著者
山地 康志 北島 由紀子 重田 有美
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.177-181, 2002-03-01

21世紀とともに始まったこの連載も,とうとう最終回になりました。かつての新人さんも「すでに優秀なINFOPROに成長したわ!」と自負している人も多いのではないでしょうか?しかし何か忘れていませんか?そうです,法律や制度です。企業図書館は公共図書館と異なり,あまり法制度についてうるさくいわれませんが,知らないうちに法律をおかしていたのでは,優秀なINFOPROとは言えません。最後に図書館にまつわる法制度について学び,胸を張ってINFOPROへ「JUMP!」しましょう。
著者
側嶋 康博
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.205-206, 1993-09-27

従来の機械翻訳では文脈処理が行われないため、文脈に依存した表現は訳し分けは困難であった。これまで、対話文翻訳のための文脈処理として、ヒューリスティックに特定領域のプランを作成する手法、発話行為タイプ(IFT)の推移をn-gramなど統計的に処理する手法などが提案されているが、「文」を単位とした入力言語のモノリンガル解析に中心が置かれている。しかし、2.で述べるように、現実の翻訳では、文対応の割合は高くない。本研究は、用例主導翻訳の考えを文脈処理、特に訳語の選択に応用しようとするもので、IFTを付与したバイリンガル・コーパスを、対話文翻訳のための文脈知識として利用している。隣接するバイリンガル用例知識と翻訳対象とを比較して得点化し、最高得点の訳語を選択するこの局所文脈解析によリ、高頻出の「はい」「いいえ」「そうです」「が」「けれども」など、対話の進行に重要な表現の訳語を高精度で選択することができた。本稿では、この局所文脈解析の概要と、この処理を用いた翻訳実験の結果について報告する。
著者
池田 良彦
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-29, 1993-03-30

The investigation of the crash of the Japan Airlines Boeing 747 in August 1985, has ended without anyone being found criminally responsible. This seems less than satisfactory. The crash of the JAL jetliner in a mountain in Gunma-ken claimed 520 lives. The Maebashi District Prosecutor's Office decided not to indict anyone from Boeing Co., JAL or the Transport Ministry. These parties had been referred by the police to the prosecutors for possible involuntary manslaughter charges. The prosecutor's office said the direct cause of the crash was faulty repair on the bulkhead of the aircraft by Boeing technicians after the plane was damaged at Osaka International Airport in 1978. During its investigation, the Maebashi prosecution office applied to the U. S. Department of Justice to question the maintenance staff at the U. S. aircraft campany. The request was rejected by Boeing staff on the baisis of an amendment to Article 5 of the U. S. Constitution which guarantees Americans rights to refuse taking part in hearing that may bring criminal charges against them. In the United States, greater weight in an investigation is placed on preventing a recurrence of a similar accident than on pursuing a criminal indictment. Charges against JAL and Transport Ministry officials were dropped on the grounds that there were insufficient evidence to suggest responsibility. It could have been the first time that the safety design and repairs of an aircraft would figure in a judical case. In this article, author introduced and analyzed a new type of administrative and supervisory negligent liability.
著者
中田 敏夫
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.12, pp.159-165, 2009-02

外国人児童の教科指導を支援する方法の一つとして,リライト教材を用いた0時間学習の実践を行ってみた。「現場で,無理なく使え,教科学習に資する」方法を目指して行った国語科学習支援の実践である。結果として,レベル別にその効果は異なっていたが,レベル1・2には有効であろうという判断が下せるものであった。今後,多くの外国人児童に,宿題,放課後学習,あるいは1時間の取り出し授業の形で適用が可能となり,教科学習支援の一つの有力な方法となっていくだろうと予想される。
著者
片瀬 和子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFS, オフィスシステム
巻号頁・発行日
vol.98, no.75, pp.15-22, 1998-05-22
被引用文献数
1

米国では、インターネット上で財や情報をマッチング・コーディネートして価値を生み出す新たなビジネス=ネットワークビジネスが勃興している。米国におけるネットワークビジネスの事例調査結果に基づき、財・情報の交換の仕組み(マッチング・コーディネート)やビジネス展開の方法、有用な技術等について論じる。さらに、今後の日本でのネットワークビジネスの本格展開に向け、財・情報の交換システムの必要条件について検討を行う。
著者
大黒 篤 藤城 寿太郎 高本 孝頼
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.2270-2271, 1989-10-16

バス会社や鉄道会社の主業務であるダイヤ編成業務は、利用客のニーズ、労働協約の変更、他交通機関との関係、あるいは路線変更等の事情により、絶えず必要となっている。しかし、ダイヤ編成は、長年の経験を積んだ専門家をもってしても非常に時間のかかる作業であり、要求に対応できないのが現状である。ダイヤ編成を複雑なものとしている原因のひとつに、「線のつなぎ」の問題がある。線のつなぎとは、粗ダイヤを、労働協約や路線・停留所の事情を考慮しつつ、均一でかつ効率の良い仕業に分ける作業をいう。つまり、与えられた粗ダイヤを、なるべく少ない資源(人間及び車両)でつなぎ、なおかつなるべく効率の良い勤務となるように、各仕業に均一に分ける問題である。この作業は、従来、「スジ屋」と呼ばれる(少数の)ダイヤの専門家が、長い時間かけて行なってきたため、大幅なダイヤ編成作業は、数ケ月から1年もの期間を要することもあった。今回開発した「ダイヤ編成支援システム」は、この線のつなぎをシステムが自動的に行なう。本システム全体の構成を図1に示す。図に示すように、本システムは、基本運行計画に基づいて粗ダイヤをCADで作成する「作図サブシステム」、線のつなぎを支援する「つなぎサブシステム」、路線・停留所データや運行計画等を管理する「データ管理サブシステム」、完成したダイヤから種々の帳票を作成する「帳票作成サブシステム」の4つのサブシステムからなる。
著者
鈴木 正康 山田 裕 出口 勝昭 安生健一郎 粟島 亨 天野 英晴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.5, pp.35-40, 2004-01-22

NECエレクトロニクスが開発したDynamically Reconfigurable Processor (DRP)は、粗粒度のリコンフィギャラブルプロセッサで、内部に持つ16のデータパスの構成情報を切替えることによって、様々な処理を実現する。本稿では、リコンフィギャラブルプロセッサDRP上でのエッジ近傍合成機能付きαブレンダの設計事例を紹介し、DRPの処理能力を検証するため、Pentium 4、Athlon XP、DSP(TI C6713)などのアーキテクチャと比較した。その結果、並列処理の効果的な利用により,エッジ近傍合成機能付きαブレンダを実行した場合、DRPはPentium 4、Athlon XPの3倍、DSPの17倍の処理性能を達成することができた。Dynamically Reconfigurable Processor (DRP) developed by NEC Electronics is a coarse grain reconfigurable processor that selects a data path from the on-chip repository of sixteen circuit configurations, or contexts, to implement different logic on one single DRP chip. This paper describes our implementation of an alpha blender with anti-aliasing capabilities on the DRP. Comparison with various architectures including Pentium 4, Athlon XP, and DSPs (TI C6713) are done to evaluate the potentials of the DRP. Our results show that the DRP outperforms Pentium 4 and Athlon XP by three times, and DSP by seventeen times when compared against the implementation of anti-aliasing alpha blender.
著者
石栗 太 川島 麻里 飯塚 和也 横田 信三 吉澤 伸夫
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.576-582, 2006-06-15
被引用文献数
2 14

In the present study, to clarify the relationship between stress-wave velocity of standing trees and their wood quality, stress-wave velocity of 122 standing trees in 27-year-old Hinoki (Chamaecyparis obtusa Endle.) plantation were measured by using a commercial hand held stress-wave timer (FAKOPP). Ten trees were cut down for examining the anatomical properties, static bending properties of small-clear specimen, and quality of square timber (1700 by 55 by 55mm). Stress-wave velocity of standing trees appeared to be affected by wood quality, especially by basic density and Young's modulus in juvenile wood. Significant relationships between stress-wave velocity of standing trees and dynamic Young's modulus or modulus of elasticity in static bending of square timber were found. However, it was very difficult to evaluate the modulus of rupture in static bending of square timber by stress-wave velocity of standing trees, because square timber had some defects such as knots. These results suggested that modulus of elasticity in static bending of square timber can be predicted by the stress-wave velocity.
著者
大関 和夫 中島 道紀 八十島耕平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.33, pp.169-174, 2005-03-22

インターネットで各個人が画像・音声の配布をするにあたり,著作権を確保するため,透かし認証の無料化と耐性を最大化する観点で電子透かしシステムを構成した.従来透かしの埋め込みと検出の方式を秘密にするため,透かしの検証により著作権を第三者に対して主張するためには,透かしを公的機関に登録するなどの手続きが必要であったため,事実上透かし挿入検出のために登録経費等が必要となり,個人レベルでは電子透かしによる著作権の主張をすることが困難であった.これに対処するため,検出プログラムを公開し,任意の第三者が透かしの有無を検出できるようにした.これに伴い公開する検出プログラムを難読化しておく処理を追加することにする.電子透かしシステムにはいくつかの評価基準があるが,耐性を最大化するため,埋め込み情報の種類を最小化し,同じ情報を何度も繰り返し埋め込むことにより,埋め込みの冗長度を最大化することを試みた.埋め込みデータは独立と見なし,多数決原理により,透かしの有無を判定する.DFT領域でのQIM方式に準ずる埋め込みを行い,十分な耐性を確認した.また、難読化の手法を検討し,プログラムの増加量より,複雑度の指標をあげることができた.A new watermarking system which maximizes the resilience and provides authentication method without additional costs for people who distribute their digital image and sound data in the internet. In the conventional methods, embedding algorithm is kept in secret. To insist their copy rights to the others, registering their watermark data to some public institution had been required. this actually charged people registering costs, which made personal watermark embedding difficult. To cope with this, this paper proposes to disclose detection programs. Any third party can detect the watermarks. To carry out this system the detection program is obfuscated. To maximize the resilience, the watermarking system minimizes the embedded information. Assuming the embedded data independent, the majority decision rule authenticates the watermarks. Experiments with the QIM method in DFT region results sufficient resilience and provides higher complexity index than the increasing length of the detection program.
著者
高瀬 柔郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.692, pp.261-266, 2003-02-28

今後恒常化する高齢社会の近隣地域のボランティア活動を支援するために近隣網が提案されている.近隣網では,通信を無料化するためにルータ等の管理サーバを設置せず,各家庭のパソコンをノードとし家庭間をリンクで直結する.そのリンクに光ファイバーを使用するとFiber Among the Homes(FATH)が出現し,集合住宅では立体的な分散網が形成される.立体的な分散網の損失率の下限を提示する.
著者
高瀬 柔郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.694, pp.261-266, 2003-02-28

今後恒常化する高齢社会の近隣地域のボランティア活動を支援するために近隣網が提案されている.近隣網では,通信を無料化するためにルータ等の管理サーバを設置せず,各家庭のパソコンをノードとし家庭間をリンクで直結する.そのリンクに光ファイバーを使用するとFiber Among the Homes(FATH)が出現し,集合住宅では立体的な分散網が形成される.立体的な分散網の損失率の下限を提示する.
著者
大関 和夫 中島 道紀 八十島耕平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.33, pp.169-174, 2005-03-22
被引用文献数
2

インターネットで各個人が画像・音声の配布をするにあたり,著作権を確保するため,透かし認証の無料化と耐性を最大化する観点で電子透かしシステムを構成した.従来透かしの埋め込みと検出の方式を秘密にするため,透かしの検証により著作権を第三者に対して主張するためには,透かしを公的機関に登録するなどの手続きが必要であったため,事実上透かし挿入検出のために登録経費等が必要となり,個人レベルでは電子透かしによる著作権の主張をすることが困難であった.これに対処するため,検出プログラムを公開し,任意の第三者が透かしの有無を検出できるようにした.これに伴い公開する検出プログラムを難読化しておく処理を追加することにする.電子透かしシステムにはいくつかの評価基準があるが,耐性を最大化するため,埋め込み情報の種類を最小化し,同じ情報を何度も繰り返し埋め込むことにより,埋め込みの冗長度を最大化することを試みた.埋め込みデータは独立と見なし,多数決原理により,透かしの有無を判定する.DFT領域でのQIM方式に準ずる埋め込みを行い,十分な耐性を確認した.また、難読化の手法を検討し,プログラムの増加量より,複雑度の指標をあげることができた.A new watermarking system which maximizes the resilience and provides authentication method without additional costs for people who distribute their digital image and sound data in the internet. In the conventional methods, embedding algorithm is kept in secret. To insist their copy rights to the others, registering their watermark data to some public institution had been required. this actually charged people registering costs, which made personal watermark embedding difficult. To cope with this, this paper proposes to disclose detection programs. Any third party can detect the watermarks. To carry out this system the detection program is obfuscated. To maximize the resilience, the watermarking system minimizes the embedded information. Assuming the embedded data independent, the majority decision rule authenticates the watermarks. Experiments with the QIM method in DFT region results sufficient resilience and provides higher complexity index than the increasing length of the detection program.
著者
高橋 正子 黒川 行治
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.22-48, 1992-12-25

SEC連結基準採用会社をサンプルとし,産業効果モデルによって推定した残差リターンに基づく累積平均残差CARを計算し,決算発表された会計情報の内容とCARとの関係を分析することにより,会計情報の有用性の有無・程度を検討する。会計情報としては,(1)連結利益,(2)個別利益,(3)連結営業キャッシュ,(4)個別営業キャッシュ,(5)連結投資キャッシュ,(6)連結財務キャッシュ,(7)個別投資キャッシュ,(8)個別財務キャッシュの8種類である。なお,すべて1株当たりの数値に換算し,また対前期比を計算することにより実際値と予想値との乖離を求め,期待外の結果とする。分析は4つのパートから構成されている。(1)利益情報と営業キャッシュ情報との比較 上記(1)〜(4)の4つの情報について,対前期比がプラスの場合,その情報内容が好材料(good news)と判断し,逆にマイナスの場合,悪材料(bad news)と判断して,情報の好悪とCARとの関係を月毎の変動の形にグラフ化する。その結果,利益情報の好悪は,営業キャッシュ情報の好悪よりもCAR(株価)との関連性が強い。とくに,連結利益情報がもっとも顕著であり,逆に,個別営業キャッツュ情報の好悪は株価に関して殆ど差異をもたらしていない。(2)投資キャッシュと財務キャッシュ情報の有用性 上記(5)〜(8)の4つの情報について,対前期比が増加であるか減少であるかを当該情報の情報内容として,CARとの関係を月毎の変動の形にグラフ化する。その結果,連結または個別の投資キャッシュが増加する場合,-3月まではCARは殆ど上昇しない。また,連結または個別の財務キャッシュが減少する場合,-3月まではCARは殆ど上昇しない。連結財務キャッシュが減少する場合,+1月から+3月までのCARの上昇が顕著である。(3)数量化I類モデルによる会計情報の有用性の分析 数量化I類モデルにより,総合的に会計情報のCARへの影響を検討する。その結果,-3月で決定係数が最大となり,情報の好悪(増減)に対するCARの反応差が最も大きくなる。また,資金情報の利益情報に対する追加情報の有用性についてみると,営業キャッシュにはそれほど大きな追加情報内容がないが,投資キャッシュには連結・個別ともに追加情報内容がある。また,個別財務キャッシュには追加情報内容がないが,連結財務キャッシュには追加情報の有用性がある。(4)回帰モデルによる会計情報の有用性の分析 分析(1)〜(3)までは,会計情報の内容を名義測度でとらえ,当期の会計数値を予想(前期値)と比較し,それの好悪あるいは増減としての情報の有用性を分析したが,ここでは,会計情報の内容を比例測度でとらえ,対前期比の数値そのものあるいは対数変換するにとどめた会計情報を扱う。その結果,連結利益は決算月前および決算発表月前に有用で,CARに対して+にはたらく。営業キャッシュ情報には,連結・個別ともに有用性が低い。また,投資キャッシュ,財務キャッシュ情報は,連結・個別ともに有用であり,とくに,連結財務キャッシュ情報が決算月以後および決算短信発表月以後のCARに対して影響が最も有意で,分析(2)と同様マイナスにはたらく。最後に,日本基準の連結会計制度上,作成・開示が義務付けられていない連結キャッシュ情報は有用であることが判った。
著者
梅澤 俊浩
出版者
早稲田大学
雑誌
産業経営 (ISSN:02864428)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.37-51, 2003-12-15

本稿は,日本固有の決算発表の集中日周辺における投資家の意思決定に焦点を当てている。Schroder et al.(1967)の概念モデルに基づくと,決算発表の集中日には,情報のオーバーロードのため,投資家の意思決定は影響を受けると予測される。それゆえ,本稿は決算発表の集中化が取引量に及ぼす影響を実証している。その結果,その他の条件を一定としても,短期的には,集中日ダミーと取引量との関係は弱いながらも有意に負であった。この結果は,Schroder et al。(1967)の概念モデルと一致して,集中日の決算発表直後,投資家は認知限界のためすべての情報は認知できないが,時間をかけて認知できかなった情報を処理する,ことを示唆している。すなわち,集中化は,投資家の決算発表に対する速やかな反応を阻害していると考えられる。よって,よりいっそうの分散化が必要である。
著者
黒川 行治 高橋 正子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.41-51, 1992-08-25

株式投資決定を前提として,会計情報の有用性を問題とする場合,連結会計が主である米国では,発生主義にもとづく連結利益情報と現金主義にもとづく連結キャッシュ・フロー情報とが比較の対象となってきた。一方個別会計情報と連結会計情報とを併用して利用できる状況にあるわが国においては,個別利益情報,個別キャッシュ・フロー情報,連結利益情報,連結キャッシュ・フロー情報の4つが情報の有用性の比較対象となりうる。しかし,現在のところ,個別利益情報および連結利益情報の有用性が若干確認されたにとどまり,キャッシュ・フロー情報とくに連結キャッシュ・フロー情報の有用性の検証は行われていない。そこで,本研究の目的は,株式投資決定問題を前提として,上記の4つの情報の有用性を比較検討することである。なお,わが国固有の連結基準では,連結キャッシュ情報公開が要請されていず,上記4つの情報がすべて利用できるのは,SEC基準によって連結有価証券報告書を提出する会社だけなので,SEC連結基準適用会社をサンプルとする。分析方法としては,産業効果モデルによって推定した残差リターンにもとづく累積平均残差CARを計算し,決算発表された会計情報が好材料(good news)であるか,悪材料(bad news)であるかによって,決算発表前後でCARの動きが異なるか否かを検討するものである。ただし,会計情報としては上記の4種類があるので,好材料か悪材料かはそれぞれの情報毎に識別される。