著者
加藤 裕治 カトウ ユウジ Yuji KATO
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
no.13, pp.115-121, 2013-03-31

本稿では、イギリスの産業遺産—特に世界遺産でもある7つの遺産が—日本の旅行ガイドブックとインターネット上の個人ブログにおいて、どのような情報や関心に基づき、その遺産が紹介されているかを見ていく。観光のまなざし論では、ある対象が観光地として認知され、イメージ形成されていく過程において、メディアの影響が大きいと論じられてきた。海外にある遺産の認知やイメージ形成には、特にこうしたメディアの影響が大きいと考えられる。また近年は、インターネットによる個人的な情報発信が盛んになり、遺産の観光地化のプロセスにおいて、旅行ガイドブックと異なる情報や関心で観光地が紹介されている可能性が高い。こうしたメディア環境の変化が観光のまなざしに与える影響を考察するためには、各メディアにおける情報発信の視点や関心の違いを対比し、各メディアの役割について考えていくことが必要である。
著者
稲葉 利江子
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.428-431, 2019-04-15

本稿は,大学ICT推進協議会(AXIES)が2017年度に実施した日本の高等教育機関等におけるICT活用教育の推進に関する悉皆調査の結果を基に,大学においてICT環境の導入状況を紹介したものである.特に,LMSとeポートフォリオの導入状況について概要を述べたあと,前回調査から2年間でどのような変化が見られたのかについて説明を行った.具体的には,前回調査と比較し,「入学手続きシステム」と「機関が提供している公式SNS」の導入率が増加している傾向にあることが明らかとなった.これは,入試方式の変化や大学広報のSNS利用などの社会的な変化に伴い増加していることが推察される.その他の悉皆調査の詳細結果については,AXIESのWebサイトを参照いただきたい.

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著者
独立行政法人科学技術振興機構
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
JSTnews (ISSN:13496085)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.3-5, 2011

<p> 科学技術振興機構(JST)の最近のニュースから</p><p>【新規事業】科学の甲子園 来年3月に、第1回「科学の甲子園」全国大会を兵庫県で開催! 今夏から各都道府県で、出場校の予選が始まります。</p><p>【シンポジウム】低炭素社会戦略センター(LCS)設立1周年シンポジウムを開催 東日本大震災からの「復興」を視野に、低炭素社会へのシナリオを提示</p><p>【研究成果】酵素を内部に閉じ込めた柔らかい電極フィルムを開発 これを用いたバイオ電池が果糖水溶液で過去最高の発電!</p><p>【開発成功】2000万コマ/秒の超高速動画の撮影が可能に! 超高速現象の解明につながるCMOSイメージセンサの開発に成功</p><p>【SNS開設】地球と社会の未来を考える国際科学技術協力のプラットホーム 登録制コミュニティサイト「Friends of SATREPS」を開設!</p><p>・日本科学未来館で企画展「メイキング・オブ・東京スカイツリー®」を開催します。</p><p>・「サイエンスアゴラ2011」の企画募集を開始しました。</p>
著者
海野 福寿
出版者
明治大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

1990年5月の慮泰愚韓国大統領の来日を契機に提起された朝鮮人強制連行問題は、その後の韓国人被害者が提訴した補償請求裁判やジャーナリスト・市民グループによる調査研究によって、動員の実態が明らかにされつつある。それは日本人に朝鮮植民地支配の責任を自覚させるうえで大きな役割を果たしたが、歴史学的見地からみた時、いまだ体系的・構造的にはとらえられていないように思われる。本研究は、そのような現状をふまえ、主として公開資料によりながら朝鮮人強制連行を政策史的観点から跡づけようとするこころみである。主要論点は以下のとおりである。1.強制連行の定義:植民地における強制連行の"強制性"を物理的強制としてではなく、法律と命令による法的強制に求めた。これにより占領地における労働力徴発や俘虜の強制労働と区別した。2.強制連行政策:3段階に区分される強制連行の政策的展開を、朝鮮における労働力再配分計画および戦争末期の軍要員確保政策との関連で位置づけた。3.動員規模:国外への動員数のみならず、朝鮮国内動員数についても把握することに努めた。推計値は国外119万人、国内319万人である。4.動員実態:韓国政府記録保存所所蔵の「倭政時被徴用者名簿」により慶尚北道48,021人分、慶尚南道29,864人分について実態分析を行った。5.違法性:1930年国際労働総会採択の「強制労働ニ関スル条約」等の労働規約の観点から朝鮮人強制連行の違法性と日本政府の責任を明らかにした。
著者
中村 久美
出版者
天理大学
雑誌
天理大学学報 = Tenri University journal (ISSN:03874311)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.41-65, 2019-10

真珠はシェイクスピアにおいて特徴的な使われ方をしている。クレオパトラがアントニーとの晩餐で,王国が買えるほどの高価な真珠を酢に溶かして飲んだという逸話が大プリニウスの『自然博物誌』に記録されているが,シェイクスピアの『アントニーとクレオパトラ』にはこの有名な逸話は登場せず,逆にクレオパトラはアントニーから別れの餞別に真珠を贈られる。また,『ハムレット』では,国王クローディアスがハムレットの健勝を祝して盃に真珠を入れるが,ハムレットはその盃を口にすることはなく,母ガートルードがそれを飲んで死に至る。『リチャード3世』や『あらし』では,罪人の集めた真珠は当人の元に長く止まることなく,再び海の底に戻る。シェイクスピアにおいては真珠を所有する資格のない者や,粗末に扱う者には天罰が下るのである。このことは,真珠の価値が富にあるのではなく,その象徴するところの純潔と美徳にあることを示している。同時にそれは真珠好きで知られる時の女王エリザベスがスペインの無敵艦隊を破り,英国に富と繁栄をもたらしたことがエリザベスの純潔性に由来することを象徴的に示そうとしたものと解釈できる。象徴としての真珠の起源は聖書における「天国の門」「豚に真珠」の例にまで遡るが,その純潔,高貴,美徳のイメージは,中世の真珠詩人(Pearl Poet) にも引き継がれるなど,十字軍遠征以後ヨーロッパ中に広まり,「庶子」エリザベスが国内外に女王としての正当性をアピールするのに欠かせない道具であった。これを反映してか,シェイクスピア作中の人物が真珠をどのように扱うかは,その人物の善悪や貴賎を知る一種の試金石となっている。
著者
波田野 節子
出版者
国際地域研究学会
雑誌
国際地域研究論集 = JISRD : Journal of International Studies and Regional Development (ISSN:21855889)
巻号頁・発行日
no.11, pp.9-16, 2020-03

本論文は2019年5 月25日に青島の中国海洋大学で開催された海外韓国学中核大学事業団2 段階第5 回国際学会において韓国語で行なった招請発表の内容を日本語にしたものである。
著者
三代 純平
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.27-49, 2015-12-30 (Released:2016-03-21)

本稿は,地方大学において韓国の高校生を対象に行われたオープン・キャンパスに関する実践研究である。大学の教職員,留学生,地域の方々と共に,韓国の高校生を受け入れることで,そこに,ことばを学びあう場が生まれた。オープン・キャンパスというプログラムに協働で携わることで,新たなコミュニケーションが生まれ,新たなコミュニティが生まれた。その経験は,プログラムへの参加者それぞれに学びをもたらした。留学生は,地域のコミュニティや将来参加したいと思うコミュニティに求められる日本語を体験的に学んだ。この実践を省察することで,一つの実践を通じてことばを学びあう場をデザインすることが,日本語教育の目的となりうることを主張する。そして,そのための日本語教師の役割に,実践の共有があることを論じる。
著者
泉水 りな子 中間 美砂子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.14-21, 2002-04-01 (Released:2017-11-22)
参考文献数
10
被引用文献数
1

家庭科と公民科の関連性を明らかにし,連携の方策を検討するため,家庭科および公民科教員の意見,教科教育学研究者の教育目標論,教科書キーワード,学習指導要領記述等の比較を行った。結果の概要は,次のとおりである。(1)教育目標については,(1)公民科教員の意見では,家庭科で目指している能力目標13項目のうち,公民科でも育成したい能力として,50%以上の者が,5項目をあげており,関連性が高い教科ととらえられている。(2)両教科の教育学研究者の資質目標には共通性がみられる。(3)学習指導要領で示されている資質目標は明確に異なる。(2)学習内容については,(1)両教科担当教員の意見はほぼ同傾向を示し,家族領域は家庭科で,経済領域は公民科で,福祉領域,消費領域は両教科でとされている。(2)教科書のキーワード出現頻度の比較では,家族領域のキーワードは,「家庭一般」での出現頻度のほうが高く,家庭科独自の領域といえる。福祉領域,消費領域のキーワードは,両科目間の出現頻度差が低く,重複部分が多い領域といえる。(3)学習指導要領では,かなり重複する部分がある。(3)学習方法については,(1)教科担当教員の意見では,家庭科教員のほうが体験的学習導入への意欲が高い。(2)学習指導要領では,両教科とも,体験的,学習を重視しているが,家庭科では,実験・実習を通した学習を,公民科では,資料を通した学習を重視するという点で異なっている。以上の結果から,家庭科と公民科目標,内容,方法の関連性が明らかとなり,今後の連携のあり方についての示唆をえることができた。稿を終えるにあたり,本調査にご協力くださった方々に厚くお礼申しあげます。なお,本研究は,1997年7月6日,日本家庭科教育学会第40回大会において発表したものを発展させ,加筆したものである。