著者
久野 譜也
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.148-152, 2000-08-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
2
被引用文献数
2 2

基本的な運動機能である走及び歩行機能に及ぼす大腰筋の重要性について概説した.走機能に関しては,陸上競技の短距離選手,サッカー選手及びコントロールにおける各被験者の疾走タイムとMRIにより求めた大腰筋横断面積の関係を検討した.その結果,陸上競技の短距離選手においてのみ両者の間に高い正の相関関係を認めた.この結果は,"速く走る"という機能に対して,大腰筋の役割の重要性を示唆するものである.次ぎに,歩行機能における大腰筋の役割を検討するために,加齢による歩行機能(速度,歩幅,前傾姿勢など)と大腰筋横断面積との関係を,20-80歳代の約200名を対象に検討した.全体的傾向としては,加齢に伴い,いずれも低下及び減少を示した.しかしながら,それらの能力は生活習慣及び運動習慣の影響を強く受け,大腰筋横断面積の維持が老化による歩行機能の低下抑制と密接な関係にあることが示唆された.
著者
石川 安則 上平 員丈 谷中 一寿
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.384-392, 2009
被引用文献数
1

照明光に透かし情報を含ませて絵画や印刷物など実物体の被写体に照射することにより,被写体の画像情報とともに透かし情報を埋め込む方式を提案する.本方式によれば,電子透かしを埋め込むことが困難であった美術館の古典画などの非電子画像に対し,何ら物理的な改変を加えることなく,撮影された画像には不可視の電子透かし情報が埋め込まれる.離散コサイン変換(DCT)を用いて,8×8画素毎に最高周波数成分の極性に従って1ビットの情報を埋め込んだ照明光を被写体に照射し,透かし情報を抽出する検証実験を行った.照明光の輝度および照明光への透かし情報の埋め込み強度を変化させ,検出率の評価と,透かし埋込みによる画像品質劣化の評価,およびJPEG非可逆圧縮に対する耐性評価を行った.この結果,品質劣化が認めにくい程度の埋め込み強度においてほぼ100%に近い検出率が得られ,これより本方式の有効性を示すことができた.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1754, pp.66-68, 2014-08-25

日立は、リトアニア政府と原発建設の推進に向けた事業会社の設立に関する協議を開始することで合意したと発表。リトアニアなど3カ国が参加を予定し、2020年代の運転開始を目指す大規模プロジェクトだ。 東芝傘下の米ウエスチングハウスも、ブルガリアの国営…
著者
長利 洋
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.451-458, 1996-06-25
参考文献数
6
被引用文献数
4

圃場整備後の水田を対象に,農家が均平を確保するために負担している作業の量を,切盛り土量と運土距離の積で表す運土仕事量を定量的に求める方式を提案した. この運土仕事量を指標に,30a区画水田と大区画水田(60a)を対象に,熟田並の高低差4cmにするまでの均平作業量を検討した. その結果,30a区画水田と同精度の高低差7cmで造成された大区画水田では,30a区画水田に比べて均平に要する負担量が増大することが明らかとなった.<BR>したがって,大区画水田造成に際しては30a区画水田とは異なる,施工側と農家側の双方が折り合うことのできる,新たな均平管理基準が必要であることを提案した.
著者
斉 中凌
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.121-141, 2007-10

商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty50周年記念論文金融政策の主体である中央銀行は時には財務状況が悪化し債務超過に陥り,物価の安定という政策目標を達成することができなくなった事態が起こる。本稿では,大量な海外資産(外貨準備)を所持している中国の中央銀行である中国人民銀行に焦点を当て,その外国為替市場への介入にかかるコストを推計し,人民銀行の現在の財務状況を調べる。その結果に基づき,人民銀行にとる今後の課題を論じる。 人民銀行は国際収支黒字の拡大を背景に,人民元の為替レート水準の安定を図るため,外国為替市場への介入を続けており,外貨準備残高は急速に拡大している。本稿では人民銀行のバランスシートを使用し,データが利用可能な2001年1月以降について為替市場介入によって発生した人民銀行の損益,すなわち為替市場介入コストを推計した。推計結果より,介入による累積損失は拡大傾向にあり,その規模が2005年末時点で人民銀行の自己資本の5倍にも至っていること,また,介入コストの要因を分解してみると,為替レートの変動は金利変動より影響力が強く,その効果がより早く現れることがわかった。 以上の推計結果を踏まえ,人民銀行にとって如何に財務の健全化を維持しながら,金融引締政策を遂行できるのかは今後の大きな課題であると結論付けた。
著者
井通 隆正
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.1599-1602, 1998-11-05

回転機器に使用される転がり軸受の剛性設計は避けて通れない項目となっており, 最近では回転機器設計の段階における多くの問合せを頂いている.剛性設計は, 単に高ければよいというものではなく, 同時に影響を及ぼす多くの機能への予測も重要であり, 具体的に検討をするうえにおいても多くの選択肢・検討項目があることがおわかりいただけたことと思う.本稿が回転機器設計に携われる方々の一助になれば幸いである.
著者
藤原 達也
出版者
日本経営倫理学会
雑誌
日本経営倫理学会誌 (ISSN:13436627)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.181-194, 2016

In 2001, Ajinomoto sparked a Muslim boycott in Indonesia. In 2014, Cadbury had a similar problem. These incidents clearly showed that there exists a risk of boycotts even if companies have received Halal certification. In order to identify measures that companies can take to reduce boycott risk in the Halal food market, this study clarifies the differences of the two boycott incidents in terms of Islamic business ethics. In order to achieve this, first, ethical and unethical conduct in Islamic business is described in general. Second, with these rules in mind, two boycott incidents are analyzed. In conclusion, what companies can do to control boycott risk is first to understand Islamic business ethics appropriately. Second, they can establish effective internal control systems which the market can appreciate.
著者
Sanggyu SHIN Yoichi SETO Shogo SHIMIZU
出版者
日本感性工学会
雑誌
International Journal of Affective Engineering (ISSN:21875413)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.351-359, 2016 (Released:2016-11-30)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Recently biometric authentication systems have become open and large scale thus leading to its widespread use. However, no systematic study has been done with regards to the safety of such systems. On the other hand, cancelable biometrics, the intentional distortion of biometric characteristics to protect sensitive data in biometric authentication systems, has been widely studied. Many methods have been proposed for cancelable biometrics technology, but the security criterion in such is indefinite. In this paper, we consider cancelable biometric techniques from the perspective of the safety of the system. We also verify the effect of the security precaution of the liveness detection techniques using Fault Tree Analysis, a risk evaluation method about data protection and spoofing prevention techniques.
著者
小島 しのぶ
出版者
東海学園大学
雑誌
紀要 (ISSN:02858428)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.23-33, 2000-12-05
被引用文献数
1

1)女子高校生の食事実態として食事区分別献立構成による点数化の試み 一日の献立構成を9点満点として評価してみると, 3日間の平均点は食事区分ごとに差があり朝食は調査対象者(207名)の献立構成にばらつきが大きく平均値として確認し難く二極分化している。昼食については3点満点で2.10点, 夕食では2.40点であり食事区分の中では夕食が献立構成としてはバランスのとれた食事になっている。一日3食の平均値は9点満点で6.26点であった。2)家庭内食事摂取者と家庭外食事導入者における献立構成点数, 簡易栄養診断点数の比較 家庭内食事のみ利用者の献立構成平均点数は7.2点, 簡易栄養診断点数の平均点数は66.0点であった。他方, 家庭外食事利用者の平均点は各々5.95点と54.6点であり家庭内食事のみの利用者のほうが平均の得点は高いが両者間で有意差はみられなかった。なお, 調査対象者の72.0%が家庭外食事(外食, 加工食品, 調理済食品, 冷凍食品)を利用している。導入の実態は朝食では前日に買い置きをしておいたと思われる菓子パン・惣菜パン等で朝食を済ませる。他方昼食の弁当においては, 主食, 副菜は自宅で調理したものであり, 調理済あるいは冷凍食品は主菜に利用する事例が多くみられた。3)出現献立の特徴 一日3食を通して出現献立の特徴をまとめてみると, 主食は朝食を除くと白飯が最も多く出現しており, 一日の主食出現数の52.4%は白飯である。パン類は24.3%の出現率であった。主菜料理では肉料理が多く主菜の42.4%を占めている。卵料理は23.7%であり, 朝食, 昼食で多く出現している。魚料理は2LO%であり, 上位3位までは動物性食品を主材料にした献立である。副菜は野菜を加熱調理したもの, 例えば, 炒め野菜, 浸し, 煮物等を合計すると32.5%, サラダ・生野菜が26.2%の出現率であり, 朝食, 昼食, 夕食の各食事区分に比較的万遍なく出現している献立である。味噌汁は17.9%であり朝食で最も多く出現しており27.9%夕食でも22.8%の出現率である。4)女子高校生の食事内容の特徴 調査結果から女子高校生の食事内容の特徴をまとめてみると, 朝食の食事内容は二極分化していることである。欠食を含めて朝食が非常に貧しい内容のものと, ほぼ完壁に近いもの(ただし, 分量の記入は求めていないので, あくまでも献立構成のうえからの結論である)とにわかれている。昼食において弁当持参者は主食, 主菜は揃っており中には主菜が3〜4種類という事例もあるが, 副菜がおろそかにされる傾向が強く副菜の無い事例もみられた。しかし, 登校途中等に昼食を購入している場合には, パンとやきそばといった主食に該当するものを複数購入して昼食としているものが多く朝食の欠食者に多くみられる。夕食については, 献立構成上も良いものが多いが, なかには主食を抜いたりしている場合があり特に主菜が肉料理, 天ぷら等の献立の場合に多くみられた。この現象については勝手な推察はできないがダイエット経験者が39.1%であったという結果から1)肉類, 油脂類, に対する栄養の知識, 食生活と健康に対する意識の問題として今後栄養指導の課題としたい。
著者
酒向慎司 才野 慶二郎 南角 吉彦 徳田 恵一 北村 正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.39-44, 2008-02-08
被引用文献数
2

声質や歌唱法など歌い手の特徴を歌声データと楽譜から自動学習し,それらを再現するような歌声合成システムについて述べる.本システムでは,歌い手の声質とピッチに関する特徴を確率モデルによる統一的な枠組みでモデル化している.特に,リズムやメロディといった音楽特有の表現要素が,音声信号のスペクトルや基本周波数パターンの変動に大きく関係していることから,楽譜から得られる音階や音長などを考慮したモデル化を行い,楽譜と歌詞を入力として,個人性を備えた歌声を合成するシステムを構築してきた.本手法の特徴は,このような歌声合成モデルを楽譜と歌声データから自動学習できることにある.本報告では,音楽固有のコンテキストの導入,実際の歌声データと楽譜の音符列の間のずれに着目した時間構造モデルについて検討する.実験では,童謡60曲の男性1名の歌声データを用いた歌声合成システムを構成し,ずれモデルの導入による自然性の向上が確認できた.We describe a trainable singing voice synthesis system, that can automatically learns the model parameters from singing voice waveform and musical scores by applying HMM-based speech synthesis technique. In this system, a sequence of spectrum and fundamental freqency (F0) are modeled simultaneously in a unified framework of HMM, and context dependent HMMs are constructed by taking account of contextual factors that affects singing voice. In addition, the distributions for spectral and F0 parameter are clustered independently by using a decision-tree based context clustering technique. Synthetic singing voice is generated from HMMs themselves by using parameter generation algorithm. We introduced an additional "time-lag" model to control start timing of each musical note. In the experiments, we confirmed that smooth and natural-sounding singing voice is synthesized. It is also maintains the characteristics and personality of the donor of the singing voice data for HMM training.

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著者
押川春浪 述
出版者
大学館
巻号頁・発行日
1903
著者
伊藤 文香 吉田 直樹 村木 敏明
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.67-73, 2004-03
被引用文献数
1

本研究の目的は, 包丁操作について, 三次元空間内の各座標軸に対する包丁の回転角度に着目し, 包丁操作の巧緻度を決定する要因を検討することである。被験者は42歳から66歳の右手利きである健常女性15名である。きゅうりの輪切り動作について利き手, 非利き手において三次元動作解析装置にて20秒間測定し, 各軸周りの回転角度の分散Vx, Vy, Vzを求め, 利き手, 非利き手における分散の差異を分析した。結果, 左右軸周り, 前後軸周りの角度の分散Vx, Vyに差異 (p<0.0001, p<0.0l) が認められた。臨床において当該操作の指導を行う際には, まな板に対する包丁長軸の傾きのブレに関連するVxを小さくするように指導することが有効である可能性が示され, 包丁長軸周りの回転角度の時間的周期性が熟練と未熟の差であることが示唆された。包丁の回転角度から当該操作の巧緻度を評価できることが見出された。
著者
林 知子 柳沢 幸江
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.299-305, 2004
被引用文献数
3

動作解析法を用いて,調理技術の習得度の違いにより「輪切り」の包丁の動きにどのような差が生じるのかを検討した. 試料はきゅうり,人参を用い,試料の違いによる包丁の動きの差についてもあわせて検討し,以下の結果を得た. (1) 熟練者群と非熟練者群を比較すると,包丁の持ち方には大きな違いはなく,ほとんどが全握法と卓刃法であったが添え手には大きな違いがあり,熟練者群全員に添え手があるのに対して非熟練者群は半数に添え手がなかった. また明らかに非熟練者群は3切れ分の所要時間が長く,仕上がった輪切りの試料は厚く不均等であった. (2) 非熟練者には包丁の上下,前後方向に細かい動き及び,試料を切って包丁を持ち上げる時に右側に大きく動く動作が認められた. また,まな板平面に対する包丁腹面角度にばらつきが見られ,全体を通して包丁の動きが極めて不規則であった. (3) 試料聞の差を分析した結果,厚さや所要時間に差が見られたが,包丁の最大切り下ろし速度,角度の平均値には差がなかった. ただし,熟練者でも人参では切り下ろす時にギザギザとした動きが見られた.