著者
喜瀬 真雄 平山 厳悟 井手 睦
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.296, 2010

【目的】<BR>障害者水泳において理学療法士(以下PT)は競技会でクラス分け、合宿でコンディショニング活動を行なっている。これらの活動におけるPTの役割を明確にするには、スポーツ現場の要望を知る必要がある。そこで今回、九州身体障害者水泳連盟登録者(以下選手)及び障害者水泳指導者(以下指導者)を対象に、PTへの要望を調査したので報告する。<BR>【対象・方法】<BR>対象は選手113名(肢体不自由82名、視覚・聴覚障害31名)、指導者22名。調査は自記式郵送法で実施。調査項目は、PTへの要望について代表的な項目を複数設定し要望の有無を質問した。その他の要望は自由記載とした。またPTという職種についての知識の有無、さらに選手には競技レベルも質問した。結果は項目別に集計し、選手・指導者及び上位選手(日本選手権出場)・下位選手(九州選手権出場)の各2群間でχ二乗検定を用い比較した。対象者には文書にて調査の趣旨を説明し同意書に署名を得た。<BR>【結果】<BR>67名より回答があり内、解析に有効であったのは57名であった。PTという職種については52名が知っていると答えた。要望は総数231件、上位要望は「禁止常用薬・サプリメントの教示」32件、「傷害予防方法の教示」26件、「チーム帯同での泳力指導」26件。その他は、選手から競泳特性の理解、指導者から障害特性についての講習会開催などの要望があった。選手・指導者の比較では「自身のクラスの説明」について選手の方が指導者より有意に多かった。上位・下位選手の比較では全項目において有意差は認めなかった。<BR>【考察】<BR>PTに対する要望は「禁止常用薬・サプリメントの教示」が最も多かった。柴崎は「障害者水泳選手は常用する薬剤が多い」と報告している。またアンチドーピングについての啓蒙が進んでいることや練習場面で主に関わっている医療関係者はPTであるため、このような結果になったと考える。PTは薬物問題の窓口となり専門職の介入を促すことができると思われる。次に多いのは「傷害予防方法の教示」であった。三浦らは「スポーツ分野では、医学的リハビリがPTの役割と理解されている」としている。またPTは障害特性を専門としていることからこのような結果となったと考え、コンディショニング活動を強化していく必要があると考えた。「チーム帯同での泳力指導」も多く選択された。自由記載に競泳特性の理解や障害特性の講習会開催とあることから、PTが競技特性も熟知し選手・指導者と競技・障害特性を共有することで各選手の泳力向上が図れるのではないかと考える。選手と指導者の比較では「自身のクラスの説明」に有意差がみられた。クラス分けの結果次第で競技成績が左右されることから、選手に要望が多かったと考える。今回の調査から、薬物問題の窓口やコンディショニング活動の充実、競技指導への働きかけといったPTに対する要望の傾向がわかった。

1 0 0 0 OA 拓務統計

著者
拓務大臣官房文書課 編
出版者
日本拓殖協会
巻号頁・発行日
vol.昭和14年, 1941

1 0 0 0 OA ほくち箱

著者
小山内薫 [著]
出版者
小山内薫
巻号頁・発行日
1900
著者
荻原 彰 人見 久城 OGIHARA Akira HITOMI Hisaki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.245-255, 2016-03-22

The University of Delaware (UD) is recognized as a center of Problem-Based Learning (PBL) in the U.S.A. Typically, PBL involves three-stage problem solving. Initially, a problem is presented to students, who then discuss along with learning issues, and report the results. The students then discuss the first problem again, and a second problem is presented. The process then proceeds in the same way to a third problem. Good PBL problems are the key to success of PBL. Problems should motivate students to gain a deep understanding, arrive at judgements based on facts and logic, and promote cooperation among students. The First problem should be open-ended and the content objectives should be incorporated into problems. At the UD, ingenious attempts have been made to promote PBL in groups. For example, setting ground rules to prevent "free riders", specifying the roles of group members, systems for mutual evaluation, peer facilitation, and combinations of group discussion and mini-lectures. The success of PBL at the UD is attributable to a bottom-up approach, sound administrative support and faculty development. The tasks remaining for PBL at the UD include how to cope with the extra load on the faculty, and students feel alienated from PBL.
著者
小山内 秀和 岡田 斉
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.167-174, 2011 (Released:2011-12-06)
参考文献数
35
被引用文献数
4 4

Readers may have various experiences while reading a narrative, such as imagining the world described in the narrative, empathizing with the protagonist, and thinking about the author of the narrative or the real world. Referred to as “reader response” in literary theory, these experiences are important topics in the study of a reader's interactions with a literary text. To investigate differences among individuals in the degree of openness to these experiences during narrative comprehension, we translated the Literary Response Questionnaire (LRQ) developed by Miall and Kuiken (1995) and selected 37 items from the original scale to develop a Japanese version (LRQ-J). This survey was administered to 497 undergraduate students. The results showed that all subscales of the LRQ-J had internal consistency. Respondents' scores showed significant correlations with fantasy proneness, imaginative involvement, imagery vividness, and ego-resiliency. The results suggest that the LRQ-J has sufficient reliability and validity. The psychological characteristics of experiences assessed by the LRQ-J are discussed.
著者
小川 祐樹 野田 五十樹 山本 仁志 後藤 真太郎 和崎 宏 五味 壮平 鳥海 不二夫
雑誌
研究報告知能システム(ICS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.7, pp.1-5, 2013-03-03

Twitter や SNS といったソーシャルメディアを実現するメディアは,災害時の被災者において非常に有効なツールになると考えられるが,デマ拡散の問題や,現場との情報の共有・調整の困難さなど解決すべき課題は多い.災害時において利用者はどのようなメディアをどのように活用したらよいのだろうか.このためには,各メディアの特性を理解し,その特性に合った情報発信・共有の方法について検討していく必要があるだろう.本研究では,震災時におけるソーシャルメディア違いによる話題の違いを明らかにするために,Twitter と地域 SNS に投稿される記事をクラスタリングすることで話題を抽出し,各メディアでの話題の違いや,その時系列推移を分析する.さらに,記事投稿者の地域をみることで,地域による利用メディアの違いや投稿されるトピックの違いを明らかにする.分析結果より,Twitter と地域 SNS のそれぞれのメディアにおいて,情報共有意図のある投稿について違いがあることがわかった.In this study, in order to clarify differences in topics between social media at the time of earthquake, we conduct a cluster analysis of articles posted on Twitter and local SNS to extract topics and analyze differences in topics between media and their time-series transition. Also, by seeing the regions of the people who posted the articles, we clarify the differences in media used and topics posted among regions. As the result of analysis, as for the differences in topics between media, main topics on Twitter were about worry, anxiety, and false rumors, and main topics on local SNS were about safe confirmation, lifeline, support, and shelters. Also, as for the differences in topics among regions, we found that main topics in afflicted areas were about worry, support, and lifeline and main topics in non-afflicted areas were about anxiety and radioactivity. Also, as the result of time-series analysis of topics, we found differences that soon after the earthquake, various topics were seen promptly on Twitter, and after the earthquake, topics continuously seen on Twitter were about false rumors and fund-raise, and topics continuously seen on local SNS were about support and lifeline.
著者
宮川 しのぶ 津田 朗子 西村 真実子 木村 留美子 稲垣 美智子 笠原 善仁 小泉 晶一 関 秀俊
出版者
日本小児保健協会 = The Japanese Society of Child Health
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.457-462, 2002-05-31
参考文献数
21
被引用文献数
3

小学3年から高校3年までの1型糖尿病患児38名の学校生活での療養行動とそれに伴う困難感を検討した. 療養行動をしている割合は, インスリン自己注射81.6%, 血糖自己測定44.7%, 間食, 補食摂取31.6%であった. 療養行動の施行場所は, 小学生では主に保健室であったが, 中高生ではトイレや教室が多く, 94.7%の児がいずれかの療養行動を行っており, その50%が「しにくい」と感じていた. 困難感を抱く理由には, 療養行動を不思議がられたり, 特別視されることによるものが多い. また97.4%が低血糖症状を経験していたが, 病気や療養行動を知られたくないために我慢をする場合や, 保健室に行くことがあった. 以上から多くの患児が学校での療養行動に困難感をもっているため, さらなる学校現場での正しい理解と環境作りが必要と考えられた.
著者
板垣 幸樹 金 檀一 佐々木 恒弥 デブコタ ブミナンド 山岸 則夫
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.197-204, 2011-12-30 (Released:2013-05-17)
参考文献数
23
被引用文献数
2

2006年1月から2010年12月までの5年間に,肢骨折の治療を受けた子牛ならびに育成牛25頭についての臨床記録を整理した.症例は黒毛和種19例,ホルスタイン種5例,日本短角種1例で,性別は雄が13例,雌が12例であった.月齢は0~13.0カ月(平均3.4カ月)で,12例(48%)が1カ月齢以内であった.体重は23~300kg (平均105.9kg)で,15例(60%)が100kg以内であった.骨折の種類は,上腕骨の骨幹骨折が3例,橈尺骨の成長板骨折が3例,中手骨の骨幹骨折が7例ならびに成長板骨折が4例,大腿骨頚部骨折が2例,脛骨の骨幹骨折が3例,中足骨の骨幹骨折が3例であった.橈尺骨および中手骨の成長板骨折におけるSalter-Harris分類は,タイプⅠが3例,タイプⅡが3例,タイプⅢが1例であった.また,中手骨,脛骨もしくは中足骨の骨幹骨折症例のうち4例は開放骨折であり,重症度を示すGustilo分類は,タイプⅠが2例,タイプⅢaが1例,タイプⅢbが1例であった.治療として,プラスチックキャストによるフルリムキャストの外固定(FLC)を橈尺骨折3例,中手骨骨折10例.脛骨骨折1例,中足骨骨折2例の計16例に行った.上腕骨骨折3例にはタイプⅠ創外固定を単独もしくは髄内ピン固定との併用で行った.開放骨折の4例中3例と脛骨骨折の1例には,貫通固定ピン(スタイマンピン)とFLCの併用による外固定(TPC)を行った.大腿骨頚部骨折2例では,予後不良のため治療を行わなかった.転帰はおおむね良好であり,大腿骨頚部骨折の症例を除き,23例中20例(87%)が治癒した.
著者
渡邊 光一 Koichi WATANABE
巻号頁・発行日
no.3, pp.A167-A180, 1996-12-20
著者
赤澤 典子
出版者
岩手大学教育学部
雑誌
岩手大学教育学部研究年報 = Annual report of the Faculty of Education, University of Iwate (ISSN:03677370)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.71-78, 1993-10-01

本実験は飼料中のタンパク質の量がVA欠乏動物における成長や内分泌機能にどのような影響を及ぼすかについて検討した。Wistar系のラットを用い,普通量のタンパク質(20%カゼイン)投与群と低タンパク質(10%カゼイン)投与群にわけ,それぞれの半数にVAを投与しVA投与群とVA欠乏群とし12週間飼育し,体重発育,内分泌腺の重量,血清及び肝臓レチノール,肝臓レチニルパルミテート,血清トコフェロール量,血清テストステロンとコルチコステロン量及び下垂体前葉ホルモン陽性細胞の面積を測定し次の結果をえた。1) 20%カゼイン・VA欠乏群は10%カゼイン・VA欠乏群より発育障害が強く現れた。また成長ホルモン陽性細胞はVA欠乏群では有意に減少し,さらに20%カゼイン・VA欠乏群で著しく,これらの変化は体重発育の結果と一致している。2) 血清及び肝臓レチノール,肝臓レチニルパルミテート量はVA欠乏群では有意に減少し,特に20%カゼイン・VA欠乏群で著しい。3)血清テストステロンおよびコルチコステロン量はVA欠乏群で有意に減少した。また,10%カゼイン・VA投与群でもコルチコステロン量は減少した。4) VA欠乏により,下垂体前葉の生殖腺刺激ホルモン陽性細胞や副腎皮質刺激ホルモン陽性細胞が増加することが明らかになった。
著者
藤原 喜啓 上岡 政夫 宝示戸 恒夫
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.31-40, 1994-05-01 (Released:2013-04-26)

中筋川ダムではコンクリート打設工法に拡張レヤー工法を採用しており, その面状打設の特徴を反映させ, ダム堤体下流面をステップ形状にすることとなり, このステップを含めたダム全体め景観設計を行った。ステップ形状を踏まえたうえで全体コンセプトの十分な検討を行い, ステップのデザインを活かすかたちでダム全体のデザインにいくつかの試みを行っている。ここでは, 下流面ステップ形状の検討経緯, 全体コンセプトの考え方, 細部デザインの試みとその施工について述べる。
著者
高橋 大樹
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.78, pp.67-85, 2014

本論文では,ジェイムズ・ジョイス(James Joyce)の『ユリシーズ』(Ulysses, 1922)の第6 挿話「ハデス」("Hades")を取り上げ,そこに描かれる都市と死者の関係性について考察する。本挿話「ハデス」では,レオポルド・ブルームが友人ディグナムの葬儀に出席するため,他の出席者とともに馬車に乗り込む場面から描かれる。その馬車はダブリン市内を移動し,埋葬が行われるプロスペクト墓地へと向かう。墓地へ向かう車窓からブルームが目にするものは,ダブリンの街に住む顔見知りやさまざまなダブリンの様子である。さらに墓地ではこれまで多くのジョイス研究者がその正体を論じてきた「マッキントッシュの男」(Macintosh)として知られる謎の男をも目撃する。第6 挿話「ハデス」を死者と都市を描く文学作品の系譜において考えたとき,それまでの作品との差異はどこにあるのか,さらにブルームがどのように表象されるのか,そして読者はそれによってブルームと共同体との関係性についてどのような解釈が可能となるのかに関して考察を試みる。
著者
金川 元信 福水 健次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.286, pp.147-154, 2013-11-12

近年のカーネル法の発展のひとつとして,確率分布を再生核ヒルベルト空間(RKHS)上の点として表現することによりノンパラメトリックな統計的推論を実現する「カーネル平均埋め込み」と呼ばれる方法論が盛んに研究されており,状態空間モデル,確率伝搬法,強化学習を含む幅広い対象に対して応用されている.この枠組みでは確率分布そのものを推定する代わりに,RKHS上での確率表現を直接的に推定することによりノンパラメトリックな統計的推論を実現する.しかしながら,推定されたRKHS上での確率表現から対応する確率分布の分布統計量を計算する方法は現在までにほとんど研究されていない.本稿では確率密度関数,信頼区間,モーメントといった分布統計量をRKHS上の確率表現から推定する方法論を示し,それらの推定量の収束性を証明する.
著者
石見 佳子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.71-77, 2019 (Released:2019-04-23)
参考文献数
28

我が国においては, 健康寿命の延伸を目的として, 種々の健康施策が遂行されている。中でも骨の健康を維持するための食事と運動は, 健康寿命の延伸のための重要な因子である。著者らは, これまでに, 骨の健康維持を目的とした生活習慣について科学的根拠を蓄積してきた。まず, 骨芽細胞並びに破骨細胞形成系を用いて食品成分のスクリーニングを行い, ビタミンA及びビタミンK誘導体, 大豆イソフラボン等が有用である可能性を示した。次に, 弱いエストロゲン様作用を示す大豆イソフラボンに着目し, 骨粗鬆症モデル動物を用いて安全性及び骨代謝における有効性評価を行うとともに, 走運動との併用効果を示した。また, 健常閉経後女性を対象に同様の介入試験を実施し, 両者の併用効果を明らかにした。他方, 大豆イソフラボンの腸内代謝産物であるエクオールの産生を高める食品成分を探索し, 難消化性糖質の有用性を明らかにして骨の健康維持に役立つ食事メニューを提案した。これらの研究成果が, 高齢者を対象とした健康施策の一助となれば幸いである。