著者
加藤 清
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.225-228, 1959-04-01 (Released:2010-10-20)
参考文献数
12

When N-(1, 2-diacetoxyethyl)-phthalimide was pyrolyzed under high temperatures, it was found that the dehydroacetoxylation proceeded in a highly selective manner to give N-(2-acetoxyvinyl)-phthalimide.Pyrolysis of N-(1-acetoxy-2-bromoethyl)-phthalimide at 537±3 produced N-(2-bromoviny1)-phthalimide.
著者
石井 則久 鵜殿 俊史 藤澤 道子 伊谷 原一 谷川 和也 宮村 達男 鈴木 幸一
出版者
日本ハンセン病学会
雑誌
日本ハンセン病学会雑誌 = Japanese journal of leprosy (ISSN:13423681)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.29-36, 2011-02-01
参考文献数
25
被引用文献数
1

&nbsp;&nbsp;Leprosy is suspected to develop after a long period of latency following infection with <i>Mycobacterium leprae</i> (<i>M. leprae</i>) during infancy, but definitive proof has been lacking. We found a rare case of leprosy in a chimpanzee (<i>Pan troglodytes</i>) born in West Africa (Sierra Leone) and brought to Japan around 2 years of age. At 31, the ape started exhibiting pathognomic signs of leprosy. Pathological diagnosis, skin smear, serum anti-phenolic glycolipid-I (PGL-I) antibody, and by PCR analysis demonstrated lepromatous leprosy. Single-nucleotide polymorphism (SNP) analysis verified the West African origin of the bacilli. This occurrence suggests the possibility of leprosy being endemic among wild chimpanzees in West Africa, potentially posing a zoonotic risk.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1391, 2013-10-28

BSおよび東経110度CSの多チャンネルサービス「スカパー!」で専門チャンネルを運営する番組供給事業者3社が、ベーシックパックである「スカパー!基本パック」(45チャンネルで構成、月額3570円)への新規参入を希望している。スカイ・エーとビーエスFOXとGAORAが…
著者
Sebastian Nehrdich
出版者
Japanese Association for Digital Humanities
雑誌
Journal of the Japanese Association for Digital Humanities (ISSN:21887276)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.132-153, 2020-12-25 (Released:2020-12-27)
参考文献数
19
被引用文献数
3

For research on Buddhist textual material, citations and similar passages are of major importance. This paper explores the application of continuous word representations and nearest neighbor search in order to efficiently compute a network of parallel passages for the Chinese Buddhist canon. It also discusses methods of evaluating the quality of the detected parallels and demonstrates a potential use case for the resulting data in the form of a web application for philological research.
著者
辺 清音 Qingyin BIAN ビアン チンイン
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科 / 葉山町(神奈川県)
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural and social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.87-108, 2018-03-31

華僑・華人研究において、近年のチャイナタウンの変貌が大きな問題の一つとなっている。本稿は日本の神戸市にあるチャイナタウン――南京町でおこった再開発とそこから生み出された店舗の変容について、人々の現場での実践をもとに論じる。1970年代から再開発されてきた南京町は、現在では観光地化され、主に飲食店や雑貨店が集中する商店街になっている。本稿は、南京町を研究対象に、店主や従業員がチャイナタウンで商売することに応じて店舗の独自性をいかに作り上げるのかを明らかにすることを目的とする。本稿で、事例とした三つの店舗は、華僑が経営する香港式茶餐庁と台湾式小籠包店、日本人夫婦が経営する中華らしい要素のある土産を扱う雑貨店である。事例1の茶餐庁は店主が両親の時代から血縁、業縁などに結ばれたネットワークを活かし、祖先の故郷である香港の庶民的な食文化を南京町で再現している。事例2の小籠包店は、業縁のある食品工場を通して、台湾から最新の小籠包量産技術を取り入れてフランチャイズの形で商売活動を展開している。さらに、華僑のように香港や台湾、中国大陸との天然な紐帯がない事例3の雑貨店の日本人店主は、日本の商社を通して中国産の中華らしい要素のある土産の仕入れと中国人従業員の採用によって商売関係を作り出してチャイナタウンでの生き残りの道を模索している。本稿は、店主と従業員たちが店舗の独自性を作り上げる日常の商売活動の中で、日本の地域社会、香港や台湾、中国大陸とのつながりを生かし、モノや情報を戦略的に選択する過程を検討する。それによってチャイナタウンの抽象的な「中華らしさ」を店舗の中に具体化して店舗を変容させたと主張し、店舗における多元的・多変的・共時的な「中華表象」が構築されてきたと結論付けた。本稿は華僑や日本人を含む地元の人々が経営している店舗――食をはじめ、雑貨などのモノによる「中華らしさ」を演じる場、に注目することによって、日常的なチャイナタウンを考察する一つのアプローチを模索したい。
著者
及川 光男 上村 吉広
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, 1981

NATMによるトンネル(延長190m)について, 事前に行った各種予備試験結果ならびに設計, 施工, 計測の概要を報告したものである。工事地点は, 福島県二本松市の南東3kmに位置するまさ土地帯で, 土かぶり厚は5~10mと薄く, 地上には民家が点在している。まず, NATM導杭予備試験は, 側壁導杭内約17mにわたって実施し, 吹付けコンクリートの施工機種の選定, まさ土に対する付着性, 施工性, ならびに各種アンカー(ロックボルト)の性能について調査している。約9mの上半NATM試験施工では, 施工順序等を検討している。NATM設計は土かぶりが浅い土砂トンネルであることを考慮して, 在来の理論設計法の代りに有限要素解析法で行っている。次に, 施工計画および施工順序を概説しているが, 補助工法として地山の状況に応じてフォアボールを行うことにより, 支保工沈下に効果が認められたと述べている。計測については, 沈下測定, 内空変位, 地山変位, 地山荷重, 吹付けコンクリート応力, ロックボルトの応力を実施し, その測定データと考察を示している。
著者
布施 彩音 今田 康大 大野 智貴 若林 敏行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.H2-105_2-H2-105_2, 2019

<p>【症例紹介】</p><p>&nbsp;症例は年齢17歳、性別男性、部活動はバレーボールであった。病歴は3年程前より明らかな誘因なく、両膝関節外側に疼痛が出現、他院にて成長痛疑いで経過観察していた。運動中の痛みは顕著ではなかったことから運動を継続していたが、1年程前から疼痛頻度が増加し、運動後には歩けない程の痛みを呈すようになった為、当院を受診した。主訴は「膝を曲げ伸ばしすると外側に痛みが出る」、Hopeは「日常生活での痛みをなくしたい。6ヵ月後の引退試合に痛みなく出場したい」であった。</p><p>【評価とリーズニング】</p><p>医師診察としてMRIにて半月板損傷、靭帯損傷、軟骨損傷は除外され、腸脛靭帯炎の診断で理学療法開始となった。初回介入時、両側の膝蓋骨下極から傍外側にかけて腫脹、熱感が認められたが、膝蓋跳動は陰性であった。非荷重位での膝関節完全伸展位から約30°屈曲時に膝蓋骨の傍外側でクリックと同時に疼痛を認め、同部位の圧痛も確認できた。Active、Passive両者ともクリック、疼痛程度に変化はないが、上記以外の角度では症状は見られず、安静時痛、夜間痛も認めなかった。部活後、長距離歩行後(1km程度)など運動後のNRS(右/左)は10/10と著明な疼痛を訴えていた。右側に関しては歩行時にひっかかり感も訴えており、日常生活にも支障があった。また疼痛の出現頻度も右側に多く認められた。静的アライメントは大腿、下腿外旋位でわずかに膝内反位、膝蓋骨外上方偏位、外側傾斜を呈しており、膝蓋骨の内下方への動きが制限されていた。膝関節の可動域は屈曲130°/135°、伸展−5°/-5°でエンドフィールは軟部組織性であった。Grinding test、Ober test、Ely test、SLRは全テスト両側で陽性となったが左右差は無かった。</p><p>クリニカルリーズニング:外側滑膜ヒダ障害と診断された先行報告と今回の症状、疼痛部位が類似していたことから、クリックは外側滑膜ヒダが膝蓋大腿関節に挟み込まれることで生じており、これが疼痛を惹起している原因だと考えた。さらに膝蓋骨が外上方偏位、外方傾斜を呈していることで膝蓋骨傍外側に、より圧縮ストレスが生じていると考え、徒手的に膝蓋骨を内下方へ誘導したところ、わずかにクリックが減少した。これらのことから膝蓋骨のマルアライメント修正することにより症状を軽減できるのではないかと考えた。</p><p>【介入内容および結果】</p><p>介入は週1回の外来理学療法を実施した。治療介入はまず疼痛誘発の原因と思われた膝蓋骨のマルアライメントを中心に理学療法を実施した。具体的には膝蓋骨傍外側を中心に超音波を実施し、炎症が強い時期には非温熱にて炎症緩和を、炎症緩和後は温熱にて膝蓋骨周辺組織の伸張性の改善を図った。その上で外側膝蓋支帯、膝蓋下脂肪体周囲のリリース、膝蓋骨のモビライゼーション、腸脛靭帯-外側広筋間のリリースを実施し膝蓋骨の外側傾斜、外方偏位の修正、内下方への可動域制限の改善を図った。また膝蓋骨の内下方への誘導を目的にテーピングを貼付したところ、歩行時の疼痛がわずかに減少したことから、日常生活、部活の際に貼付するよう指示した。その結果、介入から2ヵ月程で膝蓋骨外側の腫脹が軽減し、クリック、疼痛の程度も軽減した。介入開始から4か月ではNRS(右/左)は6/1となり、運動後の疼痛出現頻度も減少した。過度な運動後は疼痛が出現するものの、直後のアイシング、セルフケアにより疼痛自制内でコントロール可能となった。本人の希望であった引退試合に出場することもでき、日常生活にもほぼ支障がなくなったため、外来理学療法終了とした。</p><p>【結論】</p><p>先行報告において外側滑膜ヒダ障害は、膝関節30〜75°で膝蓋骨傍外側にクリックを伴う疼痛が出現するとされており、本症例の症状と類似していた。外側滑膜ヒダ障害は非常に稀であり、過去に保存療法で症状が軽減した報告は見当たらない。診断には関節鏡検査でのみ確定診断が得られるが、本人が希望しなかったため今回確定診断には至らなかった。しかし膝蓋骨のマルアライメントを修正したことで症状が軽減したことから、外側滑膜ヒダ障害と疑われる症例に対し理学療法の有効性が示された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>ヘルシンキ宣言に従い対象者には口頭及び文書で同意を得た。</p>
著者
生田 旭洋 太田 友規 大野 善隆 後藤 勝正
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.A0233, 2008

【目的】骨格筋は、力発揮という力学的な仕事をする器官である。そのため、骨格筋を構成する骨格筋細胞は他の細胞とは異なった特有の形態と構造を持っている。形態的な大きな特徴の1つは、筋の収縮方向に(筋が力を発生する方向に)細く長いことである。この形態的特徴から、骨格筋細胞は骨格筋線維あるいは筋線維と呼ばれている。骨格筋は力学的な仕事の負荷に応じて機能的かつ形態的な適応を示すことは良く知られているが、組織としての適応は個々の筋線維の適応変化による。一般に、骨格筋線維は遅筋線維と速筋線維の2種類に大別される。例えば、遅筋線維はエネルギー産生オルガネラであるミトコンドリアを多く含むことから酸化系酵素活性が高く持久性に優れるが、ミオシンATPase活性は低く収縮速度が低いという性質を持つ。一方、速筋線維ではミトコンドリア含有量は少ないがグリコーゲン顆粒が多く含まれ、解糖系酵素活性値が高く、そしてミオシンATPase活性が高く収縮速度が高いという特性を持つ。さらに、筋線維の直径を比べると、遅筋線維に比べ速筋線維が太いとされている。しかしながら、ラットのヒラメ筋では遅筋線維は速筋線維に比べて太いことが知られており、必ずしも遅筋線維が速筋線維に比べて細いとは言えず、組織としての骨格筋の存在様式や収縮機能などの特性に応じて、筋線維の太さが決定されている可能性が指摘されている。そこで本研究では、異なる存在様式ならびに収縮機能を有する骨格筋における遅筋線維と速筋線維の形態的特徴を比較検討し、骨格筋の機能的特性と筋線維タイプの関係を明確にすることを目的とした。<BR>【方法】実験には、生後8週齢の雄性マウス(C57BL/6J)を用い、両後肢よりヒラメ筋、長趾伸筋、足底筋ならびに腓腹筋を摘出した。摘出した各筋は結合組織を除去後に秤量し、即座に液体窒素により急速凍結し、-80&deg;Cにて保存した。凍結組織をクリオスタットにて、厚さ10 μmの連続凍結切片を作成し、HE染色ならびにミオシンATPase染色(前処置pH 4.35)を施した。染色した切片は顕微鏡にて観察・撮影し、筋線維タイプの同定ならびに筋線維直径の計測を行った。<BR>【結果】ヒラメ筋では遅筋線維が多数を占め、断面積に占める割合も大きいものであった。個々の筋線維の断面積を比較すると、ヒラメ筋では遅筋線維が、長趾伸筋、足底筋ならびに腓腹筋では速筋線維が高値を示した。<BR>【考察】以上より、速筋線維が太く遅筋線維が細いという法則は必ずしも全ての骨格筋に当てはまるものでなく、組織としての収縮機能に適合するように数的に多くを占める線維が大きな直径を有することが明らかとなった。<BR>【まとめ】リハビリテーションを行う上で筋機能に配慮した処置が必要になると考えられた。<BR>
著者
坂元 史歩 佐藤 恭子 米谷 民雄
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.136-140, 1997
参考文献数
7

The components in a commercial natural food additive "lemon peel extract" and the acetone extract of a commercial lemon peel were studies using high performance liquid chromatography (HPLC) and liquid chromatography/mass spectrometry (LC/MS). HPLC chromatograms for both preparations were almost the same. The peaks corresponding to citral (cis- and trans-forms) were observed as the main peaks in the HPLC and LC/MS chromatograms; however, the peak corresponding to geraniol was not detected. In Japan, four synthetic antimolding agents (o-phenylphenol, diphenyl, thiabendazol and imazalil) are permitted for lemon. By comparison of the retention times and the photodiode-array sepctrum with those of four authentic samples in HPLC, it was suggested that o-phenylphenol was contained in the commercial "lemon peel extract". The quasi molecular ion peak of o-phenylphenol was detected by LC/MS using the atmospheric pressure chemical ionization (APCI) method in the negative mode, and the mass spectrum of the compound that was thought to be o-phenylphenol, was identical to that of the authentic sample. Nevertheless, the amount was so low that it could not contribute to the antimolding activity of the commercial "lemon peel extract". Three other synthetic antimolding agents were not detected in the commercial "lemon peel extract".
著者
坂詰 秀一
出版者
立正大学文学部
雑誌
立正大学文学部論叢 (ISSN:0485215X)
巻号頁・発行日
no.38, pp.80-88, 1970-09
著者
小林 里瑳 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1245-1252, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では,近代地方都市における界隈形成のメカニズム解明に向けて,土地所有形態選択問題として統計的モデルを用いた全く新たな都市形成史分析手法の提案を試みた.モデル構築において,所有筆=土地とその所有形態の同時選択確率を記述可能なCNL型の離散選択モデルを提案し,所有形態の選択に関して地主の態度の異質性を仮定した潜在クラスモデルを導入した.パラメータ推定には,隠れ変数を含む選択確率の対数尤度関数最大化問題の求解に適していることから、機械学習の代表的な手法の一つであるEMアルゴリズムを用いた.道後温泉本館周辺を対象に,旧土地台帳と付属図という近代史料をモデル推定可能な形式に変換する方法提案を行い,集積や継承,撤退といった近代地方都市の土地所有の変容の実態解析が可能なデータベース構築に成功した.さらに,非集計分析と提案したモデルを用いてパラメータ推定を行うことで,近代地方都市の地主の土地所有形態の選択に異質性があり,時間の経過とともに地租や立地条件といった要因が土地所有形態の選択に及ぼす影響が大きく変容していることを統計的に示すことができた.
著者
飯島 孝四郎 伊藤 理恵
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.123-126, 2021-01-01

35歳,男性。8月下旬,栃木県の湿地滞にてヤマビルに両下腿を吸血された。その12日後より,前腕,背部,大腿部に多形紅斑が出現した。発熱などの全身症状は伴わなかった。ステロイド軟膏を外用し,消退した。ヒル咬傷自体は一般的な吸血害虫被害であるが,咬傷部位は容易に治癒し,その合併症もほとんどないことから医療機関を受診することは少ない。本邦においてヒル咬傷による多形紅斑を生じた症例は自験例のみであり,非常にまれな症例と思われた。しかし,昨今の地球温暖化や各地で頻発する水害によりヒル生息域の拡大が懸念されており,今後,多形紅斑以外にも多彩な皮膚症状を呈するヒル咬傷の症例が増加する恐れもある。
著者
村上 晋 堀本 泰介
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.161-170, 2017-12-25 (Released:2018-10-24)
参考文献数
25

これまでインフルエンザウイルスには,人の季節性インフルエンザウイルスや鳥インフルエンザウイルスなどが含まれるA型からC型が知られていた.最近,これらとは性質が異なり,ウシをはじめとする家畜に感染するD型インフルエンザウイルスの存在が米国で報告された.これまでの疫学調査によって,D型インフルエンザウイルスは日本を含む世界中で流行し,特にウシの呼吸器病症候群を引き起こす原因ウイルスの一つであることが明らかとなってきた.本稿では,D型インフルエンザウイルス発見の経緯,流行状況,ウイルス性状について解説するとともに,日本におけるD型インフルエンザの流行状況について紹介する.