著者
高宮 正之 宮本 旬子 綿野 泰行 滝尾 進
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、まずゼンマイ属(Osmunda,x=22)について18SrDNA座の詳しい調査を行った。その結果、遺伝子座はシロヤマゼンマイでは1座のみであったものの、ゼンマイとヤシャゼンマイでは複数の座があることが確認された。また、複数座をもつ種ではシグナルに大小が見られた。このことは上記3種は元から二倍体で遺伝子座の重複は無く、ゼンマイとヤシャゼンマイの共通祖先においてrDNA座の一部の転座が起こった、あるいは上記3種の共通祖先で既に遺伝子座の重複が起こっておりシロヤマゼンマイでのみ1対を除いてサイレンシングは終了し、ゼンマイとヤシャゼンマイではサイレンシングの途上であるなど、様々な解釈が可能である。それゆえ系統的に離れた様々な分類群にFISH法を適応するため、染色体数の調査をおこなった。オシダ属(Dryopteris,x=41)では23分類群調査し、12が二倍体、カナワラビ属(Arachniodes,x=41)では44のうち27が二倍体、ノコギリシダ属(Diplazium,x=41)では、54のうち13が二倍体だった。ノコギリシダ属については、rbcLによる比較から二倍体種は様々な系統群に含まれていて、系統的にはばらばらであることが判明した。ノコギリシダ属2種、カナワラビ属1種、オシダ属1種を用いたrDNA座による調査でも複数の座が確認された。ゼンマイ属の結果と合わせると、検討した種では二倍体レベルで共通して複数の座があり二倍体種は、もともと高次の染色体数を持っていた可能性が示唆された。
著者
藤田 誠司 藤原 葉一郎 奥村 次郎 長村 敏生
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.227-230, 1993

脳梁欠損症は脳の先天奇形疾患としてそれほど稀有なものではないが, その出生前診断についての報告例は本邦ではいまだ散見されるにすぎない. 今回我々は妊娠29週に胎児エコーで脳室拡大の所見を得, 胎児水頭症を疑い, 生後ただちにシャント術を施行すべく, 妊娠36週時, 帝王切開術にて児の早期娩出を試みたが, 生後脳梁欠損症と判明, 治療手段なく経過した症例を経験した.<br>本症の胎児期における超音波診断のcriteriaは, 1) 第3脳室の拡大と挙上, 2) 側脳室後角の拡大, 3) 透明中隔像の欠如, 4) 側脳室の離開と平行化, である. 本症は脳室拡大所見から水頭症と類似するが, その病態は全く異なり水頭症の鑑別疾患として常に念頭におく必要がある. また本症に高率に合併する奇形の存在が患児の予後を大きく左右するため, 本症の出生前診断は他の奇形を検索, 診断するきっかけになるという点でも, 周産期管理上重要であると思われた.
著者
岡本 喜之 石川 好美 山本 学 宮本 政幸 矢島 康治 中島 英行 馬場 隼一 大橋 伸英 岩井 俊憲 藤内 祝
出版者
日本口腔診断学会
雑誌
日本口腔診断学会雑誌 (ISSN:09149694)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.60-64, 2017
被引用文献数
2

Granular cell tumors are rare soft tissue tumors, derived from Schwann cells. About half of them occur in the head and neck, but a case with tumor arising in the zygomatic region has not been reported to our knowledge. We report a case of granular cell tumor arising in the zygomatic region. A 57-year-old woman was referred to our hospital because of cheek swelling. MRI findings showed a benign tumor, so the patient wished follow-up. However, the tumor gradually grew in size for 11 months, as was confirmed by MRI. Since the patient desired removal of the tumor, the operation was performed by the intraoral and subcilial approach. The histopathological diagnosis was granular cell tumor. Judging from the operative finding, we supposed the origin of the tumor to be the zygomaticofacial nerve which is a branch of the maxillary nerve. Twenty-six months after the operation, there was no sign of recurrence.
著者
常木 暎生
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.271-291, 2006-03-30

日本人の政治意識は低いと言われているけれども、政治討論番組は一定の視聴率を確保し、長期間に渡って放送されている。サンデープロジェクトと日曜討論の二つの政治討論番組における司会者の言動が視聴者にどのような印象を与えているかを内容分析とSD法によって分析した。日曜討論の司会者が発言権の分配に徹して、際立った印象を与えていないのに対し、サンデープロジェクトの司会者田原総一郎は討論を親しみ易く、活性化させ、楽しいものにしている反面、攻撃的、感情的で、苛立たしさ、迎合的といった印象を与え、視聴者の感性を刺激している。これにより視聴者は政治討論番組をおもしろく感じ、興味を示すようになっている。
著者
荻島 央江
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.402, pp.90-93, 2018-03

深刻な経営危機に陥り、クラブの存続すら危ぶまれていたものの、その7カ月後、初のJ1昇格を決めたV・ファーレン長崎。監督も主力選手の顔ぶれも変わっていないにもかかわらず、なぜこれほど短期間で強いチームへと変貌できたのか。快進撃の理由を探った。
著者
大澤 絢子 加藤 友佳里 嶋谷 真理 野寺 和花 服部 菜里 眞岡 孝至 新藤 一敏
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.499-505, 2011-08-15 (Released:2015-03-11)
参考文献数
23

The coconut crab (Birgus Latro), the largest terrestrial arthropod in the world, contains carotenoid pigments mainly in the shell, although no previous studies have identified them. We isolated the pigments in this study, by EtOAc extraction, silica gel column chromatography, and GPC column chromatography.We identified them as astaxanthin [optical isomeric ratio: (3R, 3’R), 9%; (3R, 3’S; meso), 41%; (3S, 3’S),50%] and diacyl astaxanthins [fatty acid ratio: stearic acid (18:0), 46%; palmitic acid (16:0), 26%; and oleic acid (18:1n-9), 18%] by 1H-NMR, LRESI-MS, chiral phase HPLC and GC analyses. This is the first detailed analysis of the carotenoids contained in coconut crab. We also examined the antioxidative activity of isolated astaxanthin and diacyl astaxanthins in the singlet oxygen suppression model. These compounds showed equal antioxidative activities with an IC50 value of 4 μM.
著者
戸谷 友則
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.F38-F43, 2000-09-20 (Released:2017-10-02)

Ia型超新星は絶対等級が比較的均一なことから、宇宙論パラメータを決定する際の標準光源として用いられている。最近、独立な二つのグループが、z〜0.5付近の超新星の観測から、宇宙定数がゼロでない宇宙が強く示唆されるという報告がなされた。しかし、当然のことながらこれらの解析にはいくつかの注意すぺき系統的不定性が存在する。それらの例として、・ダストによる吸収 ・重力レンズ ・超噺星自体の進化 ・K補正 ・Malmquist biasなどが考えられるが、ここでは特にダスト吸収の影響が本当に観測的にチェックできているのか、あるいはまた理論的に遠方の超新星のほうがダストの吸収量が大きいということが期待されるのかどうかを議論する。
著者
深澤 倫子
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.369-375, 2009 (Released:2021-04-09)
参考文献数
16

氷や雪のもつ“滑りやすさ”は,スキーやスケート等のウィンタースポーツには欠かせない.この“滑りやすさ”の秘訣は,結晶氷表面の構造にある.結晶氷表面には,融点以下の低温においても,擬似液体層と呼ばれる液体状の層が存在することが知られている. 擬似液体層は,1859年にFaradayによってその存在が提唱されて以来,一世紀以上にわたり,多くの研究者の興味を惹きつけてきた.本稿では,最近の分子動力学計算による研究を中心に,氷表面の構造とダイナミクスについて解説する.

1 0 0 0 OA 日本風景選集

出版者
[渡辺版画店]
巻号頁・発行日
vol.1-7, 1924

1 0 0 0 OA 旅みやげ

著者
川瀬巴水 画
出版者
[渡辺版画店]
巻号頁・発行日
vol.第1-3集, 1919