著者
郷式 徹
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.354-363, 1999-09-30

本研究の目的は幼児がどのように心を理解するかについて,自己の心的状態の理解と他者の心的状態の理解の比較を通して,検討することにある。実験1は,Perner, Leekam & Wimmer (1987)のスマーティー課題(本研究では自己信念変化課題と呼ぶ)と同構造の3課題(標準課題・状況変化課題・多義図形課題)を3・4・5歳児63人に実施した。また実験2は,多義図形課題と誤信念課題(Wimmer & Perner,1983)を3・4歳児28人に実施した。2つの実験の結果を通して,自己の心も他者の心も同時期に理解されることが示され,「心」とは表象であり,「心の理解」は「心の理論」に基づいてなされる表象の操作であると考える理論説の妥当性が支持された。また,幼児が心を理解する際の表象操作に対する知覚的要因や既有知識の影響が示唆された。
著者
別府 哲
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.259-266, 2007-02
被引用文献数
1

誤信念理解で調べられる心の理論と、その発達的前駆体と想定される共同注意についての研究をレビューし、自閉症児がどのような機能連関でその能力を形成するのかを検討した。その結果、自閉症児においては、心の理論は、直観的心理化を欠いたまま言語による命題的心理化によって、共同注意は、社会的刺激への反応傾性に弱さを持ったまま汎用学習ツールによって、それぞれ補償することで形成されることが明らかになった。命題的心理化と汎用学習ツールは、認知能力に依拠しており、直観的心理化や社会的刺激への志向性は、意識下の情動と半ば生得的な社会的刺激への反応傾性に基づくと考えられる。この言語を中心とした認知発達による補償という機能連関は、健常児や知的障害児においてはみられず、自閉症の特異性を示唆する仮説と考えられた。この知見を自閉症の教育支援に適用する場合、情動共有を含めた相互主観的経験を教育的に保障することの重要性が示唆された。
著者
望月 章志 渡辺 聡一 和氣 加奈子 多氣 昌生 山中 幸雄 白井 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.210, pp.1-5, 2002-07-11
被引用文献数
1

近傍界の特性が異なる波源による頭部内ばく露特性への影響を評価するために,理想的な電磁波放射波源が近傍に存在する場合の不均一組織の数値頭部モデル内電磁界レベルを有限差分時間領域シミュレーションにより計算した.頭部近傍に位置する電磁波放射波源の近傍界特性の違いが頭部内の電磁界分布に大きく影響することが示された.さらに,半波長ダイポールと微小電気ダイポールの場合,頭部内の電磁界,電流密度やSARは,入射電界よりもむしろ入射磁界に依存していることが示唆された.
著者
小倉 一泰 斉藤 みどり 都司 達夫 寳珍 輝尚
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.73-74, 1995-09-20

我々は関係データベースのフロントエンドとして動的SQLを取り込んだ言語を作成している。本言語では関係データベースとのセマンティックギャップをさけるためにテーブル、レコードといったデータ型をサポートしており、さらに、選択、射影、結合などの関係演算をそれぞれ単独の演算子として提供している。しかし、関係演算はクライアントで行うには大きすぎるメモリバッファを必要とする。通常データベースサーバは,関係演算に対して特に最適化されている。そのため、本言語では、関係演算を含む式の評価に際して、その時点では関係演算の実行を直接行わず、評価式を生成するに留める。さらに、実際にデータが必要になったときに評価式から最適なSQL式を生成し関係演算サーバで処理する。本研究では、この最適化の手法について議論を行う。
著者
大石 康正 井上 倫夫 小林 康浩 加納 尚之 中島 健二 川上 孝志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.409-410, 1994-03-07
被引用文献数
3

当研究室では筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis)患者のために意思伝達補助装置(Communication Aid)について研究してきた。ALSは全身の筋肉が次々と麻痺していく進行性の疾患で、原因不明で治療法も未だ確立されていない難病である。この病気に侵された人は、最悪の場合、全身が殆ど動かせなくなる。そこで、患者の意志を他人に伝えることのできる装置が望まれてきた。現在、このコミュニケーションエイドの入力として脳波を用いることについて検討中である。本報告では、事象関連電位とその利用法について述べる。
著者
川上 孝志 井上 倫夫 小林 康浩 加納 尚之 古城 明宏 中島 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.2458-2467, 1997-12-15
被引用文献数
3 2

筋萎縮側索硬化症(ALS)は身体の動きが徐々に阻害されていく難病である.この患者の意志伝達を補助する手段として,提示された視覚情報に対して誘発される脳電位波形(EEG)を利用する方法を提案する.本報告では,提示した刺激に応答して誘発される事象関連脳電位(ERP)の中から,目標とした刺激に対して検出されるP300成分をとらえる手法として,ハール・ウェーブレット変換の基底関数を用いたフィルタ処理を利用する.具体的には,提示された複数の項目から特定の対象を選択する実験において,このフイルタ処理とアベレージング手法を併用し,高い確率で目標とした項目を判定できることを示す.そして,ALS患者に対する意志伝達補助装置(CA)の入力手段としてERPを利用するための方法について検討を行ったので報告する.In this paper we describe the possibility of understanding ALS patient's requests by any neuro-physiological manners.The patient has no physical capability for speaking,though maintaining intellectual activities.In this proposal,communicaion with a testee is undertaken in a visual stimulus which is displayed on the CRT screen.For example,Event Releted brain Potentials(ERP)Appears within his Electroencephalogram(EEG)posterior to the stimulus as the result of intellectual evaluation of proposed visual stimuli.This means that we are able to affirm his answer to our question by detecting P300 component within ERP.For its well detection,ERP is filtered based on the Haar-Wavelet transform and applied averaging method for some wave-forms.Then,we could obtain a good result for some experiments which chose the word phrase by using these methods.This system will be of much practical use for the communication with ALS patients.
著者
大石 康正 井上 倫夫 小林 康浩 加納 尚之 中島 健二 川上 孝志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.341-342, 1994-09-20

筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis),頚椎損傷,脳内出血などの患者は,自らの意志を周囲の健常者に伝えることが困難である.このような人の意志伝達を補助する装置(CA:Communication Aid)の研究開発が,切望されている.とりわけALSは全身の筋肉が次々と麻痺し,遂には死に至る進行性の疾患で,脳機能は正常であるが,末期には全身の筋肉がほとんど動かせなくなる.そこで,患者の意志を他人に伝えることを補助する装置が望まれてきた.現在,このコミュニケーションエイドの入力として事象関連電位を用いるための実験を進めている.本報告では,視覚刺激を与えたときに現れる事象関連電位をコミュニケーションエイドの入力とする方法について述べる.
著者
池山 智之 安藤 吉伸 水川 真
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2002, 2002

ロボットの上部下向きに取付けたカメラの画像を用いた自律型移動ロボットの狭所通り抜け走行技術について報告する。ロボットは, 直径約30cmの円柱形で, 狭所の距離を把握するため, その上部に設けた柱の先端に, 下向きにCCDカメラを搭載している。色の異なる2本の柱ではさまれた, ロボットの横幅よりもわずかに広い空間において, このロボットを衝突せずに通過させる技術を開発した。実際に隙間が約40cmの青い柱と赤い柱の環境を用意し, 実機実験により本技術の有効性を確認した。本稿ではその狭所通り抜け手法について示す。
著者
伊藤 行 田尻 道昿 中村 直
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.70, pp.75-81, 1962-03-25

We examined positively the Moon-Spencer's color harmony theory, especially as to the area effect of color. The sabjects of the examination were pupils of elementary, junior, senior high school, and students of university, in all, about 540 persons. We made 40 samples of 4 colored arrangements. It was so difficult to make the samples in comformity with the Moon-Spencer's theory, that we painted as we liked in the fixed area-ratio, and showed the samples to the boys and girles. The answers about the harmony or the disharmony of colors were obtained by investigation. We ascertained one by one wether the samples which were judged as harmonious by the majority were conform to the theory. The conclusion of the research in our case, did not come out very clearly: it was rather a denial of the Moon-Spencer's theory. We consider that the examination of 4 colored samples has many factors and therefore the focal point of the problem becomes vague.
著者
速水 敏彦 陳 恵貞
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.89-98, 1993

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。