著者
木島 泰三
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.31-48, 2012-10

In another article, I proposed an interpretation of Spinoza’s view on causality, according to which Spinoza conceived every kind of causation as a peculiar type of agent causation, namely, deterministic agent causation. And in this paper, I will apply this reading to Spinoza’s theory of complex bodies and reconsider its conceptual structure from the point of my Spinoza-as-agent-causalist interpretation. Agent causation is a kind of causation in which an agent is the cause and its action is the effect. In Spinoza, the substance or God is the agent-cause and the "modes" are its effects, and again, the modes - which are the "affections" of God and amount to particular individuals such as human bodies or other bodies - are the agent-causes and (at least some of)their affections are their effects. Namely, both of God and his modes are the causes of their affections. In Spinoza’s terminology, such kind of cause is called "immanent cause". In the case of modes, they are also "transient causes" that have their effects outside them. And in causation between modes, both of immanent cause and transient cause have their own causal contribution in the effect. We saw this model of causation has at least three levels of causal terms: substance, modes and affections of modes. Now one can ask whether there are more levels, for example, affections of affections of modes. I reply to this question affirmatively. Indeed, these levels are so many as the number of the levels of complex bodies. Above structure of causation must be preserved in the production of complex bodies, e.g. human bodies, by other individuals. In the case of a human body, the transient causes of it are the external bodies which are necessary for production and preservation of the body. And its immanent causes are its composing bodies collectively determined to compose the body. Therefore, a human body is causally dependent on its components wholly, just as the modes on God or the bodily affections on its body. Again, these composing bodies are caused immanently by bodies composing these composing bodies, and so forth until most basic particulars or the "simplest bodies". So, the simplest bodies are the first order modes, and every other (complex) body is caused immanently and determined by the simplest bodies. This conclusion we got may sound very similar to the reductionist view of human body (or human mind). But it also has similarity to the emergentist view as well. For, it acknowledges distinct reality of human bodies or composed individuals generally, because they have immanent causal powers.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1653, pp.80-82, 2012-08-06

「明日の予想最高気温は33度。午後1〜5時の電気料金は1キロワット時当たり75円になります」 夏のある夕方。北九州市八幡東区の東田地区に住むAさんのタブレット端末に、こんな通知が届いた。通常の日であれば、この時間帯の料金は15円。だが、明日は5倍も高くなる。翌日、Aさんは午前中に掃除や洗濯を済ませると、エアコンや照明を切って近所の図書館に出かけた――。
著者
中川 国利
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.11, 2018-01-20

忘年会や新年会などで,酒を飲む機会が多い季節を迎えた.飲酒運転に対する社会の目は厳しく,今や犯罪として処罰される.では診療上における飲酒は如何であろうか. 運送業界や航空業界では,就労12時間前からの禁酒が規定されている.さらに就労時には,呼気におけるアルコール濃度測定を義務付けている会社も多い.したがって午前8時半から仕事に従事する場合には,前日の午後8時半からはソフトドリンクしか飲めないことになる.
著者
栗島 明康
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.76-87, 2014

The Sabo(Erosion Control)Act and the River Act, which date back to 1897 and 1896 respectively, constitute a basic legal framework for water-related disaster prevention policies in Japan. Added to the Forest Act, legislated in 1897, they have sometimes been labelled "three acts on flood control ". Being one of the oldest piece of Japanese legislation in effect, the Sabo Act preserves, for the most part, its original contents and style, but the historical facts and circumstances which led to its enactment remain overall unclear. Referring to the process of the enactment of the River and Forest Acts and the political and economic background in that era, this study seeks to clarify the significance of the institution of the Sabo Act, which includes integration of flood control policies in lower and upper reaches of rivers, incorporation of regulatory measures to Sabo scheme and facilitation of financial aid to local authorities.
著者
金澤 淑子 川名 麻依子 勝間田 麻衣
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.297, 2008

手術を受けた婦人科悪性疾患患者の受診に対する抵抗感に関する意識調査<BR>金澤淑子1)川名麻依子1)勝間田麻衣1)<BR>1)神奈川県厚生連伊勢原協同病院<BR>〈緒言〉婦人科には、内診という特有の診察法があり、診察対象が生殖器であることから、患者は強い羞恥心を抱く。苦痛を伴う検査、処置が行われる場合もあり、不安、恐怖心がある。さらに、プライバシーの問題もあり、他科受診に比べ受診への抵抗感が強いと考えられる。私たち病棟看護師が手術を通して患者と関わる中、悪性疾患で手術を受けた患者から術後、「婦人科にかかるのはやはり躊躇した。でも、もう少し早く受診していればこういう結果にならなかったのかもしれないと今は思うようになった。」などの声が何度も聞かれた。そこで、婦人科受診への抵抗感に関する要因を明らかにし、その抵抗感がどのような影響を及ぼすのかを分析することを目的とし調査を実施した。その結果より、今後の看護援助のあり方に示唆を得たので報告する。<BR>〈方法〉2003年1月から2007年6月に当院において婦人科悪性疾患(子宮頸がん、子宮体がん、上皮内がん、卵巣がん)で手術を受けた患者135名を対象に郵送法による質問紙調査を実施した。(調査期間)2007年7月12日~8月10日(調査内容)1)対象の背景・年齢、婚姻、出産、手術後の化学療法、現在の体調 2)症状出現から受診までの期間 3)婦人科受診に対する抵抗感 4)抵抗感に関連した要因「男性医師による診察」「内診」「プライバシー」「検査や処置の内容」「検査や診察に伴う痛み」「施設や設備」の6項目を多肢選択法とした。(倫理的配慮)各対象者に対して質問紙は無記名とし、質問紙前文で調査趣旨、協力の可否は対象者の個人的意思に基づくものであること、個人が特定されないようにデータ管理は厳重に行うことを説明し、回収は郵送法とした。(分析方法)統計ソフトSPSS を用いて、記述統計および独立性の検定を行った。<BR>〈結果〉質問紙の回収率は68.1%であった。対象者の平均年齢は54.6歳であり、術後化学療法を行った患者は32.6%であった。術後、進行度により補助療法として化学療法が行われる。本研究において、術後化学療法を行った患者は対象者全体の約1/3であり、病期が進行していた患者が多いことがうかがわれる。受診への抵抗感について「あった群」は57.6%であった。症状出現から受診までの期間が3ヶ月以上の患者が42.4%と最も多く、1ヶ月以内が32.6%、最も短い1週間以内は25.0%であった。抵抗感と受診までの期間、受診までの期間と化学療法には有意傾向にある差が認められた。(P<0.01 社会学的統計処理による)抵抗感に関連した要因として「内診」がどの年齢層においても最も多く、40.7 %であった。続いて「検査や処置の内容が不明で不安がある。」が24.0%であったが、30歳代でこの項目を選択した患者はいなかった。以上のことから、受診への抵抗感を軽減することが受診までの期間を短くし、受診までの期間を短くすることが病気の進行を遅らせる可能性があると示唆された。そのために私たち看護師に最も求められることは羞恥心を低減させるための身体露出に対する配慮、予期不安を低減させるための婦人科受診についての情報の提供であると考えられる。身体露出部位、露出時間を最小限にするための配慮と患者が安心できるような雰囲気づくりに努め、外来待合室などでの検査、処置内容の表示など患者が手軽に情報を得られるような環境づくり、地域での情報公開活動などを今後検討していきたい。
著者
鄭 明傑 西谷 義彦 中原 信生
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.72, pp.85-93, 1999
参考文献数
15
被引用文献数
2

蓄熱式空調システムの適切な運転制御を行うためには,あらかじめ翌日の熱負荷を予測する技術が不可欠であり,これまでにも種々の手法が提案されている.本報では"カルマンフィルタを用いた予測法"に注目し,その四つの適用法を用いて二つの建物の負荷予測を行った結果の比較により,本計算に用いた熱負荷予測式における入力変数は冷房期の負荷予測に対して,推定負荷,外気温度,予想最高気温が最も有効であることを示した.また,カルマンフィルタを用いた予測法による熱負荷予測では,トレンドに対する追従性が優れていることも示した.
著者
仲田 郁子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.32, 2005

1、目的<BR>自分らしく充実した人生を送るためには、生活設計を立案し自らの課題について考えることが不可欠である。しかし十代半ばの高校生には、何十年も先まで考えることは簡単なことではない。近年は社会変動の激しさに伴うフリーターの増加や未婚化・少子化の進行などの問題点が指摘され、また就職活動に取り組もうとしない若者が増えていることなど、従来は見られなかった問題も注目されてきており、高校生にとっては、学校を卒業してから精神的・経済的に自立するまでの移行期の過ごし方を考えることが特に重要であると考えられる。就職や結婚などに関する意識は、性別や進路の違いによって相当大きいことが予想されるが、これらについて今までに充分研究がなされているとは認められないことがわかった。<BR>そこで本研究では、高校生が学校卒業後の生き方についてどのように考えているか調査を行い、男女差と進学志向に注目して、その特徴と課題を明らかにすることを目的とする。<BR>2、方法<BR>ほぼ全員が大学進学を希望していると考えられる高校2校(都立高、千葉県立高各1)と、多様な進路選択が行われていると考えられる高校2校(都立高、千葉県立高各1)の計4校を選び、各校の家庭科担当教諭に依頼して質問紙調査を行った。対象は1年生、調査時期は2004年11月から2005年2月、回収数は647(男子302、女子345)である。<BR>3、結果<BR>調査は高校生の(1)親との関係と成育環境、(2)職業選択・結婚・自立に関する意識、(3)現段階での自立度と興味関心、(4)生活設計のための資源の4点について行った。今回は(2)と(4)について報告する。<BR>職業選択で重視する点については全体に大きな違いは見られず、「安定していて雰囲気が良く、自分がやりたい仕事」が挙げられていた。働き方についても大きな違いは見られなかったが、男女別に見ると、どの高校でもフリーターについては男子の方が「長く続けるべきではない」と考えていることがわかった。「就職のことを考えると不安になる」者は進路多様高の男子に多く見られ、女子は男子に比べて、人間関係に不安を持つ者が多かった。<BR>結婚については「するつもりはない」とする者は大変少なく、結婚志向は高い。「フリーターとは結婚したくない」と考える女子は男子と比べて多かった。「長男には特別な役割がある」、「理想的な女性の生き方は専業主婦」とする者は今回の調査ではかなり少なかった。「子どもが3歳になるまでは母親は家で子育てをするのがよい」とする者は進路多様高の女子には比較的多く見られたが、全体では「女性も働き続けるのがよい」とする者が多かった。<BR>自立したと言えるのはいつかという問いに対しては、全体では「就職して自活が可能になった時」が最も多かった。進路多様高の女子ではそれ以外に「親元を離れた時」とする者が多く、男子では同様に「親元を離れた時」と「就職した時」が多かった。<BR>自分の生活設計を考える時、どのような資源を利用したいかについては、男子は「自分で勉強する」と答えた者が最も多く、続いて「学校での進路指導」や「アルバイトの経験を生かす」が挙がった。女子もほぼ同様であるが「親や友人と相談して考える」とする者が男子より多かった。「授業の中で考える」を選んだ者は男女共大変少なく、彼らも教科としては現代社会や政治経済、総合的な学習を挙げており、家庭科はごく少数の者しか選択していなかった。<BR>高校生は就職や結婚について真面目に考えてはいるが、生活設計として積極的に捉えることは充分にできていないように思われる。
著者
市川 順子 笠原 彩 西山 圭子 小高 光晴 小森 万希子
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.381-386, 2019

<p>過去3年間の血液製剤使用拒否患者を対象とした手術について準備書面,手術・麻酔状況などを調査した.緊急手術の1名を除き,8名全員から術前に本人による輸血拒否と免責に関する証明書が提出された.術前の予測出血量は少量から500mLであり,7名がアルブミン製剤投与,2名が回収式自己血輸血施行を承認していた.術中の出血量は少量から350mLであり,血液製剤を投与された者はおらず,予測出血量が少ないため術中に出血対策を施行された者もいなかった.相対的無輸血という対応指針のもと,予測出血量が少ない症例に限り絶対的無輸血治療方針で対応していた.回収式自己血輸血や血液製剤使用など同意範囲の拡大に努める必要がある.</p>
著者
齊藤 亜由子 木澤 悟 雑賀 高
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.4_40-4_45, 2021 (Released:2021-08-01)
参考文献数
13

In this paper, we focused on researchers in the engineering field and examined the relationship between career self-reliance and the experience of writing research papers. We conducted a questionnaire survey on the research paper writing experience and career self-reliance for researchers in the engineering field who had experience as professors in higher education institutions. As a result, we found that “A sense of achievement and growth experience gained by writing a research paper” affects both “Psychological aspects of career self-reliance” and “Behavioral aspects of career self-reliance”. Especially, the survey results demonstrated that “A sense of achievement and growth experience gained by writing a research paper” affects “Professional self-efficacy” and “Adaptation behavior to changes in the work environment”.
著者
下村 政嗣
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.267-274, 2020 (Released:2020-06-10)
参考文献数
26

「持続可能な開発目標(SDGs)」策定の背景となる「人新世」や「プラネタリー・バウンダリー」に象徴される人間活動が地球環境に大きな影響を及ぼしつつある時代において,持続可能性を回復する循環型経済システムへ移行しようとする動向がある。今世紀になり,ナノテクノロジーの世界的な展開と相俟って新しい展開を迎えたバイオミメティクスは,分子レベルの材料設計からロボティクスの分野を超えた,建築,都市設計,に至る“生態系バイオミメティクス”と称すべき幅広い分野に広がっている。バイオミメティクスの手本である生態系は,再生可能な太陽光エネルギーを駆動力とした生産,食物連鎖による消費,代謝による分解によって,「ゆりかごからゆりかごへ」の完全なる物質循環系を植物・動物・微生物からなる生物多様性が可能としている。生物多様性からの技術移転をもたらすバイオミメティクス・インフォマティクスと,人と生物の界面がもたらす循環型経済の観点から,バイオミメティクスを巡る世界動向を紹介する。
著者
井原西鶴 著
出版者
山海堂出版部
巻号頁・発行日
vol.巻4, 1937
著者
井戸田 一朗 日台 裕子 菊池 賢 山浦 常 戸塚 恭一 高橋 純生 長田 広司 清水 勝
出版者
日本エイズ学会
雑誌
日本エイズ学会誌 (ISSN:13449478)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.17-22, 2002

目的: 当院で経験したHIV感染症例の臨床像および背景について検討する.<BR>対象及び方法: 1988年から2000年の間に, 当院にてHIV抗体陽性が判明した26症例を対象とし, 保存されている22症例の病歴を中心に調査した.<BR>結果: 患者背景として, 全例男性であり, 判明時の平均年齢は42歳 (n=26) であった. 日本人が22名, 外国人は4名で, 外国人のうち1名は行旅病人法の適用を申請した. 感染経路では異性間接触が8例, 同性間接触が8例, 両性間接触が2例であった. 初診時のCD4値は平均193/μl (n=22) で, AIDS発症は9例, ARCは9例に認め, 食道/口腔カンジダ症が10例と最も多かった. 性感染症の合併として, 活動性の梅毒を7例, アメーバ赤痢を4例, 急性A型肝炎を2例認め, その多くはMSM (Men who have Sex with Men) であった. HIV陽性判明のきっかけとして, 検査や術前のスクリーニングでの判明が4例, 他疾患にて通院中にARCを発症して判明した例が3例, また救急外来搬送後に判明した例が3例あった.<BR>考察: 当院は1997年12月にエイズ拠点病院に選定された. 当院の特徴として1日の平均外来患者数4,270名, ベッド数1,423床と病院全体としての患者数が多く, 日常診療の延長におけるHIV抗体陽性例が増加している. 一般病院においても, 救急外来や性感染症担当科での陽性発生を想定した準備が必要と考えられた.
著者
福岡 英明 Hideaki Fukuoka
出版者
松山大学
雑誌
松山大学論集 (ISSN:09163298)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.181-212, 2005-04
著者
山中 雄次
出版者
静岡県立大学経営情報イノベーション研究科
雑誌
経営情報イノベーション研究 = Reveiw of management and information of innovation (ISSN:21872325)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.13-40, 2019-10

本稿は、 海外の先行研究を参考に、 わが国の都道府県の行財政改革大綱等を対象とした内容分析 (Content Analysis) により、 国の方針のもとで NPM が推進されていた2005年当時と2018年時点の NPM の記載状況を比較した。 その結果、 わが国の都道府県は2005年当時でも NPM のワード自体の記載あるいは NPM 全要素の記載を行うことは限定的だった。 そのような中でも、 "市場機構の活用"のうち"民間委託"及び"指定管理者制度"には積極的な姿勢がみられた。 その後2018年は NPM のワード自体が見られなくなった。 また、 "成果志向"には前向きな姿勢が残るものの、 "顧客志向"及び "組織内分権"の記載は減少し、 "市場機構の活用"もトーンダウンした。 一方、 Post-NPM とされる多様な主体とのネットワークを示す"協働等"の記載のうち、 "水平的ネットワーク"を意図するものは、 2005年、 2018年ともにみられた。 ただし、 "水平的ネットワーク"と NPM の思潮を汲んだ契約関係に基づく"垂直的ネットワーク"の同一視が進み、 協働等の意図する概念に拡大がみられるなど、 協働等に NPM が影響を与えてきた可能性も残る。 本研究から、 わが国の都道府県では、 NPM から Post-NPM へと概念が入れ替わったのではなく、 実際は NPM として導入された取組は取捨選択され、 適する形に組み込まれ、 運用されていると考えられる。
著者
市川 竜太郎 小林 秀 小倉 あい
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

<b>目的<br></b><b></b>消費者が行う野菜の冷蔵保存の方法として、購入した状態のまま保存するか、食料保存袋に野菜を入れ替えて保存する方法が一般的に行われている。一方、野菜類は保存中に傷ませた経験のある食材であり、鮮度を保持する方法を知りたい食材として挙げられている。そこで、野菜としてホウレンソウを用い、保存方法の違いが保存後の鮮度に及ぼす影響について検討した。&nbsp;<br><b><br>方法<br></b>ホウレンソウは東京都内にて購入した市販品をそのまま供試試料とした。重さ約100gのホウレンソウをそのまま保存した場合、食料保存袋に入れて保存した場合、および含水不織布でホウレンソウを包み食料保存袋に入れたものを2週間家庭用冷蔵庫にて保存し試験に供した。保存後のホウレンソウの鮮度は、重量、ガス(O<sub>2</sub>,CO<sub>2</sub>)濃度、色差計による色調変化、官能評価(指標として、総合的な新鮮さ・しおれ・傷み・黄変・可食の可否)を行った。&nbsp;<br><b><br>結果<br></b>各々の条件で保存したホウレンソウの重量を測定した結果、含水不織布で包み食料保存袋で保存したものは、保存前と比較し重量が約10%増加していた。一方、ホウレンソウをそのまま保存した条件では保存前と比較し約17%の重量減少が認められた。食料保存袋にて保存した条件では顕著な重量変化は認められなかった。また、ガス濃度を測定した結果、保存条件の違いによる差は認められなかった。しかしホウレンソウの色調変化では、含水不織布で包み食料保存袋にて保存したものが最も緑色を維持しており、次いで食料保存袋による保存、そのままの状態での保存の順で葉の黄変が認められた。また、各保存条件で保存したホウレンソウの官能評価では総合的な鮮度で相違が認められ、含水不織布で包み食料用保存袋で保存したものが最も鮮度が良いと評価された。含水不織布を利用した保存条件では、葉からの蒸散作用が抑制されるとともに、ホウレンソウが水分を吸収し、鮮度を保持していたと推察された。