著者
毛利 彰宏 野田 幸裕 溝口 博之 鍋島 俊隆
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.1, pp.4-8, 2006 (Released:2006-03-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2 2

非競合的N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体拮抗薬であるフェンシクリジン(PCP)の乱用者は,統合失調症とよく似た精神症状を示すことから,統合失調症の病態仮説として「グルタミン酸作動性神経系機能低下仮説」が提唱されている.PCPは単回で投与した場合には一過性の多様な薬理作用を示すが,連続投与した場合は,依存患者が摂取を中止した後も,その精神症状が数週間持続する様に,動物でも行動変化が持続する.例えばPCPをマウスに連続投与すると,休薬後において少量のPCPを投与すると運動過多が増強(自発性障害:陽性症状様作用)され,一方,強制的に水泳をさせても泳がなくなる無動状態が増強(意欲低下の増強:陰性症状様作用)され,水探索試験における潜在学習や恐怖条件づけ試験における連合学習が障害(認知機能障害)される.このようなPCP連続投与マウスに認められる情動・認知機能障害にグルタミン酸作動性神経系がどのように関与しているのか分子機序を調べたところ,運動過多の増強はPCPがNMDA受容体拮抗作用を示し,その結果ドパミン作動性神経系を亢進することによっていた.生理食塩水連続投与マウスでは強制水泳ストレス負荷および水探索や恐怖条件づけ試験で訓練するとCa2+/calmodulin kinase IIやextracellular signaling-regulated kinaseのリン酸化が著しく増加するが,PCP連続投与マウスでは増加しなかった.一方,PCP連続投与マウスの細胞外グルタミン酸の基礎遊離量は著しく減少していた.これはグリア型グルタミン酸トランスポーターのGLASTの発現が増加し,グルタミン酸の再取り込みが増加しているためであることが考えられた.したがって,PCP連続投与マウスに認められる精神行動障害には,グルタミン酸作動性神経系の前シナプス機能およびNMDA受容体を介する細胞内シグナル伝達の低下が関与しているものと考えられる.
著者
冨岡 立 皆川 洋至 木島 泰明 山本 宣幸 阿部 秀一 菊池 一馬 島田 洋一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.225-228, 2008 (Released:2008-08-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

Structural changes of rotator cuff muscle after torn rotator cuff tendon are the muscle atrophy, the shortening of muscle fiber length, and fatty infiltration. However, there is no report about the sarcomere length which is one of the factors related to the contractile ability of muscle. The purpose of this study was to clarify the sarcomere length of torn rotator cuff muscle. 14 embalmed cadaver shoulders were enrolled in this study. The average age was 82 years old (range: 74-91). There were 7 full-thickness rotator cuff tear shoulders and 7 normal shoulders. Muscle fiber length was measured using a digital caliper. Sarcomere length of the rotator cuff muscle was determined by laser diffraction.In the cuff tear group, muscle fiber length of the supraspinatus: SSP, infraspinatus: ISP, teres minor: TM, and subscapularis: SSC was 33.2±6.3mm, 70.6±9.9mm, 57.4±6.4mm, and 58.2±9.6mm, respectively. In the normal cuff group, that of SSP, ISP, TM, and SSC was 57.3±13.7mm, 73.4±14.0mm, 58.2±11.2mm, and 57.8±11.7mm, respectively. The muscle fiber length of SSP in the cuff tear group was significantly shorter than that of SSP in the normal cuff group (P=0.0157). ISP, TM, and SSC showed no significant difference in the muscle fiber length. In the cuff tear group, the sarcomere length of SSP, ISP, TM, and SSC were 3.07±0.41μm, 3.16±0.42μm, 2.80±0.27μm, and 2.41±0.21μm, respectively. In the normal cuff group, those of SSP, ISP, TM, and SSC were 3.18±0.46μm, 3.21±0.57μm, 3.13±0.34μm, and 2.60±0.22μm, respectively. There was no significant difference in the sarcomere length. Although the muscle fiber length of SSP with rotator cuff tear was significantly shorter than that of SSP without rotator cuff tear, the sarcomere length of SSP had no significant difference between the cuff tear group and the intact cuff group. These results indicate that the number of sarcomere may reduce to adapt the shortened muscle fiber length of supraspinatus to maintain muscle contractile ability.
出版者
日経BP社 ; 1985-
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.373, pp.84-89, 2013-10

具体的には、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「世界経済インデックスファンド」や、三菱UFJ投信の「eMAXISバランス(8資産均等型)」の2本が有力候補。資産配分が自分に合うかどうかで選ぶのが重要だという。 中上級者が保有資産の一部で投資するの…
著者
細田 雅洋 松岡 孝介 鈴木 研一
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.122-134, 2013

本稿では,CSR促進のためのマネジメント・コントロール・システム(MCS)の実態を明らかにすることを目的として日本企業12社とインタビュー調査を行い,その結果を考察した。調査結果から,CSRと財務的成果の両立を図るためのMCSのアプローチについての示唆が得られた。
著者
片平 清美 池田 博文 カタヒラ キヨミ イケダ ヒロフミ KATAHIRA Kiyomi IKEDA Hirofumi
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部農場技術調査報告書 (ISSN:09194940)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.47-47, 1996-03-04

研修地: 福岡県糸島郡前原町長浦牧場. 日程: 1995年2月27~28日
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1308, pp.116-119, 2005-09-19

30インチを超える大型液晶テレビの歴史は「TATAMI(畳)」から始まった。現場は工場でもなければ研究所でもない、高級和牛で有名な三重県松阪市の飲食店街である。 現在、国内最大の「第6世代」液晶ガラス基板は縦1500mm、横1800mm、薄さ0.7mm、横にして持つと中央が30cmから40cmもたわんでしまう繊細な代物だ。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.211, pp.90-92, 2002-04

経営者の真の判断力は、苦境に立たされたぎりぎりの場面で試される。苦しさから逃れるため、土壇場で安易な道を選択した経営者は、その後、手痛いしっぺ返しを食らうことになりかねない。輸入牛を高級和牛と偽って販売し、世間の指弾を浴びた食肉販売会社の社長は、その落とし穴にすっぽりはまり、長年の信用を一瞬で失墜させてしまった。
著者
程 亮 Cheng Liang
出版者
神奈川大学日本常民文化研究所 非文字資料研究センター
雑誌
非文字資料研究 = The study of nonwritten cultural materials (ISSN:24325481)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.253-274, 2017-03-20

狐仙〈Huxian〉信仰は中国北方地域において極めて普遍的な民間信仰の一つである。中国人にとって、狐は古代から身近な動物であった。狐が霊力を持つ生き物と信じられ、やがては狐信仰、狐神信仰、狐仙信仰という伝承となって定着していくのである。現代中国の東北地方や華北地方などの農村部では、今でも狐仙祭祀の事例が報告されている。 筆者は2014 年から2016 年まで、これまで狐仙信仰調査の空白地帯である華中地方に入り、湖北省西北部の山村部において狐仙信仰の現地調査を行った。調査地では、狐仙が家に祀られる理由に邪症〈Xiezheng〉治療と富の増加があげられるが、「病気が治った」という理由で狐仙を祀り始める事例が多い。それは、現地では狐仙の憑依、祟りが邪症の原因と見なされているためである。村人たちは「病気」を「実病〈Shibing〉」と「邪症」に分けて対応する。邪症の原因に、鬼、祖先、神の祟りなどがあるが、狐仙の憑依、祟りがほとんどである。本発表では、湖北省西北部の山村部における邪症治療の実態を報告し、それと狐仙信仰の関係性を明らかにした。 当地における邪症の治療者として、馬子〈Mazi〉、法官〈Faguan〉、端公〈Duangong〉、陰陽仙〈Yinyangxian〉などの民間巫医がある。彼らは邪症の原因を狐仙などの超自然的存在と説明し、邪症の治療を行い、狐仙信仰の伝播者として存在する。 邪症の病者に女性が圧倒的に多い。村社会の女性たちは婚姻、生育、家庭安全などの面で男性より精神的ストレスを受けているため、時には元気も気力も弱くなり、時には熱が出て頭痛し、時には意識障害になる。彼女たちは上述した症状を邪症と認識し、巫医に治療を求める。邪症が治った際、病者は狐仙の信者となり、その信仰の伝播者として存在する。 狐仙信仰は邪症の説明体系として巫医たちによって維持され運用されていると考えられる。また、邪症治療という実践を通じて治療者・巫医と病者・村人の双方によって伝承されている。
著者
岡本 ゆかり
出版者
日経BP
雑誌
日経パソコン = Nikkei personal computing (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.842, pp.52-55, 2020-05-25

ふるさと納税をすると、多くの自治体では特産物を返礼品として受け取れる。1万円を軽く超えそうな高級和牛などをもらっても、実質負担額は年2000円。ふるさと納税のやり方を紹介する。
著者
熊谷 晋一郎 栗原 房江
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.878-884, 2010-10-25

なぜ医療の道に進んだのか 栗原 私たちは2人とも,障害をもち医療へ携っています。今回は障害をもつ者として,教育と臨床に期待することを,話し合ってみたいと思います。 私の障害について最初にお話ししますと,小学校3年の春の健診で聴覚に障害があるとわかりました。当時は,25~30 dBの軽度であり,日常生活に支障はないと言われていました。19歳の頃,めまいで倒れて,それから少しずつ聴力が下がっていきました。それでも右耳が40 dB,左耳が35 dBぐらいで推移していました。25歳頃,右耳が突発性難聴になって90~100 dBと低下し,昨年の終わりぐらいからは左耳も落ち出して,今年になってスケールアウトになりました。
著者
鎌田 真 市村 匠
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.59-62, 2012

我々は,モバイルフォンベースの参加型主観的情報センシングシステムとして,広島県観光マップと呼ばれるAndroidスマートフォンアプリを開発している.収集された約500件の観光情報から観光地の特徴をGHSOMとC4.5を用いて抽出した.本論文では,投稿される観光情報をTwitterと連動して発信するコミュニティを構築するために,有益な情報のみを発信するフィルタリングルールを抽出した知識を用いて構成するシステムを開発した.
著者
中津川 修二
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.306-313, 1975-07-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
20

The present study was undertaken to investigate the growth behavior of C. perfringens (spore) in chicken soup and in boiled fish paste (kamaboko), using six heat-resistant strains isolated from patients or foods with food poisoning. The chicken soup used in this experimentation was composed of 10% minced fowl meat, cooked in water containing 3% sugar and 2% salt, and the boiled fish paste made up of 100 gm of minced fish meat with 6 gm of starch, 4 gm of salt, 3 gm of sugar and 2.4 ml of “mirin”(sweet flavoring sake) added to it. The results of these experiments are summarized as follows:1. The spore of C. perfringens was capable of growing in chicken soup at temperature range 25°C-45°C. Within the range 30°C-45°C the growth of the organism was fairly more rapid than 25°C At 45°C, fastest growth was obtaind, an inoculum of 102 spores per ml in soup reached a level as high as 105 viable cell per ml in about 7 hours. No growth occurred at 20°Cor 50°C2. Sugar contained in the chicken soup was noted to promote the growth of C. perfringens. After reaching the peak of growth, however, the organisms died out rapidly and formed no spores. With the growth of the organism, the soup rapidily became acidified (at pH 4.4 approx.). The higher the temperature of incubation, the faster did the organism die out and the soup show acidification.3. The growth of C. perfringens was obtained in chicken soup containing 0-5%(w/v) of NaCl within 24 hours at 30°C. The growth was not inhibited by NaCl concentrations of 2-3%, but inhibited by 5%. In a soup containing 6% of NaC1 no growth occurred within 96 hours at 30°C. The organism was able to grow in soup at pH 5.0 or at pH 9.0, but failed to grow at pH 4.5.4. The spore of C. perfringens was able to grow in boiled fish paste maintained at 30°C, and showing increased viable cell count of 23 from 2.8×107 per gram. In contrast, neither outgrowth nor death of C. perfringens spores occurred in boiled fish paste containing 2.5μEg of synthetic preservative “furylfuramide” per gram
著者
石黒 晶 SAYAKA ISHIGURO
雑誌
神戸女学院大学論集 = KOBE COLLEGE STUDIES
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.109-119, 2003-07-20

著者より、「当該作品の著作権管理を日本音楽著作権協会に全信託している」との理由による削除希望がだされたため
著者
山口 直子
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

【研究目的】CD38遺伝子はオキシトシン合成ニューロンや下垂体後葉からのオキシトシン分泌に関与している。オキシトシンは子宮収縮や母乳分泌に必須のホルモンである。CD38遺伝子多型(4693C>T)を有する遺伝子組換えを行ったCOS-7細胞は、CD38関連酵素活性が50%に低下することが報告されている。そこで総合周産期母子センターに入院した妊婦と児のCD38遺伝子多型(4693C>T)を検索し、遺伝子多型の有無による母児の臨床的背景を明らかにし、遺伝的要因から病的新生児を出生する可能性のあるハイリスク妊婦の診断と治療、および児の予後を明らかすることで、母児の予後の改善に繋げる。【研究方法】当院総合周産期母子医療センターに入院した母親と児の末梢血液リンパ球から核酸(ゲノムDNA)を抽出し、PCR法によりCD38遺伝子を増幅後、RFLP法(Restriction Fragment Length Polymorphism)により、CD38遺伝子多型(4693C>T)を解析するとともに、SNP出現率とSNPを有する母児の臨床的背景を検討する。【研究結果】奈良医大に入院した母子で250名について、CD38のSNP(rs1800561(4693C>T) : R140W)の検出数は、T/C : 16名、T/T : 1名、C/C : 233件であった。すなわち、CD38遺伝子多型頻度は、0.068であった。【考察】一般人のCD38遺伝子多型頻度は、0.003~0.035と報告されている。今回の検討で母子センターに入院する母児は、CD38遺伝子多型(4693C>T)の頻度は一般人よりも有意に高かった。CD38遺伝子多型(4693C>T)が、母子センターに入院する母児の遺伝学的要因の一つと考えられた。