著者
辻 盛生 軍司 俊道 江 東 平塚 明
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.179-182, 2006-08-31
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

多自然型川づくりにおいて,植生ブロックと覆土によって緑化が行われる事例が多く見られる。岩手県遠野市 (旧宮守村) を流れる宮守川における植生ブロックと覆土による事例を調査した。その結果,水際部の覆土は失われ,定着する植物は陸生の外来種が多い傾向が見られた。水際部の植物群落は,水辺エコトーンとして多様な機能の発揮が期待できるが,そのためには水域に進出し,水との接触が可能な種の定着が必要である。水辺エコトーンの早期形成と,陸生の外来植物優占の回避とのために,現地周辺に自生する水域に進出可能な植物の植栽が一手法として有効であることが明らかになった。
著者
松山 佐和 小口 雄康 松山 志保 斎藤 兆古 國井 利泰
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.145-148, 2000

One of the distinguished properties of the discrete wavelets transform is that the major dominant factors can be extracted from the data. We have applied this property to the data compression and reducing the noise data. In the present paper, we have tried to shrink and enlarge the wind vector image data by the three dimensional discrete wavelets transform. Several examples demonstrate the usefulness of our new method to work out the graphical communication tools.
著者
Frank Osborn Wood 増沢 力
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.327-332, 1981 (Released:2013-02-19)
参考文献数
5

米国の東部, 中央部, 北中央部は雨が多く, 天日塩田操業はこは適さないが, 採掘や溶液採鉱に適した地表近くに十分な岩塩層および塩ドームが存在している. 溶液採鉱により生産したかん水は蒸発して固型塩とする. 米国の西部ば乾燥している気候で, かん水源はカリフォルニア太平洋岸, ユタ州のグレート・ソルト・レイクおよびカリフォルニア, ネバダ, ニューメキシコ各州の塩湖沼 (プラヤplaya) である. プラヤでは, 塩は乾燥地の表面から溶解してその後蒸発して天日塩となる.岩塩床は地下60mから1,500mの深さに存在する. その厚さは0.6-600mを超える. 塩は古代海洋から7000万-5億年前に析出したものである, 岩塩床は黒色の水平層を含んでおり, これが1年の析出量を表わすものと考えられている.近代的な岩塩坑の採掘方法は世界中ほぼ一様で, 竪坑を岩塩層まで掘り下げ塩を地表まで引き上げる. 塩は石炭とほぼ同様なroom-and-pillar方式で採掘する. 空所と掘抜部は, ほぼ12-21mの広さで同じ幅かやや小さい柱を残す. 塩ドームの場合では, 空間と柱は平均幅30mでよい. 塩は粉砕と選別のあと13mmから非常な微粉までの製品とする.真空式蒸発法では, 飽和かん水は在来の多重効用蒸発缶に供給される. これらの蒸発缶は, 通常下部が円錐型, 上部が逆円錐型となった垂直のシリンダーのタンクである. 下部円錐体のすぐ上に蒸気コイルがあり, 蒸発用蒸気が送られ撹拌機でかん水を定常状態に撹拌する. 蒸発缶は経済性からふつう3または4重効用である.蒸発中にかん水から塩結晶が析出し, スラリーとして取り出され回転フィルターへ送られる. 真空式蒸発法で得られる塩結晶は粒状塩として知られ, その型が立方体粒子である特徴をもつ. その大きさがほぼ0.15-1mmであるグレーナー塩は米国ではほとんど廃止されている.それは幅約5m, 長さ37-45m, 深さ0.5mの長方形のタンクで製造された. これらのタンクは飽和かん水で満たされ,“フレーク” 型の塩を生産した. アルバーガー塩はフレーク塩とせんごう塩の混合した形態をしている.近代的な天日塩田は, 通常九つの大きい濃縮池と, 一つの濃縮池の面積とほぼ等しいいくつかの連続した結晶池とからなっている. 濃縮池および結晶池間の堤防は, 通常池の底から1mの高さで監視用の車が通れる十分な幅がある.
著者
下野 義人 広井 勝 高松 進
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
巻号頁・発行日
no.40, pp.65-75, 2014 (Released:2014-11-21)

リボソームDNA 28S領域(LSU rDNA)および5.8Sを含むITS領域の塩基配列に基づいて、ベニタケ属クロハツ節の分子系統解析を行った。外群を含めて28S領域の解析には42個、ITS領域では49個のシークエンスを用いた。最節約法(MP)に基づく、リボゾームDNAの28S領域の解析では、クロハツ節は大きな3群(group A-C)に別れた。Group Aはクロハツモドキ(Russula densifolia)とコゲイロハツ(R. adusta)、Group Bはニセクロハツ(R. subnigricans)、Group Cはクロハツ(R. nigricans)で構成された。ITS領域の解析ではGroup Bの単系統を支持しなかった。MPおよび近隣結合法(NJ)ではGroup B-5は今回の研究で用いたすべてのクロハツ節の個体と姉妹群を形成し、Group B-1はGroup Cと同群に属した。これらのことから、クロハツモドキとコゲイロハツを含むGroup Aとクロハツを含むgroup Cはともに単系統であると推測されたが、ニセクロハツ(group B)は単系統ではないと考えられた。コゲイロハツを除くとクロハツモドキの特徴を示す仲間は6小群に別れた。
著者
杉山 統哉 田中 宏太佳 鄭 丞媛 松本 大輔 近藤 克則
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.B3O2093, 2010

【目的】<BR> 脳卒中後の機能回復の予後において社会的サポートのレベルが高いほどActivities of Daily Living (以下ADL)点数が高くなるという報告がある.社会的サポートとは周囲の人々から得られる有形・無形の援助のことであり,家族介護者は社会的サポートの主な提供者の1つである.そこで介護力の有無により自宅退院率だけではなく,脳卒中後の機能回復に影響があるのかどうかを明らかにすることを目的とした.<BR> 日々の臨床においてもリハビリテーション(以下リハ)の対象となる患者は,関わる人が多い場合,帰結が良くなるという印象がある.仮説として特に家族介護者の関わりが多い方がより早く治したい,動けるようになりたいという感情が強くなり,帰結に影響を及ぼしているのではないかと考えた.しかし脳卒中後リハ対象患者において人の関わりがADLにどう影響を及ぼしているかを検討した報告はほとんどない.そこで多施設参加型データベースであるリハビリテーション患者データバンク(リハDB)に登録されている脳卒中患者のデータを使用し,検討したので報告する.<BR>【方法】<BR> 2009年5月までにリハビリテーション患者データバンク(以下リハDB)に登録された3,930名(30病院)のうち入院病棟区分が「一般病棟」の2,238名(19病院)から今回の検討するデータが入力されている9病院から入院時歩行不可である618名(男性365名,女性253名)を対象にした.患者選択基準は「発症前modified Rankin Scale(以下mRS)0~3」,「入院時mRS4・5 」,「55歳以上84歳以下」,「在院日数8日以上60日以下」,「発症後リハビリ開始病日21日以下」,「発症後入院病日7日以下」,以上の基準を満たすものを分析対象とした.対象の内訳は年齢72.4±7.9歳,発症から入院までの日数1.3±0.7日,発症後リハ開始病日2.8±2.8日,在院日数29.1±12.3日,リハ期間26.0±12.3日,1日あたりのリハ単位数(保険請求分)4.0±2.3単位であった.今回の検討は転・退院時の歩行状態が自立か非自立を帰結にした.そこで対象を転・退院時歩行自立294名と歩行非自立324名に分類した.転・退院時の歩行の自立・非自立の定義は入院時のFunctional Independence Measure(以下FIM)とmRSを掛け合わせることで設定した.リハDBのデータ項目の中から転・退院時の歩行状態を予測する因子として性別,年齢,確定脳卒中診断分類(脳梗塞,脳出血,くも膜下出血),在院日数,糖尿病の有無,高血圧の有無,合併症の有無,脳卒中既往歴,発病前mRS,発症後リハ開始病日,認知症の有無,意識レベル,下肢運動,入院時半側空間無視の有無,入院時感覚障害の有無,入院時FIM運動項目合計,入院時FIM認知項目合計,介護力の有無,装具処方の有無,リハ専門医の関与の有無,カンファレンスの実施状況,休日・付加的な訓練の有無,1日あたりのリハ単位数を選択した.上記の項目を独立変数とし,転・退院時の歩行自立・非自立を従属変数としてSPSSver12.0を用いてロジスティック回帰分析を行った.また,有意水準は5%未満とした.<BR>【説明と同意】<BR> 本研究において用いたデータは,リハDBについて説明の上同意した協力施設から,匿名化処理をし個人情報を削除したデータの提供を受けた.<BR>【結果】<BR> 選択した各変数の単変量解析(χ2検定)を行った結果,糖尿病の有無,高血圧の有無,発症後リハ開始病日,装具の処方の有無,カンファレンスの実施状況,1日あたりリハ単位数以外は有意確率0.05以下であった.<BR> ロジスティック回帰分析の結果は性別が「男」,脳卒中確定診断分類のうち「脳梗塞」,脳卒中既往歴「なし」,発症後リハ開始病日が「3日以内」,下肢運動「正常」,感覚障害「正常」,入院時運動・認知項目合計得点が高い,介護力「0~1人」「1人以上」,リハ専門医の関与「あり」が転・退院時の歩行自立が多い因子(p<0.05)であった.判別的中率は87.3%,HosmerとLemeshowの検定ではχ2=4.485(p=0.811)であった.今回の検討項目である介護力の有無に関してのオッズ比は歩行非自立を「1」としたとき,介護力「なし」に対して「0~1人」が7.142(95%信頼区間:1.846~27.625),「1人以上」が7.448(95%信頼区間:1.799~30.832)であった.<BR>【考察】<BR> 入院時の他の条件が同じ患者でも介護力が大きい人ほど歩行自立する確立が高いことが示された.1993年StrokeのGlassらによると高いレベルの社会的サポートは脳卒中後の機能回復に関連し,重要な予後因子であるかもしれないと報告している.今回の結果においても介護力の有無が脳卒中患者における歩行自立の重要な予後因子であるかもしれないということが示唆された.<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 本研究の結果から,急性期脳卒中患者において集約的合理的にリハを行う・予後予測する一助になると考えられる.
著者
源川 暢子
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.402, pp.64-67, 2008-09

顕著なのは、鍋の専門店だけでなく、1年を通じて鍋を看板メニューにうたう飲食店が増えたこと。中には、あえて"夏限定"の鍋メニューを提供している店もある。鍋は、季節を問わず売れるメニューに成長しつつあるのだ。 1年を通して鍋が食べられるようになったのは、「従来の鍋のイメージは"ごちそう感"。
著者
後藤 文子
出版者
慶應義塾大学アート・センター
雑誌
慶應義塾大学アートセンター年報/研究紀要 (ISSN:13428888)
巻号頁・発行日
no.25, pp.94-104, 2018

問題提起「縮景」 : ミクロコスモスとしての日本庭園の象徴性七代目小川治兵衛の庭 : 「自然らしさ」を超える地景デザインカール・フェルスターの庭と植物の色彩 : 自然科学的知との融合結語研究紀要
著者
岩城 康史
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.11, no.Special_issue, pp.S31-S34, 2018 (Released:2019-04-19)
参考文献数
3

特許に付与されるIPC分類より算出した“技術領域の幅”による特許の価値への影響について分析した.その結果,1990年以降において,破壊的イノベーションに見られるような幅広い技術領域をカバーする特許を有する企業の価値が高まっていることが示唆された.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1291, pp.6-8, 2005-05-16

「魔のカーブ」。それは100人超の死者を出したJR西日本の尼崎脱線事故現場ではない。大阪府の南端、同社の阪和線にあった。 大阪の天王寺駅を出発した特急「オーシャンアロー」は、阪和線の終点、和歌山駅を目指して61kmをノンストップで走り抜けていく。そして直線を時速120kmで飛ばして和歌山県との県境に近づいたところで、列車は急ブレーキをかける。
著者
上山 恵子 坂本 裕子 三好 正満
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.65, 2003

【目的】我が国では高齢化と共に、女性に加え男性においても骨粗鬆症が増加するといわれている。そこで、男性高齢者を対象に骨強度の2年間の変化と生活状況を調査し、骨強度の変化に影響を与える要因について検討した。【方法】1999年~2002年にN市内に在住する60歳~86歳の健常な男性68名を対象に、超音波測定による踵骨の骨強度(stiffness)および体脂肪率の測定と、身体状況、食生活・運動を含む日常生活習慣、社会活動状況などについて聞き取り調査を行った。解析には同性・同年齢健常者におけるstiffness の平均比較値であるAM値を用いて、初年度値を100とした時の2年後の変化値を求めた。変化値97~103の者を除く前期高齢者(60~74歳)26名、後期高齢者(75~86歳)22名の計48名で生活習慣等との関連について検討した。パラメトリック項目については得点を与え、t検定を行い比較した。【結果】初年度及び2年目の対象者全員のAM値および変化値の平均は、それぞれ94.8±11.0、96.4±18.0および101.7±7.7であった。また、前期及び後期高齢者の各変化率はそれぞれ101.4±6.9、102.1±8.8で両者に有意な差はみられなかったが、体脂肪率、牛乳量および乳・乳製品や卵の摂取頻度などの食事に関する項目で後期高齢者が、一方、速足歩行時間や趣味活動量などの活動量に関する項目で前期高齢者が有意に高かった。また、前・後期高齢者をそれぞれ上・下位群にわけ、生活習慣の差異を比較した結果、後期では両群に明確な違いが得られなかったが、前期では牛乳量および乳製品摂取頻度などの食事に関する項目や、地域活動・友人交際時間および趣味代謝量で上位群の得点が高い傾向にあり、適切な生活習慣による骨強度の維持が示唆された。
著者
村上 正祥
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.48-52, 1991 (Released:2013-02-19)
参考文献数
4
著者
佐藤 正典 加藤 哲哉 清家 弘治 伊谷 行
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.30-39, 2016-08-30 (Released:2017-02-07)
参考文献数
25

The scale worm Hesperonoe hwanghaiensis Uschakov and Wu, 1959 (Annelida: Polynoidae) is recorded from eastern Japan, based on four specimens collected from Akkeshi Bay, Hokkaido, and Kashima-nada, Ibaraki Prefecture. In Akkeshi Bay, three specimens (body length of a complete specimen: 40 mm, body width without parapodia: 4.0–4.5 mm), which are the largest of all Japanese specimens including previous records, were found from mud and sand sediments at intertidal flats, where a mud shrimp Upogebia major (De Haan, 1841) was collected simultaneously. In Kashima-nada, a complete mature male specimen (body length: 23 mm, body width without parapodia: 2.7 mm) was collected by dredging at subtidal sandy bottom at a water depth of 7.6 m, where another mud shrimp Austinogebia narutensis (Sakai, 1986) was collected simultaneously. The morphological characteristics of these specimens basically agreed with those of the previous records on the specimens collected from western Japan, with a diagnostic characteristic of the presence of a row of the more conical macrotubercles (up to 28 in an elytron of the complete specimen from Akkeshi Bay, and up to 3 in that from Kashima-nada) on the posterior surface of the elytra in the larger specimen. The present result suggests that the scale worm is commensal with not only U. major but also A. narutensis in its habitats extending from intertidal flats in semi-enclosed inner bays to subtidal bottom in open coasts.