著者
安東 正樹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.636-639, 2016-09-05 (Released:2017-01-09)
参考文献数
11
被引用文献数
1

話題重力波望遠鏡を用いた地震速報
著者
岩崎 学
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1-2, pp.43-54, 2022 (Released:2023-01-12)
参考文献数
36

昨今,統計・データサイエンスが大いに広がりを見せ,データ分析に携わる人々の数も増加しつつある.その中で,統計学の教育や訓練がやや不足がちの人たちもいることから,「因果」と「相関」について,特に回帰分析の枠組みで考える.また近年,オープンデータの利活用が話題となっている.この種のデータの特徴は,集計データであることである. そこで,集計データから個人の行動を推論する方法論としてのエコロジカルインファレンスが重要性を帯びてくる.本稿では,身近な例を取り上げ,それらの分析結果を提示すると共に,その解釈について詳しく議論する.特に,回帰分析の3つの役割である「記述」,「予測」,「制御」の違いを明確にすべきであることを強調する.また,それらのデータは集計データであることから,エコロジカルインファレンスのいくつかの技法を適用した結果も示す.例を2つ示したが,それらは全く同じ数値でありながらコンテクストが違うものである.したがって,解析の数値的な結果は全く同じであってもその解釈が異なっている. 本稿で伝えたいメッセージの第一は,データは数値と背景情報からなることという認識である.コンピュータのできるのは「数値解析」であり,「データ解析」を行うためには背景情報を十二分に吟味しなくてはいけないことを改めて伝えたい.

11 0 0 0 OA 日本劇場建築史

著者
辻 槙一郎
出版者
建築史学会
雑誌
建築史学 (ISSN:02892839)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.126-141, 2022 (Released:2023-04-20)
著者
成瀬 厚
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.172-175, 2003-03-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

11 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1925年05月16日, 1925-05-16
著者
井手 勇介 今野 紀雄
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.10, pp.682-690, 2019-10-05 (Released:2020-03-10)
参考文献数
32
被引用文献数
1

近年,量子アニーリング型量子コンピュータ・量子ゲート型量子コンピュータの商用化を始めとして量子コンピューティングへの関心が高まっている.それらの量子コンピュータ上で動作する高速探索アルゴリズムを実現するための方法の一つが量子ウォークである.量子ウォークは,量子ゲートを用いた計算モデルとの対応が明らかになっているモデルである.量子コンピュータ上で動作する高速探索アルゴリズムとして,最もよく知られているものはグローヴァーのアルゴリズムである.このアルゴリズムは,N枚のカードのうちマークされた1枚のカードを見つける問題を対象とする.N枚のカードそれぞれに対応する量子状態の一様な重ね合せ状態を初期状態とし,次の二つの操作に対応するユニタリ行列を繰り返し作用させることで探索を行う.一つ目の操作は,マークされたカードに対応する確率振幅の符号を反転し,その他のカードの確率振幅を保つユニタリ行列変換,二つ目は確率振幅を一様に拡散させるユニタリ変換である.これら一連の操作により,通常の探索アルゴリズムではO(N)の計算時間を要するのに対し,O(√N) の試行回数で高確率にマークされたカードを探し出すことができる.以上のアルゴリズムは,「N枚のカード」をグラフの「N個の頂点」に置き換えて考えることで,グラフ(ネットワーク)上の探索問題と見なすことができる.グローヴァーのアルゴリズムは,グラフ(ネットワーク)上の探索問題としては完全グラフ(全ての頂点対が辺で結ばれているグラフ)上の探索に対応している.そのため,探索アルゴリズムとしての汎用性を持たせるために,一般のグラフ上で高速探索可能なアルゴリズムが望まれる.このようなアルゴリズムを実現するための一つの方法として注目されているモデルが量子ウォークである.離散時間量子ウォーク(DTQW)では,グラフ中のマークされた頂点に対応する確率振幅の符号を反転し,その他のカードの確率振幅はそのままにする役割を持つユニタリ行列と,確率振幅を一様に拡散させる役割を持つユニタリ行列の積で定義されるユニタリ行列を用いて,グローヴァーのアルゴリズムに対応する探索を行う.これにより,O(√N) の試行回数で高確率にマークされた頂点を探し出す.DTQWによる一連の時間発展がグラフの辺上のダイナミクスとして定義されるのに対して,連続時間量子ウォーク(CTQW)では,同様の役割を持つユニタリ行列を頂点上のダイナミクスとして実現可能である.探索アルゴリズムの基礎となる量子ウォークは,ランダムウォークの量子版とみなせるモデルの一つであり,量子計算の基本的モデルとして近年注目を集めている.量子ウォークの理論的側面としてよく議論される性質は強い拡散性と局在化の共存であり,通常のランダムウォークと大きく異なる性質であるために種々のグラフ上での理論的検討が精力的に進められている.また,数理モデルとしての興味だけに留まらず,例えば,放射性廃棄物分離への応用可能性・トポロジカル絶縁体との対応が明らかになるなど,理論・実験を問わず,研究の裾野を広げている.さらに,物理的な実現についても捕捉イオン(trapped ion)や光子を用いる方法等により活発に行われている.
著者
小渕 浩平 竹林 崇 花田 恵介 徳田 和宏 中村 裕一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.703-710, 2022-12-15 (Released:2022-12-15)
参考文献数
22

脳卒中後の上肢麻痺に対するエビデンスの確立されたアプローチの多くは,生活期の患者を対象としている.急性期でもエビデンスレベルの高い研究が望まれるが,急性期に比較試験を行うことは容易でない.そこで今回,急性期での修正CI療法の効果を推定するために,先行研究のデータプールを用いて,課題とされる対照群を設定し,介入群と傾向スコアマッチングによる比較検討を行った.結果,急性期での修正CI療法の実施は,比較的予後が良好な自宅退院例では有効な可能性がある一方で,回復期転院例では,短期間で十分な効果が得られない可能性が示唆された.今後は,麻痺手の使用行動に関する影響に関しても比較検討を行っていく.
著者
高木 和子 依田 一豊 宮澤 賢司 原田 岳 何 方 平松 優
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.10-15, 2016-04-15 (Released:2017-04-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1

In this study, we compared the physicochemical properties and sensory attributes of low temperature pasteurized (LTLT) milk and ultra-high temperature treated (UHT) milk, both of which were produced using the same raw milk. The consumer tests indicated that the odor, sweetness, thickness, and after-taste were weaker in the LTLT milk compared to that in the UHT milk (p<0.01) and that the LTLT milk was more refreshing than the UHT milk (p<0.01). Although the taste of UHT milk was more familiar than that of the LTLT milk (p<0.05), there was no difference in palatability of the two milks. The odor of the LTLT milk resembled that of raw milk when the odor was analyzed at 40°C, 50°C, and 60°C by using an odor sensor. However, the odor of UHT milk was different from that of both the LTLT milk and the raw milk. The viscosity of the LTLT milk was lower than that of the UHT milk (p<0.05). The hardness of custard puddings prepared using LTLT milk was lesser than that of custard puddings prepared using UHT milk (p<0.01). In addition, the sensory evaluation with the expert panel indicated that the custard pudding prepared using LTLT milk was softer and had a better melting feeling in the mouth compared with that prepared using UHT milk (p<0.01).
著者
樋室 伸顕
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1095-1102, 2017-12-15

はじめに 学生時代,小児施設での臨床実習が決まったとき,親とどのように接したらよいか不安に思った経験はないだろうか.一方,小児施設で臨床をしている理学療法士は,親とのかかわり方をどのように身につけているのだろうか.卒前卒後を通して,理学療法教育として家族とのかかわりを学ぶ機会は限られている.先輩からの助言や個人の学習努力,または積み重ねた経験に基づいて臨床実践されているのが現状である. 家族が子供の発達に大きな影響を与えることは疑いの余地がない.したがって子供の発達を支える小児理学療法では,根拠を持って家族とかかわる必要がある.そこで本稿では,Family-Centered Servicesの言葉の意味や概念,定義,効果をレビューする.そして家族を中心として理学療法を実践するうえで特に重要な情報提供のありかたを,私見を交えて述べる.小児理学療法の臨床・教育において,科学的根拠を持って家族とかかわるきっかけになることが本稿の目的である.
著者
稲村 光郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.9, 2007 (Released:2007-11-23)

戦時下(1937-1945)における資源回収は、国の主導により、主として日中戦争時には貿易収支上に生じた不足物資の補填策として、太平洋戦争開始以後は軍需産業への金属集中のために行われた。全体としては半強制的な雰囲気下で行われているが、43年に実施された非常回収は「国家総動員法」に基づいた強制的な企業整備と一体的になされたもので、非軍需工場を土地・建物・人員ぐるみ軍需産業へ転用し、設備を金属回収するというものであった。その結果、主対象とされた繊維工業全体では鉄量換算で約百万トンあった設備のうち、約七十万トンがスクラップ化されたと推定されている。他方、一般家庭では金属類に加え、木炭空俵や酒びんなどの引換え回収、さらには末期には生活必需品の不足をもたらすほどのアルミ回収が行われたが、その実施には町内会・隣組が国家組織の末端として再編成、育成され利用された。これらの結果、戦時中の鉄くず回収量は戦前のそれに比べてても高い水準であった。また戦後、町内会の復活とともに古紙回収率が世界レベルまで高まった要因として、一般家庭のこの体験を通じた学習効果が考えられる。
著者
眞喜志 まり
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.472-478, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)

システマティック・レビューにおいては,網羅的・系統的な文献検索が不可欠な作業として求められる。本稿では,システマティック・レビューの理解に必要となるキーワード,EBMとコクランについて紹介したのち,システマティック・レビュー,特にシステマティック・レビューにおけるデータベースの選択・検索について概説する。システマティック・レビューの文献検索は,データベースごとに特徴と機能,注意点を理解したうえで,検索式を設定することが重要である。また,システマティック・レビューやシステマティック・レビューに利用でき得るリソースの情報収集とアップデートを継続することも必要である。
著者
神庭 重信 鬼塚 俊明 加藤 隆弘 本村 啓介 三浦 智史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

うつ病の神経炎症仮説に基づき、動物実験としては、グラム陰性菌内毒素をマウスに投与して、行動および脳内の組織化学的変化について研究した。広範囲に及ぶミクログリアの一過性の活性化は見られたが、それを通じたアストログリア、オリゴデンドログリアへの影響は検出できなかった。ミクログリア活性化阻害物質であるミノサイクリンの投与は、内毒素投与の有無にかかわらず、抑うつ様行動を惹起した。培養細胞系では、ヒト末梢血中の単球から、ミクログリア様細胞を誘導することに成功し、気分障害罹患者を対象とする画像研究でも、拡散テンソル画像を集積した。これらの研究を通じ、うつ病と神経炎症の関連についてさらに知見を深めた。
著者
民輪 英之 武田 真莉子
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.10-19, 2020-01-25 (Released:2020-04-25)
参考文献数
34
被引用文献数
1

難吸収性薬物の経粘膜送達を実現するための有用な戦略の1つとして、吸収促進剤の利用があげられる。この戦略に基づいた研究は1980年代から盛んに行われており、現在においてはペプチドやタンパク質といったバイオ薬物を対象として、吸収促進剤を含有する製剤の臨床試験が多数進行している。そのような中、2019年においては、Novo Nordisk A/Sが開発した世界初となる経口GLP-1(glucagon-like peptide-1)アナログ製剤が米国で承認されて話題となった。本製剤には、経口吸収促進剤サルカプロザートナトリウム(SNAC)が含有されている。バイオ医薬品産業がますます拡大すると予測されている今、注射剤以外の製剤オプションを提供できる吸収促進技術の開発に新たな注目が集まっている。そこで本稿では、特に経口バイオアベイラビリティの改善を目指した経粘膜吸収促進剤に焦点をあてて、現在の開発状況と安全性に関する最新の知見、そして今後の展望について紹介する。
著者
杉本 佳奈
出版者
将棋と文学研究会
雑誌
将棋と文学スタディーズ
巻号頁・発行日
vol.2, pp.117-141, 2023

町田市民文学館ことばらんど(東京都町田市)では、二〇二二年四月二十九日から六月二十六日にかけて、企画展「将棋作品をひもとく!〝読む将〟のススメ展」を開催した。近代以降の将棋を題材とした文学作品の歴史を辿り、作家の直筆原稿や取材メモ、マンガ原画、愛用の駒などの多彩な資料を展観。時代によって変化してきた将棋の楽しみ方の変遷を追いながら、各時代に生まれた作品を紹介する展示構成とし、小説、随筆、俳句、短歌、マンガ、アニメ、映画、作家が書いた観戦記といった様々なジャンルの作品を取り上げた。本稿は、本展を担当した学芸員である筆者が、準備から実施の記録を簡潔にまとめたものである。今後、他機関で同様の展覧会を企画することがあった折などに一助となれば幸いである。