著者
正保 哲 柿崎 藤泰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.881-884, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
17
被引用文献数
7 6

〔目的〕胸郭拡張差と胸郭の部位別体積変化との関連性を検討し,部位の違いによる胸郭拡張差1 cm当たりの体積変化を示すことを目的とした.〔対象〕対象は若年男性12名とした.〔方法〕三次元動作解析装置による体表に貼付したマーカの変化量から算出される胸郭拡張差と胸郭体積変化を計測した.胸郭拡張差の測定部位は,第3肋骨と胸骨剣状突起および第10肋骨の高さとし,胸郭体積変化は胸骨剣状突起より上部を上部胸郭,下部を下部胸郭とした.〔結果〕胸郭拡張差の各高さと部分的体積変化には,高い正の相関関係が認められた.〔結語〕胸郭拡張差と部分的体積変化の間には高い相関があり,胸郭拡張差1 cm当たりの換気量は,臨床において胸郭可動性から換気量を推察する上で呼吸理学療法の評価法の一助となると思われる.
著者
鈴木 康夫
出版者
警察政策学会 ; 1999-
雑誌
警察政策
巻号頁・発行日
vol.20, pp.263-303, 2018
著者
佐藤 寛之 松尾 健一 小野瀬 倫也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.361-374, 2019-11-29 (Released:2019-12-20)
参考文献数
17

理科学習場面におけるメタ認知的コントロールが子どもにとって難しいことであることが,これまでの理科教育に関する研究や国内の学習状況調査から明らかにされている。この理科学習における課題を改善し,理科学習で子どもが受容すべきと考えた情報とその選択の根拠を明らかにしていくために,本研究では,子ども自身によるメタ認知的活動の顕在化と学びのなかでの「気づき」の自覚化を促すための学習シート(理科学習プロセスシート)の開発を試みた。この理科学習プロセスシートを理科授業で活用した結果,次のことが明らかとなった。1)学習問題に対する予想場面での子どもの5つの思考過程の内実を見出すことができた。また,思考過程を顕在化し他者との対話を促すことで実験結果を基にした子どもの考えの更新が生じた。2)子どもが受容すべき情報の選択をする際には,まず,学習のキーワードに関連した生活経験を想起し,生活経験と学習問題との関連の有無をふまえて,以前の学習により理解したことや生活経験を付け加え,子どもは自分なりの予想の根拠を補足していた。3)考察を記述する際には,実験結果(現象)が生じた要因についての表現の「自由度」の高低が表現方法の差異となって現れる。この表現の「自由度」は,子ども自身の解釈で説明可能か否かで決定されており,説明に対する確信により変化する。
著者
武村 千紘 鈴木 重成 和泉田 真作 桐木 雅史 金子 禮子 妹尾 正
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.1369-1372, 2015-09-15

要約 背景:東洋眼虫Thelazia callipaedaは,ヒトと野生の哺乳類を宿主とする人畜共通の寄生虫であり,涙囊または結膜囊に寄生する。中間宿主はショウジョウバエ科のメマトイで,涙液や眼脂を舐めるときに幼虫を摂取する。東洋眼虫による眼感染は,日本では九州や西日本などの温暖な地域に多かったが,近年では北上する傾向がある。目的:栃木県内で発症した東洋眼虫による結膜感染例の報告。症例:栃木県に住む63歳男性が1か月前からの左眼の霧視と異物感で紹介受診した。自覚症状が生じる2週間前に,公園でハエに顔面周囲を執拗にまとわりつかれた。前医で虫体が左眼結膜に1隻発見され,除去された。患者の趣味は昆虫の写真撮影であった。所見:摘出された虫体は,その形態的特徴から東洋眼虫の雄と判定された。虫体の摘出後,自覚症状は消失した。結論:栃木県で東洋眼虫が発見されたことは,従来の報告にはない。温暖化のためにメマトイの活動期間が長くなったことがその理由であると推定される。
著者
大森 淳郎
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.2-25, 2019

『国民歌謡』『詩の朗読』『物語』等々、1920~30年代の大阪中央放送局を舞台に奥屋熊郎が開拓した番組は枚挙に暇がない。野球中継やラジオ体操を初めて実現させたのも奥屋だった。この稀代の放送人・奥屋熊郎の哲学の核心は、放送の「指導性」である。当時、ラジオで最も人気が高かったのは浪花節だったが、奥屋の考えでは大衆は浪花節が好きだから浪花節の放送を聴くのではない。ラジオが放送するから浪花節を好きになるのである。「ラジオがラジオ大衆を作り出す」のである。放送によって大衆文化の向上を実現しようとした奥屋は、「(放送は)時代文化の特質を容易に変質させる力でさえある」とまで言うのだ。 だが、奥屋の「指導性」の強調の仕方に私たちはある既視感を覚える。本シリーズ第3回で焦点を当てた逓信省の田村謙治郎は満州事変から日中戦争へと向かってゆく時代の中で「ラヂオは最早、世情の流れに引き摺られてプログラムを編成する時代ではない」のであり「民衆をして追随せしむる」ものでなければならないと主張していた。 大衆文化の向上を目指す奥屋の「指導性」と、国民を戦争協力に導こうとする田村の「指導性」は、やがて近接し重なりあってゆくことになる。 奥屋が全力を傾注した慰安放送(今で言う娯楽番組)は、戦争の時代、どう変質していったのか。前編では、奥屋熊郎の出発から見てゆく。
著者
松田 雅弘 楠本 泰士 酒井 弘美 伊藤 公一 田上 未来 阿部 紀之 関 亮祐 本藤 伸男 山﨑 友豊 赤池 優也 二瓶 篤史 新田 收
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.495-499, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
10

〔目的〕マイクロビーズ製クッション上での臥位が,関節可動域と筋緊張に及ぼす影響を通常のベッド上臥位と比較して明らかにすることとした.〔対象と方法〕回復期脳卒中後片麻痺患者9名(52~84歳)とした.同一対象者に20分の臥床をクッション(クッション条件),およびベッド上背臥位で(臥位条件)行わせ,前後でのROMt,筋緊張(MAS),僧帽筋上部線維の筋硬度の変化と変化量を対応のあるt検定により統計学的に解析し,その違いを条件間で比較した.〔結果〕クッション条件では介入前後で,麻痺側肘屈曲,頸部左回旋角度に有意差がみられた.筋緊張,筋硬度も軽減している症例が多かった.〔結語〕マイクロビーズ製クッションが,脳卒中患者に対して筋緊張の軽減と関節可動域の増大に効果をもたらすことが示唆される.
著者
松田 淳子 吉尾 雅春 坂本 美貴
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B0398, 2004 (Released:2004-04-23)

【目的】脳血管障害後、動作が速くなり、そのため姿勢制御が不安定になったり手順を飛び越したりして危険な動作遂行になる患者がいる。宮森はこのような症状を行為のペーシングの障害(以下ペーシング障害)と定義した。今回、脳血管障害発症後、ペーシング障害を来たし日常生活自立が遅れた症例を経験したので報告する。【症例】53歳女性。矯正右手利き。専業主婦。診断:左被殻出血。右片麻痺。既往歴:特記事項なし。現病歴:2003年4月25日発症、他院入院にて開頭血腫除去術施行。同年6月24日当院入院。10月16日当院退院。入院直後のMRI所見では大脳基底核部の前方および上方に出血の広がりがみられた。【身体および神経心理学的所見】入院後1週間(発症後2か月):意識清明。MMSE23/30。運動維持困難、軽度の右半側空間無視、ごく軽度の失語症状あり。他、汎性の注意障害を認める。右半身運動障害はBrunnstrom Stageで右上肢2、手指1、下肢5。感覚は表在、深部ともに右半身に中等度鈍麻あり。入院後4ヶ月(発症後半年):失語症状・半側空間無視消失。汎性注意障害軽減。運動維持困難・運動・感覚障害には変化を認めず。【ペーシング障害と日常生活への影響】入院当初、歩行・更衣・摂食などさまざまな場面で「行動中にスピードが速くなる」現象を認め、歩行中の他患を周囲の状況にかまわず無理に追い越そうとして接触しそうになる、行為を急ぐあまり手順をとばすなど日常生活遂行に支障を来たした。本人に自覚はなく、意識的に行動中に他の課題を提示して同時に処理することを求めると行動のペースが落ちる現象が認められた。自身の状況に関しては「なってしまうから仕方ない」とあまり考える様子はみられなかった。独力での歩行は可能であったが、これらの問題のため自立していなかった。発症後4か月頃より若干の行動面の改善とともに行動のペースが速くなる現象に対して「ゆっくりしているとこわいから速くやろうと思ってしまう」という内観発言が聞かれるようになる。退院前実施した平林らにより考案された「図形のトレース検査」は約1182mm、その他、注意の選択性や転換など遂行機能障害が認められた。主婦業復帰を目指し作業療法士とともに買い物、調理などの指導を行ったが、退院時、セルフケアは歩行レベルで自立するも家事動作は完全な自立にいたらなかった。【まとめ】ペーシングの障害は右半球損傷に多く認められるといわれているが責任病巣については確定的ではない。今回の症例は左半球損傷であったが、矯正右手利きであり側性化に特異性があることが考えられる。また本症例が合併する遂行機能障害、運動維持困難は、ペーシング障害の制御に影響のあることが経過からうかがわれた。大脳基底核は運動のリズム産生にかかわると言われており、前頭葉とこの部位との線維連絡の損傷がこれらの合併症状を含むペーシングの障害を引き出す一因ではないかと考えられた。
著者
高橋 嘉明 村上 舞 森川 由佳里 田代 雄大 高橋 裕美 白石 万喜 小林 由香
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.423-427, 2017-07-25 (Released:2017-07-29)
参考文献数
3

近年,病棟に出向いて実施している具体的な臨床検査技師の業務項目として,生理学的検査,検体採取,各検査の説明,ICT・NST活動への参画などを行い,患者中心のチーム医療へシフトし始めている。こうした動向を受け,当院の臨床検査科では病棟業務,特に病棟採血を積極的に実施している。臨床検査技師が全病棟のナースステーションに赴き,検査指示回収から採血,結果報告までを一括して担当しており,患者の病態の把握,診断・治療の迅速化をもたらし,治療の質の改善につながっている。
著者
尾上,敏一
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, 1980-07-01

我々は,BBT表のみによる簡易かつ客観的排卵日推定法として次の様な方法を検討した.月経周期第1日より第10日までの基礎体温の平均値を求め,この上下0.1℃以内を低温相の変動範囲とした.4日連続してこの範囲を越えた場合高温相に入ったと考え,高温相に入る前日を排卵目と推定した.この方法の正確度を確認するため高感度赤血球凝集反応により連日早朝尿中LHを測定し,尿中LHピーク日(day0)を求めこれを基準として検討を加えた.なお尿中LHピークと血中のそれはよく相関することを確かめた.この方法により求められた推定排卵日は排卵の起こり得る確率の最も高いday0からday+1の2日間に36周期(69%),前後1日のズレを加えた4日間に46周期(88%)が一致した.従来の報告でも基礎体温より排卵目を推定した場合ほぼ同程度のばらつきを示し,黄体ホルモン以外の他の因子の影響を受ける基礎体温の限界とも考えられる.しかし我々の方法は,基礎体温のみから排卵日を推定せざるを得ない場合,簡易かつ客観的であるため,他の不明確な基準による排卵日推定法よりも有用であると考えられる.
著者
田中 穣 小松原 春菜 野口 大介 市川 健 河埜 道夫 近藤 昭信 長沼 達史 西出 喜弥
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.1873-1880, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
17
被引用文献数
3

目的:鼠径部ヘルニア術前CTの診断能について検討した.対象と方法:平成24年1月から平成27年12月までに腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を行った鼠径部ヘルニア198例226病変を対象に,術前のCTにおけるヘルニア検出率と日本ヘルニア学会の鼠径部ヘルニア分類での分類診断率を検討した.結果:病変の検出率は92.9%と高率であったが,1cm未満の小さいヘルニアやCT撮影時の腹圧が不十分で脱出していなかった場合には検出困難な場合があった.ヘルニアの分類診断率では96.7%であり,I・II・III・V型では100%であったのに対し,IV型では30.0%と低率であって,また対側の不顕性ヘルニアの検出率は45.0%であった.結語:鼠径部ヘルニア術前のCTは病変検出率は高率であり,ヘルニア分類診断にも役立つものと考えられた.
著者
山口 梅太郎 下谷 高灑 下村 彌太郎 安藤 行郎
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鉱業会誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1125, pp.1157-1162, 1981-11-25 (Released:2011-07-13)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

This is the report of the landslide happened on 20th of September, 1973 at the Kagemori limestone quarry, Saitama prefecture. The slide started at about July of 1972 and it took over one year to final slide from the first finding of the crack on the slope. This report includes the record of the displacement of crack opening observed at thecrack on the failure slope and the analitical discussion on the slide.
著者
奥代 直巳 松本 亮司 生山 巖
出版者
農林水産省果樹試験場
巻号頁・発行日
no.21, pp.51-57, 1991 (Released:2011-03-05)