著者
バックハウス A. E.
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究
巻号頁・発行日
vol.1983, no.83, pp.61-78, 1983

この小論の目的は, 現代日本語の語彙のうち, 「ぶつ」「みみっちい」 などのように, 語源的には和語でありながら, 一般の和語とは異なった特徴をもっている単語 (接辞も含む) を表出語 (expressives) と名づけ, その特徴を音韻, 表記, 意味, 文体の観点から分析し, 表出語が現代日本語の語彙の一つの語群を構成していることを主張することにある。ここでいう表出語は次のような特徴をもっている。<BR>(イ) 濁音で始まることがあり, 促音, 撥音, 拗音が現われやすい。<BR>(ロ) かな (原則として, ひらがな) で表記される。<BR>(ハ) 表出的, 感情的な意味をもつ。<BR>(ニ) 文体は話しことば的, 俗語的である。<BR>上記の特徴に注目しながら, 表出語をさらに中心的なものと, 周辺的なものとに区分けし, 代表的なものを出来るだけ多く例示してみた。
著者
岡谷 隆基
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

国土地理院は、我が国の位置の基準を管理し位置を測れる環境を提供し、日本の国土全体の地図を整備しさまざまな形態で提供し、災害情報をより早くわかりやすく提供すること、すなわち国土を「測る」「描く」「守る」ことを任務としている。中でも「描く」の取組により提供されてきた地形図は過去1世紀近くにわたり、地理教育の各場面において課題考察などのためのツールとして教科書等で広く扱われてきた。他方、平成28・29年度に順次告示された次期学習指導要領を受けた中学校社会科及び高等学校地理歴史科の学習指導要領解説では、従前の地形図や主題図に加え「地理院地図」についてその活用の意義が明記されるなど、地理教育における地理院地図への期待は大きい。次期学習指導要領において高等学校で地理が新たに必履修化され、新科目「地理総合」が平成34年度から開始するが、その中では課題解決に地図やGISを活用することとしている。しかしながら、中学校社会科及び高等学校地理歴史科の教員の大半が地理専攻出身者ではないことから、いきなり高度なGISソフトウェアを扱うことは困難であり、地理院地図がGIS学習の入り口の役目も果たすものと考える。こうした状況を踏まえ、当日は高等学校における地理必履修化を見据えた地理院地図の活用法について報告する。
著者
竹内 誠
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報研究 (ISSN:18825370)
巻号頁・発行日
no.18, pp.83-106, 2010-11

ソルフェージュとハーモニーの能力は、音楽を専門とするには不可欠であり、音楽大学の専門科目では根幹となる授業である。従って、ソルフェージュ教育とハーモニー教育の現状と問題点は、音楽大学の現状と問題点をそのまま映し出している。今回の研究ノートは、芸術情報研究第16号に鳴海史生教授が書かれた、"「固定ド・移動ド」をめぐって"への私の回答であり、現在すすめている新規ハーモニーテキスト内容の一部である。また、工学系大学の音楽への取り組みを紹介して、音楽大学の現在置かれている社会的立場を考察する。
著者
桜井 芳生 サクライ ヨシオ SAKURAI Yoshio
出版者
鹿児島大学
雑誌
人文学科論集 (ISSN:03886905)
巻号頁・発行日
no.50, pp.11-41, 1999

本稿は,おもに三つの問題について,暫定的な回答案を提示することを目的とする。第一の問題とは,人間社会において,「選択肢」が「消滅」したり「発生」したりするのは,いかにしてなのか,という問題である。第二の問題は,人間社会における「当為(べき)性」の由来はいかなるものなのかという,問題である。第三の問題は,人が社会を生きている際に感じる悩みには主にどのようなものがあり,それの解決はいかになされるのか,あるいは解決できないものはあるか,という問題である。私が提案する回答が,これらの問題に関して「唯一にして,必要」であるということはありそうもない。しかし,私の提案する答案は,私の知る限りあまりいままで展開されていない。よって,一つの「取りかかり」として提起するのは,今後の探求の糸口になるように直観される。第一の問題のさらに第一下位問題すなわち,いかなる場合に選択肢は消滅するのかという問題。この問題に対する私の回答は,純粋ナッシュ均衡が成立しているとき,というものである。第一の問題の第二下位問題すなわち,いかなる場合に選択肢は発生し存続するのかという問題。この問題に対する私の回答は,純粋ナッシュ均衡が不成立となり,混合ナッシュ均衡が存在している場合,というものである。後者の純粋ナッシュ均衡が不成立で,混合ナッシュ均衡が存在している場合には,おもに三つの主要類型が考えられる。第一は,事態が,「非対称ゲーム」的である場合で,このときは,人々は「悩んで選択する」ことがありそうになる。通常いう「選択」のもっとも典型的ケースと思う。第二は,事態が「対称ゲーム」的である場合である。この場合も,論理的にはすぐまえと同様「悩んで選択」することもあり得る。が,典型事例としては,「階級分化(棲み分け比率が圧倒的でない場合)」と「一見自明な規律(棲み分け比率が圧倒的である場合)」とにおおむね類型できる。うえのもっとも後ろの類型の「一見自明な規律」が成立するとき,社会には「当為`性」が成立することがある,というのが,第二の問題に対する私の答案である。以上の論脈に即して人間の悩みの源泉も整理することができる。これが第三の問題への答案である。
著者
中牧弘允編
出版者
丸善出版
巻号頁・発行日
2017
著者
寒河江 健一 ハンブレ マーク 小田原 啓 千代延 俊 佐藤 時幸 樺元 淳一 高柳 栄子 井龍 康文
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.2, pp.117-136, 2012
被引用文献数
10

沖縄本島南部には,主に第四紀更新世のサンゴ礁複合体堆積物からなる琉球層群が広く分布する.本地域の琉球層群は,糸満層,那覇層,港川層よりなる.糸満層は本地域内に散点的に分布し,主に溶解・侵食を受け赤色化した現地性の皮殻状無節サンゴモに富む石灰岩からなり,層厚は2 mを超える.那覇層は糸満層と不整合ないし同時異相の関係にあり,その分布高度は約170 m,層厚は50 mに達する.本層は4つのユニットの累重体であり,ユニット1~3は浅海相であるサンゴ石灰岩から沖合相である石灰藻球・<i>Cycloclypeus-Operculina</i>・砕屑性石灰岩へと上方深海化する整合一連のシーケンスよりなり,ユニット4は沖合相のみから構成される.石灰質ナンノ化石生層序は,那覇層の堆積は1.392~1.706 Maに始まり,0.853 Ma以降まで継続したことを示す.港川層は港川と喜屋武岬西方に分布し,層厚は約20 mに及ぶが,分布標高は50mを超えない.本層の地質年代は不明である.
著者
市田 憲司 嶋田 有
出版者
日経BP社 ; 1985-
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.415, pp.92-111, 2017-01

2016年の日本株相場は、日経平均株価の年明け早々6連敗から始まり、マイナス金利導入、Brexit決定、まさかのトランプ大統領誕生まで多くの波乱に見舞われた。その一方で、任天堂の復活、バイオ株の乱舞など、相場を熱狂させるスター株も登場した。16年の相場の話…
著者
西沢 竜生 近藤 仁之
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.110-132, 1970-01

スペイン史学界の現況、並びに研究書誌につき一文をものすやう編輯子の依頼をうけたのは、昨年暮、筆者のマドリー滞在中であった。僅か一年そこそこの滞在であった上、明けて新年早々は帰国の旅に発つ身とあって、準備の暇もなく、取敢ずなほ年余に亙り滞在される近藤仁之氏(南山大学) に協力を仰いで快諾をえたのであった。ここに稿を起すにあたって最初にお断りしておきたいことは、この歴史的な「大国」の史学界につき紹介の筆を染めるのに筆者がいまだその任にたへぬ者であること、しかしならばこそまたなほのこと、拙文に盛られた以上に当の対象が遙かに深い奥行と大きな「問題」を含むことを御賢察いただきたいといふことである。従つて本篇の主たる内容は、生々しい現地報告もまじへた近藤氏の以下続篇に譲ることとし、ここでは僅かにその露払ひの役割を演じて当面の責を果すこととしたい。(西澤記)Al componer estas páginas bajo dicho título, he tenido el doble propósito de señalar importantes raíces de la historiografía moderna de España y de contribuir al estudio de la historia española en nuestro país, presentando un rico panorama de los rasgos fundamentales de esta ciencia : los archivos, colecciones de fuentes históricas, las revistas académicas etc., en un modo general. Acerca de los trabajos monográficos en cada ramo de investigación, esperemos que el señor profesor Y. Kondo los explicase profusamente en los números siguientes. R. N.
著者
笠原 英城
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.99, pp.67-69, 2006-01-10

助手 実家でおせち料理に初挑戦したんですよ。黒豆や田作り、数の子に昆布巻きも作りました。博士 ほぉ、それだけ作れれば、大したもんだ。あれ、どうした佐藤君は? 浮かぬ顔して。佐藤(薬学生) それが、友人たちに誘われて大晦日から富士山に登ったんです。初日の出は拝めたんですが、尋常でない寒さにすっかりやられてしまって……。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.941, pp.48-53, 2017-06-22

「今世紀最大規模のコンバージョン(変換)を無事に乗り越え、2017年1月4日からサービスインした。(予定通りの稼働で)新年早々安心した」。日本郵政グループのかんぽ生命保険の石井雅実社長(肩書きは稼働当時、以下同)は2017年4月、記者懇談会の挨拶をこう…
著者
鎌田 道隆
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.11, pp.p1-16, 1982-12

近江国高島郡大溝を城地とする大溝藩は、元和五年(一六一九)八月分部光信が伊勢国上野から入封したのに始まる。分部氏は、『寛政重修諸家譜』によれば、伊勢国安濃郡分部村の出身で、代々伊勢国内を地盤に活躍したが、織田信包・豊臣秀次・豊臣秀吉・徳川家康らに仕えて頭角をあらわし、関ヶ原戦後には伊勢上野に住して二万石余を領する大名となった。分部氏は、大溝入封後も二万石余であり、以後江戸期を通じて石高・城地ともに変更がなかった。二万石の大名といえば、江戸期の大名としては極小規模の大名ということになるが、改易や転封・減封など、めまぐるしいほどの江戸幕府の大名統制の動きのなかで、二百五十余年もの間大溝を動くことなく、二万石余の石高を維持していったことは、注目に値する。分部家の永続は、数百人にのぼる家臣たちの身分とその家族の生活保障を意味した。大溝の城主としての分部家の二百五十余年には、その維持のための君臣一体となったそれなりの努力と悲願がこめられていたはずである。そしてまた、それは大溝藩領の領民の生き方にも、二百五十余年を同じ領主のもとで過さなければならなかった喜怒哀楽の特別な営みとなって深くかかわったに違いないのである。大溝藩の歴史については、すでに『高島郡誌』においても言及されているが、このたび『高島町史』の編纂の過程で新しい在地史料が数多く発見された。これらの新史料の分析から、あらためて近世小大名の家臣団構成と財政の問題を究明してみようというのが本稿のねらいである。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.955, pp.20-41, 2018-01-04

2018年の幕が開けた。新年早々からスタートダッシュを図るには、最新のITをいち早く知ることが不可欠だ。デジタルの時代はITの目利き力が企業の競争力の源泉となる。
著者
安藤 興一 高橋 千太郎
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

放射線医学総合研究所・重粒子線がん治療装置を利用し,麻酔下において炭素線(290MeV/u,5mm-Spread out Bragg Peak)を,マウス頭頂部(8週令:C57BL)から5mmまで均一に局所照射を施した。炭素線30Gyを照射し,照射3ヶ月後にwater-mazeを用いた記憶・学習障害の解析を行ったところ,記憶獲得過程の障害および作業記憶(短期記憶)の障害が認められた。また病理組織学的解析により,照射群において海馬CA1-3領域の神経細胞が39-49%減少していることが判った。一方,胎児期にX線1.5Gy被ばくした場合においても,生後8週令において空間認知障害が誘発されたが,その障害は一様ではなく,軽度,中度および重度の学習障害群に大別された。重度の記憶障害群について病理組織学的検討を行ったところ,海馬神経細胞層(CA1-3領域)に異所性細胞群が高頻度に認められた。また異所性細胞群が認められた海馬領域では,記憶に重要な役割を持つアセチルコリン(acetylcholine)受容体の特異結合の減少が生じていたことが判明した。以上の結果より,放射線脳局所照射モデルおよび胎児期放射線被ばくモデルは,ともに学習・記憶に重要な役割を担っていることが知られている海馬領域の特異的変化が生じていたが,その高次脳機能障害のメカニズムは異なることが判明した。また記憶・学習障害は,海馬神経細胞の減少や異所性細胞の出現により,海馬内の神経情報伝達の阻害が生じている可能性があり,そのことが放射線による記憶・学習障害の要因であることが推察された。また,シュードウリジンやメラトニンなどのビール含有成分がマウス全身照射による造血器・腸管障害を防護することが判明したので,これらの成分による放射線能機能障害に対する防護効果について検討している。
著者
宮岡 等 宮地 英雄
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.191-195, 2014-12-20 (Released:2015-02-20)
参考文献数
8

歯科口腔外科医と連携して診療や研究に当たってきた精神科医の立場から,「精神科医が歯科医に求めるもの」と題して,気になる点を挙げた。1.安易に「精神的なもの」,「ストレス性」,「心身症」などと説明しない,2.他覚所見のない身体愁訴において鑑別すべき疾患は非常に多い,3.基本的な医療面接のルールを守る,4.治療は適切なインフォームドコンセントの下に行う,5.向精神薬は慎重に用いる,6.紹介する精神科医を選ぶ。
著者
松原 洋子
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究. 第II期 (ISSN:00227692)
巻号頁・発行日
vol.52, no.265, pp.21-23, 2013-03-26
参考文献数
10
著者
西村 美穂
出版者
明治大学大学院
雑誌
文学研究論集 文学・史学・地理学 (ISSN:13409174)
巻号頁・発行日
no.12, pp.91-108, 1999

1999年、新年の挨拶とともに、2000年10月にアメリカで開催される国際会議1)の案内と、そしてそれを組織するダニエル・マルタン(Daniel Martin)の「ラブレー『第二之書パンタグリュエル物語』の構想:記憶術検証の試み」Plan du Pantagruel de Rabelais:Essai de mnèmocritiqueという研究報告2)が届けられた。マルタンといえば、マサチューセッツ大学(University of Massachusetts)で教鞭を執るモンテーニュ(Montaigne、1533~92)の専門家であり、古代レトリック(rhètorique)3)の一つである《記憶術(mnèmotechnie)》4)という観点から、『エセー』Essais(1592)に組み込まれた作家の《人為的記憶(mèmoire artificielle)》を探求、その複雑な作品構想(plan)を解明して成果をあげてきた研究者である5)。
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.554, pp.60-65, 2008-05-26

ここからは、人ではなくパソコンに対して頭にくるシーンを見ていこう。まずはWindowsの起動時間。これで一番イライラするのは早朝会議だ。出社して会議まであと5分。資料をプリントしたいのに、何でこんなに起動が遅いんだ! さらにログオンしたらWindows Updateなどが始まって、マウスが言うことを聞かない。もう阿鼻叫喚である。
著者
川口 雅之
出版者
炭素材料学会
雑誌
炭素 (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.266, pp.1, 2015