著者
Zaher A. Radi K. Nasir Khan
出版者
The Japanese Society of Toxicology
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.373-391, 2019 (Released:2019-06-04)
参考文献数
184
被引用文献数
38

Non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) are among the most widely used therapeutic class in clinical medicine. These are sub-divided based on their selectivity for inhibition of cyclooxygenase (COX) isoforms (COX-1 and COX-2) into: (1) non-selective (ns-NSAIDs), and (2) selective NSAIDs (s-NSAIDs) with preferential inhibition of COX-2 isozyme. The safety and pathophysiology of NSAIDs on the renal and cardiovascular systems have continued to evolve over the years following short- and long-term treatment in both preclinical models and humans. This review summarizes major learnings on cardiac and renal complications associated with pharmaceutical inhibition of COX-1 and COX-2 with focus on preclinical to clinical translatability of cardio-renal data.
著者
シャルマ ラジ ハリ 中川 一
出版者
京都大学防災研究所 / Disaster Prevention Research Institute Kyoto University
雑誌
京都大学防災研究所年報. B = Disaster Prevention Research Institute annuals. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.683-690, 2005-04-01

本稿は,豪雨時を対象とした表層斜面崩壊のモデリングについて示したものである。斜面の安定性は土層内の水分の消長に大きく依存するため、これを精度よく表現し得るリチャーズ式を導入している。降雨実験により、モデルの適用性を検討した後、無限長斜面を仮定した3層からなる斜面の安定性を、リチャーズ式によって評価される土壌水分の消長を考慮して検討している。この斜面安定性の解析法を木津川上流域のタコラ谷に適用し、実際の豪雨時斜面崩壊箇所との比較検討により、本モデルの適用性が確認された。さらに、透水係数、土層厚、安息角、土粒子密度など、モデル中のパラメータが崩壊発生個数に与える影響について感度分析を行い、斜面安定解析において重要なパラメータを特定している。
著者
樋口 彰宏 斉藤 大 新井 基洋 岡本 牧人 八尾 和雄
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.438-443, 1997

1996年6月より我々は整形外科関節手術用シェーバーシステムである, SE5, ペースセッター (ラージハンドピース) をESSに使用し始めた。56例 (99側) にSE5 (あるいはペースセッター), ハマー, 通常手術器具でESSを行い, その有用性の検討を行ったところ, SE5 (あるいはペースセッター) 使用症例 (あるいは側) はハマー, 通常器具使用症例 (あるいは側) に比して, 手術時間, 出血量, 術中副損傷, 創傷治癒など全てにおいて優れていた。シェーバーの安全性, 有用性はそのままで, ハマーの欠点を克服できた。SE5, ペースセッターは整形外科で広く普及していて, すでに所有している施設も多いため, 多くの耳鼻咽喉科医が, すぐにでもESSにシェーバーを使用できるという利点もある。
著者
山本 明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.167-177, 2017

<p>超伝導技術は高エネルギー粒子加速器・素粒子物理実験フロンティアを支える基盤技術の役割を担っている.高性能・高精度な電磁場を,限りあるエネルギー資源・環境のもとで提供し,エネルギーフロンティア粒子加速器,物理実験の実現に本質的な役割を果たしている.粒子加速器における磁場利用では,超伝導技術によってコイルの電流密度を高め,高磁場磁石を実現する.高周波電場による加速では,電力効率を高めつつ高輝度化を実現する.物理実験における磁場利用では,超伝導化によりコイルの電流密度を高め,少ない物質量(壁)で大規模・磁場空間を実現する.</p><p>質量の起源を紐解くヒッグス粒子の発見をもたらした欧州原子核機構(CERN)・ラージハドロンコライダー(LHC)では,超伝導磁石技術が陽子・陽子衝突型加速器でのビーム軌道の制御,超伝導加速空洞がビーム加速の基盤技術となり,粒子検出器での二次粒子運動量分析の基盤技術となっている.</p><p>宇宙における物質 /反物質非対称性を検証したKEKB電子・陽電子コライダーにおいては,ビーム加速および高輝度化に超伝導技術が本質的な役割を果たしている.</p><p>国際協力計画として実現が期待されているエネルギーフロンティア電子・陽電子コライダー「国際リニアコライダー(ILC)」計画では,超伝導加速空洞技術が直線連続ビーム加速を支える基盤技術となる.</p><p>ニュートリノ振動の発見・検証をもたらしたSuper-Kamiokande実験は,粒子加速器と連携したT2K実験へと発展し,J-PARC加速器・陽子ビームによって生成されたニュートリノによって,ニュートリノ振動のさらなる精密観測・探索を推進している.超伝導磁石技術は,J-PARC加速器から取り出された陽子ビームを90度偏向し,神岡方向に照準を合わせニュートリノを打ち出すためのビームライン基盤技術となっている.J-PARCでは,さらにミューオンをプローブとし,「標準理論」を超える物理を探る実験が進行中であり,ミューオン生成,ビームトランスポート,崩壊過程観測用精密磁場空間のいずれにおいても,超伝導磁石が不可欠な基盤技術となっている.</p><p>衝突型加速器実験・粒子検出器における磁場利用では,超伝導コイルの外側に配置される測定器で観測される粒子は,超伝導コイルの壁を通り抜けなければならず,その際の相互作用によりエネルギー損失,散乱等を引き起こす.超伝導技術は物質を低減(薄肉化)し,コイル物質と通過粒子の相互作用を最小化することに大きく貢献する.このように,薄肉超伝導磁石技術は,「透明な磁場空間」という物理実験からの究極的な目標・要請に応える基盤技術となる.この技術は,飛翔体を用いた宇宙線観測にも新たな磁場利用の道を拓いた.さらに,これらの過程で必然的に培われた,少ない物質での効率的な伝導冷却技術は,必須な基盤技術として重力波探索・低温重力波望遠鏡(KAGRA)計画を支えている.</p><p>これら超伝導技術の発展を支える超伝導材料は,加速器超伝導磁石応用においては,NbTi合金による8 Tレベルでの実用実績を踏まえ,Nb<sub>3</sub>Sn化合物による12~16 T領域を実用視野に入れた技術開発へと発展している.超伝導加速空洞応用では,高周波応用に適した純Nb材料およびその表面技術が成熟し,30 MV/mレベルでの高電場応用が飛躍的に発展している.物理実験・粒子検出器用超伝導磁石応用においては,NbTi超伝導線を高強度・軽金属(アルミニウム)によって安定化する技術が発展し,物質的に透明な大規模磁場空間生成技術の進展を支えている.</p>
著者
石堂 康弘 瀬戸口 啓夫 神囿 純一 栫 博則 田中 源幸 廣津 匡隆 藤元 裕介 前田 真吾 河村 一郎 今村 勝行 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-4, 2013-03-25 (Released:2013-06-11)
参考文献数
8

セメントレスPCA人工股関節の長期成績について調査した.PCAは近位1/3がビーズによりポーラスコーティングされたアナトミカル型ステムであり,カップも同様にポーラスコーティングされている.1990年から1999年までに手術した最終調査時年齢80未満を対象とした.症例は19例26関節で調査率は83.9%であった.手術時平均年齢は50歳,平均経過観察期間は15年であった.5関節が再置換を受けており,その原因は3関節がカップの弛み,1関節はステムの弛み,1関節は大腿骨骨折であり,感染は無かった.X線学的なインプラント固定性の評価ではカップは8関節がunstable fibrous fixation,ステムは1関節のみunstable implantであった.この機種における15年でのインプラント生存率は75.8%であり,カップのbone ingrowthは不良で,その成績も良好とは言えなかった.
著者
中川 一 里深 好文 大石 哲 武藤 裕則 佐山 敬洋 寶 馨 シャルマ ラジハリ
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.50, pp.623-634, 2006

本研究では,インドネシア国第2の河川であるブランタス川の支川レスティ川流域における土砂流出特性を明らかにするために,雨量観測,土壌侵食の観測,河川における濁度や流量等の水理量の観測を実施するとともに,衛星データを用いた植生指数の分析を行っている。さらに,植生指数と降雨に伴う土壌侵食との関係から土砂流出のモデル化を行い,観測データとの比較検討によりモデルの妥当性を検証した。その結果,本モデルにより降雨・土砂流出特性がある程度再現できることが確認された。そして,植生指数によって耕地の攪乱等の人的行為を把握し,これを降雨による土壌侵食量の評価に応用することで土砂流出に与える人為的インパクトを定量的に把握することが可能であると推察された。
著者
横川 晶子
雑誌
学習院大学人文科学論集 (ISSN:09190791)
巻号頁・発行日
no.6, pp.181-199, 1997-09-30

Colette a fait ses d6buts litt6raires en 1900, en ple量n milieu de Ia Belle Epoque. Ses premiers romans,1a s6rie des《Claudine》, ont connu un grand succさs parce qu’ils Qnt r6pondu exactement b 1’attente de r6poque dont les th6mes principaux 6taient Ia Femme et la Nature. En plus,1es moeurs du lesbianisme qui traversent la s6rie 6taient aussi h la mode vers 1900, Pourtant, Colette n’a pas fait que r6pondre au goOt du temps. Comme elle a v6cu cette 6poque d’《une vie agr6able et 169色re》 en se donnant litt6- ralement corps et fime, elle a cultiv6 une sensibilit6 qui cherche註atteindre une vie《agr6able》pour elle-meme. Avec cette transformation chez r6crivain, le lesbianisme a trouv6 dans son texte une nouvelle signi五cation du mot, c’est-h-dire une communaut6 f6minine qui repr6sente l’amiti6 sincさre et 6ternelle entre les femmes.
著者
小林 啓二
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.305-308, 2016

<p>日本では,総務省消防庁,災害派遣医療チーム(DMAT),自衛隊等の災害対応機関が運用する災害救援航空機による救援活動が頻繁に発生している.宇宙航空研究開発機構(JAXA)が研究開発を進めてきた「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」の目的は,①「より安全かつ効率的な救援航空機の運用を実現するために災害対応機関間での情報共有を実現する」,②「共有された情報に基づいて機種や装備等に応じた最適な任務割当支援を行う」ことである.JAXAは,機上及び地上システムの開発を行い,災害対応機関と連携して実運用下での有効性評価を実施してきた.その結果,D-NETを活用することにより,無駄時間(任務割当待ち時間,離着陸許可までの時間,給油待ち時間等)や異常接近確率を従来方式と比較して50%以上削減可能であることを確認した.研究開発されたD-NET技術のうち,特に有効性が認められたものについては民間企業等に技術移転され,実運用で使用されてきている.現在は,ヘリコプタのみではなく,陸域観測技術衛星(ALOS-2)や無人機などで観測された災害情報も共有化し,ヘリコプタによる救援活動の計画立案に役立てるシステムの研究開発(D-NET2)を進めている.</p>
著者
土川 五郞 田中 忠正 小松 淸
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼兒の教育
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.75-78, 1933-10
著者
平野 勝巳
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.182-185, 2004-06

「仕事に没頭し、仕事にかまけてほしい」…上司は部下に対してそんな願望を抱く。しかし、仕事だけにかまけることを「やる気」というなら、「それは正気ではないですね」とワークショップ企画プロデューサーの中野民夫さん(46歳)は言う。 「正気」ではない、といっても「狂気」というわけではない。中野さんが言う。 「"忙しい"という字は"心を亡くす"と書きますよね。
著者
松浦 英子
出版者
東洋大学大学院
雑誌
東洋大学大学院紀要 = Bulletin of the Graduate School, Toyo University (ISSN:02890445)
巻号頁・発行日
no.55, pp.249-269, 2019-03

本論文では、明治時代に取り入れられた折り紙教育が、学校教育から消えたとされる時期とその理由を明らかにすることを目的として、複数ある説を検証した。折り紙が教育現場に取り入れられてから消えていくまでの経緯を、幼児教育と小学校教育の両方から文献資料によってたどった。1876(明治9)年、日本で最初の幼稚園が設立されると同時にフレーベルの教育法が輸入され、その中の一つであった折り紙教育も始まった。そして1890(明治23)年に尋常小学校でも折り紙教育が始まる。その後幼稚園教育では、継続的に折り紙が模倣であるとして批判されてきていたのに対して、小学校教育ではそれほど強い批判がない中で、1958(昭和33)年の小学校学習指導要領で図画工作の教育制度から折り紙という文字が消えたことが明らかになった。Origami education began in Japan in the Meiji period(1876). This study aims to investigate why and when origami education disappeared from the school education system. Several views were investigated, both in kindergarten education and elementary school education, including the history of origami —from introduction until its disappearance after being incorporated into education —using reference documents.In 1876, the first kindergarten in Japan was founded. At the same time Froebel's educational system was imported, which contained origami education. The elementary school also started with origami education in 1890. After that, origami has been continuously criticized in kindergarten education as being imitational, although there was not such strong criticism at the elementary school level. However, in 1958, the word "origami" disappeared from the Art and Handicraft education system in the Course of Study for Elementary Schools.
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.384, pp.40-43, 2007-05

夜のフリー客を増やすため、黒板メニューを書き換えた。変更のポイントは、(1)一目で分かるよう、文字情報を減らし、イラストを活用、(2)イチオシの商品に絞り込み、こだわりを伝える─の2点。オーナーの中野さん夫妻は、苦手意識から敬遠していたイラストに初挑戦した。 実験10では、実際に、2つの飲食店が店頭の黒板メニューを変更した。
著者
青山 満喜 松尾 歩
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P3232-E3P3232, 2009

【はじめに】軽費老人ホームにおいて,日常生活動作(以下,ADL)維持,健康維持,運動習慣のために「機能訓練教室」と称した運動を実施している.今回,理学療法士による運動の選択,効果などに関して若干の知見を得たので報告する.報告については,施設長ならびに参加者に対し書面および口頭で説明し同意を得た.<BR>【目的および方法】ADL維持ならびに運動習慣を着眼点とし,楽しく,無理なく運動できるよう実践している.内容として上下肢の運動,バランス訓練,ストレッチングとし,運動時間は毎回60分,月に2回実施している.1.上肢の筋力維持・向上を目的とした運動2.下肢の筋力維持・強化を目的とした運動3.立位バランス維持・向上を目的とした片脚ならびにタンデム立位保持4.四這い位での上下肢挙上のバランス練習5.柔軟性を維持するためのストレッチング<BR>【結果】機能訓練教室を毎月2回,1年間に計24回実施している.平成19年度中に参加した延べ人数は175人であり,参加者の最高年齢は93歳であった.参加者の意見として,「運動して汗をかくのは気持ちがいい」,「運動後に身体が温まる」,「運動後に身体が軽く感じ動きやすくなる」など肯定的なものが多く,更に,痛みの緩解や柔軟性の向上などの効果も寄せられた.その他として,「冬は部屋に閉じこもりがちになるが,『機能訓練』の時は部屋から出ようと思う」,「他の人と話をする良い機会になる」,「一人では運動できなくても皆で運動するとやる気が出て続けることができる」などの意見もあった.<BR>【考察・まとめ】軽費老人ホームに入所し続けるには,起居動作,移動動作,食事動作,更衣動作,整容動作,トイレ動作,入浴動作,コミュニケーションの自立が必要最低条件とされている.機能訓練教室の参加者は皆このことを承知しており,ADL自立の重要性を認識している.一日三度の食事は施設内の食堂で提供されるため,生活関連動作である炊事は自立していなくても入所は可能であり,広義のADLとされる洗濯,買物,掃除等に関してはヘルパーを利用することも可能である.施設内は段差も少なく,移動しやすく設計されてはいるものの,施設内を移動できる歩行能力(歩行補助具の使用を含む)が要求される.軽費老人ホームでは,毎月さまざまな「○○教室」と称する活動が行われているが,これらは華道,茶道,書道,というsedentaryなものが多いため,入所者の現在のADL能力を維持・向上させ,さらに運動を習慣付ける必要がある.現在の「機能訓練教室」を続けるにあたり,「きっかけ」,「継続」,「効果」の3要素が必要であると考える.そのためには,理学療法士の観点による環境設定,表現力,説明力などが今後さらに求められてくるものと思われる.今後も楽しく,わかりやすく,入所高齢者に無理のないADLおよび健康維持のために運動を習慣づけるような「機能訓練」を推し進めていきたい.