著者
濱田 輝一 二宮 省悟 吉村 修 楠元 正順
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【目的】我々は,H23年度から臨床実習指導体制の構築の検討を目的に質問紙調査を行い,当学会にて発表してきた。今回,指導の実態とその認識について,免許取得後5年を基準に,5年以上(以下,経験者)と未満(以下,未熟者)の2群で比較検討したので報告する。【方法】調査期間はH25年8月からの8か月間。42施設の理学療法士を対象として任意に回答要請し,質問紙調査を行った。回答方法は無記名で,選択肢質問と自由記載とした。次いで信頼性保持の為の社会的望ましさ尺度で不適切と判断されたものは除外し,有効回答を抽出し分析した。検討課題は,過去に報告の「指導で困る」の分析から,経験者は「学生の資質」,未熟者「自分自身の指導方法や自信」と相反する視点であることに着目し,1.指導で困った時の相談相手,2.学生の能力把握方法,3.指導時の参考,4.指導時の学生へ合わせるレベルの高さ設定の4項目とし,指導実態の全体像把握を目標とした。【結果】1.回収689名の内,有効回答者449名。2群の内訳は,経験者315名(男208,女107),未熟者134名(男82,女52)。臨床経験年数は経験者10.99±5.76年(平均±S.E.M)。未熟者3.08±0.79年。2.検討課題:得られた結果を経験者(未熟者)で各項目を見ると,1)困ったときの相談相手:2群に差がみられ(P<0.01)選択肢8項目中上位2項目(1,2位)と下位3項目(6~8項目)は同一内容で,残りの3位~5位の3項目で順位に差が出た。つまり,経験者では3位(5位)が養成校教員となった。これは熟練者ほど,学生の問題で困っているからこそ,まず施設内部の上司・先輩で解決を試み,次いで教員に相談する構図が読み取れた。逆に未熟者はどうしようもなくなって教員へ相談する行動と推測できる。また,学生指導で困った時の相談相手で分析すると,経験者は教員への相談が2位であるのに対し,未熟者は6位となる結果(P<0.01)もこれを裏付けた。2)学生の能力把握の方法:2群で差が見られた(P<0.01)。第1位は共に「口頭試問」で約25%。2位と3位は「レポート」,または「検査・治療時の学生の反応」で,2群の順位が逆転した。3)指導時の参考:2群で差がみられ(P<0.05),上位から「就職後の現場」48%(50%),「自分の学生時代」30%(49%),「研修会」18%(10%)。経験者がより研修会を参考とすることが分かった。4)指導時の学生へ合わせるレベルの高さ設定:レベルの高さは2群に差が見られなかった(P>0.05)。高い割合でみると,能力相応53%(52%),時々高いレベル31%(36%),少し低いレベル13%(11%)。一方,学生の能力に合わせた指導をしているか?の回答は,経験者が85%となり,未熟者より約15%と高く,差が見られた(P<0.01)。【考察】結果から,5年以上の経験がある臨床指導者と養成校教員で協議検討し,臨床経験が浅い指導者へのサポートが必要であることが示唆された。
著者
柴田 健司 石田 道彦 堀 浩明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.313, 2006

廃棄物最終処分場の新設に対して、改正共同命令に示された構造基準を上回る多層遮水工や漏水検知システムが採用されている処分場が多く見受けられる。著者らは、クラッシャランや砕石砂を母材としたベントナイト混合土層の基本物性、力学特性を室内試験により評価し、土質遮水層上にアスファルトコンクリート層で遮水シートを挟み込んだ遮水工を敷設する多層遮水工を提案した。本構造にすれば、遮水シート下に強度の大きいアスファルトコンクリート遮水層と層厚の厚い土質遮水層を敷設することで、外力に対する抵抗性を高めることができる。さらにアスファルト系遮水シートを採用すると、アスコン遮水層と全ての遮水層を密着させることができ、遮水材料が損傷したときの汚水拡散リスクを低減し、遮水シート上に敷設したアスファルトコンクリートにより遮水シートも強固に保護することができる。
著者
小林 英男
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.27, no.299, pp.711-720, 1978-08-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
57
著者
小林 俊郎
出版者
社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会会報 (ISSN:00214426)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.664-670, 1988-08-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
50
被引用文献数
3 1
著者
土田 靖久 廣畑 佳和 榎本 雄司 下岡 三穂 廣畑 賢一
出版者
和歌山県農林水産部
雑誌
和歌山県農林水産試験研究機関研究報告 = Bulletin of the Wakayama Prefectural Experiment Stations of Agriculture, Forestry and Fisheries (ISSN:21875634)
巻号頁・発行日
no.4, pp.77-84, 2016

ウメ'南高'を段ボール,アルミ蒸着袋,発砲スチロール等の資材を用いた数種の梱包方法で3~5℃の温度条件で香港へ輸送し,品質変化を調査した。また,現地では設備の都合により測定できない果肉硬度およびエチレン生成量を,香港輸送と同じ条件下でうめ研究所において測定した。集荷日から香港での販売終了日までの15日間は,いずれの梱包方法でも果実の黄変,重量減少およびエチレン生成および低温障害果の発生が抑えられた。このことから,香港への果実輸送は,慣行の段ボール箱で対応可能と考えられた。しかし,それ以降は段ボールのみでの梱包では黄化,果実硬度の低下,エチレン生成量の増加および低温障害果の発生等が認められた。一方アルミ蒸着袋で段ボール箱あるいは果実を密封したものについては香港での販売終了日の1週間後でも品質が保持されていた。このことから,香港よりも輸送に時間がかかる地域への輸送には,アルミ蒸着袋の併用が有効と考えられた。
著者
鈴木 篤
出版者
大分大学教育学部
雑誌
大分大学教育学部研究紀要 = The research bulletin of the Faculty of Education, Oita University (ISSN:24240680)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.233-243, 2018-02

本稿ではJ.ハーバーマスのコミュニケーション的行為の構想に基づく道徳授業方法に備わる限界と可能性の検討を行った。彼の理論に基づくならば,討議(Diskurs)において目指される合意が可能となるためには,前提としていくつかの条件が満たされている必要がある。しかし,これらの条件が満たされるというのはあくまでも先取りとしての想定においてに過ぎない。N.ルーマンはハーバーマスの構想を批判し,討議においては参加者間の力が対等たりえないこと,それゆえ彼らがコミュニケーション的合理性にはたどり着き得ないことを主張する。ルーマンに基づくならば(ハーバーマスの主張とは異なり),討議においては論理的優越性を備えた討議参加者こそが勝利を収めるのである。ルーマンの批判により,我々はコミュニケーション的行為の構想に基づく道徳授業方法の修正の道を見出すことが可能となるが,この修正によってこそ同授業方法はその可能性を再獲得することが可能となるのである。
著者
遠藤 育男 益川 弘如 大島 純 大島 律子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.363-375, 2015-03-20 (Released:2016-08-11)
被引用文献数
5

1人ひとり異なる多様な視点で解き方について議論することがその話し合いの対象としている課題の理解を深めるプロセス(以下,知識構築プロセス)を引き起こし,そこで構築した理解が長期にわたって保持されるという仮説に基づき,6年生算数・組み合わせの授業を,ジグソー法を基にデザインし実施した.検証は,班の対話プロセスを個々人の知識変化で分析する認知内容分析と,班でつくられていく知識変化を分析する社会ネットワーク分析の2種類を行うとともに,知識構築プロセスを引き起こしていた学習者がその理解を保持でいているか回顧記述調査から同定した.その結果,多様な視点での議論が,知識構築プロセスを引き起こすこと,その議論によってどう考えて解けばいいのかという抽象的な理解につながる可能性が見えた一方,正解を同定するような介入や特定の方略を価値付けてしまうような介入が学習の深まりを止める可能性など,次なる検討材料を得た.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケーション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.441, pp.56-61, 2005-07-01

世界に先駆け2004年秋にFMCサービス「DU:(デュー)」を開始した韓国KT。この6月に「Bluephone」(サービス名は「BT Fusion」)を始めた英BT。FMCへ向かって先陣を切った2社からは,Wi-Fi端末を採用する計画など将来に向けた話題も飛び出した。一方で,鈍いサービスの立ち上がりに悩む姿も見せる。
著者
平田 令子 畑 邦彦 曽根 晃一
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.187-191, 2009-10-24 (Released:2009-11-01)
参考文献数
21
被引用文献数
6 2

針葉樹人工林への広葉樹や草本植物の侵入に種子散布者として関わる鳥類を明らかにするために,スギ人工林内とその周辺で鳥類を捕獲し糞を採取した.秋~冬季には5種9個体の糞から無傷の種子が出現し,ルリビタキErithacus cyanurusの糞からイズセンリョウMaesa japonicaとフユイチゴRubus buergeriの種子,シロハラTurudus pallidusからヒサカキEurya japonicaとムラサキシキブCallicarpa japonica, ハダカホオズキTubocapsicum anomalum,ソウシチョウLeiothrix luteaからヒサカキ,ウグイスCettia diphoneからフユイチゴ,メジロZosterops japonicusからツルウメモドキCelastrus orbiculatusの種子が出現した.春~夏季にはカケスGarrulus glandariusからナガバモミジイチゴRubus palmatus var. palmatusの種子が出現した.これらのことから,これら6種は針葉樹人工林において種子散布者としての役割を持つと考えられた.
著者
白板 孝朗 角 勇悦 松原 久
出版者
青森県産業技術センター食品総合研究所
雑誌
地方独立行政法人青森県産業技術センター食品総合研究所研究報告 (ISSN:21851913)
巻号頁・発行日
no.2, pp.21-24, 2009

1.梱包方法の違いによるヒラメの魚体温の低下速度は、直氷が最も速く、次いでウレタンシート、アルミ蒸着シートの順であった。2.死後硬直並びにK値の結果から、アルミ蒸着シートによる梱包で最も効果的にヒラメの鮮度を保持できることが明らかとなった。3.アルミ蒸着シート梱包によるヒラメは、氷による魚体の凹凸もなく、適度にぬめりや潤いもあり、試験区の中で最も良い外観を呈した。