著者
奥園 誠之
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
日本地すべり学会誌 (ISSN:13483986)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.569-575, 2005-03-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
5

切土のり面の崩壊による災害を防ぐためには, 崩壊しそうなのり面を先回りして補強するか, 崩壊する直前に通行止めや避難するかのいずれかである。本小論では道路のり面災害の実態を紹介し, 点検管理, 計測管理, 降雨量管理の考え方について述べたものである。
著者
大庭 千恵子
出版者
広島市立大学国際学部
雑誌
広島国際研究 = Hiroshima Journal of International Studies (ISSN:13413546)
巻号頁・発行日
no.27, pp.[1]-24, 2021-12-01

The EU Strategy on Western Balkans enlargement caused debate and even disagreement among various political actors. In May 1999, after the Kosovo Conflict, the EU launched the Stabilisation and Association Process providing the Western Balkans with the opportunity for potential candidacy for EU membership. At the Thessaloniki summit in 2003, the European Council declared that the future of the Balkans would be within the European Union. However, since the 2004 and 2007 EU enlargements towards Central and Eastern Europe, the EU's enlargement policy has lost its priority to external policy concerns and strategies.The Western Balkan countries, including Albania, Bosnia-Herzegovina, Crna Gora (Montenegro) , Kosovo, North Macedonia, and Serbia, are confronted with a different and uncertain enlargement context without a clear accession timeframe, contrary to the Central and Eastern countries. In the latest Enlargement Strategy entitled "A Credible Enlargement Perspective for and enhanced EU engagement with the Western Balkans", the European Commission has acknowledged the fact that the candidate countries are still far from membership. The Republic of North Macedonia, the main subject of this paper, was approved as a candidate country in 2005, and the European Council finally agreed to start accession negotiations with this Republic and Albania in March 2020, with a pending condition that the negotiations will be suspended if the reforms do not proceed.The central research question of this paper is, given these circumstances, how effective is the transformative power of "Europeanisation" in transferring EU rules and norms to the legal and political systems of the Republic of North Macedonia. This paper is organized into three chapters. Following the introductory chapter, chapter II presentsthe EU policies and strategies for the Western Balkans. Chapter III discusses the priority reforms and specific measures in the Republic of North Macedonia, especially in the field of rule of law and regional cooperation policies.
著者
成瀬 厚
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.107-117, 1997-04-28 (Released:2017-04-20)
参考文献数
49
被引用文献数
1
著者
山崎 彩夏 武田 庄平 黒鳥 英俊
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.23, pp.85, 2007

昨今は動物福祉の観点から、飼育動物の特性を考慮し、その欲求を理解した飼育環境の改善が求められるようになってきた。動物本来の行動がより発現されるような刺激を備えた飼育環境では、より主体的な行動の時間配分の表出が促され、行動レパートリーが増加することが知られている。本研究では、2005年3月に多摩動物公園(東京都日野市)に新設されたオランウータン飼育施設において、より多様で、立体的かつ広大化するという飼育環境の変化が、飼育下オランウータンの行動にいかなる質的・量的変容を及ぼすかに関し検証することを目的とし、中長期的・縦断的な観察を行ってきた。旧施設と比較し、新施設では、「飛び地」と称される約50本の自然林に覆われた面積2,092_m2_の放飼場、および「スカイウォーク」と称される全長152mのタワーが設置され、オランウータンによる、3次元空間のより多様な利用が可能となった。観察対象はボルネオオランウータン3個体(ジプシー;メス,推定51歳、チャッピー;メス, 34歳, ポピー;オス,6歳)とし、2005年3月から2006年11月の期間のうちの計156日、9:30~15:30の時間帯において、観察対象個体を1分間毎に走査するスキャンサンプリング法を用いて観察し、各観察対象個体の行動と利用空間を、瞬間サンプリング法を用いて記録した。観察した行動は、採食・休息・移動・社会的行動の各カテゴリーに分類した。その結果、新施設移動直後に活動性の低下傾向が確認され、新奇環境に対する反応性がみられた。その後は、採食に費やす時間の増加、移動と社会的行動に費やす時間の減少が示された。また、移動行動レパートリーの大幅な増加、特に立体的な空間を移動する際の行動レパートリーの増加が確認された。以上から、複雑な放飼場の構造と利用可能な空間の増大、採食対象の増加が、オランウータンの行動パターンに影響を与えたことが示唆された。
著者
山崎 彩夏 武田 庄平 黒鳥 英俊
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.21, pp.33, 2005

野生下では昼夜地上から10-20mの高さで過ごす事が多く樹上性の大型類人猿であるオランウータンは、飼育下においても立体的空間の中で自発的に上層部を好み、行動のタイプ別に利用する空間を使い分けている事が知られている。この様に全ての動物種は各々の生態状況に応じて特異的な形態適応・生理学的適応を遂げ、加えて行動学的性質との総合された結果として種としての独自性を持つに至る。またこの独自性こそが、動物にとって最重要となる生存・繁殖の為に、限られた時間をどのようにやりくりするのかを決定づける要因となり、その自発的に決定された時間の配分パターンは我々に様々な示唆を与えてくれるであろう。本研究では東京都日野市の東京都多摩動物公園で飼育されるボルネオオランウータン3個体、ジプシー(メス、48才)、チャッピー(メス、31才)、ポピー(オス、4才)の3世代に渡る母子を対象として、それまでの比較的平面的な旧飼育施設から、平成17年3月に完成した、高さ12m長さ150mを超える空中施設「スカイウォーク」を含め立体的広がりを持つような新オランウータン飼育施設に移動した場合、各対象個体が展示時間内に採食・休息・移動にあてる時間の配分、そして利用空間の在り方が、従来の飼育施設と比較してどのように変容し新環境に適応を遂げてゆくのか、その行動観察の第一報を報告する。恐らくオランウータンにとってより必需な行動ほど、より時間配分レベルの変化量が少ないまま維持されると推察される。さらにはこれまで潜在的欲求としては存在するが環境要因的に表出されなかった行動が増加する可能性もある。行動時間配分の変化を比較する事で飼育下オランウータンの生活において、どの行動の比重がより高いのかも示す事ができるだろう。
著者
山崎 彩夏 武田 庄平 黒鳥 英俊
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.22, pp.74, 2006

平成17年3月に多摩動物公園(東京都日野市)で完成した「行動展示(その動物種本来の行動特性の発現を促す機能を備えた飼育展示環境)」を導入した国内最大規模のオランウータン飼育施設が完成した。本研究では、空間が立体的広がりと複雑な環境刺激を有するようになるという飼育環境の構造的・質的変化に伴い、飼育下オランウータンにおける各行動が占める時間割合や活動性、空間利用等が如何に変容をもたらし、新規環境に対しどのような適応過程を遂げるのかに関し、中長期的な行動観察を中心として比較検討することを目的とする。<br> 観察は多摩動物公園で飼育されるボルネオオランウータン、ジプシー(メス、推定50才)、チャッピー(メス、32才)、ポピー(オス、5才)の3個体を対象とし、9時30分-15時30分の時間帯において、1分間隔の瞬間サンプリング法により、各個体の行動を行動目録に基づき観察シートに記録した。同時に放飼場平面図に、個体毎に利用した位置と高度を記録した。記録した行動は行動カテゴリーに沿って採食、休息、移動に分類し、各行動項目において観察対象個体が費やす行動時間配分を算出した。観察は旧飼育施設では2005年3月4日から2005年3月22日までの期間中の15日間、新飼育施設では2005年4月28日の一般公開から約1年間行った。<br> 2005年7月の第21回霊長類学会大会では、新規飼育環境へ移動直後にオランウータンが示した行動変容について報告したが、本発表ではより中期的な適応過程の経過を示す。
著者
小澤 弘明
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、1920年代から1940年代のオーストリア亡命者たちの戦後構想と、新自由主義の主唱者と目されるハイエク、ミーゼス、ポパーらの思想の形成過程を、両者の共通項であるオーストリア・マルクス主義との対抗関係の下に把握する。それによって、社会民主主義と新自由主義の継承関係を明らかにし、新自由主義の起源についての議論に貢献することを目的とする。研究方法は主として文書館史料の並行分析という手法を利用し、社会国家の形成に関する社会的自由主義の思想・運動が、国家を通じた市場化を志向する新自由主義の思想・運動の両者が相補的であることを解明する。
著者
児玉 謙太郎 山際 英男
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回 (2017)
巻号頁・発行日
pp.1O1OS30a2, 2017 (Released:2018-07-30)

本研究では、綱渡りを競技化したバランス・スポーツ“スラックライン”がバランス能力に及ぼす影響を調べる。スラックラインでは、不安定なラインの上で全身を協調させ動的にバランスをとる必要があり、アスリートやリハビリテーション対象者の体幹・姿勢バランスのトレーニングとして着目されている。本発表では、スラックラインでのトレーニング(週1回20分×4週間)を行った事例研究の結果を報告する。
著者
平田 哲彦 横山 達也 水谷 美加 寺田 松昭 三巻 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.234-242, 1992-02-15
参考文献数
13
被引用文献数
3

光伝送技術の発達によるLAN伝送速度の高速化に伴い 通信制御処理の高速化が求められている本論文では 国際標準であるOSI通信プロトコルのレイヤ4以下を対象に 高速LAN用通信制御装置の構成方式の提案と 試作システムによる実験的評価結果を述べる提案方式の特徴は (1)プロトコル高速処理装置によるOSI通信プロトコルの高速処理 (2)マルチプロセッサ構成による計算機本体インタフェース部 プロトコル処理部 LAN-LSI ドライバ部のパイプライン処理 (3)プロセッサ間FIFOによるマルチプロセッサ構成時のプロセッサ間オーバヘッドの削減 にある提案方式をFDDIに適用した実験システムを構築し 評価した結果 (1)計算機本体と通信制御装置間のデータコピーを行うDMAの性能が16MB/秒のとき 伝送速度に対する実効スループット率が06程度であること (2)プロトコル高速処理装置の導入により データコピー時間や伝送時間を除く通信制御処理時間中に占める通信プロトコル処理時間の割合が3割弱に低減できること (3)プロトコル高速処理装置によって通信プロトコル処理時間を低減した結果 通信制御処理時間の7割以上が計算機本体インタフェース処理やLAN-LSI ドライバ処理となり 各々に汎用マイクロプロセッサを配置し マルチプロセッサ構成とした提案方式が有効であること の3点を明らかにした
著者
Taiki KIDA Arisa YAMAZAKI Koji KOBAYASHI Tatsuro NAKAMURA Takayuki NAKAGAWA Ryohei NISHIMURA Takahisa MURATA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.22-0020, (Released:2022-03-23)
被引用文献数
2

Polyunsaturated fatty acids, including arachidonic acid (AA), docosahexaenoic acid (DHA), and eicosapentaenoic acid (EPA), are converted to hundreds of lipid mediators by cyclooxygenases (COX), lipoxygenases (LOX), and cytochrome P450 (CYP), or through non-enzymatic processes, and they reflect inflammatory states of the body. We comprehensively analyzed lipid metabolites in dog urine using a liquid chromatograph-mass spectrometry (LC-MS/MS) to describe their metabolic characteristics. We detected 31 AA-derived metabolites, four EPA-derived metabolites, and a DHA-derived metabolite in all urine samples. Among AA-derived metabolites, 15, 5, 3, and 8 were generated by COX, LOX, CYP, and non-enzymatic oxidation respectively. This study will be the first step to use profiles of urinary lipid metabolites for better understanding and diagnosis of canine diseases.
著者
江上 いすず
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.35-43, 2001
被引用文献数
1

わが国の高齢化の進行は世界一であり, それだけに高齢者対策は急務を要する.高齢社会においては, 第1に高齢者の疾病予防・健康増進対策, 第2には, 高齢者のライフスタイルとして, 自己の成長と子育てが終わり, 残りの人生をいかに楽しくすごすことができるかという余暇活動の充実があげられる.このような現在の高齢者が直面するさまざまな問題を踏まえ, 高齢者のQOL(生活の質)を高めるには, 高齢者にとってどんな要求課題が考えられるか, また, 必要課題は何なのか, これらを検討することを目的とする.第1章には高齢者の疾病予防, 第2章には高齢者の生きがいとして高齢者教室の事例報告などを記述し, これらを背景として第3章に高齢者における要求課題と必要課題を提言する.特に, 高齢者の要求課題としては, 地域社会での仲間作り, 老人会等の充実・活性化がある.また, 生涯教育の第一線となる各種高齢者対象の教室も, 現在の日本が直面するあらゆる問題について, 今後は世代を超えた教育の場が望まれる.高齢者の必要課題としては, 高齢者自身による疾病予防・健康増進の具体的な実践であろう.また, 余暇活動として中高年期からの早めの生涯教育を実施することで, 高齢期につなげた長期に及ぶ学習意欲の継続を図ることが必要である.21世紀のわが国は, 5人に1人が高齢者という超高齢社会をポジティブに受けとめ, 国, 地域, そして, 高齢者自身が一体となってQOLを高めることが重要であると考える.
著者
磯崎 眞 廣野哲郎 三浦 広久
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.291-298, 1987-03-15

フレキシブルディスクヘの記録フォーマットはフレキシブルディスク装置(FDD)のヘッドR/W-E間寸法や回転精度等と密接な関係がある.その関係を定量的に整理し わかりやすい形で作表する方法について述べ FDD小形・高密度化に際しての新しい媒体標準の検討や装置設計の参考とする.さらに従来の記録フォーマットを維持しながら小形・高密度化するときに厳しくなる上記ヘッド寸法を緩和する方法として 書込時の消去遅延時間をトラック位置によって切り換える方法について述べ その具体的計算方法を示す.これを90mm高密度タイプについて例示し 13262ftprad (アンフォーマット1.6Mバイト形)で遅延時間切換えなしでR/W-E寸法0.4mmのところ 切り換えれば246バイト/セクタで0.5mm 512バイト/セクタでは0.7mmも可能であることがわかる.512バイト/セクタは回転精度が良い場合には有利である.