡充という視点で展開するのではなく,自助・共助側からの発信を受けて,これに応える形で施策を展開してゆく,真の協働のパートナーとしてとらえてゆくことが重要である。 自助・共助側からの自主的な取り組みにこそ,大きな意味と効果がある。公助の推進にあたっては,自助・共助から発信する必要性に基づく,公的な支援,公助の展開をシステム化する。 自助・共助と,公助との連携を社会システム化し,継承してゆくことが重要である。 上杉鷹山の三助,武田信玄の竜王河原宿,信玄堤の神輿練り御幸祭と三社御幸の故事から,これらの教訓をひもとき,つないでゆくことの重要性を再認識する。
著者
坪口 昌恭
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報研究 = Journal of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:18825370)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.21-39, 2018-03-31

バリー・ハリスのメソッドは、平均律12 音のクロマチックスケールを大前提とし、それを二つに分けたホールトーン・スケール、三つに分けたディミニッシュ・コードがビバップ・ジャズにおけるDNA だというとらえ方からスタートする。これはドミナント7thコードを捉える上でもっとも根源的かつシンプルな法則であり、1950 年代までのジャズ・サウンドを表現する上で欠かせない要素である。一方ダイアトニックコードはオープン・ヴォイシングで習得することで、ジャズ特有の響きやアプローチがしやすくなる。また、主要なコードを6th コードとして捉えることもバリー氏の特徴であり、ディミニッシュ・コードと組み合わせることにより、コードネームやスケールだけでは表現できない、味わい深い音の動きを作り出すことができる。ここでは主にピアノでの演奏を想定したコードに対する様々な音の動かし方を紹介する。
著者
貞包 英之
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 社会科学 = Bulletin of Yamagata University. Social Science
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.93-110, 2013-02-15

In this paper, we elucidate how suicide related to life insurance has played a crucial role in the social life of Japan since World War II. In particular, since Japan’s period of high economic growth, it has been observed that suicides by middle-aged men, who tend to have higher life insurance subscription rates than other people, have drastically increased and that economic problems have occupied a more important role as the cause of such suicides. This transformation has a significant connection with the rapid spread of life insurance, which has been caused by the growth of the finance systems of small- and medium-sized enterprises, as well as the development of the nuclear family during the postwar period. Life insurance has supplied a large amount of capital for these enterprises and has enabled families to survive after a loved one’s death. As a result, suicide in connection with life insurance has been deeply imbedded in contemporary Japanese life. This reason for suicide has been utilized as a major means of donation to others and a symbolic challenge to the wealthy. Although it is estimated that suicide in connection with life insurance is now decreasing due to the transformation of economic conditions since 2000 and the changes in life insurance agreements, this sociological significance of suicide has not been lost.