著者
鳥海 不二夫 神谷 達幸 石井 健一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.1740-1750, 2011-11-01
被引用文献数
1

近年,SNS(Social Networking Service)やBlog,Twitterなどのインターネットを利用したコミュニケーションツールの利用が拡大している.SNSのユーザは友人登録機能によってSNS上での他のユーザとの関係を表現する.このようにSNS上に現れる友人関係は,実社会において観測することの困難な人間関係を限定的ではあるが具現化する可能性がある.本研究では性質の異なる多数の小規模SNSを表現可能なネットワーク生成モデルを提案した.提案モデルは,SNSの成長モデルとして知られているCNN+Fitnessモデルに,管理者優先モデル,トライアドフォーメーションモデル,優先的近傍接続モデルを組み合わせて作られた.そして,それぞれのモデル適用率をパラメータとし,モデル化したいSNSに特化して最適化することで,現実の友人ネットワークの構造を近似する.パラメータの最適化にはSimulated Annealingを利用した.また,提案モデルの近似性能を確認するために,ネットワーク指標間の距離に基づいた評価関数を提案した.提案モデルを279の小規模SNSに適用し,提案評価関数で評価した結果,従来のモデルよりも高い精度で小規模SNSの友人ネットワークを近似できることを確認した.また,提案した3種類のモデルについて有効性を確認したところ,管理者優先モデル,優先的近傍接続モデルは友人ネットワーク生成モデル構築上重要であったが,トライアドフォーメーションモデルはネットワークの生成にほとんど寄与しないことが明らかとなった.
著者
日比野 丈夫
出版者
京都大学東南アジア研究センター
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.72-79, 1964

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
小谷 明 荒起 清 荒木 清
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

フィチン酸金属錯体の構造-特性の基本的性質を明らかにし,これまでに全く未解明なフィチン酸金属錯体の持つ特性が生体系でどのように利用されているかを解明した。1.フィチン酸と金属イオンとの相互作用これまでに得た金属錯体の存在種,その安定度定数,さらにその配位構造を説明できる統一的見解を得た。すなわち,生理的条件下では,リン酸間距離の大きなリン酸部位に金属が配位し,残る未配位のリン酸はプロトンがついてリン酸間水素結合により錯体全体が安定化する。2.フィチン酸加水分解酵素フィターゼ酵素活性の金属イオン依存性生理活性発現の源である受容体結合のモデルとして,近年解明されたフィチン酸加水分解酵素フィターゼを用い,各種金属イオン共存下でフィチン酸の加水分解反応速度を調べ,基質認識,反応活性について各種金属イオンの及ぼす役割について統一的見解を見出すことができた。結果的には金属錯体を基質とする酵素反応であることが明らかになり,金属酵素以外の金属基質という新しい世界を切り開くことができた。3.フィチン酸-金属錯体の生理活性フィチン酸ナトリウムを用いた研究から報告されている抗ガン活性について,各種金属錯体について抗ガン活性を調べ,生体内で金属錯体として生理活性が発現されていることを明らかにし,これまでに報告されているフィチン酸ナトリウムの抗ガン活性がカルシウム錯体の可能性が高いことを示した。安定度定数を用いたシミュレーションから生理活性種がCa2(フィチン酸)H3と示唆された。生理活性機構として,細胞内液の銅濃度ESR測定から,フィチン酸金属錯体の膜通過の容易性が示された。本研究で得られたフィチン酸金属錯体の知見は,フィチン酸の医薬品への応用のみならず,環境に無害な特性を有するフィターゼの農業,工業的応用など各種応用への基礎的知見を提供することがと期待される。
著者
梅本 雅 大浦 裕二 山本 淳子 清野 誠喜 櫻井 清一
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

農産物直売所と地域スーパーにおける、それぞれ約20名の消費者モニターの視点軌跡、発話記録、記憶の状況等に関するデータの解析から、商品購買の際に被験者が記憶している属性数は限られており、特定の属性が基準を満たしているかどうかを確認する方式で商品選好が行われていることや、消費者は商品とPOPとを短時間にチェックしており、両者を交互に頻繁に確認しつつ商品選好を行っていることを確認した。また、29名の消費者モニターに対して視点軌跡把握計測装置を用いた実験を行った。具体的には、Cスーパーの野菜売り場などのスライドを15枚提示するとともに、店舗標準POPと試験POP(機能性やレシピなどの情報を付加したものをレタスやぶなしめじなど4種類の野菜に設置)、さらに、事前の被験者への話しかけ(スライド表示直前に「レタスがお買い得だそうです」や、「夕飯の献立を意識して店舗の様子を見てください」と説明)を行った場合と行わない場合の合計4つの試験区を設定し、被験者のPOP及び商品への注視時間を比較した。その結果、試験用POPでは、POP及び商品に対する注視時間が有意に多かったが、話しかけ有りと無しでは、注視時間の有意な差はなかった。但し、後者については、レタスについては効果がなかったが、ぶなしめじでは注視時間が有意に多かった。このことは、POP内容の工夫や、献立を考えるなど想起購買をもたらすような消費者への働きかけが、商品への消費者の注視を得る上で有効となることを示唆している。この点で、これらの分析結果は、産地マーケティングとして、消費者の注目を得やすいPOP内容や情報提供方法の構築に活用できると考えられる。
著者
尾野 正晴
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.69-78, 2001

1968年に、東京のふたつの画廊で開催された「トリックス・アンド・ヴィジョン」展は、トリッキーといわれる美術を集大成した、画期的な展覧会であった。企画者は、美術評論家の中原佑介と石子順造である。国内から19名の美術家が参加したが、そのうち6名は、静岡周辺に在住していた。トリッキーな美術は、その外見ゆえに、安易な美術と見なされることが多いが、視覚のあいまいさを視覚化した点で、再度見直されるべき価値があるように思われる。また、世界的に見ても、当時、他にあまり例を見ない動向でもあった。今回の研究の目的は、「トリックス・アンド・ヴィジョン」展はどのようなむのであったか、またそれは、我が国の戦後美術の流れのなかで、どのような位置にあったか、以上二点を検証することである。
著者
石田 慎也 藤本 淳也 松岡 宏高
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.52-60, 2007-03

本研究の目的は、スカイマークスタジアムと大阪ドーム間のオリックスバファローズの試合観戦者比較によって、プロ野球球団のエリアマーケティングを行うための基礎資料を明らかにすることであった。調査は、2005年8月13日にスカイマークスタジアムで行われたプロ野球球団のオリックスバファローズの試合と、2005年8月20日に大阪ドームで行われたオリックスバファローズの試合で行った。スカイマークスタジアムと大阪ドーム間で比較分析が行われた。有効回答はそれぞれ505部(93.7%)と486部(99.0%)であった。今回の結果から、それぞれの地域における観戦者の異なる特性が見られた。エリアマーケティングの応用と、スポーツマーケターのそれぞれの地域における観戦者の異なる特性の理解を高めるための示唆が討論されている。

9 0 0 0 OA 抗原性試験

著者
佐久間 庄三
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.3, pp.216-219, 2007 (Released:2007-09-14)
参考文献数
3

抗原性試験は,薬物により誘発されるアレルギー反応を予測することを目的で実施する安全性試験である.薬物アレルギー反応はアナフィラキシーショックのような急性で重篤なものから,皮疹のような可視的なものまで色々とある.これらの反応を理解するには免疫学的な知識が不可欠である.各種アレルギー反応の簡単な解説を記載するとともに,我々が実施してきたいくつかの抗原性試験の方法を簡単に紹介する.近年,これまで行われてきた抗原性試験がヒトでの外挿性が低いことより,医薬品の承認要件よりはずれる傾向にはあるが,臨床試験や市販後のヒトへの投与においては抗原性に関する細心の注意が払われる必要があり,予測性の高い試験系の確立が望まれている.
著者
賀沢秀人
雑誌
デジタルプラクティス
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.152-158, 2011-07-15

2011年3月11日14時46分.日本を未曽有の大地震が襲った.Google では直後に対策チームを発足,約2時間後に安否情報確認サービス Person Finder [1] を開始したのを皮切りに,避難所情報,被災地生活支援サイト,自動車通行実績情報マップなどの支援サービスをスタートさせた.本稿では,対策チームの一員として Person Finder 関係の開発にたずさわった経験をもとに,非常時におけるソフトウェア開発にとって重要な点について考察をおこなう.
著者
小豆川 勝見 小森 昌史 野川 憲夫 松尾 基之
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.66, 2011 (Released:2011-09-01)

2011年3月に発生した東日本大震災によって福島第一原子力発電所から放出された放射性核種の広域的な分布を得るために、原発正門前をはじめ福島県から静岡県にかけての広範囲で土壌を採取し、ゲルマニウム半導体検出器を用いてガンマ線の測定を行った。ガンマ線スペクトルから同定された核種は合計15種類であり、核種によって分布の傾向に差が生じていることを確認した。例えば134/137Csは一様に拡散するが、131Iでは原発周辺で特に線量が高い。このように核種によって拡散の挙動が異なり、SPEEDIの予測とも必ずしも一致しない核種があることが明らかとなった。