著者
毛利 雅子
出版者
関西外国語大学
雑誌
研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.225-236, 2013-03

アメリカやオーストラリアなどの通訳研究先進国では、法廷通訳人の役割、法廷内でのクライアントとの物理的位置、またクライアントの権威や権力がコミュニケーションに与える影響などに関する研究が既に進んでいる。しかし、裁判所をはじめとする法廷参与者は、依然として通訳人を単なる「言語の置き換えマシーン」と認識しているのが現状である。日本の法廷通訳人は1人で最大6人のクライアント(通訳を必要とする立場)に対応しなければならず、「言語の置き換えマシーン」としての状況はさらに厳しいものとなっている。 本研究ノートでは、Goffman の参与フレームワーク、Fairclough のゲートキーパー的役割論、Gallois らのコミュニケーション調整理論をベースに、日本とアメリカでの法廷レイアウトを用いて、日本における法廷通訳人の現状を分析すると共に、今後の課題を提示する。
著者
高木 正洋 津田 良夫 和田 義人
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.131-138, 1995
被引用文献数
10

ヒトスジシマカの分散と産卵を, 標識再捕獲法とオビトラップによる卵数調査の組合せによって調査した。吸血させた雌と雄を蛍光塗料でマークし, 長崎大学医学部キャンパス内のグビロガ丘に放逐した。20個のオビトラップを調査地域内に均一に配置し, 産卵数を放逐前2週間, 放逐後9日間調査した。また10ヵ所では人囮採集も行った。放逐前の卵および成虫密度, 放逐点からの距離を変数として, 放逐後各オビトラップで観察された産卵数, 再捕獲された成虫数について重回帰分析を行った。その結果, オビトラップの産卵数と放逐点からの距離の間に高い相関関係が見られた。再捕獲雌数は, 放逐後の2日間には放逐地点からの距離と, また放逐後4∿5日目には, 無マーク雌数と高い相関を示した。
著者
研谷 紀夫
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.93-98, 2008-05-23
被引用文献数
1

インターネットを中心とするデジタルネットワーク空間においては、電子化された歴史資料など多様な文化資源情報が格納されている。これらの情報内には様々な歴史的人名・組織情報が含まれているが、各人物に関する参照情報を提供することによって資料情報のより深い理解を促進させることが可能となる。本研究では、現在のインターネット上の人名・組織情報の現状を調査した上で、デジタルネットワーク上で共用可能な主に明治以降の近代期を対象とした歴史的人名・組織典拠情報の可能性について検討する。
著者
井庭 崇 深見 嘉明 斉藤優
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.128-136, 2007-03-15
被引用文献数
4

本論文の目的は,商品の売れ行きの背後にある隠れた法則性を探ることにある.書籍販売市場は,すべての商品が同じように売れるわけではなく一部の商品が爆発的に売れるという「ウィナー・テイク・オール市場」になっている.本論文では,商品販売市場に潜む隠れた法則性を明らかにするために,日本全国における書籍販売の実データを用いて実証的に分析する.その結果,販売冊数と順位の関係がべき乗則に従っていることが明らかになった.また,ジャンル別の分析においては,基本的にはべき乗分布に従っているものの,最上位の販売冊数がべき乗分布の近似線よりも下方になるというようなジャンル別の特徴があることが分かった.In this paper, we explore the hidden law in the book sale market in Japan. The book sale market is known as "Winner-Take-All market" in which a very small number of the books are extremely sold although the rest of them are hardly sold. In this paper, we analyze the empirical data of bookstores across Japan, in order to show the hidden law. The results show that the relation between sale and rank are based on power law. In addition, we observe the alienation between the empirical distribution and power law in some category.
著者
浅野 良輔 堀毛 裕子 大坊 郁夫
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.129-139, 2010
被引用文献数
1

本研究の目的は,失恋に対するコーピング(未練型,拒絶型,回避型)が,失恋相手からの心理的離脱を介して,成熟性としての首尾一貫感覚(Antonovsky, 1979, 1987)を予測するという仮説を検証することであった。過去1年以内に失恋を経験した大学生114名(男性60名,女性54名)を分析対象とした。対象者は,最近経験した失恋に対するコーピング,失恋相手からの心理的離脱,人生の志向性に関する質問票(首尾一貫感覚)の各尺度に回答した。構造方程式モデリングによる分析の結果,(a) 心理的離脱は首尾一貫感覚を直接的に向上させ,(b) 心理的離脱を介して,未練型コーピングは首尾一貫感覚を低下させる一方,回避型コーピングは首尾一貫感覚を向上させ,(c) 拒絶型コーピングは首尾一貫感覚を直接的に低下させることが示された。以上の結果から,失恋および継続中の恋愛関係と,成熟性としての首尾一貫感覚との関連性が議論された。
著者
稲田 朋美
出版者
K&Kプレス
雑誌
月刊日本
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.41-43, 2008-03
著者
山田 暢子
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.64, pp.164-177, 2004-01-31

The interest concerning "edutainment" has been increasing. The purpose of this paper is to analyze the circumstances and the factor of the appearance of the teaching materials using the manga of "Doraemon" as an example of edutainment for school children by comparing it to the original manga. There's conflict between manga and education, essentially. Therefore, various adjustments were required in order to appropriate manga to education as edutainment. There are two points. First, manga was evaluated as a positive form of information media; secondly, the original element of entertainment of the manga has been lost due to the educational aim.
著者
山内 祐司
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.114-127, 2004-10-18

この論文は,学校との社会的絆がどのようにして問題行動を抑制するかについての説明を試みたものである.「社会的絆は,感受性と規範意識を向上させ,その結果問題行動を抑制する」という仮説を立て,2002年2月に実施した高校生女子385名に対する質問紙調査のデータにより,学校の問題行動抑制機能を観察した.得られた知見は以下の5点にまとめることができる.1 社会的絆の問題行動抑制機能は,絆が感受性と規範意識を高めることによるという仮説は否定されない.ただし,感受性と規範意識が絆をつくるという逆の関係も否定されない. 2 問題行動をする友人との絆により逸脱的な規範の取り入れが起こり,その結果問題行動が促進されるという仮説は否定されない.ただし,逸脱的な規範が問題行動をする友人との絆をつくるという逆の関係も否定されない. 3 教師との絆の問題行動抑制効果は強く,学校に関する要因の中で最も強い抑制効果を生み出している. 4 友人との絆の問題行動抑制機能はデータ上では観察できない. 5 学習を中心とした学校活動へのコミットメントは,「学校の信用失墜への配慮」という感受性及び規範意識をそれぞれ高め,その結果問題行動を抑制するという仮説は否定されない.ただし,感受性と規範意識が学校活動へのコミットメントをつくるという逆の関係も否定されない.
著者
大谷 正幸
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.95-118, 2004-06-30

「角行系宗教」とは、角行藤仏という富士山を信仰するユニークな行者を始祖とする宗教を包括して指す、筆者の造語である。この中に富士講という団体が含まれるが、彼らが栄えて地域に土着していく過程で、角行系宗教全体の起源と考えられる、ある名前のない宗教の存在が埋没してしまった。ここ数十年で発掘されてきた資料を元に、できるだけ富士講による伝統的な説を排除していくと、おぼろげながら彼らの姿が浮かび上がってくる。角行系宗教は全体を大きく五つに分けることができる。その始原は十七世紀初頭にまで遡るが、民間から発生した独特の教義を持ち、しかも伝統的な宗教には一切属さない。彼らは従来伝統的な山岳信仰と考えられてきたが、厳然たる創唱宗教にして富士信仰の伝統的な立場とは明らかに一線を画す。そのことが日本宗教史上でいわれる所謂「新宗教」の概念とどのように関わるのか問いかけたいと思う。
著者
堀田 昇
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.461-464, 1996-08-01
参考文献数
8
著者
中林 和重 山崎 邦典 斎藤 伸芳 飯泉 正 島根 茂雄
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.479-484, 1990-10-05
被引用文献数
5

メロンのロックウール栽培における培養液の組成と培養液の供給方法について検討し,以下の結果を得た.1)ネット出現後期から窒素の供給を制限した方がよい:ネット発生期以降の培養液中の窒素濃度を,1/2にした場合には,ネットの太さにばらつきがなく外観が美しかった.この制限を始める時期はネット発生期よりも遅い時期がよいと思われた.2)収穫直前の給液制限はしない方がよい:収穫の20日前から給液を制限した場合には,果肉の糖度も低くなり,果実も小さくなる傾向があった.このことから,メロンのロックウール栽培では,培養液の供給量を栽培の全期間にわたって,制限しない方がよいと考えられた.3)培養液への腐植酸の添加は有用:培養液に腐植酸の添加(50 ppm)を行った場合には,果皮色が明るくなった.今後,さらに検討を要する.
著者
戸嶋 巌樹 青木 茂明 平原 達也
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.244-254, 2006-03-01
被引用文献数
15

頭部形状を再現したダミーヘッドを静粛かつ滑らかに頭部運動に追従動作する音響テレプレゼンスロボット,テレヘッド弐号機を構築した。ダミーヘッドと実頭との形状の差は最大5.7%で,頭部伝達関数(HRTF)の振幅スペクトル差は4.6dBであった。テレヘッドは頭部運動に120msの遅れで安定して追従した。頭部運動追従時のライン混入雑音レベルは1〜4kHzの帯域で24dB SPL以下となった。音像定位実験の結果,使用者の頭部運動を再現すれば,他人のダミーヘッドを用いても,水平面音像定位精度が向上することを確認した。しかし,正中面音像定位においては,頭部運動を再現する効果は必ずしも認められなかった。
著者
田村 惠一
出版者
淑徳大学短期大学部
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.19-31, 2007-02-25

今日、高齢化社会の到来とともに、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の問題がクローズアップされてきているが、特に、在宅介護に於ける様々な問題の中でも、とりわけ、ストレスが強く集中する介護者への、身体面、精神面のフォローの問題は多く取り上げられるようになってきた。一方、自分自身が障害を持ちながらも高齢化した親族を介護している、いわゆる「障老介護」の事例も多く見られるようになったが、まだまだ顕在化していない。今回、高齢化した親を、障害者自身が介護している事例を面接調査し、障害者の生活状況と日々の介護生活の実情を把握・検証する中で、そこに内在する問題点や課題を模索した。この結果、「障老介護」も「老老介護」も共通して社会福祉各法による福祉サービス対象者"別"の制度ではなく、家族員総体を包括し援助できる法体制の整備と、制度を繋ぎ合わせマネージメント出来る資質を持った専門職の創設・養成が急務であるということが分かった。