- 著者
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鈴木 宣弘
- 出版者
- 安全工学会
- 雑誌
- 安全工学 (ISSN:05704480)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.5, pp.291-299, 2013-10-15 (Released:2016-07-30)
- 参考文献数
- 2
「対等な競争条件」の名目の下に「企業利益の拡大にじゃまなルールや仕組みは徹底的に壊す,または都合のいいように変える」ことを目的として,人々の命,健康,暮らしよりも企業利益を追求するのがTPP である.特に,食料については,米国の穀物メジャー,種子を握るバイオメジャー,食品加工業,肥料・農薬・飼料産業,輸出農家などが,例外なき関税撤廃で各国の食料の生産力を削ぎ,食品の安全基準などを緩めさせる規制緩和を徹底し,食の安全を質と量の両面から崩して「食の戦争」に勝利することを目指している.TPP と国内の規制改革,国家戦略特区が表裏一体で,このまま,一握りの人々のための「今だけ,金だけ,自分だけ」の政治が暴走したら,国民の安全・安心な暮らしを守ることはできない.