著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.33-38, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5
著者
河野 崇
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.50-56, 2020-01-15 (Released:2020-02-19)
参考文献数
11

術後せん妄は,手術を契機に発症する一過性の精神・認知障害である.術後せん妄の発症は,特に高齢者において,その後の認知症発症リスクを増大させることが示されている.術後せん妄における認知症状の病態機序には,脳内神経炎症が重要な役割を果たすことが示唆されているが,現時点で特異的な治療法はない.一方,これまでの臨床研究では,入院時せん妄の30〜40%は,集学的アプローチにより予防しうることが報告されている.その中で,区域麻酔の使用は,優れた鎮痛効果および全身麻酔の回避といった観点から,術後せん妄の予防に対して特に有効である可能性がある.本稿では,術後せん妄の現状,およびその予防法としての区域麻酔の役割について概説する.

1 0 0 0 OA 筠庭雑考

著者
喜多村信節
出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
高木 麻紀子
出版者
東京藝術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

報告者の最終目的は中世末期の世俗美術の展開の諸相の解明である。本研究では中世末期にストラスブールを中心とするアルザス地方で制作された世俗主題のタピスリーに注目し、その図像源泉と形成、伝播、機能を、作品分析を基盤としつつ受容の観点からも考察することを目的とした。まず作品群のカタログ作成を通じ、当時のアルザスのタピスリーで特に人気があり且つ重要視された主題が野人であったことが浮き彫りになった。さらに中世末期の世俗図像の展開という観点から考察した結果、15世紀以降の造形芸術における野人図像の変遷において、15世紀前半のストラスブールのタピスリーが重要な媒体となっていたことが具体的に明らかになった。
著者
千葉 敏之
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究計画では、『悦楽の園』所収の挿絵を含む図版346点のうち、ダイアグラムを含む頁をリストアップし、関連する収録テクストとの対応関係を確認しつつ、ダイアグラムの構成や目的に応じた類型に分類し、基礎データとした。そのうえで、ホーエンブルク女子修道院とその文化圏における12世紀後半の蔵書状況を蔵書リストや書簡をもとに分析した。また、『花樹の書』などのダイアグラム入り詞華集だけでなく、キケロ著『スキピオの夢』を註解したマクロビウスの写本などの継続転写型の写本群の転写・蔵書状況を調べた。その結果、パリ大学を中継点とするダイアグラム写本の波及経路のうちアルザスに至るルートをほぼ確定することができた。
著者
荒木 速雄 加野 草平 西間 三馨 小笠原 正志 松崎 守利 田中 宏明 田中 守 進藤 宗洋
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3-1, pp.205-214, 1991-03-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

気管支喘息児12名に自転車エルゴメーターを用いて4週間のトレーニングを行い, WBPLA_1 (work load at first braking point of lactic acid) より設定した5段階負荷強度にて physical working capacity の向上, EIB の改善をトレーニング前後で比較した. また, 高張食塩水吸入による気道反応の変化についても検討し, 以下の結果を得た. 1)心拍数はトレーニング前の WBPLA_1 175%強度に相当する仕事率で, トレーニング前値の188.5±9.6bpmよりトレーニング後178.4±9.7bpmへと, また WBPLA_1 150%強度では174.0±11.9bpmより165.6±11.3bpmへと, それぞれトレーニング後に有意に低下した. また最大酸素摂取量(Vo_2max/wt)は34.5ml/min/kgより41.lml/min/kgに有意に上昇した. 2) FEV_<1.0>の運動負荷後のMax.%fall は WBPLA_1 175%強度にて, トレーニング前37.4±17.4%よりトレーニング後30.3±17.4%へと, また WBPLA_1 150%強度では27.1±24%より18.0±17.1%へとそれぞれトレーニング後に有意に低下した. 3) 3.6%高張食塩水吸入試験ではトレーニング群においてPD_<20>は4.2±5.9mlから8.1±8.0mlへと有意に増加した. なお, コントロール群では3.7±5.8mlより4.3±6.3mlへと有意な変化は認められなかった.
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.275-309, 2002-07-20 (Released:2010-03-12)
被引用文献数
1 1
著者
吉川 勲 岩坂 正和 上野 照剛
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.597-600, 1995-10-01 (Released:2007-11-07)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

To ascertain the possible genetic effects of magnetic fields, the somatic reversion at the white locus and the somatic recombination mwh and fir genes in Drosophila melanogaster were examined quantitatively after lavae were exposed for 8 hours to static magnetic fields (8 T) or timevarying, sinusoidal magnetic fields (3.3 mT, 20 Hz). A static magnetic field of 8 T was effective in producing mosaic spots of eye color caused by intragenic mutation. The diagnosis according to statistical tests (Frei and Würgler, 1988) indicated a positive result under the testing conditions. Mosaic spots on the wing hairs caused by somatic recombination were slightly higher in the group exposed to static fields (8 T) than in the control group, but statistical analysis indicated a negative result. After exposure to time-varying magnetic fields (3.3 mT, 20 Hz), the mosaic spots of both types occurred with almost the same frequencies as in the control group.
著者
伊藤 博明
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.77-103, 1988

シエナの大聖堂に踏み入る者が最初に出会うのは、中央の舗床に描かれた「ヘルメス・メルクリウス・トリメギストュス、モーセの同時代人」HERMES MERCURIUS TRIMEGISTUS CONTEMPORANEUS MOYSIと題されたモザイク画である。このヘルメス像は、先駆的な「ヘルメス文書」の校訂版であるスコット編纂の『ヘルメティカ』、及び、画期的なルネサンス・ヘルメス主義の研究所であるイエイツの『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス伝承』のフロント・ページを飾り、ルネサンス期におけるヘルメス主義の興隆を視覚的に示しているものとして、研究者の間では夙に有名なものである。このモザイク画の両側には、内陣に向かって10のシビュラ像が置かれているが、それらは、舗床にはめられた石版が示しているように、1482年から1483年にかけて、オペラ・デル・ドゥオーモ(大聖堂総務局)の当時の長であったアルベルト・アリンギエーリの指示によって、数人の画家によって描かれたのであった。これらのシビュラ像から少し遅れて、1488年にヘルメス像は、ジョヴァンニ・ディ・ステーファノによって描かれることになるが、それも同様にアリンギエーリの指示を受けていたとされている。本稿の課題は、大聖堂の舗床に描かれているヘルメスとシビュラが意味している分脈を、舗床に刻まれているラテン語章句を詳しく分析しながら、また、当時の思想的・宗教的背景を踏まえつつ明らかにすることである。予め論述の順序を示しておくと、まず古代・中世におけるシビュラとヘルメスについて簡単な予備的考察を行い(l)、次にルネサンス期におけるシビュラとヘルメスの受容についてフィチーノを中心に検討し(II)、その後に、大聖堂舗床のシビュラとヘルメスについて論究することにしたい(III・IV)。Sul Pavimento del Duomo di Siena, si vedono le figure d'Ermete e delle dieci Sibille. Queste furono raffigurate da vari artisti sotto la guida del Rettore dell'Opera del Duomo, Alberto Aringhieri nel tardo Quattrocento. (1) Le Sibille furono originariamente profetesse in Grecia antica. Nel Medioevo, pero, erano considerate le donne che predissero la venuta del cristianesimo nelle varie regioni pagane. Anche Ermete, a cui erano attribuite le vaste opere, fu riferito come profeto egiziano sul cristianesimo, per esempio, nel Divinae institutiones di Lattanzio, ma Agostino accuso la falsita della dottrina ermetica nel suo De civitate Dei. (2) Nel periodo umanistico, il pensiero ermetico rigenero e venne divulgato in Italia. Marsilio Ficino, che tradusse il Corpus hermeticum, appoggiandosi sulle testimonianze di Lattanzio, insiste che Ermete vaticino la venuta di Cristo come le Sibille facero. La sua opinione ebbe una grand'influenza sui pensatori religiosi e filosofici del suo tempo. (3) Gli oracoli, che sono scritti presso le dieci Sibille, alludono alla nascita, al miracolo, alla flagellazione, alla passione, allla resurrezione di Gesu e al giudizio finale. Si pensa che le frasi d'oracoli sono prese principalmente dal Divinae institutiones. (4) Ermete si appoggia a una tabella, nella quale e scritta la frase che allude alla creasione del " Dio visibile, Figlio che e appellato il Sacro Verbo" , cioe, del Logos=Cristo prima d'incarnazione. Questa frase deriva dai flammenti che sono citati in greco presso il Divinae institutiones. Lattanzio, la cui opera fu utilizzata dal Rettore Aringhieri, dice che Cristo fu nato due volte; prima in spirito, poi in carne. Consultando questa opinione di Lattanzio, si conclude che sul Pavimento del Duomo, Ermete profezia Cristo nato in spirito e le Sibille profeziano Cristo nato in carne, ed Ermete e le Sibille rappresentano la significazione unificativa.
著者
味戸 聡志 平井 光博
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.43-49, 2019-01-05 (Released:2019-02-05)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

糖やポリオールをはじめとするオスモライト(浸透圧調節物質)により,タンパク質の変性や凝集が抑制され,酵素の失活が防がれることが古くから知られている.中でも非還元性二糖のトレハロースは,極限環境への耐性をもつ生物が生産することから優れた安定化作用をもつと考えられ,いまなお盛んに研究が行われている.今回著者らは放射光広角X線散乱(SR-WAXS)を用い,pH 3.5の酸性溶媒中で凝集した牛ミオグロビンをトレハロースが解離させ, 天然構造に近い構造にフォールドさせることを見いだした.凝集阻害剤として種々のオスモライトが有効であることは既知であるが,凝集体を解離させる添加剤としてよく知られるものは,変性剤や界面活性剤といった細胞毒性を示すものがほとんどである.したがって本報告は,トレハロースが人体に無害なタンパク質凝集解離剤として有望であることを示唆すると同時に,共存分子存在下のタンパク質構造解析における,広角散乱法の有用性を示すものである.
著者
加藤 誠之
出版者
一般社団法人 日本人間関係学会
雑誌
人間関係学研究 (ISSN:13408186)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.21-29, 2008-12-30 (Released:2017-11-01)

In Japan, non-attendance at school has traditionally been regarded as children's intra-psychic matter. But according the statistics, it is impossible to deny the sociological aspects of non-attendance at school. This paper aims at describing those aspects using NAGAOKA Toshisada's theory on long-term absence at school. In Japan, non-attendance at school increases especially at the beginning of 1960's (so-called "the high economic growth period") and in the middle of 1970's. According to NAGAOKA, in the former period people began to think it as a matter of course for children to attend school every day. Until that time, it had been regarded as a matter of fact for children to be absent from school when they had to help their parents or attend religious events. In the latter period, the rate of entering high school exceeded 90%. Therefore, non-attendance at school is regarded not as a result of children's personal abnormality, but as a reaction to the social pressure that compels children to go to school. Hence, it would be no use to cope with non-attendance at school by school-counselling, for it is not a matter of psychology but a matter of sociology. We have to admit that a certain number of students are constantly absent from school, and, therefore, give the opportunities for alternative education outside the school.

1 0 0 0 OA 三都一朝

著者
成田屋留次郎 著
巻号頁・発行日
1854
著者
原 有希 衛藤 誠二
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.372-379, 2017-12-31 (Released:2019-01-02)
参考文献数
18

左中大脳動脈領域の脳梗塞により, 倒立書字・倒立描画を呈した症例を報告した。症例は基本的な視知覚機能は良好で, 文字・物体・画像の認知も保たれていたが, 向きの判断が困難であった。また, 文字・線画の正立像と倒立像の識別にも困難を示した。「線画」では上下の同定は可能であったが, 「文字」では上下の同定も困難であった。これらの特異的な徴候は, orientation agnosia と一致し発症 6 ヵ月後も残存した。線画と文字に対して外的手がかりを利用した空間定位の練習を 10 ヵ月実施したことによって, 倒立書字・倒立描画が消失した。症例の呈した症状を, 物体中心座標系と観察者中心座標系の視点から考察した。倒立書字・倒立描画は, 障害されている空間座標系の脳内表象に基づいて, 運動を実行することで出現した可能性がある。
著者
菅沼 克昭 新原 皓一 森藤 竜巳 中村 義一
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
回路実装学会誌 (ISSN:13410571)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.406-412, 1997-09-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
10
被引用文献数
4 5

いくつかのSn-Bi2元系およびSn-7.5Bi2Ag-0.5Cuはんだを作製し, 特性評価した。亜共晶組成では, 微細なBiが析出した初晶β-Snと共晶が形成される。57wt%Biの組成では, 均一な共晶組織となる。亜共晶組成では約140℃に共晶融解が生じる。Bi添加量の違いによるぬれ性の変化は少ない。界面には, Cu側から薄いCu3Sn/厚いCu6Sn5の順で反応層が形成される。Sn-7.5Bi-2Ag-0.5Cu合金では, リング上に形成した針状のAg, SnとBi粒子が偏析して形成され, さらに数十nmの大きさの微細粒子が分散する。Sn-7.5Bi-2Ag-0.5Cu合金ではんだ付けされたCu接合体は, 現行のはんだ付け温度範囲で高い接合強度を達成する。
著者
田丸 淑子
雑誌
語学プログラム ワーキングペーパー = Working papers, the language programs
巻号頁・発行日
2004-08-01

対話を展開させる上で、聞いたことに対する反応を聞き手が言語的に表現することが重要な役割を果たすことは知られている。問い、答えの次の第三の位置に来るこの「聞き手の反応」を日本語学習者はどう習得するのか。Ohta(2001)は、教師が授業中にフィードバックという形で聞き手としての反応を十分に示している初級学習者の場合、進度と程度に個人差はあるが習得がおこると報告している。また、Mori(2002)は、上級学習者が行った座談会タスクで、対話の内容を深く発展させるような「聞き手の反応」は使われなかったと報告している。ここから、「受け取り」の表現は比較的初期に身につけることができるが、「共感・評価」を含むより内容に関わる反応表現は習得に時間がかかることが予想される。最近の初級日本語教科書は、語用のこの側面についての配慮がされるようになってきている。従って、教師は初級段階から明示的に学習者に提示し、意識させ練習させることが必要なのではないか。