著者
小ノ澤 真一 染矢 富士子 塗谷 栄治
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11729, (Released:2020-07-22)
参考文献数
42

【目的】長期人工呼吸器管理患者の肺コンプライアンス関連因子を検討すること。【方法】静肺コンプライアンス(以下,Cstat),動肺コンプライアンス(以下,Cdyn)を測定し,無気肺,胸水,自発呼吸の有無に分け2 標本t 検定を行い,換気状態,患者基本データ,血液生化学所見について相関分析を行った。【結果】無気肺がある患者のCstat が有意に低下し,Cstat とCdyn ともにBMI,Rapid shallow breathing index(RSBI),肺胞気動脈血酸素分圧較差,人工呼吸器管理日数に有意な相関を認めた。またCstat では年齢,CRP,肺炎発症回数においても有意な相関を認めた。【結論】Cstat,Cdyn に対する体格の影響は大きく,またCstat は無気肺,肺炎発症回数,炎症性変化に影響を受ける可能性が示唆された。またCstat,Cdyn の低下が換気効率に影響を与える可能性が示唆された。
著者
西村 一洋
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.489-497, 2019-03-25 (Released:2019-04-12)
参考文献数
15

星座早見の地平線は,緯度によって大きく形が異なる。先行研究においては,球面三角法をもとに,天球座標に応用し,任意の緯度による星座早見の地平線の各数値を求めていた。そして,その数値を線で結ぶ手作業が,必要であった。また球面三角法は,授業に利用しにくいという課題があった。それを克服するために,できるだけ簡単に内容を見通せるように資料として示した。そこで,本研究の目的を「緯度によって異なる星座早見の地平線の軌跡を,表計算ソフトによって描く資料を示す。」とした。本稿では,先行研究から,地平線の軌跡を描ける過程を示している。
著者
宋 裕姫 西野 精治
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.329-352, 2008-09-01 (Released:2017-04-11)

睡眠障害や睡眠不足は, 肥満, 糖尿病, 高血圧などの生活習慣病, 労働者のヒューマンエラー, 交通事故, 産業事故などを引き起こし, 社会全体の経済損失は甚大なものになる. これらの問題を解決するために, 米国政府は1993年に睡眠に関連した事故による経済損失総額は年間5兆円あまりとした睡眠障害調査国家諮問委員会による報告書を発表した. その後, 様々な国家的対策により睡眠センターの数や睡眠研究に対する研究費が増加するなどにより睡眠医学が発展した. 日本においても睡眠障害に対する国家的対策が必要であるとして, 日本学術会議が2002年に"睡眠学の創設と研究推進の提言"を報告した. このような状況の中で, 米国における国家諮問委員会報告書をもとにした国家的な取り組みは, 睡眠学を創設したばかりの日本にとって参考になる可能性がある. 今回, この取り組みを総説としてまとめ考察を加え報告する.
著者
大野 嘉章
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究 (ISSN:09150390)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.324-332, 1992-08-17 (Released:2010-03-17)
参考文献数
20

There is a great difference between the aspect of sound environment measured physically and that recognized by each people.Formerly, it was considered that physical and objective descriptions of environment were more excellent. However, the people's actions to their environments are determined by the environment images recognized by themselves. And the environments of next generation will be made by today's daily actions of people. So, it can be said that people's subjective recognition to the environment play an important role.Now I study the meaning and the role of subjective descriptions of sound environment by using examples of “Making Sound Map” and “Contest of Stillness”.

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著者
塩原祖道
出版者
駒澤大学実践宗乗研究会
雑誌
駒沢大学実践宗乗研究会年報
巻号頁・発行日
no.2, 1934-03
著者
守屋 謙二
出版者
三田史学会
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.160-161, 1936-05

書評
著者
植松 正
出版者
日本評論新社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, 1957-06

論文タイプ||論説
著者
井上 充夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.581-584, 1958

飛鳥・奈良時代を中心とする古代の門に関する記載をみると、それらがしばしば、単なる通路空間として以外の用途に供せられていることを知る。たとえば宮殿の門が行事の際の天皇の座所となり、寺院・神社の門が礼拝の場所として用いられる等である。このような特殊性は、垣や廻廊で囲まれた内部の空間と、外部の空間とが質的に相異することからくるのであつて、これが両者の接触点をなす門に、特殊な機能を要求すると同時に、造形的にも後世の門とやや違つた特色を賦与したことを論ずる。
著者
浅野 清
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, 1964-09

日本の仏殿建築は最初その外から拝する方式に従って、外観をととのえるものとして、大陸から受容されたが、次第に礼拝者が内部に入りこむようになって、内部空間への関心を深めた。そしてやがて座居に適したコンバクトで落ちついた、独特な堂内を創りだしたのであったが、中世初頭に中囚の新様式を受けいれたのを機緑に、その要求する空間に著しい変質をきたし、伝統的な空間と影響しあって活溌な変化をみせるに至った。こうした空間の捉え方を全く無関係に発展したヨーロッパの教会堂等に見られる空間への指向と各発展段階毎に比較することによって、我が国の建築に現れた民族文化の特性を考える一助としたい。
著者
小林 信彦 Nobuhiko KOBAYASHI 桃山学院大学文学部
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学人間科学 (ISSN:09170227)
巻号頁・発行日
no.20, pp.55-79, 2000-12

In Japan there are many mountains on which images of Yakusi 藥師 are found. Bhaisajyaguru, the Indian counterpart of Yakusi, however, has nothing to do with mountains, which are favourate places of Japanese kamis 神. Yakusi has been worshipped by the Japanese as one of kamis, as is suggested by a verse in the Bussokusekika 佛足石歌.
著者
Legittimo Elsa
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1114-1120, 2008
被引用文献数
1

『法華経』の「見宝塔品」は,壮麗な宝塔が大地より涌出し,空中に住在するという劇的な記述で始まる.この塔は,過去多宝如来の全身舎利を安置しており,多宝如来の往昔の誓願によって出現したものである.釈迦牟尼が白毫より光を放射すると,十方の仏国土に住する如来の分身の姿が映し出される.その時,多宝如來の舎利塔を礼拝するために,十方の諸如来がそれぞれ菩薩を引き連れて,この世界にやって来る.そこで,釈迦牟尼が宝塔を開くと,多宝如来が現れる.多宝如来が自らの座を釈迦牟尼に半分譲ると,空中の宝塔の中で二仏が並座する姿が,衆会の前に顕現する.釈迦牟尼は,ここで『法華経』の功徳を述べ,さらに往昔に一人の聖仙からこの経を授かった因縁を説く.物語は,多宝如来の仏国土から来た智積菩薩の突然の登場,彼と文殊師利との議論へと続く.ここで,龍女成仏の物語が始まる.章の終わりでは三千人が受記を得て,この章が締めくくられる.『菩薩處胎経』には,「見宝塔品」に類似する章題は見られないが,当品の主題,及び記述の詳細が散見される.『處胎経』では,これらの記述は複数の章に分散しているが,『法華経』とパラレルな表現,例えば,宝塔涌出,仏の分身の顕現,他世界から説法を聞きに来る菩薩,二仏並座,受記を授けられる衆会などを見出すことができる.前回の日本印度学仏教学会では,『處胎経』と『維摩経』の比較を通して,『處胎経』における釈迦牟尼中心主義について考察した.今回は,『處胎経』と『法華経』「見宝塔品」のパラレルな記述を比較し,一見『法華経』と同じような記述が,全く別のメッセージを送信していることを分析し,説明していきたい.『處胎経』の著者の第一の目的は,釈迦牟尼への信仰を強化し,他の有名な如来たちからその威光を取り戻すことにあった.このため,著者は意図的にその世界観に合致しない諸経の物語と主題を利用し,変形させたといえる.