著者
加村 隆英
出版者
日本蜘蛛学会
雑誌
Acta Arachnologica
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.119-132, 1992
被引用文献数
6

ワシグモ科の2新属, ノコバトンビグモ属(新称) <i>Sernokorba</i> gen. nov. とヒトオビトンビグモ属(新称) <i>Hitobia</i> gen. Nov., を記載した. マエトビケムリグモ <i>Zelotes</i> <i>pallidiatellis</i> (B&Ouml;SENBERG et STRAND, 1906) を<i>Sernokorba</i> 属に, ヒトオビトンビグモ <i>Poecilochroa unifascigera</i> (B&Ouml;SENBERG et STRAND, 1906) とテオノグモ<i>Berlandina</i> <i>asiatica</i> (B&Ouml;SENBRG et STRAND, 1906) を <i>Hitobia</i> 属にそれぞれ所属させた. さらに, 新種フタオビトンビグモ(新称) <i>Hitobia yasunosukei</i> sp. nov. を記載し, <i>Hitobia</i> <i>asiatica</i> の雄を初めて記載した. なお, 所属を変更した3種の和名は以下のようにしたい: マエトビトンビグモ (改称) <i>Sernokorba pallidipatellis</i>, ヒトオビトンビグモ <i>Hitobia unifascigera</i>, シノノメトンビグモ (改称) <i>Hitobia asiatica</i>.
著者
渕之上 康元
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.66, pp.15-39, 1987-12-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
15
被引用文献数
2

1埼玉県茶業試験場で,品種園の中の100品種・系統(日本種,準中国種,準アッサム種など)を供試して,4年生時(1974)から14年生時(1984)までの11ヵ年間にわたって,圃場耐寒性を調査し,同時に冬季の気象条件などとの関係を調べたところ,耐寒性茶樹育種のための多くの知見を得ることができた。2調査方法の概要は下記のとおりである。(1)圃場耐寒性は,関東茶産地での主要な寒害(赤枯れと青枯れ)に対する抵抗性で,いずれも越冬圃場(毎年3月上旬に)での被害の程度を肉眼観察により1(軽微)~9(甚大)に判定区分した。(2)気象観測は,茶業試験場内の百葉箱によるもので,11月第3半旬~3月第1半旬の最低気温,降水量,降雪量,地温,凍結期間などである。3得られた成果の要約は下記のとおりである。(1)赤枯れ被害は,幼・成木期に関係なく何時でも発生がみられるが,青枯れ被害は,特異な異常気象年を除き幼木期程被害が大きい。(2)主要な32品種の11ヵ年のデータについて分散分析を行ったところ,両被害共年次間及び品種間に顕著な有意差を認めた。(3)赤枯れ被害でも年により被害程度に多少の差がみられるが,青枯れ被害は,茶樹の幼木期に生じやすいとはいえ,毎年発生するとは限らず,とくに成木園になってからは,異常気象年を除き,被害軽微の年が多かった。(4)被害度の反復力(遺伝力)を計算し,耐赤枯れ,青枯れ性の検定に適した年の有無について検索したところ,耐赤枯れ性では,一般に被害度が特異的でしかも品種の変動係数の小さい年を除いて,平均被害度が4.0~5.0程度で品種の変動係数の比較的高い年(平均0.3~0.4位)を選ぶこと,また,耐青枯れ性検定では,やはり異常気象を除き,幼木期を対象として適度の被害度(平均3.0~4.0位)と品種の変動係数の大きい年(0.6~0.8程度)をそれぞれ選んで,これを検定に適した年とするのが良いように思われた。(5)これを冬季気象条件との関係において検討したところ,耐赤枯れ性検定では,暖冬年や寒の戻り年などの特異な気象年を除き,冬期の日最低気温積算値が-320℃~-460℃位の当地方でも比較的寒冷な年で,しかも1976年のように前年の12月下旬から厳寒期にかけて半旬別平均最低気温がほぼ直線的に低下していた年が最も検定に適していた。また一方,耐青枯れ性検定では,やはり異常気象年を除き,茶樹の幼木期に相当した年次の中で,茶樹が吸水低下を来たすと言われている土壌凍結~地温3~4℃以下の継続日数の長い寒冷な年で,しかも無降水継続日数が50日以上にも達する年が適していた。(6)検定に適した年の被害度の分散分析の結果をもとに主要32品種の圃場耐寒性の階級分けを行い,耐赤枯れ性を強~弱の5群に,耐青枯れ性を強~甚弱の6群に群別した。(7)今後,気候遷移期の特徴といわれる異常気象年(冬季の)に対応できる品種育成の基礎資料を得る目的で,特異な気象条件下での品種の耐赤枯れ,青枯れ性の変動について,やや強以上の品種(検定に適した年のもとでの)について調べた。その結果,まず耐赤枯れ性では,寒の戻り年でも比較的その低下をみなかった品種にやまとみどり,たまみどり,こまかげ,さみどりなどが,また逆に著しく低下をみたものにおぐらみどりがみられた。また一方,耐青枯れ性についても同様に検討してみると,1984年の異常気象年でもこまかげ,さみどり,安化県種の3品種・系統のみは被害が極めて軽微(被害度1.0)で特異的であり,あさひ,さやまかおり,やまとみどりなども比較的耐青枯れ性の低下が少なかった。しかし,一方おぐらみどり.他数品種に著しく耐青枯れ性の低下するものを認めた。なお,検定に適した年に平均的被害度が4.0であったやぶきたが異常気象年に8.0まで低下していたことは注目された。(8)赤枯れ,青枯れ被害と一番茶収量との相関関係は,赤枯れでは被害の著しい年にのみ負の相関関係を認めたが,一方,青枯れでは被害のあったすべての年で負の相関関係が認められた。(9)最終的に,特異な気象条件下での各品種の変動も含めて,わが国主要46品種の耐寒性の階級分けを6~7段階に行った。そしてこれによれば,まず耐赤枯れ性では日本種が強~弱,準中国種がやや強~やや弱,準アッサム種がやや強~甚弱に,また一方,耐青枯れ性では日本種と準中国種が甚強~甚弱,準アッサム種がやや強~甚弱にそれぞれ変異していた。なお,これを個々の品種でみれば,とくにこまかげ,さみどり,さやまかおり,あさひ,やまとみどりの5品種が耐赤枯れ,青枯れ性共に他の品種よりも上位にランク付けされており,将来の超耐寒性品種育成のための素材として注目された。
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.780, pp.159-164, 2000-10-09
被引用文献数
1

富士写真フイルムのディジカメ開発物語は最終回。発売を3カ月後に控え,設計部は開発の追い込み作業に入っていた。ソフトウエア・グループが不具合の解消に四苦八苦している一方で,ひたすら基板と格闘している技術者。彼には画像に表れるノイズを一刻も早く除去するという使命があった。「さあ最後だ。電源回路はだれにする?」 1997年春のことである。
著者
水田 唯市
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1212, pp.130-132, 2003-10-13

佐賀商工共済協同組合は8月27日、佐賀地裁から破産宣告を受けました。負債額は約58億6600万円です。組合員からお預かりしていたお金で購入していた有価証券の運用に失敗し、経営が行き詰まってしまいました。 今年3月の決算で、有価証券の評価損は約16億円に達していました。それだけでなく、架空計上という問題もありました。
著者
煙山 紀子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1147, 2014 (Released:2016-09-30)
参考文献数
2

健康長寿に良い食事とは―これまで,様々な食事法が考案され,現在のところ寿命延長が効果的とされる最も有名なものはカロリー制限である.それでは,カロリーを構成する三大栄養素である,炭水化物・タンパク質・脂質の適切な摂取比率はどうであろうか.こちらについてはいまだ議論が尽きない.例えば,炭水化物を制限した食事法は短期的には減量に効果的とされるが,長期的な影響は不明な点も多い.また,食事中の炭水化物や脂質が多いと総カロリー摂取の増加につながり,肥満や糖・脂質代謝に悪影響を及ぼす懸念もある.このような背景の中,慢性的な高タンパク・低炭水化物食を与えたマウスはやせ型を示したにもかかわらず,寿命が縮まったという最近の知見を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Solon-Biet S. M. et al., Cell Metab., 19, 418-430 (2014).2) Levine M. E. et al., Cell Metab., 19, 407-417 (2014).

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1914年08月14日, 1914-08-14
著者
大久保 博志 原田 恭輔 渡辺 大誠 佐藤 強 藤井 裕矩 丸山 勇祐 岩原 誠
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp._OS0201-1_-_OS0201-2_, 2016

A concept of a "Kite-type Wind-Power Generator" system is studied for evaluating the potential of an innovative high altitude wind power technology which utilizes a tethered buoyant WPG to extract energy from wind at higher altitude. The demonstration model consists of a straight blade windmill, a specially designed kite to elevate to high altitude, and a generator on ground, where the windmill and the generator are connected each other with a loop tether and wind energy is transferred from the windmill to the generator. A small demonstration model is studied experimentally by wind tunnel tests. Result of the present analysis and experimental study show an expecting facility to provide natural and eternal energy for the habitants in the city area.
著者
鳥海 吉弘 倉渕 隆 嵐口 晃宏 今野 雅 鎌田 元康 水谷 泰三
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.91, pp.11-19, 2003-10-25
被引用文献数
1

本研究は,風圧係数と気象データから算出した建物外壁に作用する風圧力の発生頻度と,換気回路網計算を組み合わせて,機械換気を行う居室の換気量充足度予測を行ったものである。前報ではセンターコア型超高層集合住宅を対象とし,新鮮外気量のみについて検討した。本報では片廊下型高層集合住宅を対象とし,評価法に実効換気による換気回数およびホルムアルデヒド濃度評価を加え,多数室における換気性状を評価した。その結果,ホルムアルデヒド濃度に関する換気性状は新鮮外気による換気回数と関係が深いことが確認されたため,"給気専用ダクト"の設置を想定したところ,換気性状および換気量充足度の改善が確認された。
著者
吉岡 健 坂本 登 川口 浩二 永井 紀彦 仲井 圭二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_808-I_813, 2016 (Released:2016-08-30)
参考文献数
5

北九州市沖海域では現在,洋上風力発電設備の合理的な計画・設計に資することを目的とした実証研究が進められている.本稿では特に他海域(ナウファス各地点)との比較に主眼を置き,洋上風車の維持管理に重要となるアクセス性すなわち静穏度について,太平洋側と日本海側で季節によって大きな違いがあることを示す.続いて,支持構造物の耐波・耐風設計に重要となる両作用の同時生起性について,擾乱毎の有義波高と10分平均風速の相関係数を調べるとともに,両作用の簡易な組合せ方法を提案する.
著者
西村 安博 Yasuhiro Nishimura
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 = The Doshisha Hogaku (The Doshisha law review) (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.2292-2242, 2021-02-28

平山行三氏が著書『和与の研究』(吉川弘文館、1964年)において指摘する鎌倉幕府の裁判における和与の審査手続に改めて注目し、同氏が取り上げたところの、審査の結果として和与不認可とされたという4つの事例を主な検討素材として、審査をめぐる理解の妥当性について再検討を試みる。その上で、裁判所が「和与を許さない」場合に私和与が生じたとする同氏の理解を批判的に検討することにより、私和与の新たな理解の可能性を探る。