著者
辻 雅史 和泉 勇治 角田 裕 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.405, pp.9-12, 2005-11-10
被引用文献数
6

近年, 急速に拡散するワームによる被害が急増し社会問題となっている.このような拡散型ワームにおいて同種のワームのフローペイロードは類似する傾向があることが指摘されている.筆者らはこれまでに, フローペイロードを8ビットに分割したコードの出現頻度のヒストグラムを256次元のベクトルとして捉えることにより, フローの類似性が評価できることを示している.また, この評価を通じて, 同種のワームのフロー間には顕著な類似性があることを確認した.しかし, 単一のネットワークのみの観測ではメーリングリスト等による通信のフローが誤検出がされるという問題点も明らかとなった.この問題に対し、本稿では, 誤検出される通信と拡散型ワームの違いは複数のネットワークに渡ってペイロードが類似したフローが存在するか否かであることに着目する.そこで, 複数のネットワークに分散配置したIDSを用い, 複数のネットワークにおけるフローペイロードの類似性に基づいたワームの検出手法について検討する.また, 実ネットワークのトラヒックデータを用いた評価実験により提案手法の有効性を示す.
著者
古賀 節子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.84-104, 2005-12-25

この研究は、問題解決場面における、熟達者と初心者の思考の相違を明らかにすることを目的とし、看護師と看護学生を対象に、「生命の危機状態を想定したビデオ」を用いて、情報処理的アプローチによるビデオ映像の再生実験を行った。実験結果は、1.記憶再生では、初心者と熟達者が再生した内容に差はなかった。ただし、細部の記憶では初心者のほうが熟達者より誤想起した者が多かった。2.「生命の危機状態」の問題解決場面のif-thenルール導出は、初心者より熟達者の方が多かった。ただし、初心者もif条件部分の導出は出来ている人は多く、then行為部分の導出に差があった。3.問題解決において用いられた知識の表象は、情報としての知識は、初心者と熟達者でほぼ同じであったが、知識間の関係性に違いがみられた。熟達者では、初心者よりネットワーク化されており、高次の中心概念があった。初心者と熟達者の問題解決において、短時間の情報処理での思考の違いは、持っているはずのif-thenルールを導出できるかできないかにあった。ACT理論はコンピュータシミュレーションモデルとして実装され、記憶、認知技能の獲得、問題解決などの現象を説明できる。ACTモデルでは、熟達者は、宣言的知識と手続き的知識が刺激の繰り返しで強化され、記憶が呼び出されやすくなっているといえる。以上のことから、初心者が熟達化に向かう手がかりとして、ネットワーク構造形成を促進させることや、高次の中心概念の教授の工夫がある。さらにif-thenルールと高次の概念との関連付けを強化することが重要となることが考えられた。情報処理モデル以外の、人間の認知の全体像から熟達化の手がかりを探ることは、今後の課題である。
著者
朴 承圓
出版者
東北大学
雑誌
言語科学論集 (ISSN:13434586)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.51-62, 2000-12-20

本研究では、日本語母語話者・韓国人日本語学習者・韓国語母語話者を対象として、三者の不満表明における特徴を探るため談話完成テストによる調査を行った。三者の不満表明ストラテジーの使用と言語形式に見られる間接的要因の使用を調べた。その結果、ストラテジー使用は、慣用的前置き表現に韓国人日本語学習者の過剰修正 (Hyper-Correction) の傾向が見られた。また Hedges 表現や省略表現の使用の面でも学習者は日本語母語話者に比べその使用が多く、学習者がより間接的な不満表明をすることが明らかになった。
著者
天野 いづみ
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.299-304, 2005-07-01

図書室の広報手段は, 紙媒体による方法から, ホームページやイントラネット, 電子メール等の電子媒体を利用する方法に移行しつつある。しかし, 院内アンケート調査によると, 従来の紙媒体での「図書室だより」は, 手軽に手に取ることができるため, 電子媒体よりも目に触れる機会が多いことが判明した。しかしながら, OPACの検索や電子ジャーナルへのリンク等, 電子媒体の必要性は年々高まっていることは事実であり, 他病院への広報アンケート調査でも, ホームページやイントラネット利用の増加の現状が明らかとなった。さらに今回, 広報のひとつとして, 利用者に対するオリエンテーションについても検討した。
著者
飯嶋 一征 井筒 直樹 福家 英之
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.117-128, 2006-01

平成11年から数回にわたり東京薬科大学による航空機を用いた成層圏,対流圏での大気中粉塵のサンプリングが行われ微生物の採取が行われた.その結果,大気圏上空では地上で採取した菌よりもより強い紫外線耐性の菌が多く存在していることが明らかとなった.しかし,航空機を用いた実験では飛行高度の限界が12km であった.それ以上の上空にはより紫外線に強い菌の存在が予想される.そこで,より高高度での観測と長時間の大気採集が可能にするため大気球を用いた成層圏における微生物採集実験が計画された.宇宙科学研究本部では微生物採集装置の開発,製作を行い気球に搭載して微生物採集実験を行った.本論では新採集装置の開発,製作,本装置を使用した計2回の微生物採集実験の飛翔結果について報告する.
著者
高羽 洋樹 谷田部 智之 佐藤 隆 坂内 正夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.95, no.366, pp.1-8, 1995-11-16
被引用文献数
6

近年、爆発的な成長を遂げているWWW(World Wide Web)であるが、それとともに膨大な画像情報に対する検索方法が求められている。テキスト情報による検索システムは存在するが、画像情報を検索できるものはあまりない。この問題に対し、我々は画像の特徴量を用いた情報検索が可能な公開型画像検索システムGIRLS(Global Image Retrieval and Linking System)の開発を行なっている。本稿では、WWW上における画像検索およびフィルタリングに関する問題を考察し、その問題解決の手段として、検索部とフィルタリング部においてユーザの意見を反映する公開型画像検索システムを提案する。最後に、開発中の本システムでの検索例を示す。
著者
浜中 雅俊 築根 秀男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.74, pp.53-60, 1998-08-07
被引用文献数
1

アドリブ等によりテンポが微妙に変化するドラマーの生演奏にMIDIの再生音をリアルタイムでシンクロさせ、演奏音と再生音の双方で一つの楽曲を構成することを考える。従来このようなテンポ変化を伴う知的伴奏システムは、データベース等を用いてパターン認識を行うことにより実現しようとするものが多かった。しかし、これらのものは、アドリブ(即興)等の音楽的可能性に対して、少なからず制約を与えるものが多かった。これに対し筆者らは、小節円の円周表示法を新たに提案し、演奏音のテンポおよびその変化をリアルタイムで算出し、MIDIの再生速度をシンクロさせるシステムを開発した。システムは、演奏する曲や演奏者によらず、汎用的に動作するものである。本稿では、ドラマーの生演奏にMIDI再生音のシンクロを行うことにより、システムの有効性を実証した。This paper describes a system which synchronizes a live drummer performance with MIDI track in real time. Our system differs from other intelligent accompaniment systems using data base pattern recognition. Which restricts the variety of music such as an improvisation. We propose a method to calculate tempo and tempo change in real time called 'bar circle perimeter indication' and developed a system that synchronizes the tempo with MIDI Regenerated track. The system isn't based on a particular MIDI tune, and it works generally. We prove the validity of the system by synchronizing MIDI sound with a live drummer performance in real time.
著者
尾下 真樹 牧之内 顕文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.115, pp.25-30, 2000-12-08

本論文では、重い荷物を持ったり、他の物体と衝突したりといった、環境からの力学的な影響に応じて、リアルタイムに変化するキャラクタアニメーションの生成手法を提案する。本手法では、ユーザによって与えられた目標動作に追従するように関節の角加速度を制御し、動力学シミュレーションによってアニメーションを生成する。本手法は、キャラクタの筋力の範囲内で、関節負荷を減少し、全身のバランスを保つような制御を行う。我々は、人間の運動制御で主に活用されている関節やその動かし方に注目し、人間の体を腕、背中、足の部位に分け、動力学計算を用いてそれぞれの部位を効率的に制御するための手法を開発した。This paper presents a method for generating real-time character animations in response to physical influences from the environments such as holding a heavy load or colliding with other objects. Angular accelerations of the character are controlled to track a desired motion given by a user. Dynamic simulation then generates resulting animations. The character is controlled as to reduce the joint stresses and to keep its balance within the available muscle strength of the character. We analyzed human being's motions and developed control schemes specialized for arms, back and foots.
著者
角 文雄 中嶋 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.202, pp.161-166, 2001-07-11
被引用文献数
1

キャラクターアニメーションの制作に於いては、登場するキャラクターの動きは、重要な演出上の要素である。アニメータは、ある特定の意図した動きを、キャラクターに振り付ける必要がある。しかしこの作業は、アニメータの経験、ノウハウ、技能に大きく依存すると共に時間を要する。本稿では、キャラクターへのポーズ付け作業を行なう上で、全身のポーズ付けを一回の操作で関連する関節が、同時に動いてポーズが決定できるように、運動力学計算を行いながら実施できる新しいインターフェイスについて述べる。さらに、決定されたキーフレーム間の補間と力学的最適化を、より滑らかで自然な動きとなるように緩和係数を導入し、順動力学計算と逆動力学計算を連続的に実施して、動きを生成する方法について述べる。
著者
渡辺 光由
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.392, pp.15-18, 2005-11-04
被引用文献数
1

愛・地球博において、ブラザー工業(株)は、「モノづくり、ユメづくりBrother Output Fantasy」というテーマで出展を行った。その中のアトラクションのひとつ「ファンタジーシアター」では、当社NID開発部で開発中の網膜走査型ディスプレイ(RSD)と呼ばれる技術を使用している。RSDは、光束を走査して、網膜上に直接画像を形成するディスプレイである。本稿では、この技術の高いポテンシャルについて言及する。
著者
隅谷 三喜男 原 誠
出版者
同志社大学
雑誌
基督教研究 (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.95-114, 2001-03

対談