著者
中村 光宏 成田 雄一郎 宮部 結城 松尾 幸憲 溝脇 尚志 則久 佳毅 高山 賢二 永田 靖 平岡 眞寛
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.263-271, 2007-12-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
27

【目的】本研究の目的は,四次元イメージング手法の 1 つで,放射線治療分野におけるターゲット動体評価で期待されている 4D-CTの物理学的評価を行うことである.【方法】4D-CTは外部から取得した撮影対象の呼吸信号と各寝台位置で連続的に取得したCT画像を関連付けることで構成される.呼吸信号はRPMシステム(Varian Medical Systems, Inc., Palo Alto, CA, USA)で取得し,模擬腫瘍ファントムを周期的に運動させるために三次元動体ファントムシステムを使用した.4D-CT画像解析を行うためのファントム実験を行い,画像上の体積,重心,形状及び平均CT値を測定した.CT画像上で模擬腫瘍ファントムを自動的に抽出するために,CT値で閾値を設定した.【結果】三次元動体ファントムシステムの周期やCT閾値をさまざまに変化させて解析を行った結果,画像上で測定される模擬腫瘍ファントムの体積や平均CT値はこれらのパラメータに大きく依存したが,重心変位や球形度への影響は非常に小さかった.4D-CT画像には,位相ずれが含まれていたが,そのずれは3D-CT画像よりも大きく軽減されていた.【結論】 4D-CT画像解析を行うためのファントム実験を行った.4D-CTを用いることで,放射線治療計画時における臓器の輪郭入力がより正確にできるだけでなく,これらの移動範囲も定量的に評価できるようになるため,その臨床的意義は大きい.
著者
進藤 崇史 金田 瑠美 津田 徹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0813, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに】慢性閉塞性肺疾患(以下:COPD)には末梢血管,メタボリック,骨格筋や心理・精神的な併存症があるといわれ,低酸素血症にかかわらずCOPD患者は認知機能の低下が存在すると示される。臨床の現場において,COPD患者の治療の際に頻回の指導を行うが内容が反映されず,酸素の出し忘れや吸入手技が獲得できない,問題行動が多いなど認知機能の低下を予測させるようなことがある。認知症スクリーニング検査としてMini-Mental State Examination;MMSEを行うが,陰性を示すこともたびたびある。本邦では,鈴木らによってJapanese Version of The MONTREAL COGNITIVE ASSESSMENT;MoCA-Jが作成され,軽度認知機能障害(以下:MCI)の鑑別に高い感度と特異度を示し,信頼性,妥当性の高い検査としている。しかしながら,COPDにおける認知機能低下に対するMoCA-Jの有効性を述べたものはない。そこで,COPDの認知機能低下を鑑別するスクリーニングテストとしてMMSEと比較してMoCA-Jが有効かであるかを検討することとした。【方法】安定期COPD患者11名(男性8例,女性3例),年齢70.1±8.0歳,一秒量/予測一秒量47.8±28.7%を対象に1対1面接法式にてMMSE,MoCA-Jの順で各々一週間以内に行った。MoCA-Jは10分程度で実施可能な30点満点の評価で記憶,言語,実行機能,ワーキングメモリ,視空間認知,概念的思考など多面的に評価する課題構成となっており,従来の認知症スクリーニング検査の難易度を高くした内容となっている。得られたデータに対し対応のあるt検定にて差の検定をした。統計解析はSPSS ver18を使用し,有意水準は5%未満とした。【結果】11例のCOPD患者においてMMSEに比較してMoCA-Jでは有意に得点が低く(MMSE vs MoCA-J:27.8±1.8 vs 23.5±3.8)MMSEではカットオフの23点を上回っているにも関わらずMoCA-Jのカットオフである26点を下回る結果となった。【結論】先行研究においてCOPD患者(45例)と対照群(50例)を置きCOPD患者にはMCIがあることを示し,MMSEよりMoCAがその選別に優れている可能性を示している。また,SylviaらはCOPDにおけるMCI検査としてMMSEと比較してMoCAは妥当性があるとしており,今回の研究では,COPD患者においてMMSEで抽出されない認知機能低下がMoCA-Jによって抽出できる可能性を示唆した。自己管理能力を向上させるためには認知機能の低下は阻害因子になりうる。MMSEのみの評価だけでなく,MoCA-Jを使用し認知機能面へのアプローチを考える必要があると考える。今後の課題としてAlexandruらはMoCAを用いてMCIの評価を行った際COPDは安定期,増悪期問わずMCIが存在していると報告している。今後,症例を増やし重症度別の認知機能低下やMoCA-Jにおいてカットオフ以上と以下での身体特性の違い,その他のパラメータとの相関関係を示すものなど検討していく必要がある。
著者
末松謙澄 著
出版者
精華舎
巻号頁・発行日
1892
著者
柚木 恵太 安井 美裕 大西 正男
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.274-278, 2004

ワイン中の機能性物質のひとつであるリスベラトロールとその関連物質について,ワインの発酵過程での含量変化を分析した.(1) アルコール発酵3日目からのアルコール濃度の上昇とともにリスベラトロールは果皮から抽出され,発酵6日目でほぼ平衡に達した.その過程で,シス異性体の割合が増加し,発酵後半ではトランス体のみが減少していたことから,酵母由来のイソメラーゼ活性により発酵中にリスベラトロールの異性化が起きていることが示唆された.(2) 乳酸発酵過程において,リスベラトロールの増加とパイシードの減少が観察され,果皮から移行したパイシードが乳酸菌由来のβ-グルコシダーゼ活性によって加水分解されてリスベラトロールに変換されるものと推測された.
著者
田中 章雅 佐藤 亮
出版者
オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会
雑誌
オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会論文誌 (ISSN:18846939)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.55-69, 2016 (Released:2017-05-19)
参考文献数
47

プラットフォームがビジネスや産業構造として重要性を増している一方で, プラットフォームの戦略策定の方法は進展してない. 本論文では, 変化の激しい日本のソーシャルゲームのプラットフォームが高収益を得る戦略を分析する. そのために, ダイナミック・ケイパビリティの立場から,プラットフォームと補完ユーザグループの依存関係を精緻化した概念を提案し,サンプル事例として日本の2006 年から2012 年のソーシャル・ネットワーク・プラットフォームの3 社に適用した. その結果, 高業績のソーシャル・ネットワーク・プラットフォームのダイナミック・ケイパビリティは, (1) 推進的補完ユーザグループを感知し捕捉して, (2) その補完ユーザグループと深い融合となる再配置をすることを示した. 本論文の結論は, 企業がプラットフォーム戦略を考える場合のひとつの指針となるものである.
著者
劉 銀炅
出版者
中央大学
巻号頁・発行日
2017

【学位授与機関】中央大学【学位の種類】博士(文学)【学位記番号】文博甲第116号【学位授与の日付】2017年3月16日【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第1項【論文審査委員主査】関 礼子(中央大学文学部教授)【論文審査委員副査】宇佐美 毅(中央大学文学部教授),小森 陽一(東京大学大学院総合文化研究科教授)
著者
長谷川 潔 小池 直己
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.159-164, 1985-01-30

これからの英語教育は情報化社会に対応することを考えるべきであろう。相手から与えられる英語による情報を正しく把握し,こちらの情報を相手に伝えることのできる英語力を身につけるための言語教育を目標とすべきなのである。そのための語学訓練として,英語ニュースを効果的に楽しく用いることができる。本報告においては,英語ニュースをテープで流して,生徒に書き取らせた後,正しいニュース文を提示して,生徒各々に自らの誤答を指摘させ,それ等をカテゴリー別に細分し詳述させた。更に彼等が英語ニュースを書き取る際に感じた点を反省文と感想として論述させた。これ等の資料をレポートの形で提出させ,それ等を分析した。
著者
小松 康宏 門田 美和子 福井 次矢
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.12, pp.2353-2357, 2016-12-10 (Released:2017-12-10)
参考文献数
16

エビデンスに基づく標準的な医療を安全,効率的に提供するためには医学的アプローチに加え,産業界で発展した品質管理学の手法を応用することが欠かせなくなってきた.Quality improvement(医療の質改善)と呼ばれる学際領域であり,日本の産業界で発展した各種の手法が用いられている.本稿では,質改善の考え方と主な手法(PDCAサイクル,リーン生産方式,six sigma(シックスシグマ)など)について解説する.
著者
大田 孝太郎
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学研究論集 = HUE journal of humanities, social and natural sciences (ISSN:03871444)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.25-44, 2015-03

序 1.同時代認識と「哲学の要求」 1.1「反省文化」と哲学の課題 1.2 フランス革命とヘーゲルの時代認識 1.3 「絶対自由」と「無限判断」 1.4 新しい「精神」の出現と「哲学の要求」 2.同時代の哲学批判 2.1 時代の産物としての「反省哲学」 2.2『信仰と知』における「反省哲学」の批判 2.3『精神現象学』「序文」における「反省哲学」の位置づけ 2.4「反省文化」のパラダイム―啓蒙とロマン主義の対立 3.「媒介」の体系としての『精神現象学』の生成 3.1「反省哲学」批判から「真の哲学」へ 3.2 新しいパラダイム論としての「精神」の現象学 3.3 媒介知としての「悟性」=「反省」 3.4「実体」=「主体」―媒介論の成立 結びにかえて

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巻号頁・発行日
1000
著者
味藤 未冴来 川岸 卓司 水谷 孝一 善甫 啓一 若槻 尚斗 竹前 喜洋 西藤 岳彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

豚呼吸器感染症は農家に甚大な損失を与える。豚は呼吸器感染症に感染している時にくしゃみ回数は増加する。しかしながら,くしゃみ回数の増加がインフルエンザによって引き起こされるかは検証されていない。これを検証するため,感染をコントロールした環境下で音信号・動画像の収録を行った。本稿では,収録した音信号に効率的なラベル割り当て支援システムの開発を目的とする。まず,音響イベントを検出するために,収録した信号に周波数フィルタを適用し,SN比に基づいて閾値判定した。その後,検出した音響イベントと動画像を観測者に同時に自動提示した。結果として,14日間の収録音に対し,3万サンプルの音響イベントが検出された。また,観測者は3000サンプルに対してラベル割り当てを行い,このうちくしゃみ音は67サンプル存在した。ラベル割り当ては,1時間あたり最大200サンプルの速さであり,本支援システムが割り当て作業の効率化をもたらした。
著者
阿南 英明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.2, pp.455-460, 2013 (Released:2014-02-10)
参考文献数
5
出版者
早川書房
雑誌
悲劇喜劇 (ISSN:13425404)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.39-55, 2014-12
著者
白井 慎一 水戸 泰紀 小松 博史 矢部 一郎 佐々木 秀直
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.408-412, 2011
被引用文献数
1

症例は17歳女性,既往に特記すべきことなし.2009年8月中旬,突然の右片麻痺が出現し,救急搬送された.初診時,中等度構音障害と右片麻痺あり,NIHSSスコアは11であった.MRI拡散強調画像で左レンズ核部に高信号域を,MRAにて左MCAのM1近位部の途絶を認めた.最終未発症確認時間後2時間52分にrt-PA療法を施行.使用直前のNIHSSスコアは12であったが,90分後には0に改善し,静注120分後のMRAで左M1再開通を確認した.第7病日に経食道心エコーで二次口欠損型の心房中隔欠損症を認め,発症1カ月後に開胸下で閉鎖術を施行した.その後,軽度の右上肢筋力低下を認めるのみで,日常生活動作は自立し,学業に復帰した.未成年発症例におけるrt-PA療法は報告症例数が少ないが,本例のように血栓溶解療法が奏功する場合もあるので,未成年発症例においてもrt-PA療法を治療の選択肢として考慮すべきである.