著者
米田 明 謝 龍剣
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

ダイヤモンドは絶縁体であるが、ホウ素を添加することにより半導体に転換し、高圧実験用のヒーター材として使用可能になる。最初の確認実験は愛媛大GRC研で行われた。岡山大学惑星研では2009年頃から半導体ダイヤモンドヒーターの開発に取り組んできた。その結果、W-Re熱電対が溶断する温度(~2500℃)以上の高温が発生できるようになった(推定~3700℃)。半導体ダイヤモンドヒーターのもう一つの利点はX線の透過性である。その特性に着目し“落球法その場粘性測定実験”のヒーター材としても活用している。本講演では半導体ダイヤモンドヒーターの開発過程、現状、将来性等を紹介する。
著者
竹内 良彦 福田 至朗 大矢 俊夫
出版者
愛知県農業総合試験場
雑誌
愛知県農業総合試験場研究報告 (ISSN:03887995)
巻号頁・発行日
no.38, pp.57-63, 2006-12

メロン黄化えそウイルス(MYSV)を、罹病葉から簡易に検出できる方法を開発した。この方法は新しいDNA増幅技術であるLAMP法を利用したものである。サンプルの葉を緩衝液(ris-HC1)とともにすり潰し、この懸濁液を、今回開発したLAMPプライマーを含むR-LAMP反応液に混合して、63℃で1時間保温するだけの簡単な操作により検出が可能である。また、つまようじで葉をつつき、反応液に浸すだけでも検出が可能であった。LAMPプライマーの設計に際しては、愛知県で発生したMYSVの遺伝子を解析し、塩基配列の一部を決定した。この塩基配列を他と比較したところ、最初の確認地である静岡県で採取された系統とは明確な違いがあったが、高知県で採取された系統及びタイで採取されたうちの1系統とはほぼ一致していた。
著者
畔高 政行 小西 信一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.851-858, 1988
被引用文献数
4 26

1985年冬東京地区の, 約150頭を飼育する繁殖場で元気消失, 食欲不振, 発咳, 鼻漏を特徴とした犬の呼吸器疾患の流行を認めた. 罹患犬はほとんどが約3ヶ月齢で, 全発症例33頭のうち症状の激しかった4頭を剖検したところ, 主要病変は肺に限られ, 気管支上皮細胞には核内封入体が多数認められた. また合計6頭から犬アデノウイルス2型(CAV-2)と犬パラインフルエンザウイルス(CPIV)が分離され, 両者が混合感染している例も見られた. ウイルス検索と同時に実施した細菌検索の結果, Bordetella (B) bronchisepticaが純培養状に分離された例があったが, 他の分離菌株は正常菌叢の構成菌で, 特に単独で有意の菌は認められなかった. またこれらの犬における分離ウイルスに対する抗体調査の結果, CAV-2の抗体はウイルス未分離の犬で90%以上が保有しており, 高い抗体価を示す例もあった. 一方CPIVの抗体陽性例は2例のみであり, CPIVは本流行の主因とは考えられなかった. 以上の結果より, 本流行はCAV-2の感染を主とし, CPIV とB. bronchisepticaおよび正常細菌叢を構成する菌の二次増殖が関与して起こしたkennel cough complexと考えられ, わが国における本病の最初の確認および病因の解析となった.
著者
中島 左代里 天野 めぐみ 伊東 憲子 橘川 英一郎 菅 義浩 立川 智美 西郡 武史 原田 真紀子 堀 明日香 本城 祐子 内藤 徹 日高 理智 横田 誠
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会総会抄録プログラム 第62回九州歯科学会総会
巻号頁・発行日
pp.25, 2002 (Released:2004-02-20)

我々は, 北九州市内の小学生253人を対象に, 歯周病学的パラメータのPMA index, CPI, Plaque indexと口呼吸が疑われる徴候の口唇閉鎖困難, 鼻閉塞, 前歯部唇側歯肉増殖, テンションリッジ, 前歯部齲蝕, 口唇乾燥, 口臭, 高口蓋を調査し, その関係を検討した. その結果, Plaque indexの値は, 口呼吸の原因になるとされる口唇閉鎖困難が認められる者はそうでない者に比べて有意に高値であり, 口呼吸の結果生じるとされる前歯部唇側歯肉増殖, テンションリッジ, 前歯部齲蝕においても, 徴候がある者はない者に比べて有意に高値であった. また, 鼻閉塞が認められた者は少なく, 鼻性口呼吸を行っている者は少ないと考えられた.
著者
中村 真司 中川 貴美子 原田 樹 栗田 康寿 藤井 真広 伊藤 宏保 菊川 哲英 吉田 昌弘
出版者
富山救急医療学会
雑誌
富山救急医療学会 (ISSN:21854424)
巻号頁・発行日
vol.33, 2015

【はじめに】多数傷病者発生事案では分散搬送が原則であるが、医療圏を越えての搬送は実際には難しい。今回、4人家族の交通事故において分散搬送し、状態安定後再集約する事案を経験した。<br>【症例】トンネル内での軽自動車と4tトラックの衝突事故。軽自動車乗車中の4人(両親、長男、長女)が受傷した。救急隊トリアージにて父親は骨盤骨折疑い、母親は大腿骨骨折疑い、子供2人は心肺停止であった。砺波医療圏MC医師の判断により、母親、長男は市立砺波総合病院へ、父親および長女は当院へ搬送された。<br>症例1: 2歳女児。来院時心肺停止。病着後8分、受傷後54分で心拍再開した。全身CTで外傷性くも膜下出血、高度脳腫脹、頸部血管損傷疑い、骨盤骨折、左大腿骨骨幹部骨折を認めた。脳腫脹強く、神経学的な改善は望めない状熊であった。<br>症例2: 28歳男性。右股関節脱臼骨折を認め、整復後にICU入室となった。<br>女児が重度脳機能障害のためBSCの方針となり、家族の集約を目的に、父親が第3病日に、女児が第4病日に市立砺波総合病院へ転院となった。なお、母親は大腿骨骨折、長男も心肺停止であったが、蘇生に成功した。<br>【考察】3次病院においても、小児2名の外傷CPAの初療は難しい。また、救急隊の判断による医療圈を越えた分散搬送は現実には難しい。今回はオンライン指示によるMC 医師の調整により、2名とも心拍再開することができた。現場医師要請、あるいは県全体のルール策定などにより、よりスムーズな現場分散搬送体制の構築が重要と思われた。<br>【まとめ】今回、我々は4名の傷病者、うち2名が小児の心肺停止であった事案を経験した。分散搬送することにより2名の心肺停止の小児を蘇生することができた。
著者
吉田 一彦
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.190-167, 2010-06-30
著者
柳瀬 慶子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.25, pp.25-37, 2009-03-31 (Released:2010-06-22)
参考文献数
20

本研究では, 西村の現象論を用いて, 表現運動の授業において子どもたちが「踊っているということ」はどのように捉えられるのか, また「踊っているということ」に見られる「他者関係」を見極めることによって, 表現運動の授業づくりの視座を提出することを目的とした。その結果, 「踊っているということ」は, 1つの関係であり, 「他者関係」の応答を生起させることによって成り立つということが明らかになった。そこに参加する子どもは, 「踊らされる存在」になったり, 「踊る存在」になったりしながら, 他者と相互主体の関係にあると考えられた。また, その「他者関係」の変容過程では, 「融合関係」「応答関係」「共感関係」が見られた。このような関係性をどう生起させるかということが, 今後の表現運動の授業づくりにおける視座になると考えられた。
著者
西村 秀樹
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.283-300, 1989-03-01 (Released:2017-09-27)

In ancient times of Japan, people created various ceremonies in order to operate the holy i.e. supernatural mystic power which brought them the feeling of awe, and play acted an important of the ceremony to manage the holy. By indicating the similarities between play and religion or how play element were located in holy world, Huizinaga tries to suggest that play takes its seat at the central part of holy world. In ancient times of Japan, Mana, or spirit was the holy power of governing the order of universal revolution which is absolutely beyond human control. One of the methods which operated holy power and attached it to things was the incantation of Tamafuri which means play. Universal order was believed to be renewed by attaching spirit to things. Everything in universe has circular rhythm of life and death just as plants repeat their growth and withering with the circulation of four seasons. Life means here cosmos the condition where universal order throbs, while death. means chaos where universal order has aged or stopped. Play successfully functioned to develop the rhythm of life-death-life, namely, cosmos-chaos-cosmos of the circulation of universe by operating spirit. Tamafuri renewed life and regenerated cosmos by expressing the rhythm of universal circulation, cosmos in a broad sense, symbolically. The rhythm of universal circulation settles in the sphere of unconsciousness of human beings as Archetypus, and the rhythm as Archetypus can be felt only through the symbol which appears from Archetypus by withdrawing psychological energy libido to the sphere of unconsciousness. The unconscious rhythm was felt by playing Tamafuri and the rhythm diffused and affected all things in universe. By playing Tamafuri, people in those days felt the attachment of Mana which was the projection of unconsciousness as well as rhythm, and considered that the renewal of life or the regeneration of cosmos was realized.
著者
福田 泰平 明田 修平 瀧本 栄二 齋藤 彰一 毛利 公一
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.2, 2017-10-16

Androidアプリケーション(App)には,外部モジュールを組み込んだものが多い.外部モジュールには,個人に関する情報を無断で外部へ送信するものが存在し,これによって情報漏えいにつながる可能性が指摘されている.この実態を明らかにするために,JDWPを利用した動的解析ツールを構築し,マーケットに存在するAppを対象に外部モジュールによって実際に外部へ送信された情報を観測した.その結果,ハードウェア識別子を送信する外部モジュールの存在やAppが送信する個人情報の傾向が外部モジュールの利用状況に影響することが明らかとなった.本論文では,これらモジュールによる利用者情報の取得・送信状況の実態について報告する.
著者
山内 佑子 高橋 雅延 伊東 裕司
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.83-92, 2008-08

認知インタビュー(Cognitive Interview:以下CI)は認知心理学の実験的知見をもとにFisherとGeiselmanによって開発された記憶促進のための事情聴取方法である。想起方法としてCI技法を用いない標準インタビュー(Standard Interview:以下SI)とCIの2条件を設けて比較した従来の研究では、CIはSIよりも正確な情報を引き出すことが明らかにされている。本研究では2つの実験において、CIの有効性に及ぼす目撃者の性格特性の差異の影響を検討した。すなわち、参加者を向性テストの結果によって外向性高群と外向性低群に分けた後、銀行強盗の短いビデオを呈示した。実験1ではSI条件とCI条件を比較した。実験2では全員がCIを受ける前に、CI技法による想起の経験か、CI技法によらない想起の経験のいずれかを行った。その結果、CIの有効性は目撃者の性格特性によって影響を受けることが明らかとなった。これらの結果についてはCIにおけるラポール形成の面から考察した。