著者
林 祥介 高木 征弘 榎本 剛 はしもと じょーじ 杉本 憲彦 今村 剛 堀之内 武 三好 建正 石渡 正樹
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2019-06-26

世界初の本格金星気象撮像探査機「あかつき」の軌道投入以前、金星大気の観測は断片的であり、数値モデルには仮定が多く、スーパーローテーション(四日循環)の存在に象徴される金星大気の循環構造はほとんど未知であった。本研究では、我々が開発を進めてきた地球シミュレータ上の金星大気大循環モデル(AFES-Venus)を元に金星大気データ同化システム(ALEDAS-V)を構成し、「あかつき」観測と矛盾せず力学的に辻褄のあった金星大気循環場の生成を試みる。金星大気中の未知な擾乱を同定し、その分布と角運動量輸送、物質輸送と雲構造などを明らかにしスーパーローテーションにいたる金星大気大循環の構造を解明する。
著者
中戸川 陽子
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.16-29, 2010-05-01 (Released:2017-05-24)

本稿は,相模女子大学附属図書館を事例として,大学図書館における貴重書指定基準制定に関わる問題点を明らかにすることを目的とする。相模女子大学附属図書館では,1991年度より貴重書指定基準策定の試みがなされてきたが,2009年度まで制定にいたらなかった。18年間にわたる貴重書指定基準制定の経緯を考察することによって,図書館と教員の貴重書に対する考え方の差異や図書館と教員のかかわりの重要性が明らかになった。
著者
太田 耕史郎 オオタ コウシロウ Koshiro Ota
雑誌
経済科学研究
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.65-80, 2000-03-10
著者
冨田 晋司 トミタ シンジ Shinji TOMITA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.14, pp.135-142, 2014-03-31

本研究は浜松地域における楽器産業、特にピアノ製造の歴史を概観し、戦後のピアノ需要拡大期に急速に増加し、需要のピークアウト後は急激にその数を減らした中小ピアノ製造業者に焦点を当て、その歴史的な位置づけ及び役割を明らかにするものである。現在ではヤマハとカワイの二大メーカーを除く中小ピアノ製造業者はほとんどピアノ生産を行っていない状況となっているが、1950 年代から1960 年代にかけては、浜松地域に数多くの製造業者が存在し、様々なブランドでピアノを製造していた時期があった。本稿ではその発展と衰退の経緯を明らかにするとともに、楽器の街であり、とりわけピアノの街である浜松の産業文化の魅力をどのように発信していくのかを考察する。
著者
日高 照晃 石田 武 張 佑林 専徳 博文 笹原 政勝 谷岡 良弘
出版者
山口大学工学部
雑誌
山口大学工学部研究報告 (ISSN:03727661)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.p93-100, 1988-10

A strain wave gearing (commonly known as harmonic drive gearing) has been widely used as the reduction gear drive in industrial robots. Assembling an industrial robot system with an input motor, a strain wave gearing and an output arm, the amplitude of vibration in the robot system had been measured previously. Translating the robot system into an equivalent vibration model, the vibration occurred in the robot system was analyzed theoretically to compare the theoretical value with the experimental one and to determine the cause of the vibration with following result : The amplitude of the vibration occurred in the robot system was influenced by the variation of the spring stiffness and by the composite error in meshing, due to the machining and assembly errors of elements.
著者
才田 いずみ
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.54-55, 2017 (Released:2017-07-10)
参考文献数
4
被引用文献数
1

It is very important for a Japanese language learner to have adequate skills to participate in Japanese casual conversations, as it influences on creating and expanding the human network in the target languagesociety. In this paper, casual conversation in contact situation held by three women from Taiwan, China and Japan is compared to the casual talks held by three pairs of female native speakers of Japanese. As the result, the sequence organizations themselves are not very different from one another, however, less frequent evaluation and narrative are observed in the contact situation than in the native speakers'conversations.
著者
坪田 祐基 石井 秀宗
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.137-146, 2019 (Released:2019-06-27)
参考文献数
23
被引用文献数
1

This study aimed to investigate relationships between perfectionism and selective attentional engagement and disengagement biases to success- and failure-related words. Seventy-five undergraduates (33 male and 42 female) were asked to perform modified dot-probe tasks and to complete items in the Multidimensional Self-oriented Perfectionism Scale. The modified dot-probe tasks contained four kinds of stimuli such as success-related words, failure-related words, neutral words, and non-words. Using this task, selective attentional engagement and disengagement biases to success- and failure-related words were measured. Pearson’s product-moment correlation coefficients between the selective attentional bias and perfectionism scale scores were observed. As a result, several relationships were found in males: personal standards positively correlated with disengagement bias to failure-related words; concern over mistakes positively correlated with engagement bias to failure-related words; and doubting of actions positively correlated with engagement bias to success-related words. These results suggest that male perfectionists have selective attentional engagement and disengagement biases to success or failure, and that each dimension of perfectionism is related to engagement bias and disengagement bias differently.
著者
田辺 満子 小森 春佳 茂本 咲子 橋本 麻由里 黒江 ゆり子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
岐阜県立看護大学紀要 = Journal of Gifu College of Nursing (ISSN:13462520)
巻号頁・発行日
vol.20, no.特別号, pp.105-112, 2019-09

本学の卒業者支援・キャリア形成支援におけるオリジナリティは、第一に、4 年間の体系的な就職進路ガイダンスにより、専門職としての自分の将来の在り方を考える機会を在学時から各学年に合わせて配していることである。第二に、卒業者と在学生が意見交流できる機会が多様に設けられていることであり、在学生は専門職者として活動している先輩の体験談を直接的に聞くことで、卒業後の自己の成長をイメージする機会となっている。同時に、卒業者にとっては、卒業後の自己の実践活動を振り返り語ることで、今後の活動のあり方を考える機会となっている。第三に、卒業後の新任期に母校に集まり同級生・同窓生と意見交流する機会が設けられていることである。たとえば、新卒者交流会では、就業後3 か月程が経過した頃に集まり、仕事への対応がまだ十分にできない自分について悩んでいるのは自分ひとりではないことに気づき、明日への活力を得ており、卒後2 年目卒業者交流会では、就業後1 年が経過し、自身が新人を迎える時期に今後のあり方を考える機会となっている。さらに第四として、大学教員が県内医療機関を訪問し、看護管理者・卒業者・大学院修了者と話し合うことを通して、現場と大学が協働して人材育成の在り方を考える機会に繋がっていることである。すなわち、在学期から卒業後までの継続的な支援、および大学と現場との繋がりをもった支援を体系的に推進していると言えると考える。
著者
中里 トシ子 宮崎 一恵 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.223-228, 1984-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

かき卵汁の清澄度について検討した結果を要約すると次のとおりである.1) 水を用いたかき卵汁と煮出し汁を用いたかき卵汁の清澄度は, しょうゆを加えた汁以外のかき卵汁では, 煮出し汁を用いた場合に清澄度が高いことが危険率1%で認められた.水を用いたかき卵汁の清澄度は, 食酢を加えた汁が最も高く, 調味料無添加の汁が最も低い.煮出し汁を用いたかき卵汁の清澄度は, 食酢を加えた汁が最も高く, 食塩, しょうゆを加えた汁は無添加の汁より低い.2) 卵濃度5%のかき卵汁では, 食塩濃度が増加するにしたがって清澄度が低く, 卵濃度を10%にしたかき卵汁では, 食塩濃度1%の汁の清澄度が高い.3) 汁の中に卵液を加えるさい, 卵の加熱温度が高くなるに従って清澄度は高い.4) 卵黄のみを用いたかき卵汁では, 98℃前後で加熱しても汁全体が白濁して清澄度が低い.卵白のみを用いたかき卵汁は, 清澄度が高く, 80℃で加熱した場合でも全卵で98℃前後で加熱したかき卵汁の清澄度とほとんど同程度である.5) 産卵当日の卵は, 清澄度にばらつきがみられるが, 産卵後7日前後経過した卵を用いた汁の清澄度は高く, 安定している.6) かつお節使用量1%より2%の煮出し汁を用いたかき卵汁のほうが清澄度は高い.
著者
柴崎 貢志
出版者
群馬大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

脳内の局所温度を自在にコントロールすることで、神経疾患の画期的な治療法となる可能性がある。この点に着目し、マウスの脳内に埋め込むことで局所(1mm3周囲)脳内温度を上は42℃、下は28℃まで加温冷却出来る局所脳内温度可変システムを開発した。そして、脳内冷却に伴う組織損傷や細胞死の有無を調べた。その結果、脳内温度を正常温度の37℃から30℃まで低下させた場合には、全く組織損傷や細胞死は観察されなかった。これらの点より、局所脳冷却を治療に用いた場合には組織損傷を伴う副作用は生じないことが確認出来た。そして、てんかん原性域を30℃まで低下させることで充分にてんかん発作の抑制を出来ることを見いだした。
著者
稲増 一憲
出版者
関西学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は2波のウェブ調査を行い、インターネット上のさまざまなサービスが、有権者のニュース志向・娯楽志向という選好に基づく選択的接触を生じさせ、政治知識や国際問題に対する知識の差を拡大/縮小するのかということを検証した。調査の結果、ポータルサイトや新聞社サイトの利用は知識の差を縮小する一方で、twitterやニュース・キュレーションアプリの利用は知識の差を拡大するという結果が見られた。ただし、これは1波調査の結果であり、2波では知識項目の違いなどにより、結果が再現されなかった面が存在しており、この点について今後検討を進めていく必要がある。
著者
横井 敏郎
出版者
北海道大学大学院教育学研究院 教育行政学研究室・学校経営論研究室
雑誌
公教育システム研究
巻号頁・発行日
vol.18, pp.127-135, 2019-09-30

2018年11月21日、北海道大学大学院教育学研究院において公開研究会「高校内居場所カフェ実践は学校に何をもたらすか―2つのカフェ運営の事例から―」を開催した。この研究会は、科研費「拡散・拡張する公教育と教育機会保障に関する国際比較研究」(18H00970、代表:横井敏郎)のメンバーである高橋寛人氏(横浜市立大学)がこの間、NPO や高校教員、行政職員等の方々とともに進めてこられた研究活動を基礎として提案いただいた企画である。 高橋氏には、過去の科研費研究会で高校内居場所カフェについて研究報告をしていただいていたが、今回、高校内居場所カフェの中でも先導的な役割を果たしている2つの運営団体の方々を招いて講演をいただき、議論を行う公開研究会を開催した。スピーカーとしてお招きしたのは、一般社団法人officeドーナツトークの田中俊英氏、NPO法人パノラマの石井正宏氏・小川杏子氏である。田中氏は大阪府立西成高校で「となりカフェ」を、パノラマの石井氏と小川氏は神奈川県立田奈高校の「ぴっかりカフェ」を運営されている。現在、高校内居場所カフェは全国で50ヶ所に上るが(朝日新聞 2019年8月19日)、その最初が西成高校の「となりカフェ」であり、次いでそれを参考に開設されたのが田奈高校の「ぴっかりカフェ」であった。今回、居場所カフェをスタートさせた2つの団体の方を招くことができたわけである。そのせいもあって、本研究会には学外者含めて30名ほどの参加を得た。 3人のスピーカーには、高校内居場所カフェの活動内容や理念、そして活動の運営上の課題や行政との関係に焦点を当てて話をしていただいた。小川氏にはふんだんに写真を用いながら、「ぴっかりカフェ」が開設された経緯とカフェの様子や役割、居場所カフェのソーシャルワーク等へのつながりなどについて話していただいた。田中氏には、「となりカフェ」が開設された経過を行政とのやり取りや高校教員との関係づくりなどの点から話していただいた。最後に石井氏には、居場所カフェを作るに当たって高校内における居場所カフェ(運営団体)の立ち位置のポイントについてお話しいただいた。その内容は、本誌の研究会記録の通りである。 高校内居場所カフェに対する関心は少しずつ高まってきているようであり、数も増えてきている(『朝日新聞』2019年8月19日)。本研究会の後になるが、高校内居場所カフェを実践してきたり、応援してきた人々の手になる書籍も刊行された。居場所カフェ立ち上げプロジェクト編『学校に居場所カフェをつくろう! 生きづらさを抱える高校生への寄り添い型支援』(明石書店、2019)には、その成り立ちからコンセプトや活動の内容、居場所カフェを作るためのポイントなどが分かりやすく書かれている。 しかし、高校内居場所カフェは始まって間もない取り組みであり、まだ十分な社会的認知を得ていないし、その実践の特質や社会的あるいは教育的な意味についてはこれから議論が本格化していくであろう。ここでは本研究会の記録の解題を兼ねつつ、高校内居場所カフェに対する認識を深めるため、それはいったいいかなるものか、その意義はどのように捉えられるのかを考えてみることとする。