著者
内田 直子
出版者
夙川学院短期大学
雑誌
夙川学院短期大学教育実践研究紀要 (ISSN:18835996)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.1, pp.26-30, 2009

被服造形実習における、高校までの経験の実態と、短期大学で学んだことに関する満足度や技術の理解度を調査し、短期大学での被服造形実習の基礎段階の学習のあり方と今後の方向性を検討した。調査方法は、1年次の履修者に質問紙法によるアンケート調査を学習初回の4月と1年次最終回の1月に実施した。その結果、中等教育では簡易な被服製作や手芸が多く、取り扱われた種類も多様であった。短期大学で1年間実習を学んだ学生の達成感、満足感、充実感はいずれも80~90%を示した。しかし、技術の理解については、すべて一人で完璧にわかっているとは言い難い。このことから、被服造形実習の基礎段階においては、高校までの基礎部分を導入しながら、常に理解のフィードバック、並行して課題製作過程の節目毎に達成感を味わえる仕組みが必要であると思われる。
著者
小川 眞
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.73-79, 1999-10-01 (Released:2017-05-31)
参考文献数
4
被引用文献数
1

インドネシアでフタバガキの根に外生菌根菌が共生すると,苗の生長と植栽後の生長がよくなることや粉炭がこの菌の増殖に効くこともわかり,現在では実用的な育苗技術として,きのこと炭がとりあげられている。マメ科樹木やモクマオウなど空中窒素を固定する微生物と共生する植物にも木炭粉やモミガラくん炭が効く。炭を土壌に加えると明らかに根粒や放線菌根がつきやすく,VA菌根もつくので苗の生長がよくなる。チーク,ゴムノキ,ドリアン,アブラヤシでもVA菌根菌を接種すると苗の生長がよくなったという。しかし,共生微生物を考えに入れた育苗・植栽技術はまだできあがっていない。また外来種を植え続けると,養分の収奪が激しく,土壌とその中の生物相が変化してしまう。今後持続的な熱帯林業をすすめるためには,土壌微生物や小動物の保全も考えた土壌管理が必要になるだろう。炭を利用するのもひとつの重要な方法である。近年モミガラくん炭や粉炭を簡便に生産する炉やプラントが開発され,炭も土壌改良材として広く使用できるようになった。炭は根粒菌やVA菌根菌を固定するのに適しており,ペレット状の接種源や炭を含んだ肥料も使われるようになった。炭は共生微生物だけでなく,アゾトバクターやバイエリンキアを増殖させるのにも役立つ。インドネシアでモミガラくん炭と石灰を使うと,第一作目のダイズだけでなく,第二作目のトウモロコシでも高い収量が得られたという。ちなみに熱帯では,どこで土壌を採っても空中窒素固定菌がほぼ100%出現するが,日本では30〜50%が通常である。熱帯で焼畑が可能なのも,この微生物の分布に負っているらしい。熱帯や亜熱帯の自然の潜在力,言いかえれば微生物の力をいかに有効に使うかという点に,将来の人口増加と食料供給問題を解決する鍵があるように思える。炭を農林業に用いることは,単に植物の生長や収穫を増やすのによいというだけではない。CO_2の増加による地球温暖化も年々地球規模で深刻化しており,樹木の枯死や異常気象などとなって現れている。CO_2固定のアイディアは多いが,大量かつ効果的に固定する方法は,森林や緑地を作る以外にない。しかし植物が光合成によって同化固定した炭素も,そのままでは燃えたり腐ったりして再びCO_2に戻ってしまう。そのため固定された炭素を不活性化し,封じ込める方法を見いださなければならない。炭を農林業に利用するというこのアイディアは単純だが,炭素の封じ込めには最も効果的なものである。過去の地球上で植物が光合成によって同化し,石炭や石油として土の中に閉じ込めたものを掘り出して燃焼させれば,地球の大気が過去の状態へ戻ってしまうことは誰にでもわかる。もし植物やその残廃物をすべて炭化し,これを土壌に還元し,自然の力によってさらに植物や樹木を育て,炭素の封じ込めと資源のリサイクルを同時に実行することができれば,地球温暖化の防止にいささかでも役立つのではないだろうか。熱帯で実行できる方法を提案する。
著者
馬場 祐人 筧 捷彦
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.97, 2012-03-30

日本語プログラミング言語は,変数や関数を日本語で名付け,日本語の語順でプログラムを書くプログラミング言語である.日本語でプログラムを書くことの利点は,英単語へ置き換えることなく母国語でソフトウェアを開発できることにある.プログラムを母国語で書くことで,ソフトウェア開発においても実装やデバッグ,保守に寄与することが期待される.我々は,日本語プログラミング言語"プロデル"を開発すると同時に,それを使って日本語プログラミングによるソフトウェア開発を実践している.本研究では,日本語プログラミング言語を用いてソフトウェア開発を行い,日本語表記で書かれたプログラムの可読性について評価実験を行った.その結果,日本語で書かれたプログラムは,Javaで書かれたプログラムと比較して,プログラムの理解やデバッグに要する時間が短くなる傾向があることを確認できた.本発表では,日本語プログラミング言語で書かれたプログラムの可読性について議論する.A Japanese Programming Language (JPL) is a programming language using Japanese words for identifiers, such as variables and functions, and its programs are written in a Japanese word order. The advantage of writing programs in Japanese words is to represent the program in our native language without having to replace to English words. We expect that a Japanese programming contributes to implementation, debugging and maintenance, in a large-scale software development. We developed a JPL "Produire" and has developed practical software using the JPL. In this study, we developed software using Produire and experimented to evaluate the readability of programs written in a JPL. This experiment shows that programs written in a JPL, compared to programs written in Java, tend to shorten the time required to understand and debug. In this presentation, we discuss the readability of programs written in a JPL.
著者
渡貫 幹彦
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.410, pp.144-151, 2002-05-27

ソニーの「バイオ」をはじめ、テレビの視聴やHDD録画ができる「テレビパソコン」がブームだ。DVD映画並みの画質で何十時間も録画できて、頭出し簡単、巻き戻し不要。一度使ったらもうVHSデッキには戻れない。TVキャプチャーユニットを購入すれば愛機がテレパソに変身する。とはいえ本格的に「VHSデッキの置き換え」を狙うには製品選びなどで絶対外せないポイントがある。
著者
錦織,圭史
出版者
日本応用磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌
巻号頁・発行日
vol.21(4-2), 1997-04-15

The potential advantages of magnetically induced super-resolution (MSR) for high-density recording in magneto-optical disks have spurred the study of various related technology. MSR systems can read signals from a smaller area than the laser spot area by using magnetic films with different temperature characteristics. Most MSR systems require an external magnetic field in the readout. We have developed a new type of MSR (S-RAD) that does not require an external magnetic field. The front masking area of the S-RAD is formed by shrinking the recording mark in the readout layer. This paper describes the readout principle and readout characteristics of S-RAD. A C/N of 49 dB was obtained at the 0.5μm recording mark. A crosstalk level of less than -40 dB was obtained at a track pitch of 0.8 μm.We believe that S-RAD has sufficient potential to allow practical use of high-density magneto-optical recording.
著者
吉松 孝 池田 美奈子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.3_25-3_34, 2022-01-31 (Released:2022-02-05)
参考文献数
16

日本人被験者の米国と中国のシットコムに対する面白さの認識にどのような違いが生まれるのかを明らかにする。質問紙を用いて調査を行い、データ分析からどこに違いが生まれるのかについて可視化し、内容分析からなぜそのような違いが生まれたのかについて考察を行った.また,面白さを高く認識できた箇所と、面白さをほとんど認識できなかった箇所を抽出し、テキストの内容や感想から理由や背景を探った。 その結果、日本人被験者は、米国と中国シットコムを比較して、米国シットコムの方に面白さを高く認識し、また、面白さを高く認識できるラフ・トラックの挿入ポイントも米国作品の方が多かった。また、被験者は米国シットコムに対し、テンポが良い、下品、友人間の会話が多いという印象や感想を持ち、中国シットコムに対し、分かりにくい、動作が面白い、家族間の会話が多いという印象や感想を持つことが分かった。
著者
広谷 鏡子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.54-73, 2018

「放送のオーラル・ヒストリー」のシリーズ、「放送ウーマン」史では、放送という特殊な世界ならではの専門職や、これまであまり語られてこなかった、表舞台には出ない女性たちの証言を元に、放送の歩みを新たに振り返る。第4回は、番組を予定通り進行させるため、スタッフの誰よりも沈着冷静に「時間」を管理する「タイムキーパー」(以下、TK)として、40年近くテレビと関わってきた原田靖子さん。1970年からフジテレビの生放送番組でTKを務めたあと、主に民放ドラマの制作現場で、フリーの「ドラマのTK」=「記録」として、60本以上のドラマ作りに携わってきた。初めて担当したドラマ『時間ですよ』(TBS)で、演出の久世光彦氏に鍛えられ、フリーの立場で各局の多彩な演出家たちとドラマ制作に携わり、2007年まで、好調期の民放ドラマとともに歩んだ。原田さんの仕事の原点は、「きちんと放送を出す」「時間内に入れる」こと。だがドラマの場合、管理するのは、「時間」だけではない。証言からは、映画のスクリプターのように、そのドラマに関するさまざまな情報を詳細に記録し、監督を始めスタッフ・キャストに伝達・共有することも、「記録」の重要な役割であることがわかる。「時間」と闘いながら、現場がうまく回るように若手ディレクターと大物役者、新人役者と大監督の間を取り持つことも役割と認識してきた。原田さんは、テレビを「エネルギーを奪い、時代を映すだけの一過性のもの」とクールにとらえる一方、みんなが「平等」なテレビの現場が結局好きなのだと語る。これまでの経験値を次の世代に伝え、サポートしていくことで、有望な若手ディレクターの育成に貢献してきたことも、証言からは浮かび上がる。
著者
國島 広之
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.2-S29-2, 2021

<p>2019年に発生した新型コロナウイルス感染症は、交通のグローバル化、ボーダーレス化のなか、日本を含めた国内外でパンデミックとなり、今なお世界中で多くの方が罹患している。わが国では2020年2月には神奈川に寄港した旅客船におけるアウトブレイク、次いで海外からの帰国者を発端とした流行が発生した。当時は、正確な感染性や病原性、感染対策が不明ななか、緊急事態宣言による人流の抑制もあり感染者の低減がみられた。2020年には医療施設や高齢者施設におけるクラスターも多く発生し、高齢者や基礎疾患を有する方に致死的な経過が多く発生した。2021年春には高齢者や医療従事者にmRNAワクチンが接種が行われ、高齢者の死亡例やクラスター事例は減少がみられた。度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置にも関わらず人流の低下がみられず、感染性のより高いα型次いでδ型変異株への置き換わりによって、2021年夏以降は、基礎疾患を有さない若年者に流行が拡大し、重症者や死亡例、後遺症患者がみられている。</p><p>新型コロナウイルス感染症の発生以来、医療と経済、社会における感染対策が大きな争点となっている。今後も若年者におけるワクチン接種のあり方も様々な議論があり、新型コロナウイルス感染症の終息はいまだ先と予想される。今後もおこりうる新たな感染症によるパンデミックのためにも、感染症専門家、医療者、研究者、行政、社会との連携協力の更なる発展が必要不可欠である。</p>
著者
平 雅行
雑誌
人間文化研究
巻号頁・発行日
no.40, pp.350-296, 2018-03-10
著者
森下 義隆
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、近年、野球現場において多くの選手が取り組んでいる「増量」に着目し、打者の体重が打撃パフォーマンスに及ぼす影響について検討した。その結果、①即時的な増量は通常の打撃よりも全身の回転運動の勢い(角運動量)を増大できるものの、それをバットに伝達することができず、スイング速度を低下させてしまうことが示唆された。また、②体重そのものではなく除脂肪量(筋量)を増加させることがスイング速度の向上に寄与することが明らかとなった。以上のことから、打者の競技パフォーマンスの向上を目的に増量を行う場合、脂肪量ではなく除脂肪量によって体重が増加するように食事やトレーニングを調整することの重要性が示された。
著者
辻 隆 祖父江 義明 岡崎 廉治 川島 隆幸 齋藤 太郎 井本 英夫 新井 良一 雨宮 昭南 霜越 文夫 長谷川 修司 小嶋 壮介 下園 文雄 川村 正義 飯島 健 鈴木 英雄 佐藤 寅夫
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学大学院理学系研究科・理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.4-21, 1998-03

低温度星の分光学とともに/辻先生を送る/東京大学を去るにあたって/岡崎廉治先生を送る/新しい化合物を求めた30年/齋藤太郎先生を送る/大学を去るにあたって/新井良一先生を送る/シモコシ・回路の完成を追い求めた日々/霜越さんを送る/再見!東大・小石川植物園/小嶋壮介事務主任を送る/云うべき事と云わざるべき事:流転/川村さんのこと/三崎臨海実験所退官にあたって/鈴木英夫さんを送る
著者
大森 享一
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1134, pp.127-130, 2002-03-25

今回のソルトレークシティー冬季五輪で、日本のスキージャンプは個人、団体の両方でメダルを獲得することができませんでした。団体での金メダルを目標にしてきただけに惨敗です。 残念な結果に終わりましたが、団体戦では個々の選手はよく頑張ったと思います。船木和喜は安定感抜群で、確実にK点越えのジャンプを揃えました。宮平秀治もいいジャンプを見せた。
著者
寺畑 喜朔 石見 為信 田中 行雄 丸岡 秀憲
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.564-568, 1968 (Released:2011-10-19)
参考文献数
7

It has been reported as primary steps that the blood of corpses had been taken at the time of pathological and medicolegal post mortem examination, and the following results were obtained.1) Presently after death, values of potassium and phosphorus were high.2) It has been indicated that natrium and chloride decreased.3) Calcium decreased slightly, then increased.4) It has been indicated that glutamic oxaloacetic transaminase, glutamic pyruvic transaminase and lactic dehydrogenase increased presently after death.5) Addition of the solution of ACD did not show any clear change.6) when corpses were kept in the icebox, potassium level were unchanged.
著者
当麻 成志
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.477-486, 1958-08-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

Maruyama-kyo was one of the biggest new religious groups which sprang up in Japan around 1880. The writer intends to explain how it grew strong in so short a time and what process it passed through in its growth and decline. I. The rapid development of the religion can be attributed to the facts: (1) There occurred a sudden revolutionary change in social economy; (2) and then the cultures of the districts, where Mt. Fuji is in sight, were intermingled with each other, and with it Maruyama-kyo made a wide-spread though it was limited to those areas. II. The community structures of those villages, where this religion took root, can be classified into three types in accordance with each social geographic situation of city-environs, plains and mountainous regions. III. As soon as peace came to society and social economy recovered its normal state, Maruyama-kyo ceased developing and began to be naturalized as was the case with the old religion-Buddhism. It was found that there were two types in its naturalizing process according to the courses along which Maruyama-kyo developed.