著者
豊田 啓介
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.139-142, 2022-02-01 (Released:2022-02-25)

コモングラウンドと呼ぶ汎用空間記述形式の必要性とそのありうべき形式,連携や拡張に関する方向性および産業実装の可能性を概観する.
著者
並川 努 谷 伊織 脇田 貴文 熊谷 龍一 中根 愛 野口 裕之
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.91-99, 2012 (Released:2012-11-20)
参考文献数
19
被引用文献数
84

Personality scales based on the five-factor model, especially the Big-Five Scale of personality trait adjectives (Wada, 1996), are commonly used in Japan. In this study a short form of the Big-Five Scale was constructed. To avoid changes in the capacity dimension caused by the decrease in the number of items, item selection was conducted after Item Response Theory (IRT) scales were constructed for all the items. In Study 1 data was collected from 2 099 participants. A Generalized Partial Credit Model was applied to the IRT model, and items were selected using the slope and location parameters for each item. Cronbach's alpha showed that the short form, as well as the five sub-scales, had sufficient reliability as a personality test. In Study 2, we determined correlations with the NEO-FFI and tested the concurrent validity of the short form. The results indicate that the short form of Big-Five Scale demonstrates sufficient reliability and validity despite the reduced number of items.
著者
工藤 和輝 二階堂 泰隆 浦上 英之 佐浦 隆一
出版者
一般社団法人 大阪府理学療法士会生涯学習センター
雑誌
総合理学療法学 (ISSN:24363871)
巻号頁・発行日
pp.2023-002, (Released:2023-01-17)
参考文献数
38

【はじめに】脳卒中後の姿勢定位障害の1つであるLateropulsion(以下,LP)は,主に前庭機能の障害が関与するとされている。今回LPを認めた症例に対し,前庭リハビリテーションとして,対象者自身が頭部と眼球の運動を行うGaze Stability Exercise(以下,GSE)を試みた。【症例紹介】脳梗塞(左視床・左中脳赤核近傍)を発症した80歳代女性である。初期(発症3–5日目)にはめまい症状があり,Head Impulse Test(以下,HIT)が陽性であった。身体症状としては,右側へのLPを認め(重心動揺計で測定した開脚立位時の左右荷重比[開眼:左38%/右62%,閉眼:左36%/右64%]),Functional Gait Assessment(以下,FGA)は11点と歩行中の動的バランスの低下を認めた。病巣部位と評価結果から,前庭感覚の上行路の損傷による前庭機能の障害が原因と考え,GSEを3日間実施した。【結果】最終(発症11日目)にはめまいが軽減し,HITは陰性となった。さらに,開眼時のみLPが消失し(開眼:左46%/右54%,閉眼:左35%/右65%),FGAスコアが21点と歩行中の動的バランスも改善した。【まとめ】脳卒中後のLPやめまい,動的バランスに対して,GSEが有効である可能性が示唆された。
著者
上原 健太郎
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.47-66, 2014
被引用文献数
3

<p> 若者の「学校から職業へ」の移行過程をネットワークという視点から論じてきた研究は,ネットワークが若者を支える一方で,そのネットワークの閉鎖性・限定性が若者を職業達成から遠ざけることを強調してきた.こうした機能主義的な説明からは,限られた条件内で若者がいかにしてネットワークを活用し,その創造を図るのかという課題が導出される。<BR> 本稿は,ノンエリート青年という視角から,若者を主体的な存在として位置づけることで上記の課題に取り組んだ。具体的には,沖縄で居酒屋を経営する若者集団の経営実践を記述した。明らかになったことは,(1)地縁・血縁ネットワークを活用して居酒屋をオープンし,(2)そのネットワークはオープン後も活用され,(3)また,イベントの開催などを通じて職縁・客縁ネットワークを創造する側面であった。(4)そして,地縁・血縁・職縁・客縁ネットワークは,かれらの日々の働きかけによって維持されていた。<BR> 以上,若者を主体的な存在として位置づけることで浮かび上がってきたのは,ネットワークを資源化・重層化させながら,職業達成に向けて合理的に取り組む若者たちの姿である。本稿の意義は,従来の研究が看過してきたそれらの側面を実証的に示し,機能主義的説明の問題点を指摘した点にある。</p>
著者
霜田 光一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.114-115, 2019-11-15 (Released:2019-12-15)
参考文献数
1
被引用文献数
1

1.物理教育とは?教育とは “教え育てること” であるから,物理教育とは物理を教え育てることである.本誌の創刊号で日本物理学会の伊達宗行会長 (当時) は,日本の教育は教え育てるであるのに
著者
霜田 光一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.108-109, 2021-07-15 (Released:2021-08-15)

電磁気学の教科書に,電場を表す電気力線の図や磁場を表す磁力線の図は出ているが,ベクトルポテンシャルの図はない.そこで,電磁気学の教育に利用されるようなベクトルポテンシャルの図をいくつか描いてみた.
著者
Jun Hata Toshiharu Ninomiya
出版者
Japan Atherosclerosis Society
雑誌
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis (ISSN:13403478)
巻号頁・発行日
pp.RV22004, (Released:2023-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

The Hisayama Study is an ongoing epidemiological study of stroke, coronary artery disease (CAD), and other noncommunicable diseases in a general Japanese population established in 1961. According to the longitudinal data from the Hisayama Study, average levels of systolic blood pressure among hypertensive individuals have decreased with time since 1961. In contrast, the prevalence of metabolic risk factors such as obesity, hypercholesterolemia, and glucose intolerance has increased with time. The incidence rates of ischemic stroke in this population have declined significantly as a result of improvement in hypertension management, but the proportion of atherothrombotic brain infarction (ATBI) and embolic stroke among the total ischemic stroke cases have increased probably due to the increased prevalence of metabolic risk factors and the increased number of patients with atrial fibrillation (AF) with super-aging population. Therefore, a strategy to reduce the risks of ATBI and embolic stroke by comprehensive management of their risk factors is necessary.In this review, we first show the secular trends in the incidence of stroke and the prevalence of its risk factors using the data from the Hisayama Study. Then, the studies for the association of traditional risk factors with stroke development in the Hisayama Study are introduced. Finally, we developed risk prediction models to estimate the absolute risk of atherosclerotic cardiovascular disease (ASCVD; including ATBI and CAD) and AF, that may be used for the stratification of future risk of ATBI and AF-related stroke in clinical practice or health examination.
著者
小宮 友根
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.192-208, 2009-09-30 (Released:2012-03-01)
参考文献数
47

J. バトラーの理論は社会学にとってどのような意義をもっているだろうか.本稿では「パフォーマティヴとしてのジェンダー」という考え方の検討をとおして,この問いに1つの答を与える.はじめに,パフォーマティヴィティ概念がJ. デリダの「反覆可能性」概念に接続されていることの問題点を指摘する.1つは,「行為をとおした構築」という主張の内実が不明確なままにとどまっていること.もう1つは,それゆえ「攪乱」という戦略が採用されるべきであるという主張にも十分な根拠が与えられていないことである.だが,バトラーがなぜ「社会的に構築された性差」という意味でのジェンダー概念を批判していたかに注目するなら,パフォーマティヴィティ概念についての異なった解釈を導き出すことができる.ここでは,人間の行為を因果的に説明する議論のもつ限界の外で「性別の社会性」を論じることの重要性を考察することからその作業をおこなう.そのうえで,私たちが言語による記述のもとで行為を理解していることと,私たちが多様なアイデンティティをもつことの論理的関係へと目を向けるものとしてパフォーマティヴィティ概念を解釈するなら,その内実は経験的にあきらかにしていくことができるものになり,それゆえ社会学にとって重要な課題を示唆するものになることを論じる.
著者
三石 邦廣
出版者
飯田市美術博物館
雑誌
伊那谷自然史論集 (ISSN:13453483)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.39-42, 2012 (Released:2019-06-05)

2001年12月に中島により飯田市上村日影岩において,関西型のニホンヤマネ(以下, ヤマネ)と思われる個体が生息することが指摘された.その為,飯田市上村1番地及び同程野山国有林に関西型のヤマネが生息しているのではないかと仮説を立てて調査を行った.調査方法は,ヤマネの目の縁取りを写真撮影すること及びDNA解析によった.その結果,上村調査地のヤマネは,ハプロタイプが「Akaishi」グループおよび「Kanto」グループの個体がみられ,「Akaishi」グループでは目の縁取りは均一に黒い関西型となることが判った.同時に調査した飯田市上郷野底山財産区有林の個体は,「Kanto」グループに属するヤマネであり,「Kanto」グループでは目の縁取りが,ギザギザしていて均一に黒くないことが判った.

12 0 0 0 OA man の語法

著者
神崎 高明 Takaaki Kanzaki
雑誌
Ex : エクス : 言語文化論集
巻号頁・発行日
no.4, pp.47-59, 2006-03-31
著者
原口 剛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.468-491, 2012-09-01 (Released:2017-11-10)
参考文献数
37
被引用文献数
1

近年の人文地理学においては,場所は以下のように再定義されている.第1に,場所は内的な差異と争いに満ちている.第2に,場所とはさまざまな相互関係の結び目として形成される.本稿では,日雇労働市場として知られる簡易宿所街「釜ヶ崎」を事例として,以上の場所の定義を検証する.1970年代の「釜ヶ崎」においては,労働運動と地域住民という集合的アイデンティティが互いに対立しながら表象され,このような差異や争いの中で「釜ヶ崎」や「あいりん」という地名は社会的に再生産された.また,2000年代については,コミュニティ運動や地域経済の再生の活動では「萩之茶屋」「新今宮」という地名が再発見される一方,アート運動の活動においては「釜ヶ崎」という地名が新しく意味づけられている.これらの地名は,場所の内側と外側を結びつける主体の能動的な働きにより生み出されている.また,その中には,境界を多数化させる作用が見出される.