著者
浅井 貞宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.22-31, 2008-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
10
著者
濱生 和加子 青木 克 清水 唯男 内田 貴久
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.403-410, 2000-10-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
8

目的: 特発性顔面手掌多汗症 (多汗症) 患者の心理特性と, 胸腔鏡下交感神経遮断術 (ETS) 後の患者の心理状態を調査し, ETS治療の有効性を検討する。方法: 多汗症患者を対象に, TEG (東大式エゴグラム・第2版), POMS (気分プロフィール検査), MMPI (ミネソタ多面的人格検査) をETS前に施行し3カ月以降に同心理検査とアンケート調査を行なった. 結果: TEGより, 多汗症患者は依存的, 消極的タイプが多いといえるが, 不適応的自我パターンが多いとはいえず, 術後は特に女性で適応的自我パターンに変化した. POMSでは, 多汗症患者に感情的問題が多いとはいえず, 術後に特に男性で気分状態は改善した. MMPIでは,「精神衰弱性」,「偏執性」,「抑うつ性」尺度に高得点を示す症例が多かったが, 術後は減少傾向を示した. 術後アンケートでは, 代償性発汗は全例にみられ, 約40%の患者が日常生活への支障を訴えたが, ETSを受けた患者の約95%は手術治療に対し満足感を表明した. 結論: ETS後, 多汗症患者の自我状態は自己肯定的に変化し, 気分状態も改善するが, 手術適応には, その患者が代償性発汗を受容できるかどうかの見極めが問題となる.
著者
南宮 湖
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2009年に出現した新型インフルエンザウイルス(A/H1N1/pdm)では、肥満患者における重症化の病態が新たに注目された。また、近年、肥満における慢性炎症とその免疫機構が注目されており、本研究では、肥満マウスウスモデルを用いて免疫学的検討を行い、インフルエンザウイルス感染において肥満が病態を重症化させる機序に迫ることを目的とした。肥満モデルマウスにインフルエンザウイルス(A/H1N1/PR8)を感染させると、通常マウスと比較して、有意に生存率が低下し、顕著な体重減少を認めた。感染後1日目、3日目、5日目でそれぞれ、気管支肺胞洗浄液中のウイルス量の増加が見られた。また気管支肺胞洗浄液の上清及び血清中の炎症性サイトカイン(TNFα,IFNγ)が、感染後1日目では、肥満モデルマウス群で低下していたのに対し、感染後5日目では、肥満モデルマウス群で顕著に上昇していた。また、肥満モデルマウスの病理組織を観察すると、インフルエンザウイルス感染前の定常状態で、気管支周囲に脂肪組織を認め、インフルエンザウイルス感染5日目には、気管支周囲に認めた脂肪組織の周辺に顕著な炎症細胞浸潤が見られた。以上より、肥満モデルマウスにおいて、感染初期では、免疫応答が惹起されず、インフルエンザウイルスが、より増殖していく一方で、感染後期においては炎症が遷延することで、病態の重症化に寄与していることが示唆された。今後、形質細胞様樹状細胞からのI型インターフェロン(IFNα.β)産生やマクロファージからの炎症性サイトカイン産生に注目して、肥満モデルマウス群で、インフルエンザウイルスの重症化機構に関して更なる解析を続けていく予定である。
著者
彭 丹
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.11-50, 2012-03-30

日本には八点の国宝茶碗がある。八点のうち、南宋時代に焼造された天目が五点を占める。曜変天目三点、油滴天目一点、玳皮天目一点である。これらの天目茶碗は、生産地の中国の地には残されていないのに、なぜ日本に残っているのか?日本の国宝と中国の天目とは矛盾しないのか?天目を求め続ける日本人の情熱はいったい何か?
著者
深山 覚 中妻 啓 米林裕一郎 酒向慎司 西本 卓也 小野 順貴 嵯峨山 茂樹
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.78(2008-MUS-076), pp.179-184, 2008-07-30

本稿では歌詞の韻律を用いた歌唱曲の新しい自動作曲手法を提案する。旋律を音の経路と捉え作曲を経路探索問題として定式化することで、任意の日本語の歌詞を用いた歌唱曲の自動作曲が、歌詞の韻律に基づく制約条件下での最尤経路探索問題を解くことで実現できることを示す。さらにこの作曲原理を実装した自動作曲システム "Orpheus" を用いて実際に楽曲生成を行い、作曲家による生成された楽曲に対する評価を踏まえて、今回の手法によって妥当な音楽性をもった歌唱曲が生成されたことを検証する。
著者
Shingo Wakao Noriko Saitoh Akinori Awazu
出版者
The Biophysical Society of Japan
雑誌
Biophysics and Physicobiology (ISSN:21894779)
巻号頁・発行日
pp.e200020, (Released:2023-04-27)

Nuclear speckles are nuclear bodies consisting of populations of small and irregularly shaped droplet-like molecular condensates that contain various splicing factors. Recent experiments have revealed the following structural features of nuclear speckles: (I) Each molecular condensate contains SON and SRRM2 proteins, and MALAT1 non-coding RNA surrounds these condensates; (II) During normal interphase of the cell cycle in multicellular organisms, these condensates are broadly distributed throughout the nucleus. In contrast, when cell transcription is suppressed, the condensates fuse and form strongly condensed spherical droplets; (III) SON is dispersed spatially in MALAT1 knocked-down cells and MALAT1 is dispersed in SON knocked-down cells because of the collapse of the nuclear speckles. However, the detailed interactions among the molecules that are mechanistically responsible for the structural variation remain unknown. In this study, a coarse-grained molecular dynamics model of the nuclear speckle was developed by considering the dynamics of SON, SRRM2, MALAT1, and pre-mRNA as representative components of the condensates. The simulations reproduced the structural changes, which were used to predict the interaction network among the representative components of the condensates.
著者
松村 彩子 香月 健吾 穐本 昌寛 佐久間 敬之 中嶋 ゆき 宮崎 拓也 藤澤 信 中島 秀明
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.1639-1642, 2021 (Released:2021-12-03)
参考文献数
5
被引用文献数
2

Coronavirus disease 2019 (COVID-19) has emerged as a global pandemic until today, but treatment options remain limited. COVID-19 vaccination is expected to decrease the number of patients with COVID-19 worldwide. In Japan, two types of mRNA COVID-19 vaccine, BNT162b2 (Pfizer/BioNTech) and mRNA-1273 (Moderna), have been approved and administered. However, their side effects remain poorly elucidated. This paper presents two cases of immune thrombocytopenia (ITP) after BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccination. Whether or not ITP is triggered by the vaccination or not is difficult to identify. Further investigation with a large number of cases is warranted to clarify the side effects of BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccination.
著者
渡辺 伸一 野田 琢嗣 小泉 拓也 依田 憲 吉田 誠 岩田 高志 西澤 秀明 奥山 隼一 青木 かがり 木村 里子 坂本 健太郎 高橋 晃周 前川 卓也 楢崎 友子 三田村 啓理 佐藤 克文
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.9-22, 2023 (Released:2023-04-21)
参考文献数
33

バイオロギング(biologging)とは、動物に様々なセンサーを取りつけて動物の行動や生態およびその周辺環境を調べる手法である。今世紀に入り、バイオロギングデータを共有するウェブ上の電子基盤システムとなるプラットフォームが世界各国で次々と構築されている。一方、日本国内で取得されたバイオロギングデータの共有は立ち後れている。本稿では、日本国内のバイオロギングデータを保存・管理・利用するために新たに開発したプラットフォーム(Biologging intelligent Platform: BiP)について紹介する。BiP の仕様を決めるにあたり、既存の12 のプラットフォームが格納するデータの種類や解析機能に関する特徴6 項目を3 段階で評価し、格納するデータ量の増大に寄与する特徴について考察し、その結果をもとにBiP の仕様、ならびに今後発展すべき方向性について検討した。既存プラットフォームを比較した結果、格納するデータ量の増加には、データ公開レベルとデータタイプの自由度が高く、データ解析ツールの充実度が高いという特徴が寄与していた。これらの特徴を踏まえてデータ公開レベルとデータタイプの自由度を高めるようにBiP を設計した。さらに次に示すBiP 独自のウェブ解析システム(Online Analytical Processing: OLAP)を搭載した。BiP のOLAP は次のような機能を持つ:1)バイオロギング機器によって得られたセンサーデータ(Level 0)をBiPウェブサイトへアップロードし、個体や装着時のメタデータを入力すると、動物の放出前や機器の回収後の不要部分を除去して、標準形式へ変換したLevel 1 データを作成する。2)GPS データをもとに、海流・風・波浪といった海洋物理情報(Level 2 データ)を抽出できる。3)登録者が公開設定したデータの場合、利用者はLevel 1, 2 データをCSV 形式およびネットワーク共通データ形式(Network Common Data Form: NetCDF)でダウンロードできる。今後は、海洋物理情報をグリッド化したLevel 3 データを生成する機能を付与し、対象種を海洋動物から陸生動物まで、対象地域も全世界へと広げて、収集するデータの質と量を増大させる計画である。
著者
坂 雅之 村木 孝行
出版者
The Society of Japanese Manual Physical Therapy
雑誌
徒手理学療法 (ISSN:13469223)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.51-58, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
22

凍結肩に対する理学療法は,生活指導やストレッチングを主体とした運動療法から構成され,これに徒手療法を加えることが推奨されている。本稿では,「凍結肩患者に対する治療として,システマティックレビューおよびメタアナリシスによりその効果が支持されている徒手療法はあるか」という疑問に答えるべく,現在利用可能なエビデンスを整理した。2022年10月までに公表された凍結肩に対する徒手療法に関連するシステマティックレビュー論文17編のうち,5編の論文でメタアナリシスが行われていた。これらのメタアナリシスの結果に基づくと,拘縮期または凍結期の凍結肩患者に対して,運動併用モビライゼーションや関節モビライゼーションが疼痛軽減,肩関節可動域改善に有効である可能性が示された。炎症期の患者に適用できる徒手療法,徒手療法の最適な治療回数・期間,運動療法と併用した際に期待される効果等に関しては不明であり,今後の研究課題と言える。
著者
小野田 慶一
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.29-44, 2010 (Released:2011-08-26)
参考文献数
92
被引用文献数
1 1

人間は社会的動物であり, 望ましい関係性から排斥されたときに悲痛な感情を経験する。このネガティブな感情は社会的痛みと呼ばれる。多くの動物実験及び画像研究の知見から, 身体的痛みと社会的痛みはその機能と神経機序を共有していることが示されてきた。本稿では, 背側前帯状回が身体的痛みと社会的痛みの共有システムに重要な役割を果たし, 鎮痛作用のあるオピオイドは社会的痛みをも減弱または消失させることを示した知見を紹介する。さらに, 社会的痛みの進化, 発達, 個人差に関しても概説する。社会的痛みの個人差に関しては先天的 (遺伝的)・後天的 (社会的) な要因の双方に言及している。また, 社会的排斥に対するサポートの効果に関しても議論する。最後に社会神経科学における排斥研究の展望を述べる。
著者
伊藤 正哉 小玉 正博
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.74-85, 2005-03-31 (Released:2013-02-19)
参考文献数
39
被引用文献数
37 31

本研究では, 自分自身に感じる本当らしさの感覚である本来感を実証的に取り上げ, 自尊感情と共に本来感がwell-beingに与える影響を検討した。自由記述調査から尺度項目が作成され, 大学生男女335名を対象とした因子分析により7項目からなる本来感尺度が構成され, その信頼性と一部の妥当性が確認された。そして, 重回帰モデルの共分散構造分析により, 本来感と自尊感情の両方が主観的幸福感と心理的well-beingというwell-beingの高次因子に対し, それぞれ同程度の促進的な影響を与えていることが示された。また, well-beingの下位因子に与える影響を検討したところ, 抑うつと人生における目的には本来感と自尊感情の両方が, 不安・人格的成長・積極的な他者関係に対しては本来感のみが, 人生に対する満足には自尊感情のみがそのwell-beingを促進させる方向で有意な影響を与えていた。さらに, 自律性に対しては本来感が正の影響を与え, 自尊感情は負の影響を与えていた。以上の結果から, 本来感と自尊感情のそれぞれが有する適応的性質が考察された。

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著者
大谷 通順
出版者
北海道大學文學部
雑誌
北海道大學文學部紀要 (ISSN:04376668)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.89-246, 1989-09-16
著者
上野 大輔
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.23-44, 2020-08-31 (Released:2020-09-03)
参考文献数
96

A checklist is compiled for 59 nominal and one unidentified species of copepods belonging to 33 genera of 12 families in two orders recorded based on the 55 original articles and monographs published from 1895 to 2020. These copepods have been found from marine mollusks including 76 species in 59 genera of 37 families in five classes in Japanese waters. A parasite-host list and a host-parasite list are also provided.
著者
谷口康浩著
出版者
学生社
巻号頁・発行日
2005
著者
上野 乃毅
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.4_30-4_38, 2009-10-27 (Released:2009-12-27)

ソフトウェアへの機能追加のために実装の大規模な刷新が必要になることがある.実装刷新において後方互換性を完全に保つのは難しく,作業の途中で頓挫する例が後を断たない.実装刷新に失敗すると,開発プロジェクトでは巻き戻しの作業が発生するだけでなく,実装刷新を担当した開発者がモチベーションを欠き,長期的な生産性低下に繋がる恐れがある.本論文では,オープンソース開発における実装刷新の失敗事例を調査し,共通の要因とその対処法を明らかにした.調査の有効性を示すために,世界中に膨大な数のユーザを抱えるソフトウェアGNU Emacsの暗号化サブシステム(約4500行)に関して,提案手法に従って刷新を行なったところ,作業を円滑に完遂できた.