著者
山本 淳
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
山形県立米沢女子短期大学紀要 = Bulletin of Yonezawa Women's Junior College
巻号頁・発行日
no.38, pp.47-62, 2003-06-30

要旨 : 推量辞「む」の連体形は、他の活用形とははたらきが別であり、仮定や娩曲を表すとされてきたが、枕草子を調査した結果、「む」本来のはたらきである、未確認の事実に対する想像を表すものであることが判り、中古語文法では仮定の用法を認める必要がないことを述べた。また、連体形「む」は相関する文節に推量辞が伴われることが多く、かつまた、「らむ」「けむ」とは異なって命令・希求表現との相関を示しているが、そのことが連体形「む」を必要とする条件にはならず、連体形「む」の取捨が話者の主観に委ねられることを説明した。 キーワード : 連体形「む」の有無、未確認の事実、恣意性、相関する文節、推量表現
著者
小山雄太
雑誌
内科専門医会誌
巻号頁・発行日
vol.18, pp.447-455, 2006
被引用文献数
1
著者
谷川 嘉浩
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 = Human and Environmental Studies (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.89-99, 2018-12-20

本稿は, 経験を書くこと, 生活を記録することをめぐる鶴見俊輔の思想を探索する. 彼の思想を貫くのは, 日本の知識人が状況変化に応じて態度転換していったことへの批判である. その場の解答をなぞるだけの優等生は, 知的独立性を失いがちなのだ. これへの対処として, 自身の経験に基づく作文に鶴見は注目した. 本稿の目的は, 自己を含む状況全体を相対化する契機を, 鶴見がどのように確保したのかを明らかにすることである. 彼の「方法としてのアナキズム」に基づき, 生活綴方論以降の彼の作文論で, 当初の想定と現実との齟齬への注目が重視されること, そして, 齟齬と対峙する人間の力を「想像力」に帰したことを明らかにする. さらに, 想像力が繰り返し立ち返る場となるように, 鶴見が提出した経験を書く際の基準について, 後年展開された彼の文章論を踏まえて論じる.
著者
二階堂 善弘
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 東アジア文化研究科開設記念号 (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
pp.173-180, 2012-03-24

I would like to investigate the character and the origin of Huaguang (華光), and considered some gods as Wutong (五通) Wuxian (五顕) Ucchusma (烏枢沙摩) influence on Huaguang from the viewpoint of cultural interaction. And research the relationship between the Huaguang and fire gods belief.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.760, pp.18-20, 2018-01

トヨタ自動車は2030年までに、世界で販売する車両の50%以上を電動車両にする。トヨタとパナソニックが2017年12月13日に共同開催した車載用角型リチウムイオン2次電池の協業に関する会見で、トヨタ社長の豊田章男氏が明らかにした(図1)。 豊田氏が言う電動車…
著者
福田 陽一 沢多 美和 鷲塚 昌隆 東野 雷太 福田 義久 田中 芳明 武井 峰男
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.114, no.4, pp.233-238, 1999-10-01
参考文献数
12
被引用文献数
3

ウシ肝臓水解物のラット肝再生に対する作用について70%部分肝切除モデルを用いて検討した.肝臓水解物は肝切除24時間後の肝重量を用量依存的に増加させ, その効果は, 0.5g/kg, p. o. の用量から有意であった.細胞増殖の指標として, 肝オルニチンデカルボキシラーゼ (ODC) 活性およびproliferating cell nuclear antigen (PCNA) labeling indexについて検討した.肝臓水解物は肝切除4時間および24時間後の肝細胞質中の0DC活性を有意に上昇させた.また, 肝切除24時間後のPCNA labeling indexを用量依存的に上昇させ, その効果は0.5g/kgの用量から有意であった.以上の結果から, 肝臓水解物は肝再生促進作用を有すことが示唆された.
著者
山崎 進 森 正和 上野 嘉大 高瀬 英希
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.15, 2019-01-30

ElixirではFlowというMapReduceの並列ライブラリが普及している.Flowを用いると簡潔な表現でマルチコアCPUの並列性を活用できる.我々はFlowによるプログラム記述がGPGPUにも容易に適用できるという着想を得て,OpenCLによるプロトタイプを実装した.現行のGPUで採用されるSIMDでは,単純な構造で均質で大量にあるデータを同じような命令列で処理する場合に効果を発揮する.一方,Flowでは,そのようなリストに対し一連の命令列で処理する.そこで,このような命令列と,リストを配列化したデータをGPUに転送・実行することで高速化を図る手法,Hastegaを提案する.そこで,ロジスティック写像を用いたベンチマークプログラムを開発し,期待される性能向上を評価した.Mac ProとGCEで評価した.言語はElixir,Hastega,Rust,Pythonで比較した.その結果,次の3つの結果が得られた:(1) HastegaはElixir単体のコードと比べて4.43~8.23倍高速になった(2) HastegaはRustと比べて,1.48~1.54倍程度遅くなっただけである(3) HastegaはPythonのコードと比べて,3.67倍高速である.今後,本研究で得た知見を元にLLVMを用いてコード生成器を含む処理系を開発する予定である.
著者
山本 光 谷口 圭佑 滝澤 恵美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>要支援・要介護者の健康管理や在宅運動の習慣といった「自助」の促進は重要な課題である。ある行動の獲得や習慣化に際して自己効力感(self-efficacy:SE)が重要視されており,SEに関する報告は散見されるが,集団体操を通じたSEの変化に関する報告は少ない。そこで本研究は,「自助」の促進を目的とした集団体操が,健康管理に対するSE(健康SE)と在宅運動SEへの影響を検討することを目的とした。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>通所リハビリテーション利用者10名(男性5名,女性5名,年齢79.9±7.4歳)を対象とした。主疾患は中枢神経疾患2名,整形外科疾患7名,心疾患1名であった。Mental Status Questionnaire 8点未満の者は調査から除外した。集団体操は,1)遂行行動の達成(目標に対する達成度を対象者自身で記録),2)代理的体験(他者が称賛される様子を対象者同士が観察できるよう配置),3)言語的説得(称賛や励ましの声掛け),4)生理的・情動的状態(体操前後に血圧・脈拍を対象者自身で測定・記録)のSEを高める4つの情報源(石毛,2010)に対応させて実施した。集団体操は1回40分,週1~2回,3か月間実施した。なお,集団体操で実施した内容を自主トレーニングとして行うように指導した。介入前後で対象者の身体機能テスト5項目(握力,膝伸展筋力,5m最大歩行時間,Timed Up and Go test(TUG),Functional Reach(FR)),およびSE2項目(健康管理に対するSE尺度(横川,1999),在宅運動SE尺度(有田,2014))を調査した。統計学的解析はWilcoxonの符号付順位和検定を用い,統計学的な有意水準は5%とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>介入前後の結果を以下に示す(介入前/介入後,p値)。握力(kg)(22.0±5.4/22.1±5.4,p=0.95),膝伸展筋力(kg/体重)(0.37±0.12/0.38±0.11,p=0.41),5m最大歩行時間(秒)(5.2±0.9/5.2±1.1,p=0.51),TUG(秒)(12.1±2.1/11.8±2.4,p=0.38),FR(cm)(22.7±6.6/23.9±6.5,p=0.72)であり身体機能の有意な変化は認められなかった。一方,健康SE(42±4.9/45.5±4.5,p=0.02)では有意に上昇した。なお,在宅運動SE(18.2±4.8/22.3±3.9,p=0.05)は有意な変化を認めなかったが,介入前より介入後に上昇した。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>本プログラムによって身体機能に有意な変化は認めなかったが,健康SEの上昇の効果を認めた。セラピストと対象者,また対象者同士の関わりを工夫することで,対象者自身が健康を管理する動機付けを促進させると推察された。これより,集団体操はSEの変化に正の効果をもたらすと考えられた。健康SEを向上させた活動として,自己または他者のトレーニングの成功体験や代理的体験,さらに血圧・脈拍の自己管理の導入が考えられた。在宅運動SEは上昇傾向にあることから,今後,自宅での活動に変化が現れれば身体機能の維持・改善も期待される。今後はSEの上昇に伴う実際の行動変容を確かめる必要がある。</p>

1 0 0 0 OA 群書類従

出版者
巻号頁・発行日
vol.第570-572,
著者
宇佐美 清章 清原 翔吾 川口 翔平 坂本 謙二
出版者
一般社団法人 日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集 (ISSN:18803490)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<p>Photo-aligned films of an azobenzene-containing polyimide (Azo-PI) treated with octadecylamine (ODA) vapor can induce a large pretilt angle. Both average inclination angle and in-plane order of the Azo-PI backbone structure were significantly enhanced by the ODA vapor treatment. In this study, we have investigated the influence of the in-plane order of Azo-PI backbone structure on the pretilt angle generation. Photo-alignment layers with different in-plane molecular order but almost the same average inclination angle were prepared by two different photo-alignment treatments: single oblique angle irradiation of unpolarized light (UP-L) at 45º, and double light exposure of normal angle irradiation of linearly polarized light (LP-L) followed by oblique angle irradiation of UP-L. The difference in the pretilt angles generated by the two different photo-alignment layers was very small. This result suggests that the influence of the in-plane anisotropy of alignment layers on the pretilt angle generation is minor.</p>
著者
守岡 知彦
出版者
情報処理学会
雑誌
じんもんこん2018論文集 (ISSN:13440640)
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.373-380, 2018-12

じんもんこん2018、2018年12月1日~2日、東京大学地震研究所。
著者
山岡 俊一 田川 央
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.843-849, 2007-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

本研究では、植栽枡によるフォルトが密に設置してあるコミュニティ道路とイメージフォルトが設置されているコミュニティ道路において、自動車の走行挙動を観察する実態調査、被験者に自動車で対象コミュニティ道路を走行させる走行調査、周辺住民を対象としたアンケート調査を実施した。これらの調査結果より、イメージフォルトのドライバーに対する注意を促す効果 (注意喚起効果) が確認でき、住民の植栽枡の維持管理に対する意識が明らかとなった。
著者
鶴巻 英治
出版者
公益社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.360-361, 2017-04-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
10

Carborane acid is the strongest Brönsted acid presently known, possessing unusually high acidity greater than fluorosulfuric acid. Protonation by a carborane acid have proceeded effectively towards the weakest bases such as benzene, fullerene, alkanes, and even carbon dioxide, producing corresponding reactive cations as salts with the least coordinating carborane anion. This short-review highlights recent reports on structural elucidations of several important cations using a carborane acid.

1 0 0 0 OA 西行物語

出版者
巻号頁・発行日
vol.[5],
著者
本田 真大 大島 由之 新井 邦二郎
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.336-348, 2009 (Released:2012-02-29)
参考文献数
23
被引用文献数
11 3

本研究の目的は集団社会的スキル訓練(以下, CSST)が不適応状態にある生徒に与える効果を検討することであった。訓練対象は6学級の生徒228名であった。ターゲットスキルを決定するにあたり, 教師と生徒にニーズ調査を行い, その結果を生徒対象のオリエンテーションでフィードバックした。ターゲットスキルは「上手な聴き方」と「心があたたかくなる言葉」であり, それぞれ授業(50分)で1回ずつ, 合計2回の訓練が行われた。効果の検討にはターゲットスキルの自己評定, 教師評定, 仲間評定を用いた。分散分析で効果を検討した結果, 不適応状態にある生徒の仲間評定のスキル得点と仲間からの受容得点が増加した。3年生では仲間評定のスキル得点に加えて自己評定のスキル得点も一部増加したが, 教師評定のスキル得点は一部低下した。これらの結果から, ターゲットスキルの決定に生徒のニーズを考慮する実践の有効性, 不適応生徒に対するCSSTの効果の限界, 評定者間の結果の違いに関して考察され, 中学校でCSSTをより効果的に行うための方法が提案された。