著者
塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-10, 2017-09-01 (Released:2017-11-10)
参考文献数
48
被引用文献数
1

呼吸リハビリテーション(呼吸リハビリ)は,慢性呼吸器疾患患者の機能を回復,維持させ,患者の日常生活を継続的に支援していく医療介入システムである.COPDを始めとした慢性呼吸器疾患患者においては,身体活動性の低下により生じたフレイルその予後を大きく規定している.このことから,慢性呼吸器疾患患者の身体活動性の正確な評価とその向上は非常に重要な課題である.COPD,間質性肺炎,肺結核後遺症,肺がん,肺高血圧症など呼吸不全を惹起する慢性呼吸器疾患がすべて呼吸リハビリの対象となる.呼吸リハビリにおいては,多専門職の学際的医療チームにより多次元的医療サービスが提供され,呼吸理学療法,運動療法,呼吸筋トレーニング(IMT),栄養療法,患者教育などの種目を中心にして展開される.栄養療法では抗炎症効果を有する栄養補助食品が臨床で用いられており,低強度運動療法と併用することでその効果が増加する.IMTでは,持続時間よりも実施回数に重点をおいた方法が考案され,新しい呼吸筋トレーニング機器が普及してきている.教育では,アクションプランの実施,セルフマネージメント,患者自身の行動変容が重要な課題である.呼吸リハビリの実施により,COPDにおいては呼吸困難の軽減,運動耐容能の改善,身体活動性の向上,健康関連QOL・ADLの改善が得られることから,その実践と普及が大いに期待される.
著者
原田 和弘 阿保 勝之 川崎 周作 竹迫 史裕 宮原 一隆
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.26-35, 2018

<p>播磨灘北東部沿岸(兵庫県明石市から加古郡播磨町沖)のノリ漁場周辺における溶存態無機窒素(DIN)の動態とノリの品質を調査した.当海域の表層DIN濃度は,港湾内や下水処理水放流口周辺で高い傾向にあった.また,表層DIN濃度の水平分布は海岸線に沿った岸寄りの東西方向に比較的高い濃度域が広がり,沖合域は低かった.塩分やアンモニア態窒素濃度の観測結果から,調査海域東部沿岸に位置するノリ漁場周辺では,下げ潮時(当海域では東流)に港湾からの流出水および下水処理水からの栄養塩供給を受けている可能性が示唆された.また,数値シミュレーション結果でも,放流された下水処理水は下げ潮時に東の方向に流れ,ノリ漁場に到達すると判断された.さらに,同漁場のノリの色調は,港湾流出水や下水処理水等の影響を受けやすい沿岸側で良好であることが判明した.</p>
著者
礒山 雅
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.49-60, 1999-09-30 (Released:2017-05-22)

Richard Wagners Buhnenwerke sind eine Art von Variationen um das Thema "Erlosung". Dieser Begriff gewann erst im "Tannhauser" ein grundlegendes Gefuge, und zwar durch eine Unterscheidung zwischen "Heil" und "Erlosung". Diese bedeutet ein tief empfundenes Wiedererlebnis des Leidens Christi am Kreuz. Wagner wollte diese Idee im bemerkenswerten Prosaentwurf "Jesus von Nazareth" (1849), einem Ergebnis seines Studiums vom Neuen Testament, weiterentwickeln. Wagners Erganzungen zum Entwurf machen sein eigenes Jesus-Bild in diesem scheinbar Evangelientreuen Passionsdrama klar. Jesus, der den Titel "Judenkonig" ablehnt, ist der Erloser aller Menschen. Er ubt sein Erlosungsamt durch seine Lehre von der Liebe und sein Opfertod aus. Die Liebe vernichtet das Gesetz, Quelle der Sunde, und bringt den Menschen in seine naturliche Lage zuruck, wo er Gott in sich erkennen kann. Mann soll sich Jesus' Opfertod als Vorbild nehmen, weil dieser eine Aufhebung des Egoismus und die vollendeste Tat der Liebe ist. Es ist erstaunlich, dass Wagner eine solche unrevolutionare Konzeption am Vorabend der Dresdner Revolution vorbereitet hat. Letztlich konzentrierte er sich im "Parsifal" auf dem Erlosungsbegriff. Sein Grundgedanke ist hier als Prozess einer Erreichung dramatisiert. Der Titelrolle lebt das Leiden Christi nach, wird zum Erloser und "erlost" Christus.
著者
川崎 雅志 坂本 拓子 高橋 留美子 西田 友美子 狩野 美穂 昆 良枝 菅原 千晶
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学盛岡短期大学部研究論集 (ISSN:13489720)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.7-12, 2006-03

血漿および肝臓脂質レベルに対するソバ茶摂取の作用をコレステロール無添加食(実験1)およびコレステロール負荷食(実験2)を与えたウイスターラットにおいて検討した。コレステロール無添加食摂取時,標準濃度(2g/100ml)ソバ茶の摂取により,血漿超低密度リポたんぱく質(VLDL)+低密度リポたんぱく質(LDL)コレステロール濃度が有意に低下した。しかし,コレステロール負荷食摂取時には,標準濃度ソバ茶の摂取による血漿(VLDL+LDL)コレステロール濃度に対する有意な差はみられなかった。コレステロール負荷食摂取時には,標準濃度ソバ茶の摂取により,肝臓トリグリセリド含量が有意に減少した。これらの結果より,標準濃度ソバ茶の摂取によって,コレステロール無添加食摂取時に血漿(VLDL+LDL)コレステロール濃度を低下させることによる血漿コレステロール濃度低下効果がみられ,また,コレステロール負荷食摂取によって蓄積された肝臓トリグリセリド含量を抑制することが示唆された。
著者
小田原 のどか
出版者
筑波大学 (University of Tsukuba)
巻号頁・発行日
2015

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著者
阿部 敏男 宮嶌 宏彰
出版者
JAPANESE SOCIETY OF TOXICOLOGIC PATHOLOGY
雑誌
Journal of Toxicologic Pathology (ISSN:09149198)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.245-256, 1990-11-30 (Released:2009-02-12)
参考文献数
34
被引用文献数
3 3

The basic structure of rat incisors and the process of enamel formation are reviewed, and the drug-induced lesions of rat incisors are discribed. The rodent incisors grow, calcify and erupt continuously throughout the life of the animal, and show in one longitudinal section the complete life cycle of tooth development from inception to maturity. Therefore it is a valuable biologic indicator which reflects and records, during its development, the metabolic status of the animal. Drug-induced lesions in developing enamel of incisors are white discoloration of enamel surface, degeneration, necrosis, and atrophy of ameloblasts and/or papillary cells, disturbance of pigmentation, and hypocalcification of enamel. These changes correlate with the stage of enamel formation. The advantage of using rat incisors for toxicity studies is stressed.
著者
木村 博子
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
no.106, pp.1-15, 2015-03

Laughter or humor is indispensable to our daily lives. Recently the effectiveness of laughter has been recognized in medical and health care settings, especially for its potential for promoting resilience. In spite of its therapeutic power and the long history of combining music with comedy, laughter or humor has not been paid much attention in music therapy. In this article the author looks back at the prior research into laughter in physiology, psychology and social studies and then considers the need and possibility of introducing laughter into music therapy sessions, along with her case study of a 7 years long Community Music Therapy group. Finally, the author suggests that parody or musical comedy of old popular songs which uses the theory of incongruity is useful for creating laughter in Japanese group music therapy sessions.

1 0 0 0 OA 地券取扱手続

著者
市岡正一 編
出版者
博行館
巻号頁・発行日
1888

1 0 0 0 OA 地劵について

著者
黒羽 兵治郎
出版者
京都帝國大學經濟學會
雑誌
經濟論叢 (ISSN:00130273)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.460-466, 1930-09-01
著者
福吉 勝男
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
no.7, pp.19-34, 2007-06-23

佐々木・金編『公共哲学』(東京大学出版会、全20巻)におけるヘーゲル理解(国家主義哲学と市民社会論)の検討後、「市民社会と公共哲学」の代表者(トクヴィル、アーレント、ハバーマス、パットナム)との関係上にヘーゲルを位置づける。
著者
勝山 真人
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.142, no.6, pp.285-290, 2013

NADPHオキシダーゼは食細胞において同定されたスーパーオキシド(O<sub>2</sub><sup>&minus;</sup>)産生酵素であり,感染微生物の殺菌に重要な役割を果たす.O<sub>2</sub><sup>&minus;</sup>は食細胞以外でもNADPH依存的に産生されるが,この十数年の間に,非食細胞型NADPHオキシダーゼが相次いで同定された.その触媒サブユニットNOXには,NOX1からNOX5までの5種類と,関連酵素であるDUOX1とDUOX2の計7種類のアイソフォームが存在する.各アイソフォームはそれぞれ活性発現に必要な共役サブユニットや組織分布が異なっており,遺伝子改変マウスを用いた解析の結果,それぞれ独自の生理機能をもつことが明らかとなりつつある.本総説では主に各NOXアイソフォームの発現調節機構について紹介し,薬物治療への応用の可能性についても言及する.
著者
古川 真衣 立石 一希 勝又 英之 山口 翔瑚 金子 聡
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.25-29, 2020 (Released:2020-06-30)

本研究では、特別な分析機器を使用せずに銅イオンを測定する目的で、検出領域としてウェル状スポットを有する紙製分析デバイス(PAD)を開発した。PADは、トリクロロシランの化学気相成長(CVD)でクロマトグラフィー紙に疎水性障壁を形成させることで作製した。検出・定量領域には、銅との反応で茶色を呈する錯化剤として、ジエチルジチオカルバミン酸(DDTC)を固定した。水試料中の銅の検出に適用した後、作製したPADは、画像として取り込まれ、RGB値へ変換することで定量に適用された。
著者
西宗 直之 小野寺 真一 成岡 朋弘 佐藤 高晴
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.123, 2003

<B>1. はじめに</B><BR> 瀬戸内沿岸地域は温暖少雨の気候のため、日本で最も山火事の発生頻度が高い地域となっている。山火事は森林植生や生息動物などの森林生態系を改変するのはもちろん、侵食作用の増大による地形変動や土壌環境、場合によっては水理・水質などの環境に影響を及ぼすことが想定される。また、土壌侵食の活発化による土砂流出量の増加は、下流域の堆積過程に変化をもたらす可能性があり、土砂災害の防止という観点からも重要な研究課題のひとつである。したがって、山火事の発生による侵食速度の変化や流域から生産される土砂量の予測を行っていくために、現存する山火事跡地の侵食速度を算出し、火災発生後の土砂流出特性を把握することが必要となる。よって、本研究では山火事発生後の経過年数の異なる流域における山火事発生前後の流域侵食速度の変化を確認し、山火事発生後の年数の経過に伴う土砂流出パターンの変動を明らかにすることを目的とした。</BR></BR><B>2. 研究地域及び方法</B><BR><U>2.1. 山火事跡地の砂防ダムにおける堆砂量の測定</U><BR> 流域の全面積が山火事に遭った砂防ダムのうち、最上流部に位置するものを選定し、堆積深度を検土杖で測定した後に堆砂量を算出した。堆積速度は、上記の方法により得た堆砂量を砂防ダム建造年から経過した年数で除して求めた。山火事の発生以前に建造されたダムについては、検土杖により炭化物が認められる堆積層を山火事発生時とみなし、堆積速度を区別することにより火災前後の侵食速度をそれぞれ求めた。一連の調査は2003年3月に実施した。<U>2.2. 山火事跡地試験流域における観測</U><BR> 2.1の砂防ダム流域とは別に、3か所の山火事跡地流域において調査・観測(2000年4月から2003年5月に実施)を行った。毎回の降雨イベント後に土砂トラップに堆積した土砂量を測定した。<BR>1)IK:2000年8月に山火事発生(撹乱流域)<BR>2)TB:1994年8月に山火事発生(荒廃流域)<BR>3)TY:1978年8月に山火事発生(回復流域)<BR> これらは、植生の状況以外はほぼ同一の特徴を持つ。<BR><BR><B>3. 結果と考察</B><BR><U>3.1. 山火事跡地流域における侵食速度の推定</U> 表1に各砂防ダム流域における流域特性及び侵食速度を示す。各流域とも、山火事発生前の流域侵食速度が0.02から0.07mm/yrという低い値を示したのに対して、山火事発生後では0.33から0.42mm/yrと高い値を示した。特に、山火事の発生からあまり年数が経過していないIK1では、侵食速度は2.2mm/yrという非常に高い値を示した。これらは、発電用ダムで計測された中部地方の急峻な山地渓流における侵食速度(0.3から0.5mm/yr)(藤原ほか、1999)と比較して同等かそれ以上の値であった。特に火災発生直後の流域では土砂堆積量の急激な増加が確認されたことから、これらの侵食速度の増加は山火事に伴う活発な土壌侵食の影響を強く反映している結果であるといえよう。<BR><U>3.2. 火災時期の異なる流域における土砂流出特性の差異</U><BR> 図1に各流域におけるイベント降水量と土砂流出量の関係を示す。いずれもイベント降水量の増加に伴った土砂流出量の増加が認められるが、小規模降雨イベントでは傾きが小さく、ある一定のイベント降水量で傾きが急になる傾向がみられた。IK流域ではイベント降水量に対する掃流土砂流出量の傾きが大きく、イベント降水量20mm付近に傾斜変換点がみられた。TB流域では傾斜変換点がイベント降水量40mm付近にみられ、傾きは緩やかであった。TY流域ではイベント降水量80mm付近に傾斜変換点がみられ、大規模出水時の傾きが大きかった。傾斜変換点は火災発生後の年数経過に伴ってイベント降水量の多い地点に現れた。この存在は、前後のイベント降水量の違いによって土砂流出プロセスが変化しているものと推察される。