著者
エヴァン P. エコノモ
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.735-742, 2016 (Released:2016-12-28)

海外滞在は科学者としての人生とキャリアを成長・発展させる重要な期間となり得る。ある意味において科学者は世界中を自由に移動し活動できる存在でなくてはならない。なぜなら科学は境界を超える万国共通の探求活動だからである。しかし、アカデミアは文化と伝統に左右される人間活動で、それが移動を難しくすることがある。本論で私は、西洋アカデミアへの就職に興味があり、その座を勝ち取りたい日本人科学者に幾つかアドバイスしたい。国際的なトップジャーナルに論文掲載される素晴らしい研究を行うことは、もちろん科学者のキャリア向上のための最重要要素である。だが、対策が必要な二番目に重要な要素もある。すなわち日本の研究者にはたぶんあまり知られていない、西洋アカデミアの“暗黙の規則”である。これが日本研究者の潜在能力への足かせになっているかもしれない。ここではポジションの見つけ方、見込みのあるスーパーバイザーへのコンタクトの取り方、そして西洋アカデミア流の良い推薦状の書き方について論じる。
著者
Mizuki Sasaki Jason Lee Anders Minoru Nakao
出版者
The Japanese Society of Systematic Zoology
雑誌
Species Diversity (ISSN:13421670)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.255-272, 2021-09-10 (Released:2021-09-10)
参考文献数
135
被引用文献数
2

The cestode fauna of murid and cricetid rodents in Hokkaido, the northernmost island of Japan, was evaluated based on our parasite collection and a review of the literature. Adult and larval cestodes collected from Apodemus speciosus (Temminck, 1844), Myodes rufocanus (Sundevall, 1846), and Rattus norvegicus (Berkenhout, 1769) in Hokkaido were identified by both morphological and molecular diagnoses. A total of 10 species from 5 families were confirmed in our collection. Arostrilepis tenuicirrosa Makarikov, Gulyaev, and Kontrimavichus, 2011, Paranoplocephala kalelai (Tenora, Haukisalmi, and Henttonen, 1985), and Taenia crassiceps (Zeder, 1800) were recorded for the first time from Hokkaido. A comprehensive look at both the present and previous studies revealed that the cestode fauna of rodents in Japan consists of at least 30 species from 6 families. Among them, 23 species occur in Hokkaido. The species composition is strongly affected by the nearby Eurasian continent, suggesting parasite migrations with rodent hosts over land bridges between Hokkaido and Sakhalin and between Hokkaido and Honshu, the main island of Japan. A DNA barcoding system using sequences of nuclear 28S rDNA and mitochondrial cox1 allowed us to identify cestodes at species and genus levels, even in different developmental stages. The integration of morphological and molecular diagnoses is essential in cestode taxonomy to establish a common ground for biogeographical studies worldwide. The standardization of DNA barcoding is particularly of critical importance.

98 0 0 0 OA 川瀬巴水版画集

出版者
渡辺画版店
巻号頁・発行日
vol.1, 1935
著者
近藤 正聡 チザール バレンティン 寺井 隆幸 鈴木 晶大
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.408-412, 2010-07-25

液体金属リチウムと低放射化フェライト鋼,バナジウム合金およびこれらの絶縁被覆との共存性について,リチウム中の不純物濃度が共存性に与える影響に注目し,腐食メカニズムとその対策までをまとめる.
著者
宋 基燦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

朝鮮学校は、日本最大外国人学校組織である。また、70 年以上の長い歴史の中で、朝鮮学校は多数の卒業生を輩出した。しかし、朝鮮学校は今まであまり研究されてこなかった。その理由は、朝鮮学校が置かれている政治的特殊性にある。本研究は、朝鮮学校を卒業した人々に焦点を合わせ、朝鮮学校卒業後、日本社会で暮らしていく彼らの生活世界への理解を試みた。研究結果、朝鮮学校の卒業生は、朝鮮学校の共同体に留まる場合もあったが、概ね日本社会の成員として暮らしていた。また、一部の人は、朝鮮学校での学びを発展させ、トランスナショナルな生活世界を構築していた。
著者
池田 緑
出版者
大妻女子大学
雑誌
大妻女子大学紀要. 社会情報系, 社会情報学研究 (ISSN:13417843)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.25-41, 2004

女子大学はその学生を女性に限定していることによって,すでにジェンダー・ポリティックスの実践の場となっている。とくに女子大学に勤務する男性教員は,この女子大学のもつ政治性ゆえに,政治的な存在であらざるをえない。男性教員による女子学生への監視の視線,男性教員による言説の女子大特有のジェンダー・ポリティックスに伴う政治的効果,女子大における男性性およびホモソーシャリティの再生産の政治的効果など,を考えることにより,良妻賢母思想と女性解放思想の間で揺れ動いてきた女子大の政治性と,そこに勤務する男性教員のポジショナリティを問う枠組みを示したい。そのうえで,男女共同参画時代に女子大において男性教員の存在が果たしうる政治的な効果と,社会への貢献の可能性について考える。
著者
近藤 尚己 石川 善樹 長友 亘 齋藤 順子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

疾病予防行動の社会経済格差是正に向け、人の持つ認知バイアス効果を応用した行動科学アプローチの枠組みを整理したのち、実証研究を行った。健康チェックサービス事業者のデータを用いて、サービス利用の勧誘の際、従来の健康リスクの理解を促す方法と、サービスへの興味関心を引きやすい感性に訴える方法を用いた場合の利用者の属性を比較したところ、後者の方が社会的に不利な状況(無職者など)の割合が高かった。足立区と区内26のレストランと合同で行った、野菜増量メニュー注文者に対する50円割引キャンペーンの効果検証の結果、普段昼食に支払う価格が最も少ない人々でキャンペーンの効果が最も高まり、店舗の売り上げも増加した。
著者
田崎 晴明
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.p121-178, 1992-05

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著者
十文字信介 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
1891
著者
鈴木 真輔 辻 正博 椎名 和弘 小谷野博正 小泉 洸 川嵜 洋平 佐藤 輝幸 山田 武千代
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.183-190, 2018 (Released:2018-11-13)
参考文献数
12

クマ外傷は顔面を含む頭頸部に多いとされ,しばしば複雑で重篤な損傷を伴う。今回われわれが経験したクマ外傷13例について報告し,クマ外傷の特徴と治療における注意点を考察する。対象となる13症例はいずれも顔面に外傷を伴っていたが,10例では顔面骨の骨折が認められ,うち1例では頭蓋底骨折を伴っていた。頭頸部以外では上肢に損傷が多く,3例では上肢や体幹の骨折が認められた。また3例では出血性ショックを合併していた。顔面の皮膚欠損を伴った4例では皮弁や植皮による欠損部の再建術を要した。クマ外傷への対応ではその特徴を理解するとともに,それぞれの損傷部位に応じた適切で迅速な治療が重要である。
著者
西田 圭吾
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.145-152, 2013 (Released:2013-09-28)
参考文献数
53
被引用文献数
2 3

Zinc (Zn) is essential for normal cell structure and physiology. Its deficiency causes growth retardation, neuronal degeneration, and immunodeficiency. Zn homeostasis is tightly controlled through Zn transporters and metallothioneins, which regulate Zn concentration and Zn distribution in individual cells, and contributes to Zn-binding protein in cells. Although many molecules involved in these processes have Zn-binding motifs, the molecular mechanisms underlying the role of Zn in the immune system have not been clarified. Recently, we and other groups have demonstrated that Zn plays diverse and specific roles in vivo and in vitro, in studies on the genetic knockout of Zn transporter functions. In this review, we discuss the impact of Zn on mast cell-mediated allergy and T cell-mediated immune responses. We also describe Zn dysregulation as a leading health problem in allergy and immune responses.