44 0 0 0 OA 浮腫の基礎

著者
小野部 純
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.32-40, 2010 (Released:2010-02-23)
参考文献数
23

浮腫とは,組織間隙(Interstitial space)に生理的な代償能力を越えて過剰な水分の貯留した状態を指し,臨床でもよくみうけられる症状である。しかし,発症の機序をよく理解しないまま慣習的に行われている理学療法に終始し,十分な治療効果を挙げられないことが少なくない。その対策には,なぜ浮腫がおこるのか,どうすれば改善できるのかを解剖・生理学的知見を踏まえ,理学療法における介入方法を構築し直すことが重要であると考える。
著者
望月 要 佐藤 方哉
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.42-54, 2003-04-20 (Released:2017-06-28)

本稿は行動分析学の立場から"パーソナリティ"の概念的分析と実証的研究の展望を試みたものである。従来、人間の個体差を示すパーソナリティ"という概念は、個体の内部にあって、その人間の行動を決定する仮説構成体と考えられてきた。この定義は現在でも広く用いられているが、言うまでもなく、行動の内的原因を排除する行動分析学からは容認できない。しかし、"パーソナリティ"について行動分析学の立場から新たな定義を与えることは不可能ではない。本橋ではパーソナリティ"に対して「特定個人の行動レパートリーの総体」という定義を、まだパーソナリティ特性"に対して「個人において安定している共通の制御変数によって制御されるレスポンデントおよびオペラントのクラス」という行動分析学的な定義を提案し、これに基づいてパーソナリティ特性"の概念的分析を行なうとともに、行動分析学的立場から行なわれた幾つかの実証的研究について展望を試みた。行動分析学は行動を制御する主要な制御変数の探求を完了しつつあり、今後は、制御変数間の相互作用の分析に力を注ぐべき段階にさしかかっている。制御変数の相互作用を解明するとき、同一環境下で発生する行動の個体差は研究の重要な糸口となり、その意味においても行動分析学における個体差研究の意義は大きい。
著者
鈴木 信孝
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.141-151, 2018-09-30 (Released:2018-10-12)
参考文献数
20

妊娠中のハトムギ使用について解説した.市販のハトムギ茶を妊娠中に摂取して流産や早産になるという証拠はなく,産後に市販のハトムギ茶摂取を禁ずる科学的根拠もない.したがって,妊婦が常識の範囲内でハトムギ茶を飲用もしくはハトムギ調理品を食することは,問題ないと考えた.ただし,ハトムギ摂取に過敏になっている妊婦は,無理にハトムギ飲食を行う必要はない.また,妊娠中のハトムギ摂取に関しては医師に相談することが肝要である.妊娠中のハトムギの製薬であるヨクイニンの内服については,必ず産婦人科医師の管理のもとに行うべきである.また,ハトムギの栄養補助食品も,妊娠中は中止するか,もしくは医師と相談の上で使用するのが望ましい.ただし,妊娠中にこれらの医薬品や食品を飲み続け,流産,早産,児の奇形等が発症したとする報告はない.妊娠中はハトムギ摂取を控えるべきであるという伝承については,ハトムギに麦角菌が感染し,産生された麦角アルカロイドによる子宮収縮が深く関与していたという仮説を立てた.また,小麦・大麦・ライ麦,トウモロコシなど麦角菌に感染する可能性のあるイネ科植物の麦角アルカロイド汚染の有無を知ることは,妊婦の流産・早産予防上,重要であることも指摘した.
著者
大重 彌吉
出版者
Okayama Medical Association
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.933-949, 1954-05-31 (Released:2009-08-24)
参考文献数
17

I have made a report about two villages which may be regarded as random samples of farm villages in mountainious districts, to offer such materials as will help to make accurate statistics in future.Schizophrenia shows a percentage of 0.49 to the population, the corrected frequency being 1.01% (dangerous age 16-40; referred number 2168.0), the percentage of manicdepressive psychosis in 0.04, the corrected frequency 0.12% (dangerous age 21-50; referred number 1710.0) and the percentage of essential epilepsy is 0.11. the corrected frequency 0.17% (dangerous age 21-30; referred number 2922.0).
著者
狩野 学 手計 太一 木内 豪 榊 茂之 山田 正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.193-198, 2004-02-01 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
4 4

The large-scale social experiment, which many citizens including media representative participated for evaluating the effects of the watering on the “Heat Island Effect”, was carried out in Tokyo Metropolitan in Aug. 25 2003. About 14000l. water were sprinkled for about 20 minutes from noon. Air temperature and humidity were measured by moving observation system and fixed observation system at watering area in Eastern Tokyo. After the watering, the air temperature difference between outside and inside of watering area increases, and its difference was about 0.5°C. Temperature of watering area is lower than the temperature of outside area of watering after the watering. The effect of the watering was verified using the numerical simulation based on MM5. As a result of this analysis, air temperature degreased 2-2.5°C in watering area after the watering.
著者
小島 彩子 佐藤 陽子 橋本 洋子 中西 朋子 梅垣 敬三
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.141-145, 2010 (Released:2010-09-10)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

最近の野菜の栄養価が低下しているという情報が流されている。こうした情報は,単に日本標準食品成分表(食品成分表)の収載値を引用して比較しているが,食品成分表では改訂ごとに分析方法が変更されていることは考慮されていない。このような情報における分析方法の関与について検証する目的で,ビタミンC(VC)に焦点をあて,9種類の野菜のVCを,これまで食品成分表で使用された3つの分析方法,すなわち滴定法(I),比色法(II),HPLC法(III)を用いて比較した。ホウレンソウ,コマツナ,ニンジンのVC含量はI>II>IIIのように明確に年代順に低下した。この実測値の変動は,食品成分表におけるVC収載値の変動とよく一致していた。トウガンのVC含量は食品成分表収載値の変動と同様に方法IIによる実測値が他法よりも高かった。いくつかの野菜では,食品成分表におけるVC収載値の変動が分析方法だけでは説明できなかったものの,全体としては,実測値の変動は食品成分表の収載値の変動とよく一致していた。以上の結果より,過去の食品成分表のVC収載値の変動に対して,分析方法の違いがある程度は影響したことが示唆された。(オンラインのみ掲載)
著者
日野 治子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.122, no.10, pp.2459-2470, 2012-10-20 (Released:2014-11-13)
被引用文献数
1

皮膚科医が校医として学校保健の場に入っていくのはなかなか難しい.幼小児期から皮膚科医が接触介入することで,皮膚疾患を早期発見し,早期治療が望ましいことは言うまでもないが,校医としての立場を得にくい現場では容易ではない.学校生活は学校保健安全法で様々に規定されている.学校感染症の管理は学校生活を滞りなく過ごさせるのに必要なことであり,アレルギーを持つ学童・生徒の管理,性感染症の問題など,今後皮膚科医が関わらねばならない問題に関して,いくつか取り上げる.
著者
田中 寛 保田 淑郎 柴尾 学
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-9, 2015-05-31 (Released:2015-09-01)
参考文献数
28

関西国際空港において1994~97年に一期島(生息可能面積 143 ha),2007年に二期島(同 139 ha)でトノサマバッタが大発生し,群生相に特有の黒色とオレンジ色の2色の幼虫が認められた。調査は主にライントランゼクトおよびコドラート法により,管理はMEP 乳剤の散布により行った。1994~97年の推定生息個体数の最大値は1,338万個体で,天敵糸状菌Entomophthora grylli の発生とともに1997年に大発生が終息した。2007年の推定生息個体数の最大値は3,884万個体で,同じくE. grylli の発生とともに2007年7月に大発生が終息した。大発生の原因は,埋め立てにより出現した天敵不在の生物環境下に移入した成虫が数世代激しく増殖したことにあると考えられる。トノサマバッタの群生相集団は一期島,二期島とも島の北西部に偏在する傾向が認められ,この原因は6~9月の南ないし南西の風によるものと考えられる。関西国際空港においてトノサマバッタの生活史は主として年2化であり,卵だけでなく成虫,幼虫についても越冬が確認された。2007年の大発生時には効率的な調査および管理のための基本戦略を設定した。すなわち,①迅速な調査,②結果の地図化による全体把握,③高密度地点から低密度地点へと順に行う防除,④次回調査による防除効果の的確な評価(=①),⑤「①~③」の繰り返し,⑥天敵保護を目的とした低密度地点における薬剤散布の抑制,の6点とした。この戦略にしたがってMEP 乳剤により防除したところ,2007年6月9~11日に3,884万であった推定生息個体数は6月19日に14万に急減した。以上の結果,一期島,二期島におけるトノサマバッタの大発生は適切に管理され,航空機の運航に支障はなかった。
著者
児島 将康
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.1, pp.14-18, 2007 (Released:2007-07-13)
参考文献数
11

GHS(growth hormone secretagogue,成長ホルモン分泌促進因子)は内因性リガンドが不明のGタンパク共役型受容体,いわゆるオーファン(リガンドが不明なので“みなしご”とよばれる)受容体に作用し,成長ホルモン分泌などの多様な作用を現します.私たちはこのGHS受容体(GHS-R)の内因性リガンドを胃から精製・構造解明し,英語の“grow”に相当するインド・ヨーロッパ基語“ghre”からグレリン“ghrelin”と名付けました.ヒトおよびラットのグレリンは28個のアミノ酸からなるペプチドで,3番目のセリン残基が脂肪酸のオクタン酸によって修飾されており,しかもこの修飾基が活性発現に必要であるという,これまでに知られていなかった構造をしています.グレリンは強力な成長ホルモン分泌促進活性と摂食亢進作用を示す内分泌・エネルギー代謝に関与するホルモンです.
著者
上野 耕平
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_141-2_150, 2021-04-01 (Released:2021-04-26)
参考文献数
14

The purpose of this study was to clarify the impact of a rash guard on the likability of a swimming class from the perspective of the psychological difficulty of wearing a swimsuit. In study 1, 127 college students (20.35years old; 54 males, 73 females) completed a retrospective survey on the psychological difficulty of wearing a swimsuit in junior high school. The results revealed that psychological difficulty can be divided into four concerns: body shape, other people′s gaze, sunburn, and body hair. In study 2, 315 students (13.39years old; 165 males, 150 females) belonging to a junior high school that allowed them to wear a rash guard in swimming class and 290 students (13.93years old; 138 males, 152 females) belonging to a junior high school that did not allow them to wear a rash guard in swimming class completed a survey on the likability of the swimming class, requests for wearing a rash guard in future classes, and the psychological difficulty of wearing a swimsuit. The results revealed that wearing a rash guard impacted the likability of a swimming class by reducing students′ anxiety about sunburn.
著者
福田 昌史
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.59-71, 2008 (Released:2009-04-07)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

Exit polls are excellent sources of information to understand voter behavior and to predict election outcomes. This paper presents the current methods of exit polls, which is conducted primarily by the Mainichi Newspapers, and discusses issues related to exit polls.Exit polls are based on a two-stage sampling design, with a polling precinct as the primary sampling unit and a voter as the final sampling unit. Precincts are stratified and selected systematically with probability proportional to the precincts' forecasted number of voters. The voters of a precinct are first selected systematically, with the interval predetermined based on the forecasted numbers of voters, and subsequently, asked for interviews.The datasets of exit polls that have been collected during 23 governor elections held since April, 2003 are analyzed. Standard errors of the estimated proportions of votes for 90 candidates are, on average, 1.5 times larger than the respective standard errors based on the simple random sampling.The analysis also reveals that the estimated proportions of votes for 20% of the candidates are outside the 95% confidence intervals, which suggests that there exist some sources of errors apart from the sampling error. The issues related to exit polls, including those concerning errors caused by an increasing number of early voters and non-responses, are discussed.