著者
小牧 研一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.117-121, 2018-11-15 (Released:2018-12-15)
参考文献数
1
被引用文献数
6

1.はじめに私は現在,大規模私立大学の物理学科で学生実験の指導に当たっている.提出されたレポートの内容について日頃気になっていることを取り上げる.提出されたレポートは,不備な点についてコ
著者
野村 駿
出版者
日本労働社会学会
雑誌
労働社会学研究 (ISSN:13457357)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-23, 2019 (Released:2019-03-30)
参考文献数
35

This study aims to reveal the working conditions and problems experienced in the process of occupational achievement through a case study of rock musicians intending to make a living from musical activities. In particular, this investigation focuses on the network they form for live performances. Accordingly, data were gathered from interviews with 24rock musicians, who performed in various concerts. Of those 24, the narratives of 8rock musicians are included in this paper. The results revealed the following. First, rock musicians form their networks strategically; they change their connections with the people in their network depending on the differences in the cities in which they perform. Second, the networks they form carry out the following instrumental and expressive functions: give the opportunity to appear in live concerts, provide concrete advice on live performances, and support their positive self-image. Third, these networks exploit the musicians’ labor and make it difficult for them to achieve success in their occupation. This study notes that rock musicians are exploited both at live music clubs and in management offices, even when the exploitation is not intentional. As a result, musicians find it challenging to work there, and these problematic situations are difficult to address due to the uncertainties of the music industry.
著者
梶原 郁郎
出版者
日本教授学習心理学会
雑誌
教授学習心理学研究 (ISSN:18800718)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.66-76, 2015 (Released:2018-06-18)

本稿は,0の段のかけ算の授業内容(二時間構成)による学習援助の効果について,事前事後質問の結果を踏まえて報告している。「0×2」「0×0」と「2×0」との相違の理解をも教育目標に含めて構想した本授業内容は,「1あたりの量」の理解がかけ算の式(1あたりの量×いくつ分)理解の根幹となるという認識に基づいて,1あたり「2」「3」「8」「0」のモノを身の回りから見つけさせる発問を土台としている。これは,日常的知識であるそれらのモノ(事実)を「1あたりの量」(教科の知識)の事例に昇格させる思考を促す発問である。この発問を軸とする本授業内容は小学4年(32名)を対象に実践され,一時間目の事前質問では「4×2」の文章問題に「2×4」と正答した児童は11名(35%),二時間の事前質問では「2×0」「0×2」「0×0」の文章問題全てに正答した児童は3名(10%)であった。これらの数値が事後質問でどう変化したのかを示して,本稿は,本授業内容による学習援助の効果と課題を提示している。
著者
吉田 正
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.555-558, 2011 (Released:2019-09-06)
参考文献数
7

福島第一発電所の冷温停止に向けての課題は崩壊熱との闘いにつきるといえよう。崩壊熱は,核分裂で生じた核分裂生成物のβ崩壊に伴うFP崩壊熱と,核燃料であるウランより重いアクチニド核種のα崩壊またはβ崩壊に伴い発生するアクチニド崩壊熱に大別される。崩壊熱の計算にはいくつかの方法があり,かつその信頼性も高い。計算に当たっては,その方法を吟味し,停止後の原子炉の状況を見極めた評価・計算を行う必要がある。
著者
阿江 竜介 中村 好一 坪井 聡 古城 隆雄 吉田 穂波 北村 邦夫
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.665-674, 2012 (Released:2014-04-24)
参考文献数
35

目的 全国的な疫学調査である「第 5 回 男女の生活と意識に関する調査」のデータをもとに,わが国の自傷行為についての統計解析を行い,自傷経験に関連する要因を明らかにする。方法 全国から層化二段無作為抽出法を用いて選出された2,693人に調査票を配布し,自傷経験に対する回答の解析を行った。自傷経験があると答えた群(以下,自傷群)とないと答えた群(以下,非自傷群)の 2 群間で比較を行った。結果 1,540人(回収率57.2%)の対象者が回答した。全体の7.1%(男の3.9%,女の9.5%)に少なくとも 1 回以上の自傷経験があり,男女ともに自傷経験者の約半数が反復自傷経験者であった。16–29歳における自傷経験率が9.9%と最も高く,30–39歳,40–49歳はそれぞれ5.6%,5.7%とほぼ同等であった。男女別では,年齢階級別(16–29歳,30–39歳,40–49歳)で,女はそれぞれ15.7%, 7.5%, 5.8%と若年ほど自傷経験率が高く,男は3.0%, 3.4%, 5.5%と若年ほど低かった。群間比較では,喫煙者(自傷群47.5%,非自傷群28.2%,調整オッズ比[95%信頼区間]:2.18[1.32–3.58]),虐待経験者(23.6%, 3.7%, 4.24[2.18–8.25]),人工妊娠中絶経験者(30.3%, 12.7%, 1.93[1.13–3.30])の割合が自傷群で有意に高く,中学生時代の生活が楽しかったと答えた者(41.1%, 78.6%, 0.45[0.25–0.79])は有意に低かった。調整後有意差は認めなかったが自傷群では,すべての性•年齢階級において,両親の離婚を経験した者,中学生時代の親とのコミュニケーションが良好ではなかったと答えた者,親への敬意•感謝の気持ちがないと答えた者の割合が高い傾向を認めた。結論 多くの先行研究と同様に,自傷経験率は16–29歳の女で高く,また,喫煙者や虐待経験者で自傷経験率が高いことが示された。自傷行為の予防には,これらに該当する者に対して重点的にケアを提供する必要がある。また,社会的な観点から言えば,これらの要因を持つ家庭環境についても,今後明らかにしていく必要があろう。
出版者
国立国会図書館
巻号頁・発行日
vol.2017年, no.(679), 2017-11-01
著者
藤森 馨 夏目 琢史 小倉 慈司 岡野 友彦 岡田 荘司
出版者
国士舘大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

昭和31年村田正志氏が調査された出雲国造北島家の古文書は、429通を精選し、『出雲国造家文書』として昭和47年に刊行されている。その中で、306通の文書が重要文化財に指定され、同時に文化庁の斡旋により表装成巻された。当初、この表装された巻子本を再度調査し、当時の技術では解読しえなかった紙背文書などを明らかにしようとして、本研究を始めた。しかし、原則当主以外立ち入りを禁じられていた蔵を、現当主北島健孝氏と共に、調べてみたところが、未調査の箪笥があることが分かった。平成30年8月23日から3同月26日かけての調査で、新出の鎌倉時代から戦国時代にかけての文書150通が発見された。平成31年3月5日から7日の調査で、更に100通の写しを含む中世文書が発見されたのである。これは想定外の事態で、村田氏が『出雲国造家文書』跋文で429通がほぼその全容である、と記されていたからである。この度発見された古文書は「六波羅下知状」などの鎌倉時代の文書から戦国時代に及ぶ。特に尼子氏の出雲支配や、その支配を継承した毛利氏関係のものが多い。出雲の中世史を一変させるのではないか、と推測されるものが多数である。尼子氏を通じての幕府関係のもの、毛利氏を通じての豊臣政権関係のものなど多岐にわたる。その特徴は、宗教関係文書というより、在地を統括する武家文書を彷彿させるものである。戦国時代後期には本願など大社造営関係の宗教者の動きを示す文書も散見するようになるが、決定的に少ない。聖教や祝詞など寺社文書を特徴づけるものは、皆無とは言えないが、今回の調査では、あまり目に触れなかった。老中奉書などでの祈祷依頼などは、むしろ近世文書に多く視られる。いずれにしても、新出の中世文書が想定外の分量で発見されたことは、今回の研究の大きな業績といえよう。

72 0 0 0 OA 鶯宿雑記

著者
[駒井乗邨] [編]
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻13-14,
著者
眞部 遥香 野澤 茜 松元 美香 大谷 道輝
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.6, pp.763-766, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

Steroid ointments are frequently mixed with moisturizer. It was reported that steroid ointments mixed with moisturizer increase permeability. There are only few studies done on the permeability of the moisturizer. We researched moisturizing effect of heparinoid ointment (Hirudoid Soft ointment) diluted with white petrolatum (Propeto) on the dry skin models by measuring water content of stratum. Two to four fold dilution of Hirudoid to white petrolatum resulted in a significant decrease in the moisturizing effect of the active ingredient. There was no significant difference in moisturizing effect between four times diluted mixture and white petrolatum alone. This leads to the conclusion that steroid ointment mixture with moisturizer is frequently used, but we should take more caution regarding the decrease of moisturizing effect.
著者
笠原 政志 山本 利春 川原 貴
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.541-548, 2010 (Released:2010-11-16)
参考文献数
47
被引用文献数
1

The present study was conducted to examine whether stretching was effective to control muscular atrophy.Subjects were eight male undergraduate students (height 171.4 ± 5.8 cm, body weight 72.2 ± 7.8 kg, and age 20.6 ± 1.1 years) and the muscle analyzed was the vastus lateralis.Firstly, the subjects were instructed to perform strength training for a period of 16 weeks, which was followed by a 12-week detraining period. During the detraining period, either the right or the left leg was stretched daily for 10 minutes (2 sets). The mass of the vastus lateralis muscle was estimated based on its cross-sectional area (CSA), as assessed by magnetic resonance imaging (MRI). Relative decreases in muscle mass were compared between the stretched and the non-stretched control leg.Muscle mass in the non-stretched leg showed significant decreases during detraining, while no significant decreases in muscle mass were detected in the stretched leg. This outcome indicates that stretching can influence muscle plasticity and, therefore, is effective for preventing decreases in muscle mass.In conclusion, this study suggests that, added to its known ability to improve flexibility, accelerate recovery from fatigue, and prevent injuries, static stretching is effective for controlling muscle atrophy.
著者
榊 剛史 鳥海 不二夫 大知 正直
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019)
巻号頁・発行日
pp.2D4OS1a01, 2019 (Released:2019-06-01)

フェイクニュースや炎上,エコチェンバー現象など,近年は個人による情報発信における負の側面が注目されている.しかし,近年のソーシャルメディア上の情報拡散は大規模かつ複雑な現象となっており,人間が全体像を直観的に理解することが難しい. そこで本稿では,ソーシャルメディア上の情報拡散を直観的に理解可能な形で可視化する手法を提案する.具体的には、ソーシャルメディア上の社会ネットワークにクラスタリングを再帰的に適用し,コミュニティの階層構造を構築する.これらの階層構造を用いて,情報拡散を可視化する.階層構造を用いることで,複雑な現象をより単純な構造へ変換し,それにより人間の直観的な理解を促す.提案手法を実際のTwtiter上の大規模情報拡散事例に適用し,妥当な可視化結果が得られることを確認した.