著者
金 官圭
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.110-127,231, 1996-07-31 (Released:2017-10-06)

This paper focuses on three main problems related to the use of electronic bulletin board(NIFTY-Serve). First, I investigate the impact of using electronic bulletin boards on other communication activities. Second, I explore the motives for using an electronic bulletin board, particularly the differences in motives among three user groups which are divided by their attitudes toward the electronic bulletin board. Thirdly, what image of the sources do users perceive through an anonymous commnication situation in which only messages are exchanged? People who use the electronic bulletin board view television much less than the average Japanese viewer. The high-attitude group is associated with more instrumental using motives than the low-attitude group. Factor analysis produced three independent dimensions for evaluating the image of message sources.
著者
劉 陽
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
no.14, pp.191-203, 2021-03

Tanaka was a great admirer of Chinese literature, especially Chinese ghost stories such as Liaozhai Zhiyi (聊斎志異), and he was to translate 35 of them, published as "The 12th Volume of Chinese Literature" . This paper analyzes the characteristics of 10 stories from that, comparing the original work with Koda Rentaro's annotation and the translation by Shibata Temma. Tanaka referred to Koda's annotation when translating the unique words and sources in Chinese. He generally adds interpretation instead of annotation. And Tanaka used lots of onomatopoeia to make the description more vivid. There are lots of temporal adverb with similar meaning in Liaozhai Zhiyi, Tanaka basically translated them into one word.内田慶市教授古稀記念号
著者
宮﨑 雄三
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2019年度日本地球化学会第66回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.13, 2019 (Released:2019-11-20)

海洋表層に由来する大気エアロゾルは雲凝結核や氷晶核として大気の放射収支や雲・降水過程に影響を与えるほか、大気-海洋間における生元素の循環にも影響を及ぼす。これまで海洋表層の微生物活動が活発な海域(亜寒帯西部北太平洋、亜熱帯東部太平洋)において、国内外の研究船による海洋大気観測を重点的に実施し、エアロゾルと表層海水中の微生物活動指標との系統的な比較など、海洋大気エアロゾルの主要成分である有機物の起源や変質過程に関わる研究を行ってきた。本講演では、上記の海域において明らかになってきた、海洋表層と大気のインターフェースにおける有機物を介した生物地球化学的なリンケージに関する研究を紹介する。
著者
石井 穣
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.43-60, 2021-03

カウツキーはドイツ・マルクス主義の理論的指導者として位置づけられ,少数民族に冷淡な立場をとったとされてきたが,近年ではオーストリアの民族問題に関連して,民族の自治や共生を支持したことが評価されるようになった。このような評価は,生態系におけるさまざまな生物の,また国際社会での諸民族の共存を強調する,カウツキーの進化論的考察とも合致する。だがカウツキーは,社会主義においては自然選択は消滅するため,人為選択による「人種の改良」が必要と論じていた。人種的な退化を防ぎ,改良をはかろうとする優生学的思想を意味する。この一方における「共生」の論理と,他方での「排除」をもたらしかねない論理は,どのように理解すればよいのか,検討が必要である。本稿では人口問題に関するカウツキーの立場をふまえ,「人種の改良」が論じられた理由を検討する。そして共生と優生学的な論理はいかに併存しているのか,考察する。
著者
並木 勇
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-6, 1975

触媒の種類, 触媒添加量, ホルムアルデヒド-フェノールのモル比を変えてフェノール樹脂を合成し, ポリビニルアセタール樹脂と配合した2成分系の印刷回路用接着剤のはんだ耐熱性とはく離強度を測定し, フェノール樹脂の分子構造との関連性を考察した. アンモニア, 低沸点のアミン類, アルカリ土類金属酸化物, および水酸化物などを触媒とした樹脂は良好な性能を示した. アンモニア触媒添加量がフェノールに対して5~10モル%, ホルムアルデヒド対フェノールのモル比1.5の場合に, 良好な性能を有するフェノール樹脂を得ることができる. またフェノール樹脂を溶液状態で加熱し, 熟成するとはんだ耐熱性が向上することを明らかにした.
著者
松澤 康夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.810-813, 2006-10-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
11

P-HEMA製レンズによってソフトコンタクトレンズ時代が始まって以来,さまざまな改良が加えられ,レンズの安全性を確保しつつ低価格化を実現し,装用感を改善してきた.本稿では,最近著しい進化を見せている一日使い捨てレンズと連続装用レンズであるシリコーンハイドロゲルに注目し,素材や工程,表面の性質について紹介する.
著者
安原 大生 川島 篤志 和田 幹生 花本 明子 加来 奈津子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.53-58, 2021-06-20 (Released:2021-06-23)
参考文献数
7

目的:破傷風は強直性痙攣を引き起こす致命率の高い感染症である.筋症状の治療として硫酸マグネシウムが有効である可能性が報告されているが,その使用実態の知見は乏しい.本研究の目的は重症管理を必要とした破傷風に対する硫酸マグネシウム使用の概要を明らかにすることである.方法:国内で医師が登録する複数のメーリングリストを利用し,重症管理を必要とした破傷風に対する硫酸マグネシウムの使用実態についてアンケート調査を行った.結果:対象となるのべ24,266人のうち計604名からの回答があった.重症管理を必要とした破傷風症例の経験者は252名であり,そのうち硫酸マグネシウムの使用経験者は126名であった.結論:重症管理を要する破傷風症例において,硫酸マグネシウムの使用が相当数認められることが明らかとなった.破傷風治療の選択肢として,硫酸マグネシウムの有用性については更なる知見の蓄積が必要である.
出版者
刑務協会
巻号頁・発行日
vol.下, 1943
著者
中野 明日香 粉川 美踏 北村 豊
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.124-129, 2018
被引用文献数
4

<p>本実験では,比容積とテクスチャー改善を目的にグルテンフリー米粉パンへの米ゲルの添加を検討した.米ゲルには高アミロース品種であるモミロマンを使用し,白米と玄米それぞれを5つの水分条件で炊飯し,高速せん断撹拌したものを調製した.米ゲル,米粉,水および副材料を混合し,ホームベーカリーを用いてパンを調製し,硬さ·硬さ変化率·比容積·断面写真で評価をした.</p><p></p><p>製パンの原料配合において,水は大きな割合を占めており,加水量は製パン性やその後のパン品質に大きく影響を与えるため,本実験では,加水量,白米と玄米の違いが製パン性に与える影響を検討した.得られた知見を以下に示す.</p><p>·米ゲルは白米,玄米それぞれから調製したものを使用したが,硬さや比容積の点ではほとんど有意差はみられなかった.</p><p>·水分量が少ない硬めの米ゲルを使用し,かつ,製パン段階での加水量が多いほど,硬さは小さく,比容積は大きい傾向がみられた.</p><p>·硬さ変化率(製造後3日間のパンの硬さの増加率)では,有意差がみられなかった.</p><p>·本研究で硬さや比容積の点において,最適水分量だと考えられた全体水分量100%パンについて,断面写真を観察すると気泡が大きく形状が悪いといった問題がみられた.</p>
著者
木村 朗
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.41-47, 2000 (Released:2007-03-29)
参考文献数
3

医療と福祉分野における理学療法は,障害者に日常生活活動と余暇活動における最大限の自立を促すことを目的にしている。同様に,産業保健での理学療法は職業活動における自立を促すことが目的である。これからは理学療法士が,障害の予防や,真の障害者のリハビリテーションに貢献することが望まれる。すなわち,日常生活活動,余暇活動に加えて,より積極的な職業活動における理学療法の役割を見出すべきである。ただし,わが国において,産業保健領域で働くために必要な資格がある。本稿は,これらの資格に衛生管理者があることを示し,さらに労働衛生コンサルタントがあることも紹介し,産業保健分野において理学療法の実践可能な開業権取得の可能性があることを述べた。これらの受験資格において理学療法士の置かれた立場は,まだ不利な点があり改善すべき課題があることを示した。
著者
塩出 雄亮 中田 和義
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.203-208, 2017-09-20 (Released:2018-09-20)
参考文献数
17

観賞魚の“楊貴妃メダカ”は,朱赤色のミナミメダカの変異体である。楊貴妃メダカの発色メカニズムを解明するため,鱗の色素胞,体内のカロテノイドの定量,カロテノイドを含む飼料による体色変化について,楊貴妃メダカとヒメダカを比較し検討した。体表の色素胞は,楊貴妃メダカ,ヒメダカともに黄色素胞が主体で,黒色素胞はほとんど存在しなかった。一方,黄色素胞内の色素顆粒は楊貴妃メダカが橙赤色で,ヒメダカは淡黄色であった。アスタキサンチン,ゼアキサンチン,ルテインの濃度は楊貴妃メダカがヒメダカよりも高く,とりわけアスタキサンチンは楊貴妃メダカがヒメダカの10倍以上高かった。アスタキサンチンを添加した飼料を給餌したところ,楊貴妃メダカ,ヒメダカともに頭頂部の色相値が有意に低下した。これらの結果は,楊貴妃メダカの朱赤色はカロテノイドと関連があること,カロテノイドの摂取により赤みが強くなることを示している。