著者
竹内 洋一郎 野田 直剛 小森 茂 入交 裕 北川 俊治
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.26, no.282, pp.210-214, 1977-03-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
6
被引用文献数
8 7

The ultrasonic wave reflection method has been used to determine the elastic constants, Young's modulus, shear modulus, and Poisson's ratio of various steels and aluminium alloys in the temperature range from room temperature to 800°C. It was found that the both elastic moduli tend to decrease with the rise of temperature. Poisson's ratio, however, shows no significant difference among the materials with temperature and there is a slight increase with rise of temperature. The data were successfully represented by the empirical formulae in the form of exponential function of temperature. They are very convenient expressions for the analyses of thermal stress problems.
著者
松井 琴世 河合 淳子 澤村 貫太 小原 依子 松本 和雄
出版者
関西学院大学
雑誌
臨床教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.43-57, 2003-03-25
被引用文献数
2

本研究は,編曲の異なる3曲のパッフェルベルのカノンを被験者に呈示することによって,音楽聴取時における心身の変化を観察するものであった。それぞれのカノンについて音楽分析を行うと共に,生理反応と心理指標を用いて評定を行うことにより,編曲の違いによって生じる聴き手の生理的・心理的影響の変化を検討し,音楽刺激の精神生理学的研究を行うことを目的とした。本実験は,K大学の学生28名,音楽系大学の学生5名(平均年齢21.4歳)を対象とした。実験では,編曲によってポップな感じが与えられるカノン,カノン演奏に並行して波の音が流れるカノン,最も原曲に近い弦楽合奏によるカノンの3曲を呈示し,それぞれの音楽刺激聴取時と,安静(無音状態)時における生理反応を測定した。実験で測定されたのは脳波・筋電図・心拍・呼吸・皮膚電気反射・血圧・皮膚温・重心動揺からくる身体のふらつきの程度であり,本研究では,脳波,皮膚電気反射,呼吸,心拍,重心動揺からくる身体のふらつきの程度の指標を用いた。また各音楽刺激呈示後に,音楽を聴いているときの気分について12項目,音楽を聴いているときの心身の自覚について10項目,音楽の印象について7項目の評定を求めた。音楽刺激による生理反応について,中枢神経系である脳波は,いずれの音楽刺激聴取時においても安静状態に比べて覚醒水準の低下が認められた。また,重心動揺による身体のふらつきについては,音楽刺激聴取時における開眼時の重心動揺総軌跡長が顕著に減少したことによって,ロンベルグ率の増加が導かれた。このことより,音楽刺激が視覚性の姿勢制御機能を高める上で効果的に作用したと考察された。また自律神経系では音楽刺激聴取時の呼吸数の増加に有意差が認められた。次に,本研究で呈示された3曲の音楽刺激別に考察を行うと,ドラムを用いてビートを刻んだポップな感じのカノンでは心理評定において軽い興奮状態が示された。また生理反応においても,心拍・皮膚電気反射の反応回数・呼吸数の増加といった興奮性の刺激的な音楽によってもたらされたと推察される結果が得られた。また,評定に騒々しさが認められるなど,原曲と大きく異なった編曲に抵抗が感じられたことも推察された。しかし,心理評定において他刺激と比較すると興奮状態を示す有意差が認められたものの,それらの項目の得点が顕著に高くはなかった。そのため,原曲のクラシック音楽がもたらした効果と,微量の興奮をもたらす音楽刺激が生体に適度な睡眠導入刺激となって受容されたことにより,脳波において覚醒水準の低下が認められたと推察された。次にサブリミナル効果として波の音が並行して流されたカノンでは,波の音の影響として,評定により鎮静効果が認められた。また,重心動揺によるロンベルグ率が健常平均値と最も近づいたことについて,波の音がもたらす1/f型ゆらぎが,クラシック音楽であるカノン自体が有する1/f型ゆらぎと調和したことによって,重心動揺によりよい刺激となって作用したためであると推察された。脳波においては覚醒水準が低下したが,これは心地よさの指標とされる1/f型ゆらぎが大量に作用したために,睡眠が促されたと推察された。また波の音がカノンに並行して流れたこの曲では,カノンを聴きたい被験者にとって波の音が耳障りとなったことも考察され,さらに波の音による影響をより明確にするため,波の音がもたらす作用について追及する必要性が感じられた。最も原曲に近い弦楽合奏によるカノンでは,他の2曲に比べて多くのα波が誘発されたものの,その程度についてはさらに調査する必要があると推察された。また,原曲のカノンに馴染みがある被験者にとって,この曲が最も聞き慣れた音楽として受容されたために心地よさがもたらされたと推察された。重心動揺においては,ロンベルグ率が最も増加したことが開眼時の総軌跡長の減少によるものと示唆されたため,本音楽刺激聴取時に視覚性の姿勢安定維持機能が最も高まった状態であったことが推察された。以上のように,編曲されたそれぞれの音楽の特徴的な要素を取り上げて考察を行ったが,本研究で用いた音楽刺激は音楽の3要素であるメロディ・和声・リズムの全ての要素において多くの相違点が認められた。そのため,特徴的な要素以外にさまざまな要素が影響し合ったことで反応が導かれたと指摘された。また,より深い音楽分析による検討を行い,多岐にわたるジャンルの音楽を用いて同様の研究を実施することによって,より一般化された音楽における編曲の違いから生じる生理的・心理的反応の変化を検討,考察することが可能となるであろう。
著者
三木 理史
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.2-18, 2005-05
被引用文献数
1
著者
神田 龍身
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.15, pp.222-203, 2017-03-01

平安時代の西暦九百年前後には、『竹取物語』『古今和歌集』『土佐日記』等の仮名文字テクストが相次いで成立する。そして、それを受けて、『うつほ物語』『源氏物語』『狭衣物語』等がさらに登場してくることになる。漢文テクストというエクリチュールが正統の言語状況下にあって、このような仮名文字テクストとは何なのか。仮名が表意文字ではなく、音声還元主義の言葉であることから、これはパロール(音声言語)の問題をぬきにしては考えられない。しかし、仮名も文字には違いないのであり、この仮名という視覚を媒介した音声なるものは音声それ自体ではない。また漢文テクストも音読されたり、演説の言語として使用されたりして、パロールとしての言語空間を構成することもある。ジャック・デリダの「原エクリチュール」という概念を参考にして、平安時代の仮名テクストをめぐって、西洋とは異なる日本固有の「パロール/エクリチュール」の関係構造を考えてみたい。 Texts written in kana, such as the Taketori Monogatari, Kokin Wakashū and Tosa Nikki, came into being one after another around 900 in the Heian Era. Influenced by those texts, the Utsuho Monogatari, Genji Monogatari and Sagoromo Monogatari followed. What is the meaning of the kana literature in a context in which Classical Chinese was the authoritative written language? It is impossible to answer this question without consideration of parole (spoken language) because kana characters are not ideograms but phonograms. They, however, must be characters; thier sound through the sight is not the voice itself. In contrast, Classical Chinese can bring the language space as parole by means of reading aloud or using as a speech. Referring to the concept of "archi-ecriture" presented by Jacques Derrida, this paper examines the relationship of parole / ecriture in the kana texts of the Heian Era, which is charateristic of Japanese language and differs from Occidental ones.
著者
栗田 健一
出版者
九州大学大学院経済学会
雑誌
経済論究 (ISSN:04516230)
巻号頁・発行日
no.158, pp.1-6, 2017-07

生活保護のような公的扶助の受給者は,あたかも他の社会構成員から負の烙印を押されているかのように精神的負担を負う。このようなある個人や集団に対して形成される負の烙印のことをスティグマと呼ぶ。生活保護の文脈では,受給を申請するインセンティブを抑制する要因の一つとして広く考えられている。スティグマには不正受給を抑制する正の効果と正規の受給者にも心理的負担を強いるという負の効果がある。特に,近年では低補足率に関する研究も次第に増えており,それらの多くがスティグマの重要性を示唆している。本稿では,生活保護のスティグマの理論分析を行った代表的文献を紹介しつつ,スティグマに関する理論研究の現状と課題,そして今後の可能性を示す。The individuals which take-up welfare benefit have mental burden as if to be marked negatively by others. It is called "social stigma"that a mark or image of disgrace associated with a specific character, type and quality regarding to some individuals or groups. In the context of welfare, stigma is one of the most important factor,which limits the incentive of take-up welfare benefit. From the social view, welfare stigma has both positive and negative effects, the former is the effect of limiting welfare fraud and the latter is the effect of damaging even the needy mentally. Recently, studies about low take-up rate focusing stigma have gained lots of attention. In this paper, we review previous studies related public policy and stigma focusing on theoretical research.
著者
山本 聡美
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.121-144, 2021

<p>近代的疾病観においては、病を健全な身体の対極にあるものと捉え、加療を通じて健常なる状態へ近づけることに価値が置かれる傾向にある。一方、古代・中世日本においては、これとは異なる疾病観が存在していた。特に仏教の教義や実践において、病には、人間の存在の根源に関わる現象としての重要な意味が見出されていた。病を生存への脅威として排除するのではなく、これと折り合い、場合によっては、秩序ある社会を構築する梃子として肯定的に捉えていくことさえなされた。</p><p>本稿では、平安時代末期の浄土僧、永観による「病は善知識なり」との成句に着眼する。善知識とは、仏教における発心や成道への導き手を指す。通常、多くの修行を積んだ高徳の僧を言うが、悟りに至るきっかけとなる人物や事物を広く指す言葉でもある。「粉河寺縁起絵巻」に描かれた病に発心の契機としての肯定的な意味を読みとくことからはじめ、そのような疾病観が形成された歴史的経緯を、古代日本における造像の伝統から明らかにする。</p>
著者
太田 晴久 橋本 龍一郎 金井 智恵子 山田 浩樹
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ASDと ADHDの存率は高いことが報告されおり、両障害に共通して感覚過敏が認められる。本研究ではDTIを用いて、両障害における白質繊維走行の異同および感覚過敏との関連について調査した。知的障害のない成人のASD、ADHD、健常発達成人合計約200人を対象とした。脳梁において発達障害群で健常成人群と比較して白質繊維走行の異常が認められた。それは両障害で共通した所見であり、両障害間での統計学的に有意な差異はみられなかった。発達障害群で感覚過敏の評価尺度の点数と白質繊維走行に関係する値との相関を示した部位は両障害間で共通しているところが多くみられた。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1924年11月11日, 1924-11-11
著者
高野 誠二
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.661-687, 2005-10-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
54
被引用文献数
3 2

本稿では,日本の都市中心部における特徴である,古くからの街道沿いに発達した旧中心商店街と,鉄道開業後に発達した駅周辺地区との商業の競合関係に着目しつつ,各種の都市整備事業を通じた旧中心商店街の活性化をめぐる,都市内の政治権力構造を考察した.八王子市において大きな政治力を発揮してきたのは,歴史の古い旧中心商店街である甲州街道沿いの地区を地盤とする,「旦那衆」と呼ばれる実力者達である.彼らは商工会議所や商店会連合会等の中枢を占めたり,政治家や市の幹部等との豊富な人脈を駆使したりして,旧中心商店街の開発が優先的に行われるように積極的に活動した.また,自地区以外での事業には消極的な態度をとり,旧中心商店街の活性化を重視する政策の形成に大きく寄与してきた,しかし,大型店が駅周辺地区や郊外を志向するようになる中で,旧中心商店街の商業は衰退を続け,そこでの都市開発事業の多くは採算の目途が立たずに実現できなかった.また,旧中心商店街以外の地区や,旦那衆以外の商業者の反対意見により,八王子市における旧中心商店街優先政策は再検討を迫られつつある.
著者
蒲原 聖可
出版者
ファンクショナルフード学会
雑誌
Functional Food Research (ISSN:24323357)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.FFR2020_p40-50, 2020-08-11 (Released:2020-09-10)
参考文献数
68

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミック(世界的大流行)となり,ヘルスケアシステムに大きな影響を与えている.COVID-19 の予防法は,原因ウイルスであるSARS-CoV-2 への暴露機会を減らす,宿主であるヒトでの感染に対する抵抗力を高める,の2 つである.機能性食品成分には,抗ウイルス作用や免疫賦活作用,抗炎症作用などを有する成分が知られている.また,これらの成分を含むサプリメントを用いた介入試験により,ウイルス性呼吸器感染症に対する予防や重症度軽減作用が報告されてきた.COVID-19 重症化の機序として,サイトカイン・ストームの関与が注目されている.機能性食品成分の中には,サイトカイン産生調節に働く成分も存在する.本稿では,COVID-19 対策に外挿できる機能性食品成分のエビデンスを概説した.

10 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1935年08月02日, 1935-08-02