著者
池内 克史
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.829-829, 2016-08-15
著者
片桐 雅隆 樫村 愛子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.366-385, 2011-03-31 (Released:2013-03-01)
参考文献数
71

本稿の前半では,心理学化する社会論の前史として,社会学の歴史の中で,社会学と心理学/精神分析との関連を跡づけた.1.1の「創設期の社会学と心理学」では,創設期の社会学の方法の中で,心理学がどのような位置にあったかを明らかにする.1.2の「大衆社会論と心理学/精神分析との接点」では,媒介的な関係の解体による心理的な不安の成立が,社会学における心理学や精神分析の視点の導入の契機となったことを指摘する.1.3の「『心理学化』社会論の登場――戦後のアメリカ社会学」では,自己の構築の自己言及化という観点から,アメリカにおける心理学化社会のさまざまな動向を明らかにする.1.4の「ギデンズとベックの個人化論と自己論」では,高次近代や第2の近代における自己のあり方や,その論点と心理学社会論との差異などを指摘する.後半では,第2の近代が始まり出す1970年代以降について,個人化の契機における社会(「社会的なもの」)の再編成の技術として心理学化を分析した.その起点は「68年」にあり,古い秩序を解体して新しい社会を構成しようとした「68年」イデオロギーが「資本主義の新しい精神」(ボルタンスキ,シアペロ)となって共同性を意図せず解体しネオリベラリズムを生み出すもととなったこと,この社会の解体にあたって社会の再編技術として心理学/精神分析が利用されたことを見る.それはアメリカ社会で顕著であるとともに,アメリカ社会では建国の早い段階から心理学/精神分析が統治技術として導入され精神分析が変形された.日本においては,福祉国家化の遅れに連動する個人の自立の遅れのため,心理学化は周辺現象としてしか起こらず,90年代の個人化の契機は「欠如の個人主義」(カステル)のような過酷なかたちで現れ,心理学化は十分構成されないままポスト心理学化へと移行している.
著者
吉本 圭一
出版者
産業教育振興中央会
雑誌
産業と教育
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.6-8, 2001-10-05
著者
佐藤 裕紀子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.479-492, 2004-06-15 (Released:2010-04-23)
参考文献数
37
被引用文献数
2

本稿は, 第一次世界大戦後から大正期末までの期間に刊行された雑誌『主婦之友』第 3 巻 1 号から第 10巻 12 号 (大正 8 ~ 15 年) における, 新中間層主婦の生活体験記事を用い, 子どもに向けられた主婦の教育的関心はどのような生活行動として展開したのか, そして主婦の生活展開のあり方とどのように関わったのかを分析した.その結果, 以下の知見が得られた.(1) 主婦は自分のしつけこそが我が子にとって望ましい教育であると認識し, 子どもの世話役割から他者を排除する傾向がみられた.(2) 主婦は生活環境を教育的に整備することにより子どもが感化されることを期待し, 一方では勤勉かつ規律的な家事行動を行い, もう一方では子どもを教育的な生活環境に囲い込み, あるいはそのための生活水準の向上を目指して節約に励む, などの行動をとる傾向がみられた.(3) 主婦は自分が家庭における子どもの教育責任者であることを自覚しており, 予習・復習をみる, 受験指導をする, 学校参観をする, 生活管理をするなど積極的に学業に関与する傾向がみられた.(4) 主婦はたとえ経済的に困難であっても, 是非とも子どもには教育を授けたいと願っており, 節約に励む, 家事の傍ら内職をする, などの行動をとる傾向がみられた.(5) 主婦は怠業する我が子が学業成就できることを願っており, 学習意欲を喚起するため, 家事労働や内職に励む傾向がみられた.(6) 以上から, 主婦の教育的関心は, 大きく分けて主婦の生活を子ども中心のものとする, 積極的な家事労働を促すという二つの方向に導く役割を果たしていたといえる。しかし両者の違いは主として生活水準の違いに由来するものであり, 当時の新中間層の多数を構成した低所得世帯では, 教育的関心は主婦の家事労働を促す方向に機能したものと考えられる.本稿では新中間層の教育的関心と主婦の生活行動との関連を分析することにより, 高い教育的関心が積極的な子どもへの関与を導くというだけでなく, 積極的な家事労働を促すという, 新たな生活展開の回路を見出すことができた. またその分析を通じ, 子どもとの関係における主婦の家事労働の主観的意味づけにも迫ることができた. しかし教育的関心が描かれていない体験談も多かったことから, 主婦の生活を規定した要因は他にも多いことが予想される. また夫との関係における主婦の家事労働の意味づけも解明されていない, これらを明らかにすることにより, 新中間層主婦の生活実態にさらに深く迫ることが今後の課題である.
著者
島村 沙矢香 菅野 直之 岡部 茂子 山内 桂子 伊藤 公一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.191-196, 2011 (Released:2012-04-12)
参考文献数
15

本研究は, 患者が超音波歯ブラシを購入し, 歯科衛生士などから口腔清掃指導を受けることなく独自に使用することを想定し, 超音波歯ブラシに添付された説明書を一読しただけで, どの程度のプラーク除去効果が得られるかを手用歯ブラシのプラーク除去効果と比較検討した。被験者は日本大学歯学部付属歯科病院の事務職員, 男性10名, 女性20名で, 過去に口腔清掃指導を受けたことがない者とした。研究開始より1週目は手用歯ブラシを, 2週目は超音波歯ブラシを使用した。両歯ブラシを使用した際のO'Learyらのプラークコントロールレコード(PCR)は, 手用歯ブラシ(47.2±10.9%)と超音波歯ブラシ(45.0±13.5%)との間で統計学的有意差は認められなかった。部位別のPCRも両歯ブラシ間に有意差は認められなかった。超音波歯ブラシにおいてPCRの低い人は, 手用歯ブラシにおいてもPCRは低く, 超音波歯ブラシにおいてPCRの高い人は手用歯ブラシでもPCRが高いという結果が得られ, 手用歯ブラシと超音波歯ブラシのPCRに統計学的に有意な相関関係が認められた(P<0.01)。本結果から, 手用歯ブラシから超音波歯ブラシに変更する際に説明書を一読しただけでは, 有意な口腔清掃効果の改善はみられず, 口腔清掃用具の選択よりもブラッシング手技の向上が, 口腔清掃の改善に重要であることが示唆された。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)53(3) : 191-196, 2011
著者
孔 祥忠 松木 なみ子 宇野 牧子 渡辺 徹也 安田 忠司 高間 敬子 後藤 昌彦 寺尾 学 籾山 正敬 小島 寛 北後 光信 渋谷 俊昭 白木 雅文 岩山 幸雄
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.118-123, 2005-02-20
参考文献数
17
被引用文献数
3

手用歯ブラシ,音波歯ブラシ,超音波歯ブラシを用いて,ブラッシング時間がプラーク除去効果ならびに歯周組織に与える影響を,10名の被験者を用いて検討した.被験者には3日間ブラッシングを停止させることによって,プラークを蓄積させ,軽度の歯肉炎症を惹起させた.その後各種歯ブラシによるプラーク除去効果を検討した.1分間と2分間の異なったブラッシング時間では,全ての歯ブラシともプラーク除去効果はほぼ同様であった.さらに,4分間のブラッシングを1日3回食後14日間行わせた結果では,歯周組織の改善は全ての歯ブラシに認められ,特に音波歯ブラシが他の歯ブラシよりも効果的であることが示唆された.
著者
大塚 秀春 申 基詰 市村 光 石井 麻紀子 松田 敦至 三上 晃一郎 谷田部 一大 大橋 敏雄 林 丈一朗 辰巳 順一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.199-207, 2009
参考文献数
39
被引用文献数
2

音波エネルギーを応用した歯ブラシは,現在では広く一般に用いられるようになっている.超音波歯ブラシの臨床的な効果についての報告はこれまでにもあるが,歯周ポケット内の歯周病原細菌に対する影響を調べた研究はほとんどない.超音波歯ブラシDENT.EX systema ultrasonic®は,1.6MHzの超音波発振と高度テーパード毛を特徴としている.バス法で用いることにより,歯周ポケット内のプラークを除去できるようにデザインされている.本研究の目的は,超音波歯ブラシの歯肉縁下の細菌に対する影響を検討することである.被験者は,明海大学歯学部付属明海大学病院に来院した慢性歯周炎患者14名(男性5名,女性9名,35〜69歳,平均年齢48.6±12.4歳)とした.Probing Pocket Depth(PPD)が4mm以上の部位が1ヵ所以上ある小臼歯および大臼歯の56歯を被験歯として,実験側に超音波歯ブラシを,対照側に手用歯ブラシを用いた.ブラッシングは,バス法により1日2〜3回行うよう指示した.診査項目は,(1)Plaque Index(P1I),(2)Bleeding on Probing(BOP),(3)Gingival Index(GI),(4)PPDおよび(5)Gingival Crevicular Fluid量(GCF)および細菌検査としてPCR法による(1)総細菌コピー数および(2)歯周病原細菌(Actinobacillus actinomycetemcomitans,Porphyromonas gingivalis,Prevotella intermedia,Tannerella forsythia)コピー数を診査した.BOP,GIおよびPPDは,両群ともに経時的な改善が認められたが,両群間に有意差はなかった.P1Iの近遠心面に限った比較によると,実験群の4wが有意に改善を示した(p<0.05).実験群の歯周病原細菌コピー数は,経時的な減少傾向がより顕著に観察された.GCFは,4wの実験群において有意に減少した(p<0.05).1.6MHzの超音波歯ブラシが,慢性歯周炎患者の歯周ポケット内の細菌に影響を与えることが示唆された.
著者
鈴木 雅恵 与那覇 晶子
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は日本の近代化と、沖縄の大和への同化の歴史と共にはじまった、沖縄芝居の特異性、および現在の位相について、大和(特に京都)と沖縄双方の視点から考察し、世界演劇の中に位置づけよう、という研究の一部である。今回は特に、広義の意味での「沖縄」演劇(ウチナーヤマトグチによる現代劇や、映画化された沖縄発のアメリカン・ミュージカルも含む)における、広義の意味での「女優」(舞踊家や、花街や辻の芸能者を含む)の表象について考察し、さらに他のアジア圏や西欧の例と比較することを目的とした。当プロジェクトの主たる成果は、代表者・分担者が主となって、沖縄県男女参画センターにおいて2007年11月23日から25日まで開いた日本演劇学会の秋の研究集会であるといえる。特に、11月24日に、当プロジェクトの成果発表の場として「演劇(芸能)における女優の表象」というタイトルでおこなったシンポジウムは、メンバーの他、沖縄を代表する女優の北島角子氏をはじめ、現役の女性歌劇団員、大阪の歌舞伎研究者、戦後50年間存在した沖縄の女だけの「乙姫劇団」出身の古代宗教研究家等を研究協力者にむかえ、貴重な証言を記録することができた。また、それに先立っておこなわれた「対談」では、芥賞作家の大城立裕氏から、彼の創作した新作組踊における女性像について、貴重な話を聞きだすことに成功した。こうした内容は、地域の人々にもオープンにし、広く研究の成果とその課題を提示することができた。さらに、代表者と分担者は、京都の花扇太夫や女性能楽者、フィンランド・デンマーク・英国・香港の研究者・演出家・女優などに取材して、沖縄演劇における「女優の表象」を相対化することに努めた。特に代表者が宮古島の舞台で、男性の能楽研究者に混じって地謡を勤めた経験は、「芸能する女性」のグローバルかつローカルな表象を、新たな観点から再検討するきっかけとなった。
著者
鈴木 雅恵
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、東アジアのシェイクスピア受容について英文で発信するためのプロジェクトの一環であり、「日本」のシェイクスピアの受容を、伝統演劇の典型としての能と、「日本」とほかのアジアの国々をつなぐ接点としての沖縄の芸能に広げているところに特徴がある。本プロジェクトの期間中には、シェイクスピアを本説とした泉紀子氏の「新作能・マクベス」の英訳や「新作能・オセロ」の研究、「琉球歌劇・真夏の夜の夢」の解読、新作組踊の調査や沖縄演劇の歴史に関する英文論文の執筆などを行った。