著者
奥山 徹 高田 光正 柴田 承二 保尊 正幸 川田 忠典 正木 久朗 野口 輝彦
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌 (ISSN:00374377)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.p147-152, 1987-06

Some Chinese herbal prescriptions employed for a syndrome expressed in oriental medical concept as chest paralysis (Kyohi) and heartache (Shintsu) are thought to be effective for angina pectoris. We investigated the effects of 5 Chinese medicinal prescriptions, Kuolon-Xiebai-Banxia Tang (Karo-gaihaku-hange-to), Guizhi-Shenjiang-Zhishi Tang (Keishi-shokyc-kijitsu-to), Jupi-Zhishi-Shenjiang Tang (Kippi-kijitsu-shokyo-to), Renshen Tang (Ninjin-to) and Guizhi-Renshen Tang (Keishi-ninjin-to) and 6 individual herbs contained in these prescriptions on a human platelet aggregation induced by 2 μM ADP. All the prescriptions mentioned above showed a strong inhibitory effect in the secondary wave aggregation, while Jupi-Zhishi-Shenjiang Tang and Guizhi-Renshen Tang gave less effect in the primary wave aggregation. Of these herbs, Shenjiang (Zingiberis Rhizoma), Ganjiang (Zingiberis Siccatum Rhizoma) and Renshen (Ginseng Radix) showed a strong inhibitory effect, while Jupi (Aurantii Nobilis Pericarpium) promoted the primary wave aggregation. Gancao (Glycyrrhizae Radix) and Baizhu (Atractyloides Rhizoma) showed no activity.
著者
木谷 真紀子 Makiko Kitani
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 = Doshisha Kokubungaku (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.81, pp.327-339, 2014-11-20

三島由紀夫「弱法師」(「声」昭35・7)は、その題の示すとおり、謡曲「弱法師」を題材にとり、『近代能楽集』の八作目として発表された。本稿では、主人公が上野で物乞いをしていたこと、また、養親と実親が家庭裁判所における調停で俊徳をめぐり争っている点に着目。発表された昭和三十五年当時、〈上野の子〉のその後が注目されるような社会活動や、国際問題にまで発展した子どもの引渡請求の裁判があったことが、三島に着想を与えたことを指摘した。さらに、俊徳の終末観が否定されることが持つ意味を考察している。
著者
岡本 和磨 池田 陽子 甲斐 朱莉 末元 真子 水谷 晴香 米田 紗菜 池見 陽
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.11-19, 2021-03

PCAGIPとは、メンバー間の相互作用を通じて事例提供者に役立つ新しい取り組みの方向や具体策のヒントを見出すためのグループ体験であり(村山・中田,2012)、様々な分野で活用されている。しかし昨今の世界的な感染症の流行に伴い、オンライン上で行うなど方法上の工夫が求められている。そこで、本論文ではZoomを使用してPCAGIPを実践し、オンライン上で行うことのメリット・ディメリットについて検討した。また、事例提供者にとってどのような応答が役に立っていたのかについても検討を行った。実施の結果メリットとして、随時全員の表情を画面上で真正面から捉えることが出来るため、対面にはない臨場感のある体験が可能であることが挙げられた。ディメリットとしてセキュリティの脆弱性に対する5つの不安が挙げられた。しかし、Zoomのアップデートによりそれらの不安のほとんどが解消されているのではないかと思われた。また、PCAGIPにおいて役立つ応答を検討した結果、メタファー表現による自己理解の生成過程、及びメタファー表現との交差やメタファーを用いた相互の追体験が重要であると考えられた。
著者
大杉 義征
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.234-236, 2016

トシリズマブ(商品名:アクテムラ)は,ヒト化抗ヒトIL-6受容体抗体である.日本発抗体医薬第一号,そして世界初のIL-6阻害剤として開発され,世界100か国以上で関節リウマチの治療に用いられている.本稿では,トシリズマブ成功のポイントは何か,大学のシーズであるIL-6をどのようにして新薬創出につなげたのか,などについて解説する.30年も前に始まった昔話になるが,過去の一事例として読んで頂き,読者,特に若手諸氏の勇気づけになればこのうえない喜びである.
著者
武居 哲洋
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.572-578, 2015-07-01

つい10年ほど前まで,救急医学系の学会に参加するたびに「アルコール性ケトアシドーシスalcoholic ketoacidosis(AKA)の1例」といった症例報告に遭遇するほど,本邦ではあまり知られない疾患であったが,近年はその知名度もずいぶん高まってきたように思える。しかし,本疾患に関するサンプル数の大きい系統立った臨床研究はほとんど存在しないため,いまだに不明な点が多く,誤解も根強く存在している。本コラムでは,過去の総説,臨床研究を俯瞰することで,AKAの病態生理,診断,治療についてできるかぎりシステマチックにまとめることを試みた。 まずPubMedで「alcoholic ketoacidosis」および「alcoholic ketosis」を検索し,英文で書かれた総説と臨床研究を抽出した。一部割愛したが,1971年以来11篇の主要な総説が抽出された1〜11)。医学中央雑誌で「アルコール性ケトアシドーシス」「アルコール性ケトーシス」を検索したところ,和文の総説は1篇のみであった12)。システマチックレビューやメタ解析は存在しなかった。一方,法医学関係の研究を除外すると臨床研究はわずか7篇しか渉猟し得ず,すべて観察研究であった13〜19)。この臨床研究の少なさこそが,AKAに関する我々の理解不足につながっていることは否めない。すなわち,AKAに関する臨床的なエビデンスで確立されたものは何一つ存在しないと言ってもいいだろう。 個人的にも,日常的にAKAに関していくつかの疑問をもっている。数少ない文献を手がかりに,本コラムでは下記の疑問にできるかぎり答えていきたい。なお,我々の施設でも相当数のAKA症例を経験しているため20,21),これらの自験例の結果も交えながら解説することをお許しいただきたい。・慢性アルコール依存患者の代謝性アシドーシスはAKAで説明がつくのか?・AKAは突然死の原因として重要なのか?・AKAの診断にケトン体濃度測定は必要か?・AKAの標準的治療は何か?Summary●大酒家は容易にケトーシスを発症し,アルコール性ケトアシドーシスは決してまれな疾患ではない。●ケトアシドーシスには主にβ-ヒドロキシ酪酸が関与しており,アセト酢酸の関与は少ない。●大酒家の代謝性アシドーシスには,乳酸アシドーシスをはじめとした他の原因がしばしば合併する。●適切な輸液療法により転帰は良好とされるが,時に多臓器不全から死に至ることがあり注意が必要である。●アルコール性ケトアシドーシスは栄養障害の一形態とも考えられ,栄養障害を総合的に治療する視点が必要である。●血中β-ヒドロキシ酪酸値を含んだアルコール性ケトアシドーシスの診断基準の作成が望まれる。
著者
池田 輝政
出版者
熊本大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト トライアウトタイプ(標準)
巻号頁・発行日
2021

日常生活で使用可能な抗ウイルス製品の開発は、新型コロナウイルス感染拡大の抑制に非常に有効である。我々は、次世代の機能性材料である酸化グラフェン(GO)に注目し、GOが新型コロナウイルスに対して強い抑制効果を持つことを明らかにしているが、GOおよびその誘導体を使用した製品が抗ウイルス活性を持つかはわからない。そこで本研究では、GOおよびその誘導体を使用した製品における抗ウイルス効果を、感染性のウイルスを使って評価する系を構築し、それらの抗ウイルス効果を検証する。感染性のウイルスに対して効果を持つ真の抗ウイルス製品の開発は、新型コロナウイルスの感染拡大の抑制に大きく貢献すると考えられる。
著者
浜田 寿美男
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.20-28, 2009-04-20 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
2

発達心理学の研究はこの数十年で大きく躍進し,日本発達心理学会の会員数も設立時に比べて約10倍に達している。その背後で発達心理学に対する一般の期待が大きくなり,これを職業とする人が増え,それだけ発達心理学はこの社会のなかで制度化してきた。それは一面において歓迎すべきことであるが,他方において研究そのものがその制度化の枠に閉じることにもつながる。結果として,発達心理学がとらえるべき人間の世界が,その既成の理論と方法によって切りそろえられる危険性を抱えている。たとえば子どもたちの生きる生活世界がその個体としての能力・特性の還元されることで,その能力・特性の発達は見ても,その能力・特性でもってその子どもがどのような生活世界を生きているかというところに目がいかない。臨床発達心理士の資格化なども,この種の個体能力論を超える道を探ることなく,この枠組のなかで自足してしまえば,人間の個体化の波に飲み込まれて,人と人との本来的な共同性をそこなうものになりかねない。発達心理学における人間の個体化を乗り越えて,あらたな発達心理学のパラダイムを模索していくことが,いまこそ求められているのではないか。
著者
山口 隆子
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.101-109, 2018-03-01 (Released:2018-04-10)
参考文献数
27

日本における公的機関による気象観測状況について概観するとともに,東京都檜原村を事例として,これまでの気象観測状況を明らかにした.日本における気象観測は,気象庁のみならず,国土交通省や海上保安庁,環境省,都道府県,消防署等において実施されている.しかし,それぞれの観測目的が異なることから,データの公開状況も異なり,観測システム間の連携が取れていないことが明らかとなった.東京都檜原村を事例として,気象観測状況を調査した結果,少なくとも 1938 年以降,公的機関による気象観測は実施されており,観測項目や観測方法は異なるものの,現在まで継続して観測が行われていた.
著者
竹内 千代子
出版者
関西大学国文学会
雑誌
國文學 (ISSN:03898628)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.187-200, 2007-03-01
著者
小渕 隆司
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.298-307, 2007-02
被引用文献数
2

1歳6ヵ月児健診で経過観察となった児の乳幼児健診時に親から出された心配事について、自閉症群、高機能広汎性発達障害群、高機能広汎性発達障害サスペクト群、発達改善群の4群で心配事の内容について比較検討した。心配事は睡眠・生活リズム、食事、行動に3分類(大分類)できた。さらに大分類は感覚の指標などにより下位分類できた。大分類の(1)4ヵ月時の行動、3歳時の睡眠・生活リズム、行動に関する心配事が自閉症の、(2)3歳時の行動に関する心配事が高機能広汎性発達障害の予兆である可能性を指摘した。下位分類では(1)1歳6ヵ月時の「周囲への関心、自発的行動」、3歳時の「生活リズム」「姿勢・情動」「意図、意味理解の問題(ランドルト視力環検査)」が自閉症の、(2)3歳時の「口腔内の感覚、嚥下、咀嚼の問題」「周囲への関心、自発的行動」「意図、意味理解の問題(ランドルト視力環検査)」が高機能広汎性発達障害の予兆である可能性を指摘した。これらの予兆を踏まえ、育児に関係した事柄で養育者とつながりをもつことは、早期からの支援の糸口になる。
著者
von M. Heidegger
出版者
[s.n.]
巻号頁・発行日
1968
著者
稲野辺 英昭 東条 進 西田 憲生 田中 宏和 真崎 繁 盛田 和久
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.737, 2009

従来、経済的に困難であった鋼材切断が可能なダイヤモンド工具を用いて、切断に係る基礎データを取得した。一般的に用いられているレジノイド切断砥石と比較して、工具寿命が長く、粉塵や火花発生量が少ないため、原子力関連施設の解体工事等への適用性が高いと考えられる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.845, pp.27-29, 1996-06-17

家庭用簡易印刷機「プリントゴッコ」と事務用孔版印刷機「リソグラフ」。理想科学工業はこの2本柱で売上高688億円(96年3月期)をあげ,7年連続増収増益を続けている。経常利益率も10.2%と高い。バブル崩壊の波もかぶらず成長を続ける裏には,創業者・羽山昇社長の「手を汚せ」という企業理念と,彼の意を汲んで動く組織がある。