著者
手井 修三
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.335-341, 2019-10-25 (Released:2019-11-13)
参考文献数
7

石川県金沢市の住宅地において,鳥類の水浴び,砂浴び,飲水ののべ個体数を2010–2017年に記録した.スズメPasser montanus(3,875羽)の各行動の年別のもっとも多いピークは,季節変化では水浴び9月,砂浴び8月,飲水6月.日周変化では水浴び14時台,砂浴び18時台,飲水18時台であった.
著者
田中 保
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.187-192, 2011-03-01
参考文献数
30
被引用文献数
1

食べる胃腸薬といわれるキャベツやダイコン,春の七草に含まれるナズナ,スズナ,スズシロ(ダイコン)など,胃腸に良いとされる食物にアブラナ科の植物は多い.アブラナ科の植物を生で食べると,植物酵素のホスホリパーゼDと消化酵素のホスホリパーゼA<sub>2</sub>の作用で生理活性脂肪質のリゾホスファチジン酸(LPA)が生じる.消化管への野菜の効果にLPAが関与する可能性を論じる.
著者
横山 真哉 寺田 裕樹 猿田 和樹 陳 国躍 張 興国
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.89-90, 2019-02-28

交通事故における状態別死者数は歩行者が最も多く、その中でも高齢歩行者が犠牲になるケースが多い。また、歩行者事故のうち約7割が道路横断中に発生することも明らかになっている。そこで、我々は高齢歩行者の車道横断能力を教育することによって、交通事故の低減に貢献することを考えた。過去に様々な横断体験シミュレータ―が開発されているが、交通環境を3DCG、歩行を足踏みや手動ボタン等で再現する場合が多く、現実感が失われ、完全に横断を再現できていない。したがって、本研究では実在の車道に仮想の車両を重畳する拡張現実を用いた車道横断能力教育システムを開発し、若年者及び高齢者に対するシステムの有効性を評価したので、その結果を報告する。
著者
本間 寛己
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.311, 2014 (Released:2014-12-16)
被引用文献数
1

木質バイオマス用の小型燃焼炉の一つであるロケットストーブは,製作が容易でありながら燃焼効率がよいため近年注目されている.2011年の東日本大震災では,停電地域における暖房および調理用熱源として多く用いられた.しかし,設計は経験的に最適化された側面が強く,学術的な評価はあまりされていない. 本研究ではコンクリート製U字溝を燃焼室およびヒートライザに用いたロケットストーブにおいて,吸気口の面積による自然吸気量の変化や,燃焼室に簡易型火格子を設置することによる燃焼状態への影響を実験的に検討した.実験の結果から,ヒートライザの断面積に対して吸気口の面積を1/4にしても吸気量は十分であり,加えて燃焼ガス温度も上昇すること,燃焼室に火格子を設置することで,COの発生量を抑えつつ燃焼ガス温度を高められることが分かった.
著者
坂井 美日 Sakai Mika サカイ ミカ
出版者
大阪大学大学院文学研究科社会言語学研究室
雑誌
阪大社会言語学研究ノート
巻号頁・発行日
no.10, pp.30-47, 2012-03

熊本市方言は,準体助詞として「ツ」と「ト」という二つの形式を持つ。本論では,この「ツ」と「ト」の違いを,形態音韻面,意味面,統語面から検討し,次のことを述べる。形態音韻面 : ・直前の用言が動詞連体形の場合,「ツ」は用いられない。・直前がタ形・形容詞の場合は「ツ」「ト」両者が現れうる。意味面 : ・「ツ」と「ト」が両方現れうる,すなわち二者が対立しうる環境においては,「ツ」と「ト」では意味解釈に違いが生じる。この際,「ツ」を用いた準体句は形状性(モノ・ヒト),「ト」を用いた準体句は作用性(コトガラ)の解釈となる。・しかし,機能語である「ツ」と「ト」自体に意味があるわけではない。統語面 : ・「ツ」と「ト」では,統語的には「ツ」の方が名詞と似た振舞をする。・一方「ト」は,名詞に置きかえられないコピュラや終助詞(「~ノダ」「~ノカ」)等にも用いることができ,より機能的に振舞う。・「ツ」=《モノ・ヒト》と「ト」=《コトガラ》という分布は,名詞性(指示性)の違いで捉えられる。このことで,コピュラや終助詞等における「ツ」と「ト」の違いも説明できる。
著者
多田 裕樹 村上 暁信 手塚 勇太
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.791-798, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
20

本研究は都市内に生じる生物季節の実態把握を目的に,東京都心の半径約2kmの範囲内にある,58カ所(169本)のソメイヨシノ(Cerasus x yedoensis ‘Somei-yoshino’)の開花日・満開日の時空間的特徴を2か年にわたり調べたものである。さらに,その差をもたらす都市特有の要因として気温と日射量に着目し,その影響を分析した。本研究により,東京都心部の半径2kmという範囲におけるソメイヨシノの開花および満開の早晩の空間的特徴が明らかとなった。さらに,ソメイヨシノの開花と満開は,経年的に安定した動態を示すものであること,半径2kmの限られた範囲内でも範囲のなかにも大きな生物季節の差が生じ得ることが示された。移動観測により把握した気温分布と,開花日の早晩は必ずしも一致しなかったが,気温のばらつきの多い調査地点には,広幅員道路付近あるいは大規模緑地と市街地の境界付近という特徴が見られた。日射量と生物季節の間に明確な関係は確認されなかった。
著者
小野 誠司 木塚 朝博 岡田 守彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.87-95, 2016 (Released:2017-08-01)
参考文献数
28

視覚情報の入力のタイミングは運動制御の調節や適応に重要な役割を果たしている. 先行研究から, 急激な速度変化を伴う視標の動きを繰り返し眼で追うことによって, 滑動性追跡眼球運動 (パーシュート) に適応的変化が起こることが知られている. 本研究では, 視標の速度変化のタイミングに注目し, 変化時間に同期したパーシュート適応が起こるかについて検討した. その結果, ヒトのパーシュートにタイミング特異的な適応 (タイミング適応) が認められた. さらに, 先行研究よりヒトとサルの眼球運動の類似性が報告されているが, タイミング適応の場合, ヒトとサルでは適応パターンが異なることも明らかになった. これらの結果から, パーシュートのタイミング適応はヒト特有の時間予測を含めたタイミング制御機構に起因していることが示唆された.
著者
金塚 東 三村 正裕 篠宮 正樹 橋本 尚武 栗林 伸一 櫻井 健一 鈴木 弘祐
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.671-680, 2012 (Released:2012-11-08)
参考文献数
15
被引用文献数
2

千葉県における日本糖尿病学会会員と専門医,日本糖尿病協会登録医および一般医による診療の実態を調査した.17病院と67診療所における専門医25名,学会員と登録医計15名,一般医50名が参加した.総症例数は3930症例,専門医はより若年,一般医はより高齢の世代を診療した(p<0.001).専門医は32 %,一般医は10 %の症例をインスリンで治療した(p<0.001).HbA1c(JDS値)6.5 %未満は,専門医で32 %,一般医で50 %である一方,8 %以上は各23 %, 11 %であった(p<0.001).2357症例(60 %)に降圧薬が処方され,専門医は39 %にアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB),34 %にカルシウム(Ca)拮抗薬,一般医は各34 %, 38 %に処方した(p<0.001).アルブミン尿が未測定であった1266症例中,専門医で162症例,一般医で597症例が早期腎症診断のためアルブミン尿測定の対象となる尿蛋白-,±あるいは+であった(p<0.001).インスリン療法で専門医の役割は大きいが,多くの症例で血糖コントロールは不良であった.専門医はARB,一般医はCa拮抗薬をより多く処方した.専門医は診療している10 %,一般医は37 %の症例で早期腎症を診断するためにアルブミン尿の測定が適用と思われた.
著者
穐本 浩昇 田中 讓 瀧川 一学
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.443-444, 2017-03-16

本研究は、札幌市の凍結防止剤の散布のタイミングと対象エリアの助言サービスとドライバーへの凍結スリップ危険度の警告サービスの実現を目指し、道路凍結の予測システムを構築することを目的としている。札幌市を1kmメッシュ状に分け、各エリアの1時間ごとの路面の摩擦係数を気象データや交通データから予測する。教師データに用いる摩擦係数はエリア内を実際に走った車のABS(アンチロックブレーキシステム)の作動データより得られる。まず凍結路面と圧雪路面に分類してから各々の路面モデルで回帰をする二段階推定により予測精度の向上が見られた。
著者
井田 秀行 青木 舞
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.105-114, 2006-12-05
被引用文献数
2

教員養成系大学生の身近な自然観を把握するため、信州大学教育学部(長野県長野市)の学生284名を対象にアンケートを実施した。アンケートでは幼少期の生活環境と、当学部の「自然数育実習」で扱われている題材のうち日本の伝統植物や代表的樹木に対する認識を探ることに焦点を当てた。その結果、多くの学生の幼少期の生活環境は、農村部のような自然が身近にある場所であったり、お年寄りとの接触が少なくない環境であったりした。ここで、お年寄りとの接触頻度は住宅地よりも農村部で高いことが示された。なかでも、農村部に暮らし、お年寄りとの接触も多かった学生ほど、自然遊びや伝統的外遊びをしていた割合が高く、日本の伝統植物である「春の七草」の正答率も比較的高かった。このことから、幼少期の生活環境が伝統植物への認識に、ある程度影響を及ぼしている可能性が示唆された。一方で、「秋の七草」や「ススキの利用法」への認識は低く、その要因として、人の生活様式の変化に伴う伝統植物の利用放棄や生育適地の衰退が、世代間の伝承の停滞を導いた可能性がある。日本の代表的樹種に多く挙がったのは、サクラ、マツ、スギ、ヒノキで、その傾向に幼少期の生活環境との関連性は認められなかった。また、長野県の代表的樹種の首位に挙がったシラカバの占める割合は、長野県出身者が県外出身者を大きく上回っていた。これらの樹木は一般的に比較的身近な存在ではあるが、サクラを除けば、それら樹木への認識の多くは、日常生活との関わりというよりも、むしろ、現在までに得られた知識やイメージの集約により形成されたものと考えられた。以上から、将来の学校教員としての役割を踏まえると、教員養成系大学における自然教育では、こうした学生の実状に合わせた授業の展開が必要だろう。例えば、漠然と捉えている自然を、より身近にかつ具体的に捉えられるよう、導入には、自然に関わる地域の風習、文化、季節の行事など身近な題材を用い、そこに生態学的な視点を盛り込むことで、身近な自然と人の関わりを理解することから始めると効果的であると考える。
著者
吉田 勝美 松田 弘史 武藤 孝司 桜井 治彦 近藤 東郎
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.935-940, 1990-10-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
19

長期の体重変動が,肥満の健康影響を評価する上で,関心を呼んでいる。体重の増加量が及ぼす健康影響は知られるものの,体重増加の時間的経緯による健康影響については,ほとんど知られていない。本研究の目的は,体重増加の時間的経緯として,増加速度がもたらす健康影響を評価することである。某企業の1,627名男子従業員の中から,次の基準により,解析対象を選択した。選択基準は,以下のごとくである。1)対象者は,少なくとも20回以上の健康診断を受診している。2)対象者は,青年期より7kg以上の体重増加を認める。上記の基準により,437名が選択された。対象者の年齢は,46.2±5.1歳(M±S.D.)であった。体重の増加速度により,対象者を以下の3群に分けた。急速体重増加群は,5年間に5kg以上の増加を認めた者であり,167名が分類された。緩徐体重増加群は,5年間に5kg未満の体重増加を認めた者であり,212名が分類された。観察期間中に,一時的な体重減少を認めた残りの58名は,その他の群として,以下の解析から除外した。現時点の比体重を補正したMantel-Haenszel odds比は,空腹時血糖の有所見(110mg/dl以上)に関して,急速体重増加群で有意に高かった。また,体重増加速度以外の要因を含めたロジスティック解析の結果では,空腹時血糖の有所見に関するロジスティック式に,年齢とともに体重増加速度が取り込まれ,体重増加速度のodds比は,2.86(95%C.I.:1.35-6.06)であった。血圧,総コレステロール,中性脂肪,尿酸の有所見の発現に関して,体重増加の有意な関係は認めなかった。以上より,青年期から7kg以上の体重増加を認めた者において,体重増加速度が糖代謝異常の発現に関連していることが示され,体重増加速度が有する健康危険指標の意義が確認された。
著者
舟田 久之
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.491-505, 1992-12-05
参考文献数
18
被引用文献数
1 1
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1084, pp.78-81, 2012-06-11

1996年の「日米半導体協定」の終結交渉において、産業界のリーダーを務めた"ミスター半導体"こと牧本次生氏。同氏はその後、還暦をすぎた2000年に、約40年間務めた日立製作所からソニーへの電撃移籍を果たす。互いにライバル関係にある、日本を代表する大手電機メーカー2社でそれぞれ専務を務めるという稀有な経験を、同氏が今、振り返る。