著者
市川 淳士
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

各種フルオロアルケン類に対して、金属錯体やLewis 酸による穏やかな条件下で行える求電子的活性化法を見出し、これらの活性化法をFriedel-Crafts 型環化に利用して、フッ素置換多環式芳香族炭化水素(F-PAH)の位置選択的合成法を3種開拓した。ここでは、フッ素置換基によるα-カチオン安定化効果を積極的に活用して、位置選択的な炭素-炭素結合の生成とフッ素置換基の導入を達成している。これら曲折型F-PAH合成法と直線型F-PAH合成法の両者を組合せて用いることにより、様々なピンポイントフッ素置換多環式芳香族炭化水素の系統的合成が実現できる。
著者
松原 康介
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果は、(1)番匠谷尭二氏を初めとする国際的に活動した都市計画家の業績解明を通じた中東都市計画史の研究、および、(2)歴史から学びえた都市計画論上の教訓の、現在のわが国による都市保全プロジェクト(JICA)への還元、の二点から報告される。審査付き論文として、(1)について国内誌1/海外誌1、(2)について国内誌1/海外誌1、の成果を上げた。また、学術的知見をJICAプロジェクト「ダマスカス首都圏都市計画・管理能力向上プロジェクト」に反映し、歴史的街道のファサード改善への提言を実施した。
著者
武田 徹
出版者
近畿大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、葉緑体のモデル型とされるラン藻synechococcusPCC7942のカタラーゼ-ベルオキシダーゼ遺伝子をタバコ葉緑体に導入し、最終的に活性酸素に起因する環境ストレスに耐性を有する植物の作出を目的としている。今年度得られた結果は以下に記すとおりである。1. すでに当研究室で確立されているタバコ葉緑体への遺伝子導入法を用いて、まず、トマトリブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼスモールサブユニットのプロモーターおよびトランジットペプチドの下流にSynechococcusPCC7942のカタラーゼ-ペルオキシダーゼ遺伝子(katG)を連結したプラスミドを構築した。2. 上記のプラスミドをAgrobacterium tumefacienceLBA4404を用いてリーフディスク法によりタバコ(Nicotiana tabacum cv.Xanllthi)に形質転換した。3. カルス化および再分化した後、植物体にまで生育したタバコとして6検体得られた。これら6検体のうち、サザンハイプリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーションおよびPCRによりキメラ遺伝子の導入が確認されたのは2検体であった。4. 上記2検体の形質転換タバコのカタラーゼ活性はコントロールタバコ(野生株)に比べて1.4-2.3倍であった。また、Synechococcus PCC7942のカタラーゼ-ペルオキシダーゼに対するポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティングより、これら2検体の形質転換タバコにカタラーゼ-ペルオキシダーゼタンパク質が発現していることが明きらかになった。5. 上記2検体の形質転換タバコのリーフディスクを用いてパラコート耐性実験を行った。その結果、形質転換体は野生株に比べて明らかにパラコートに対して耐性であることが明らかになった。現在、上記2検体の当代(To)の植物体を自家受粉させT1世代を作製中である。
著者
牧野 泰彦
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1,安倍川は源流域に大谷崩と呼ばれる崩壊地をもち、世界的にみても砕屑物の豊富な河川の代表とみなすことができる。安倍川は全流域にわたって網状流路によって特徴づけられている。2,安倍川河口域における海岸地形について、明治28年発行の5万分の1地形図「静岡」から最新の地形図までを比較・検討した。18世紀初頭に発生した大谷崩以来、安倍川は大量の砕屑物で埋積されており、昭和30年頃まで河口には三角州が存在し、ほぼ平衡状態にあったと考えられる。このように沖側に凸状の地形が形成されている理由は、安倍川からの供給量が多いためである。その後、河口は海岸線がほぼ直線的で海側に凸状を呈していない。これは、大型の建築物や新幹線や高速道路などの土木工事がわが国で活発に施行された時期に対応しており、建設骨材として、安倍川の河床堆積物が大量に採取された結果、河口への供給量が大きく減少したためである。現在は、河口突出部がやや回復しつつあるようだ。3,河口域に到達した砕屑物は、沿岸流によって北西の三保海岸方向へ運搬されている。これは安倍川流域に産出する特徴的な礫(蛇紋岩)を追跡することによって判明している。現在の三保海岸は沿岸域に供給される砕屑物量が減少して、侵食状況にある。三保海岸侵食は、砕屑物の不足した部分が順次その運搬経路の下流方向へ移動し、現在、三保の松原付近まで到達している。つまり、この問題は自然環境に人為的な手を大きく加えたことによって生じたもので、そのシステムを理解して対応していれば起らなかったはずである。自然環境の基盤をなす地形や地質は、数万年におよぶ長い年月にわたる現象である。自然現象を眺める時間スケールは、当然それに対応していなければならない。海岸侵食のような自然環境に関わる問題では、このように長期間におよぶ現象に対する自然観を持つことで回避すべきである。
著者
中里 亜夫
出版者
福岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

英領期インドにおいて植民都市の成長と共に発展した都市搾乳業は、印パ分離独立後新たに地方政府により設置された Dairy Colony (搾乳ウシ飼育団地)を舞台に発展した。パキスタンではカラーチとラホールの二大都市圏で、搾乳用水牛及び改良乳牛の飼育頭数の増加が著しく搾乳業の発展が持続している。インドのデリーとムンバイ大都市圏の搾乳業は、 1980 年代以降の農村酪農の発展によりその役割を低下させ、Colony の零細工場化、スラム化などの問題も生じている。四大都市圏では牛肉輸出を意図した屠場の近代化や再編整備が進展している。
著者
大鶴 徹 富来 礼次
出版者
大分大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

研究代表者と分担者はよ緊密な連携のもと当初計画に従い以下実施した。検討1: 粒子速度センサのキャリブレーション手法の確立に向けた検討:当初計画では広帯域(20Hz-20kHz)への拡張を目指す計画としていた。しかし、所有する2台のセンサが交互に不調をきたし、製造元での調整を繰り返すこととなった。本研究の目的が開発途上にある粒子速度センサの可能性を探ることにあり、こうした事態も予め想定した上で2台のセンサを用いてきた。これに伴い当初予定を変更し、本研究の主眼である100Hz~1500Hzの周波数域に対象を絞り、センサの安定性に留意しつつ以下の各項目を実施した。検討2: 粒子速度センサを利用した測定法と既往の測定手法(残響室法、管内法)により得られる吸音特性の関連の明確化:提案手法、残響室法、管内法3者の吸音率を比較し、その相違を定量的に示した。また、建築研究所や日本大学等で測定したラウンドロビン・データをもとに詳細な検討を加え、音源位置-受音位置-試料境界-音圧・粒子速度、の相互関連を実験的に明らかにした。検討3: アンビエントノイズの定義の明確化:高速多重極展開境界要素法を用い、音場のパラメトリックスタディとモンテカルロシミュレーションを実施し、アンビエントノイズの定義並びにその利用による音響測定メカニズムの詳細を解明した。なお、粒子速度センサを利用して材のランダム入射時の吸音特性のアンサンブル平均を測定する際に必要な各条件(センサ位置、試料寸法等)を明らかにし、本研究の成果を活用し材料の開発等を行う際の基礎資料とした。これまでに得られた成果については逐次、日本建築学会、日本音響学会、Internoise (Ottawa、招待論文)、WESPAC(北京)等で公表し、周知と議論に努めた。また、測定メカニズムに関わる基礎的検討の成果はアメリカ音響学会誌で公表した。
著者
白川 美也子
出版者
昭和大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的はDV等のストレスやトラウマをもつ妊産婦の精神医学的・心理学的実態と、それらか新生児の心身の状態および発達に及ぼす影響について産前から産後の母子を追跡調査して明らかにすることである。このたび昭和大学新生児コホートに参加することになり、特にオキシトシンの測定が可能になった。オキシトシンは胎児の成長や発達、出産後のアタッチメント形成の双方に関連があることで知られており、さらに抑うつや不安で女性において低下することが知られている。参加者の中から本研究に同意が得られたものに、妊娠初期・中期・後期における採血を行い、オキシトシン濃度を測定する。初期には抑うつや不安、児へのボンディング、知覚されたストレス等の調査を行い、関連の可能性がある要素としてセルフエスティーム、ソーシャルサポート、ライフスタイルの調査を行う。中期にMINIを施行して現在および過去の主だった診断名をつけ、出産後に新生児行動評価と母子相互作用の評価を行い、ストレスやうつ、不安からくる自己調節障害の現れとオキシトシンの関連を確認することとした。さらに1か月の時点での身体的発達と、6か月の時点での養育者の育児ストレスと子どもの気質を調査することによって、妊娠時のストレスや不安がうつが、胎児の成長発達やその後の母子相互作用に関連するか、それがオキシトシンにyって媒介されていつかをみる。また社会福祉施設で生活する周産期等にDV被害をうけた女性のデータとも比較可能な部分は比較していく。現時点で発達コホート中の母親で同意がとれたケースが100例程度あり、また社会福祉施設でより簡易な調査を行っているケースも100例程度ある。今後、オキシトシンのデータを得て、順次母親のメンタルヘルスと関連する要素や、オキシトシンデータとの関係、その後の発達や母子相互作用や気質等に及ぼす影響を順次解析していく。
著者
和中 幹雄 渡邊 隆弘 田窪 直規 松井 純子 研谷 紀夫 横谷 弘美
出版者
大阪学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

情報のデジタル化・ネットワーク化が進展するにつれ、図書館目録は、他のコミュニティのメタデータとのつながりが求められるようになった。本研究では、新たな環境における図書館および文化機関(文書館、博物館など)の書誌コントロールの在り方の現状を分析するとともに、歴史的変遷を辿った。Linked Open Dataを用いたウェブ上での書誌コントロールにおいては、FRBRにおける各種実体(著作、体現形、個人、団体等)の識別子が重要となる。このような観点から、今後のわが国における書誌コントロールの課題(文書館・博物館における標準化意識、出版界との連携、複数のMARCの調整、典拠コントロールなど)を抽出した。
著者
ゴチェフスキ ヘルマン
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究のもっとも重要な目的は、音楽学に日本と韓国の研究交流を妨げるさまざまな理由を発見し、将来の交流の可能性と方法を具体的に示すことであった。この研究のために4ヶ月半韓国に滞在し現地調査を行う機会が与えられたので、今年度はこの現地調査に集中した。そこではまず多くの学会や音楽フェスティヴァルに参加し、大学の研究施設を訪問し、学術団体の活躍について調査し、多くの学者とのインターヴューを行った。そして自分でも数多くの学会発表や公開講演を行い、韓国の学界のありかたを広く知ることができた。その中では9月11日の音楽関連諸学会共同主催 韓独音楽学会創立20周年記念学術大会『音楽研究をどうするか-韓国での音楽学の過去・現在・未来』における発表「西洋音楽研究における(東)アジアの観点」(それを韓国語で行った)と11月13日の〓園大学校アジア文化研究所第三階国際学術大会『アジア・ナショナリズムの境界・主体・文化』における発表「「地域」・「国家」・「地方」または「人種」・「国民」・「集団」-音楽の分類に含まれている政治的な意味と音楽におけるアイデンティティーの形成」がもっとも重要だった。また英語の発表で参加したショパンの誕生200年記念を祝う国際大会『ショパンの神話と実際』(ソウル、10月)では、韓国の音楽界における学術研究と音楽実技の関わりを深く観察する事ができた。「音楽学の将来の日韓交流」に関しての実績としては、2011年秋に東京大学で行われる大学院生の日韓交流セミナーの企画、研究代表者の発起によって2011年に創立される国際音楽学会(IMS)のRegional Association of East Asiaと2012年に国際音楽学会のローマ大会で開かれる日本と韓国の音楽学者を含むラウンドテーブルの企画等があげられる。
著者
尾崎 千佳
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

西山宗因の短冊・色紙・懐紙について現存するすべての真蹟資料の書誌調査を実施し、メタデータを採取して西山宗因真蹟資料データベースを構築した。データベースに基づいた成果を『西山宗因全集 第5巻 伝記・研究篇』(2013)「宗因書影」「西山宗因年譜」に発表した。『西山宗因全集 第6巻 解題・索引篇』には「現存西山宗因真蹟一覧」(2014印刷中)が掲載される予定である。あわせて、宗因自筆巻子本・宗因書写本・宗因評点資料について原典調査を実施し、書誌的観察を反映した論考を発表した。
著者
馬 書根 WANG Kundong
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、蛇の運動原理とミミズの移動原理を融合し、震災等における瓦礫の散在する環境下で生存者の探索・救援が行なえるロボットシステムを開発することを目的としている。平成22年度において、昨年度に試作された基本関節ユニット(直動駆動、ロール回転、及びピッチ回転の3自由度を持つ)を用いて、頭部と尾部をも持つロボットシステムの開発を行った。本ロボットには12自由度を有し、長さ92cm、直径10cm、重さ3.1kg、円柱型の外形を持つ。直動駆動自由度を持たせることで、このロボットは蛇型運動だけでなくミミズの移動原理も行え、蛇とミミズの移動原理を有機的に融合した超生物的な移動を実現することができる。次に、このロボットを駆動制御する制御システムを構築した。この制御システムには駆動電源を含め、サーボーモータ制御系や無線通信系などを全て各ユニット内に納め、ロボットを構成する関節同士やコード類などの相互干渉を無くすことができ、ロボットの運動性能、柔軟性、信頼性が向上できる。また、実機械モデルの開発と並列して、蛇の運動原理とミミズの移動原理を有機的に融合するための理論研究を行い、蛇型移動、ミミズ型移動、および蛇型-ミミズ型の混合移動を行う本ロボットの数学モデルを構築し、これらの運動について計算機シミュレーションで運動解析を行った。その結果として、開発されたロボットにミミズ型移動を導入することで、狭隘空間へ侵入が簡単となり、蛇型移動特有の特異姿勢問題も解決できることを判明した。本年度の研究は超多自由度多関節型移動ロボットを効率よく運動制御するための基礎を成している。
著者
土佐 昌樹
出版者
神田外語大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1998

前年度はアメリカの実態を対象としたが,今年度はその成果に基づき主に日本のサイトを対象として研究の展開と総括を目指した。手順と成果の概要を以下に示す。(1)「Yahoo!JAPAN」に登録された宗教関係のサイトをすべて閲覧し、内容の特徴と傾向をまとめた。主たるものはハードコピーし,今後の研究の基礎資料としてデータベース化した。(2)宗教サイトを運営する姿勢として、形だけのものと積極的なものに二分される。宗教活動の中でインターネットを積極的に活用しようとしている206のサイトにメールを送り(イスラム2、神道34、仏教117、キリスト教118、その他62)、ホームページの運営方針について予備的なアンケートを実施した。(3)78のサイトから回答を得た(イスラム2、神道6、仏教32、キリスト教21、その他17)。そのうち協力的に対応してくれた組織には持続的なコミュニケーションを試み、インタビュー調査も数回にわたって実施した。インターネットの普及により新たな信仰の形が出現することを予感しているところが多かったが、全体的にまだ模索中の段階にあるといえる。日本の場合はアメリカと異なり、特にニューエイジ的なサイトが突出しているわけでなく、原理主義的な傾向も希薄であった。今後さらに、インターネットの普及が宗教活動全体に及ぼす影響を多角的、有機的に調査研究すべきとの感触を得た。情報化時代における宗教的実践の将来は、社会科学的に追求すべき豊かな問題を含んでいるといえる。
著者
朴 啓彰 熊谷 靖彦 永原 三博 片岡 源宗 北川 博巳
出版者
高知工科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

一般ドライバーと同質サンプリングと考えられる健常中高年の脳ドック検診者2193名(男性1196名,女性997名;平均年齢53.84±9.67 歳)を対象として、過去10年間における交通事故歴に関するアンケート調査を行い、頭部MRI所見の大脳白質病変と交通事故との関連性について多変量ロジスティック解析を行った。運転走行中の衝突事故など大きな事故に対して白質病変は、グレードに応じて有意の高い関連性を示した(年齢調整オッズ比は2.937:95%信頼区間1.260-6.847; P=0.013)。白質病変は、軽度でも大脳半球両側に存在すれば、視覚情報処理能力や注意機能の反応速度が有意に低下することを既に報告しているが、白質病変によるこれらの高次脳機能低下が、白質病変ドライバーと交通事故との因果関係を説明するものと推察された。因って、脳ドック受診者1150名(男性642 名、女性508 名、平均年齢52.1±8.9歳)に対して、警察庁方式CRT 運転適性検査におけるアクセル・ブレーキ反応検査結果と白質病変との関連性を調べた。アクセル・ブレーキ検査は、選択的反応動作の速さ、反応むら(変動率)、反応動作の正確さ(見落とし率)を測定する検査である。白質病変のグレードを説明変数に、見落とし率・変動率の高低を目的変数にして、多変量ロジスティック解析を行うと、見落とし率では、オッズ比1. 530(95%信頼区間;1.094-2.140、P=0.013)であり、変動率では、オッズ比1.348(95%信頼区;0.991-1.834、P=0.013)となった。安全運転に必要と考えられる認知判断機能の不正確さと反応むらに白質病変が有意に影響することが、交通事故の発生機序の一つとして想定された。頭部MRI で定量評価される白質病変グレードに応じた安全運転対策の可能性が示唆された。
著者
永田 奈々恵 藤森 功 柏木 香保里 宮本 悦子
出版者
公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

プロスタグランジンなどの脂質(脂肪酸)は睡眠調節に関与することが知られている。一方で、睡眠は疲労回復や記憶の定着などに重要とされるが、これら睡眠の生理的意義の分子機構は解明されていない。本研究では、マウス大脳皮質でのmRNA発現レベルが明期と暗期で変動する脂肪酸輸送タンパク質brain fatty acid binding protein (FABP7の相互作用タンパク質としてGlycoprotein M6a (GPM6a)を同定した。更に、両タンパク質がマウス脳でも相互作用していることを確認し、FABP7とGPM6aがマウス脳で相互作用し機能している可能性を示した。
著者
武津 英太郎
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

樹木の多くの生理プロセスが光周性関連遺伝子に影響をうけると考えられる。一方、その基 礎となる遺伝子のリソースが整備されていない。また、材形成フェノロジーと日長との関係は 明らかにされていない。本研究ではカラマツをモデルとし、光周性関連遺伝子の単離と塩基配 列の決定を行い、その日周期発現パターンの解析を行った。また、異なる日長下で形成層フェ ノロジーの観察を行い、日長の違いにかかわらず同時期に早材から晩材への移行が起きること を示した。
著者
堀井 洋 中野 節子 林 正治 宮下 和幸 沢田 史子
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、近世加賀藩家臣団の網羅的な記録である「先祖由緒并一類附帳」(金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵、以下「由緒帳」)を対象として、藩制組織の統計的かつ客観的な全容解明を目的とする。これまでに、以下の2点についてデータベース化と公開にむけた実装を行った。第一に、「由緒帳」作成者に着目した構成家臣の分析であり,その主たる目的は、加賀藩士については、身分・階層を明らかにすることである。第二には、「由緒帳」中の上級家臣(人持組)部分について、画像テータの撮影と記述内容の解読を実施した。
著者
山田 仁史
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、大きく以下の四つの成果が得られた。第一に、狩猟・漁猟民の世界観の核心をなす<動物の主> 観念について、先行研究の蓄積を踏まえつつ、根本的な考察を加えたこと。第二に、アイヌにおける<動物の主> 観念を神話伝承から再検討し、北米およびシベリア諸民族の類例との比較を行なったこと。第三に、広くヒトと自然のかかわりについての神話として、天体、洪水などの災害、および焼畑をめぐる諸伝承・諸観念を明らかにしたこと。第四として、神話理論・神話研究方法論の見直しをこれら三点と並行して推進し、成果を公表してきたことである。
著者
和田 章義
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

北西太平洋海域に展開された3基のフロートによる日々の観測により、2011-2012年の台風シーズンにおいて8つの台風の海洋応答をとらえた。この海洋応答について、台風中心に対するフロートの3つの相対位置を①100km以内の台風近傍域、②台風経路から100km外でかつ右側に離れた海域、③台風経路から100km外でかつ左側に離れた海域に分け、それぞれについてその応答特性を調査した。①の台風近傍域では、風の低気圧性回転成分により海洋内部で湧昇が生じた結果として、表層水温の低下が顕著となった。また②の進行方向右側の海域では、強風による乱流混合の増大に起因した海洋混合層の深まりが顕著であった。さらに海洋表層における塩分変動は、台風中心とフロートの相対位置関係に加え、降水の影響を強く受けることがわかった。次にこの8つの台風のうち4事例について非静力学大気波浪海洋結合モデルによる数値シミュレーションを実施した。シミュレーション結果から①台風による海水温低下により台風中心気圧が高くなること、②環境場の風が弱い事例(2011年台風第9号)で、海水温低下が台風経路シミュレーションに影響を与えること、③台風中心から半径200kmまで、台風直下に形成される海水温低下は24~47%の潜熱の減少をもたらすことがあきらかとなった。また2013年台風第18号について、非静力学大気波浪海洋結合モデルにより数値シミュレーションを実施した結果、黒潮流域での高海面水温場による台風渦の順圧対流不安定により生成されたメソ渦が対流バーストを引き起こすことにより、北緯30度以北でこの台風が急発達したことが明らかとなった。この結果はまた、大気海洋間の高エンタルビーフラックスが台風の急速な強化に必ずしも必要でないことを示唆する。
著者
伊藤 拓水
出版者
東京医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究で研究代表者は、催奇性を有する抗がん剤サリドマイドがいかなるメカニズムで標的タンパク質セレブロンの機能を阻害するのかを検証した。セレブロンはユビキチンリガーゼとして機能する。研究結果として、サリドマイドはセレブロンの酵素活性を下げるというよりも、認識する基質を変化させることが示唆された。薬剤結合後はサリドマイドがもはや元の基質を認識できなくなることが、結果として機能阻害として検出されていたと考えられる。
著者
川島 正行
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

前線に伴う雲による降水を表現する微細格子雲解像モデルにより温帯低気圧に伴う降雨帯の構造、成因について調べた。まず、理想化した数値実験により、地上の寒冷前線に伴う降雨帯のコアーギャップ構造について調べ、その成因である水平シア不安定波の発達は環境風の鉛直シア、局所的な鉛直シアに強く依存することなどを示した。また、観測された前線に伴うその他の各種降雨帯の構造、成因について現実的な設定の数値実験により明らかにした。